「闇バイト」なる言葉をテレビなどの大手メディアでも頻繁に耳にするようになった昨今では、マイホームの防犯対策に力を入れたいと考える方が増えています。住宅の防犯対策では、防犯カメラの設置や防犯ガラスの導入、ホームセキュリティサービスへの加入などさまざまな方法があるのですが、本格的な対策を実施するとなると、多額のコストがかかってしまうことになります。

特に、防犯カメラシステムの構築という対策は、家の周りを死角がなくなるように設置していこうと思うと、設置台数が10台を超えてしまうようなケースもあり、防犯対策の必要性は感じつつも「コストがかかりすぎてしまう…」ということに悩んでしまう人も多いのです。そこで注目されているアイテムが、ダミーの防犯カメラの設置です。ダミーカメラであれば、本物の防犯カメラと比較すると、圧倒的に導入コストを押さられることができるため、「防犯対策はしたいけど、なるべく費用は押さえたい…」と考えている方にとっては、非常にありがたいアイテムとなっているのです。

しかし実は、ダミーカメラによる防犯対策については、「偽物である」ということがバレてしまう可能性もあり、かえって逆効果に働いてしまうことがあるとされているのです。そこでこの記事では、ダミーカメラを使った防犯対策のメリット・デメリットや、なぜダミーカメラが偽物とバレてしまうのかについて解説していきます。

防犯対策にダミーカメラを採用するメリット

それではまず、ダミーカメラを使用した防犯対策のメリットについて解説していきます。

ダミーカメラについては、インターネットで検索してみると「バレる」「意味ない」と言った意見を見かけることが少なくないため、設置するメリットはないのではないか…と考えている方も多いようです。しかし、ダミーカメラを設置しても全く意味がないのかというとそうではなく、適切な製品を適切な位置に設置すると確かな防犯効果が期待できるのです。ダミーカメラは、本物の防犯カメラに見えるよう、そっくりな見た目になるように作られているため、侵入犯罪を実行する不審者に「自分の犯行が映像として残されてしまうでは…」と考えさせることができ、犯行を躊躇させるという抑止効果が期待できるのです。

しかし、ダミーカメラについては、「本物か偽物か?」を見分けるポイントを把握している人に「ダミーカメラである!」ということがばれてしまう可能性があるため、バレてしまった時にはその効果がなくなってしまうので「意味がない」という意見があるのだと思います。とはいえ、何の防犯対策も実施していない住宅と比較すると、以下のようなメリットがあるのも確かです。

犯罪の抑止効果が期待できる

本物の防犯カメラによる対策は、「防犯カメラの存在そのものが抑止力になる」「常時録画ができているため、何かあった時には事実把握ができ、速やかな事件解決が期待できる」という2点になります。

そして、ダミーカメラは、この2つの機能を持った防犯カメラとそっくりな見た目をしているため、空き巣などの侵入犯罪を企てている不審者に対して「防犯カメラで見張っている!」というメッセージを送ることができるようになるのです。そのため不審者側からすると、心理的な威嚇を受けてしまうことになるため、犯罪を犯そうとする意図を減少させるという効果が期待できるわけです。

もちろん、ダミーカメラには録画機能がないため、事件が発生してしまった後の事実把握はできません。しかし、「犯罪の抑止ができる」というだけでも、非常に大きなメリットが得られると考えられるのではないでしょうか。

防犯対策にかかるコストが抑えられる

ダミーカメラによる防犯対策のメリットは、本物の防犯カメラを設置するという方法と比較すると、対策にかかる費用が圧倒的に安くなるという点です。先程紹介したように、ダミーカメラには、録画などのカメラ機能は一切搭載されていません。あくまでも、「本物の防犯カメラのように見える」よう、見た目だけを重視して作られているのです。したがって、ダミーカメラによる防犯対策の場合、住宅の各所にダミーカメラそのものを設置していけば完了します。

その一方、防犯カメラシステムの設置による防犯対策は、カメラを設置するだけでは完成しません。防犯カメラ本体はもちろん、映像を保存、閲覧するためのレコーダーやモニター、カメラとレコーダーを繋ぐための配線など、周辺機器も用意しなければならないのです。さらに、設置工事については、配線工事や電気工事などが必要になるため、本格的な防犯カメラシステムを構築する場合、専門業者に施工を依頼しなければならず、防犯対策には多額のコストがかかってしまうのです。費用については、どのようなカメラを何台設置するのかなどによって変わりますが、安くても数十万円単位のコストがかかりますし、大きな家を死角なく録画できるようにする場合、100万円以上のコストがかかってしまうこともあるでしょう。

