
一軒家は、マンションなどの共同住宅と比較すると、空き巣に狙われやすい環境が整いやすいです。最近のマンションは、オートロックシステムが当たり前に導入されていますし、そこ住む住人以外が建物内部にまで入り込むことが難しくなっています。また、防犯カメラシステムが整っているのが当たり前で、万一不審者が侵入したとしても、犯行の様子が動画として残ってしまい、すぐに逮捕されてしまう可能性が高くなるのです。そのため、空き巣犯からすると、一軒家と比較するとリスクが高いとみなされ、狙われにくくなるわけです。
一方、一軒家はというと、しっかりと防犯対策が施されている物件も多くなっているものの、まだまだ対策が不十分で空き巣に狙われやすい環境が整ってしまっている物件が少なくないのです。空き巣被害の件数については、年々減少傾向にあると言われているため、「うちが狙われる確率なんてほとんどないでしょ!」などと油断している方も多いかもしれません。しかし、空き巣被害の件数は減少しているものの、1回の被害総額については増加傾向にあるとされ、さらに「犯行がしやすい物件」の情報を窃盗団に渡す情報屋が存在していると言われるようになっているため、対策が不十分な物件のリスクが大きくなっているとされるのです。
そこでこの記事では、空き巣に狙われやすいと一軒家の特徴や、狙われないようにするためにはどうすれば良いのかについて解説します。空き巣対策については、新築時にしっかりと検討することが非常に有効なので、家づくりの際に検討したい防犯対策を中心にご紹介します。
空き巣に狙われやすい一軒家の特徴
それでは、空き巣などの侵入犯罪のターゲットにされやすい一軒家の特徴について解説します。
空き巣被害については、令和6年度のデータを確認してみても、一軒家での被害が最も多いという状況でした。令和6年度に確認された侵入窃盗は、全国で43,036件あったとされています。そして、侵入窃盗の発生場所については、以下の通りとなっています。
- 一戸建住宅:29%
- 共同住宅(3階建以下):6.8%
- 共同住宅(4階建以上):3.7%
- 一般事務所:9.9%
- 商店:5.9%
- 生活環境営業:7%
- その他:37.8%
令和6年度に確認された侵入窃盗では、約4割が一般の方が住む住宅がターゲットとされていたというデータがあります。さらに、建物の種類については、一軒家が最も多い割合を占めていたのです。これからも分かるように、空き巣などの侵入犯罪については、一軒家を有力なターゲットとみなしていると言えます。
それでは、一軒家の中でも、特に空き巣犯に狙われやすいのはどのような特徴を持つ家なのでしょうか?ここでは、何らかの対策を速やかに行った方が良いと考えられる、狙われやすい一軒家の特徴をご紹介します。
①敷地内に姿を隠せる死角が多い家
一つ目は、敷地内に空き巣犯が姿を隠せる死角が多く存在する物件です。
空き巣犯にとっては、犯行中の自分の姿が通行人などに見られないようにしなくてはいけません。ご近所さんに、不審に思われた場合には、警察などに通報され、捕まってしまうリスクがあるからです。そのため、ブロック塀やフェンス、庭木などがあり、窓破りなどの犯行中の姿が前面道路から見えないようになる一軒家が狙われやすい傾向にあります。
空き巣犯は、犯行の前に必ず下見をすると言われているため、その際に「姿を隠せる死角がたくさんある」とみなされると、侵入がしやすい家という印象を与えるので危険です。
②接道や隣家との距離が離れている一軒家
敷地が広く、前面の通りやお隣の家との距離が離れているという条件も、空き巣犯にとっては犯行がしやすく、狙われやすくなると言われています。
一戸建住宅が対象となった侵入窃盗の手口については、以下の通り、窓ガラスが破壊されて…というケースが多いです。
- 無締り:47.6%
- ガラス破り:35.7%
- ドア錠破り:2.6%
空き巣と聞くと、漫画やアニメの影響からか、玄関ドアの鍵を専用の道具で開錠してから侵入するというイメージが強いかもしれません。しかし、昨今の玄関ドアの鍵は、そう簡単に開錠できるような仕組みになっていません。そのため、侵入窃盗の手口としては、「鍵の閉め忘れ」や窓ガラスを破壊するというものがほとんどとなっているのです。
そして、ガラス破りに関しては、物音や周囲の視線が気になるものなので、道路や隣家からの距離が離れているほど作業がしやすいとみなされるのです。
③人通りが少ない立地
そもそも人通りが少ない立地にある一軒家は、死角の有無などに関係なく狙われやすくなります。