ダミーカメラの場合、ネット通販を利用すれば、1台数千円で購入することができますし、配線工事なども必要ないので自分で設置することも不可能ではありません。そのため、ダミーカメラによる防犯対策の場合、安ければ1万円前後で対策を施すことも可能です。予算の関係で、本格的な防犯カメラを設置できない、とりあえず形だけでも防犯対策をしておきたいと考えている方にとっては、非常に取り入れやすいという点が大きなメリットになります。

ダミーカメラのデメリット

上記のように、家の防犯対策については、ダミーカメラを採用する方法でも、それなりの効果が期待出来ます。しかし、ダミーカメラについては、以下のような致命的なデメリットがあるので、その点は注意しましょう。

プロにはダミーと見破られる可能性があり、バレた場合は逆効果に働く

何度も侵入・窃盗行為を行う犯罪のプロであれば、防犯設備に対する豊富な知識を持っているため、本物の防犯カメラとダミーカメラの違いを見ただけで見抜くことができる場合もあるのです。

一般の人がダミーカメラを見た時には、パッと見で本物そっくりのように感じるはずです。しかし、防犯カメラなどの防犯設備に関して知識が明るい人にとっては、不自然に見えるような設置がなされていることも多く、見ただけで「ダミーカメラだな!」と気付いてしまうのだそうです。

ダミーカメラとバレる要因としては、ダミーの場合は電源がないものも多く、ケーブルが接続されていないといったものも少なくありません。また、動作中の本物の防犯カメラ特有の僅かな動きや赤外線ライトの点灯など、動作に違和感を感じることでダミーであると判断されることもあるとされています。この他、本物の防犯カメラの場合、定期的にメンテナンスが行われていることで、汚れやほこりなどが付着していない状態のモノが多いです。しかし、ダミーカメラの場合、「撮影機能がない」という点から、プロによるメンテンナンスなどが行われることがなく、さらに住人さん側も設置後は放置してしまう傾向にあるため、動作中の防犯カメラとは思えないぐらいに汚れが目立っていることでバレるケースがあるのです。

そして、設置しているカメラがダミーカメラであることがバレてしまった場合、逆に犯罪の被害に遭うリスクが高くなるとされています。家の防犯対策がダミーカメラのみで行われているというケースでは、カメラが偽物とわかれば「犯行時の姿が残る心配がない」と判断される可能性が高くなります。そのため、ダミーカメラ以外の対策が実施されていないお宅の場合、逆に「防犯意識が低い」と判断されてしまうことで、犯罪のターゲットになりやすくなるのです。

何度も侵入・窃盗行為を行うような犯罪のプロであると、犯行に出る前には必ず下見を行うとされています。防犯カメラなどに関しても、詳しい知識を持っているため、ダミーカメラがバレてしまう可能性がどうしても残ってしまうのです。こういったことから、ダミーカメラによる防犯は、一時的な抑止効果は期待できるものの、メンテナンスなどを怠ると、偽物であることが容易に見破られ、逆に犯行のターゲットになりやすくなってしまうという点に注意が必要です。防犯のために設置するアイテムが、逆に犯罪を引き寄せるとなると、かなり大きなデメリットと言えるでしょう。

撮影や録画はできない

先程紹介したように、本物の防犯カメラは、「常時録画ができているため、何かあった時には事実把握ができ、速やかな事件解決が期待できる」など、犯罪の被害を受けた時には録画した映像を証拠として使用することができるのです。しかし、ダミーカメラについては、あくまでも抑止効果のみを狙って、見た目だけを防犯カメラに似せて作っているだけなので、録画機能はありません。その結果、犯罪の被害を受けたとしても、何の証拠も残すことができないのです。

ダミーカメラは、あくまでも威嚇効果に重きをおいたアイテムであり、本物の防犯カメラが持つ証拠としての機能がないという点は明確なデメリットと言えるでしょう。

ダミーカメラだとバレる理由について

上でもご紹介しているように、ダミーカメラは、一定の犯罪抑止効果が期待できるものの、「偽物」とバレてしまった時には逆効果に働いてしまう恐れがあります。それでは、犯罪のプロは、どこを見て「ダミーカメラだ」と見抜いているのでしょうか?

ここでは、防犯対策のためにダミーカメラの設置を検討しているという方に向け、注意しておきたい偽物とバレやすい製品の特徴をご紹介します。

本物と素材が異なる(安っぽく見えるなど)

ダミーカメラのメリット面でご紹介したように、ネット通販などで手に入るダミーカメラは、非常に安価です。中には一台当たり1,000円前後で販売されている物もあるなど、購入することだけを考えると非常にありがたい価格帯の製品も用意されているのです。

しかし、ダミーカメラの中でも、コスト削減が重視された製品に関しては、本体がプラスチックなどの安価な素材で作られていて、注意深く確認してみると、素人でも「偽物だ!」と分かってしまうような安っぽい見た目のものもあるのです。本物の防犯カメラの場合、本体は金属で作られている物も多いですし、全体がプラスチックで構成された安っぽいものは、すぐに偽物と見抜かれてしまいます。

ダミーカメラは「安価に防犯対策ができる」という点がメリットであるため、とにかく安いものを求めるという考えを持つ人もいます。しかし、ダミーカメラを設置する目的は、「本物の防犯カメラが設置されている」と思わせることなので、値段の安さだけで判断するのではなく、きちんと本物に見える製品を選ぶのがおすすめです。そうしないと、本物の防犯カメラとの見た目の違いで、すぐにバレてしまいます。

電源ランプの点灯

防犯カメラの電源ランプは、カメラが正常に動作していることを示すサインとなります。本物の防犯カメラの場合、赤外線センサーなどが搭載され、夜間の暗い場所でも周囲の動きなどを感知してカメラが作動して撮影するようになっています。

しかし、安物のダミーカメラの場合、この電源ランプが常に点灯し続けるという仕様になっているものがあるのです。犯罪のプロからすると、常に電源ランプが点灯しているという状況は不自然であり、ダミーカメラなのではないかと疑う要因になります。そして、細部までしっかり確認されることで、偽物とバレてしまう訳です。本物の防犯カメラは、節電やカメラの位置を分からないようにする目的で、電源ランプが常に点灯する仕様にはなっていません。ダミーカメラの電源ランプは、本物に似せるために取り付けられているのですが、常に点灯しているモデルは、偽物とバレやすくなるので注意しましょう。

設置場所や配線などが不自然

本物の防犯カメラは、電源を取る目的やデータをレコーダーに送るための配線工事が必要不可欠です。しかし、ダミーカメラの場合は、この電源が不要で、レコーダーへのケーブルなども不要なのです。

そのため、ダミーカメラの中には、配線部分が明らかに不自然になってしまうような製品があります。また、カメラ本体からケーブルは出ているものの、そこから配線が続いていないといった感じになると、「録画はしていない」とすぐにバレてしまうのです。

これは、DIYでダミーカメラの設置を行う場合によくある失敗です。本物の防犯カメラの構造を知らない、プロの配線工事がどのような方法で行われるのか分からないなどが要因で、どう考えてもケーブルを這わせることができないような場所に設置し、犯罪のプロから「不自然だな」と見抜かれてしまう訳です。また、本物の防犯カメラは、防犯のプロの方が死角ができないように計算して設置する場所を決めます。しかし、ダミーカメラを自分で設置するというケースでは、撮影できる映像のことよりも「カメラがある」ということを目立たせるように設置するというケースが多く、その不自然さから「偽物なのだな」とバレてしまうことがあるのです。犯罪のプロは、カメラの設置位置や方向から、どの部分が撮影されているのかを見抜くため、不自然な位置、方向を向いて設置した場合、ダミーだとバレやすくなります。

メンテナンス不足

ダミーカメラは、撮影や録画機能はなく、単に設置されているだけのアイテムです。そのため、設置後は、一切のメンテナンスを実施しないというお宅が多く、設置してから数年たつと本体が埃だらけになってしまっているというケースがあるのです。

これが、本物の防犯カメラの場合、きちんと撮影できなければならないことから、定期的なメンテナンスを実行します。レンズ部分にほこりが付着すると、綺麗な映像が撮影できなくなるわけなので、定期的にレンズの拭き掃除などを行うケースが多いのですが、その際には本体についた汚れなども一緒に落とすはずです。

つまり、本物の防犯カメラかダミーカメラかを見極めるには、設置されたカメラの状態を確認することで「偽物なのだな」とバレてしまうことがあるのです。

ダミーカメラを効果的に使うには?

ここまでの解説で、ダミーカメラは、一定の犯罪抑止効果が期待できるものの、購入するタイプや設置場所、メンテナンス方法などを間違ってしまうと、偽物だと見抜かれてしまうことで逆効果になる恐れがあるとわかっていただけたと思います。

それでは、家の防犯対策としてダミーカメラを上手に利用するには、どうすれば良いのでしょうか?ここでは、ダミーカメラをうまく使って家の防犯性を高めるための対策について解説します。

高品質なダミーカメラを設置する

ダミーカメラにも、さまざまな種類が存在します。基本的には「安価に防犯対策ができる」という点がメリットの製品なので、コスト削減が重視された製品が多いように思えます。特に、ネット通販で販売されているダミーカメラの中には、1,000円前後の購入できるなど、非常に安価な物も多いです。

しかし、安価なダミーカメラは、プラスチックで構成されているため、離れた位置から見ても安っぽくて偽物とすぐにわかる…と言った低品質なものが多いのです。すぐに偽物と見抜かれてしまうダミーカメラは、犯罪の抑止効果はほとんど期待できなくなるので、設置する意味すらありません。

一方、防犯カメラメーカーが製造しているダミーカメラは、本物の防犯カメラのボディを採用しているため、外観から偽物と見抜くことができないようになっているのです。価格は1台当たり1万円前後するなど、高額になりますが、犯罪のプロにも見た目から偽物と見抜かれなくなるため、高い抑止効果を期待できるようになるでしょう。

本物の防犯カメラに混ぜる

ダミーカメラの本来の使い方は、ダミーカメラだけを設置するという方法ではなく、本物の防犯カメラを設置する際、一部のカメラについてはダミーカメラを採用して防犯対策のコストを下げるという方法です。

敷地外から見える位置については、本物の防犯カメラを採用して、敷地内の目立たない位置に設置するカメラはダミーにするといった方法を採用すれば、下見に来た不審者からは「きちんと防犯カメラシステムが組まれている」と見えるはずです。そのため、この場合には、より強力な犯罪の抑止効果が期待できるようになるうえ、万一、犯罪の被害に遭った時も証拠となる映像を残せる可能性が高くなるのです。

また、本物の中に一部だけ偽物が混ざっているという状況の場合、犯罪のプロでもダミーカメラを見抜くことが難しくなります。この場合、どれが本物か分かりにくくなるため、不審者からするとよりターゲットに選びにくくなります。

ダミーカメラでも専門業者に設置を依頼する

設置した防犯カメラが、ダミーだと気づかれてしまうケースでは、設置場所が不自然に感じられるということも大きな原因になります。ダミーカメラの場合、実際に映像を撮影するわけではないため、わざわざ専門業者に設置を依頼する必要はなく、自分で設置しようと考える方が多いです。しかし、防犯カメラに関する知識がない人が設置した場合、画角などを一切考慮せずに設置場所を決めてしまうため、「なぜあんな設置の仕方をしているのか?」と不自然に感じられ、ダミーカメラなのだとバレてしまうことになるのです。

つまり、ダミーカメラであることをバレないようにするためには、防犯カメラのプロに設置を依頼し、不自然に感じられないような場所にきちんと設置してもらうという方法が有効になるのです。また、専門業者にダミーカメラの設置を依頼すれば、きちんと配線が繋がっているかのように設置してもらえたりするので、外から見てもダミーだと感じられにくくなるのです。

まとめ

今回は、さまざまな防犯対策の中でも、安価に対策が程子出ると人気のダミーカメラについて、正しいダミーカメラの使用方法や、ダミーだとバレてしまう要因について解説しました。

ダミーカメラは、犯罪の証拠を残すことができる防犯カメラの見た目を模した製品で、侵入犯罪を鍬だ蹴る不審者に「ここは防犯カメラがあるから駄目だ!」と思わせることで、犯罪を抑止することができるのです。ただ、ダミーカメラにもさまざまな種類の製品があり、何も考えずにコストの安さだけに注目して設置すると、逆に「防犯意識が低い家だ!」と犯罪のターゲットにされてしまう可能性が高くなるのです。

記事内では、不審者に偽物とバレてしまいやすいダミーカメラの特徴などをご紹介しているので、これから家の防犯対策を検討しているという方は、ぜひ参考にしてみてください。

悠建設広報のM

悠建設のサイトでは当社の有資格者の監修のもと皆様の家創りにとって有益な情報を配信しております。 以下、各種許可、資格となります。

  • 一級建築士 3名
  • 二級建築士 1名
  • 二級福祉住環境コーディネーター 1名
  • 宅地建物取引士 1名
  • 二級建築施工管理技士 1名
  • 建築物石綿含有建材調査者 2名
  • 既存建物耐震診断士 2名