先程紹介した通り、空き巣などの侵入犯罪については、事前に下見を必ず行います。その際、家周辺の人通りが少ないとみなした場合には、犯行時の姿を通行人などに発見されるリスクが少ないと判断するため、狙われやすくなるのです。
④侵入しやすい場所に窓などがある
空き巣犯にとって、「侵入に使いやすい」と判断するような大きさ、位置に窓などがある一軒家は狙われる可能性が高くなります。例えば、以下のような条件が整っている場合、何らかの対策が必要です。
- 死角になる位置に人が通れる大きさの窓がある
- お風呂に人が通れる大きな窓がある
- 施錠破りしやすそうなドアや窓が取り付けられている
上記のような条件は、空き巣犯にとって安全に侵入ができると判断される可能性があります。死角に位置する場所に人が通れる窓がある場合、通行人などに犯行時の姿を発見される心配がありません。また、お風呂の窓については、特に侵入しやすいと判断されやすいです。お風呂の窓は、死角に位置する可能性が高い、間取り的にも奥まった位置に浴室が配置される傾向にあるため、多少の音が生じても、住人に気付かれにくいため、空き巣などの侵入口に使いやすいと判断されるのです。
また、玄関ドアや窓についても、鍵が一つしかついていない、窓のクレセントが防犯タイプではないという物件は、施錠破りがしやすいと判断され、狙われやすくなる可能性があります。
⑤2階の窓を使える足場がある
2階部分のベランダに簡単に踏み入れることができるような構造になっている場合も狙われやすくなります。ベランダまで侵入してしまうと、通行人や隣家の人から姿が見えなくなるので、窓破りなどの犯行もしやすくなります。
例えば、カーポートや物置などを敷地内に設置する場合、建物に隣接した状態にしてしまうと、屋根を足場にして2階に行けるようになる可能性が出てきます。カーポートや物置を設置する場合には、これを使って2階のベランダなどに侵入できるような位置は選ばないようにしましょう。
⑥駅や繁華街に近い物件
以外に思うかもしれませんが、駅や繁華街に近い一軒家は、空き巣などの侵入窃盗の被害に遭いやすいと言われています。
これは、駅や繁華街が近いと、犯行後に姿を隠しやすい、逃走経路が確保しやすいというメリットがあるからです。空き巣犯にとっては、犯行後に少し移動すれば、人通りの中に隠れることができる、電車を使って遠くに逃走することができるなど、発見されないための選択肢が多くなるのです。
駅や繁華街に近い物件で、自宅の周りに関しては人通りがあまりないという条件の場合は、注意した方がよいです。
⑦侵入の障害になるアイテムなどがない家
これは、いわゆる「防犯対策が不十分」とみなされる一軒家のことです。空き巣犯にとっては、センサーライトや防犯カメラシステムが設置されている家は、発見・通報の可能性が高い、犯行後に自分の姿が残っていて捕まるリスクが高い家とみなします。そのため、こういった侵入の障害になるアイテムがきちんと設置されている物件は狙わないのです。
その逆に、敷地内を監視、録画する防犯カメラが設置されていない、人の存在を知らせるようなセンサーライトがないなど、防犯対策を施していない物件は狙われやすくなります。また、最近では、外で犬を飼育するお宅が減っていますが、犬を飼っている形跡がない家は狙われやすくなると言われています。犬は、見知らぬ人がテリトリーに侵入してきた場合、大きな声をあげて吠え続ける場合があり、その鳴き声で近隣の住人に異変を知らせてしまう可能性があるのです。そのため、犬を飼っている形跡がない家も「障害がない」と判断され狙われやすくなります。
⑧敷地内に自由に出入りできる物件
近年では、外構の形として「オープン外構」と呼ばれる方式が採用されることが増えています。これは、敷地を塀などで囲うこともなく、門扉なども設置していない外構の形となります。オープン外構は、光や風が通り抜けやすくなり、実際の敷地面積以上に広々と感じらるという開放感や、外構工事にかかる費用を節約できる点が大きなメリットになります。
しかしその一方、部外者が敷地内に侵入する際には、何の障害もなく、不審な動きもせずに、スムーズに窓や死角にたどり着けるようになるのです。そのため、空き巣犯からすると、侵入が容易でターゲットにしやすくなるとされています。オープン外構は、「死角がなくなる」という点は魅力ですが、通路や近隣住宅から見えない位置に窓があると、危険度が増すので注意しましょう。
⑨生活パターンが一定
空き巣犯が下見を行う時には、「侵入しやすそうな場所を見つける」「防犯対策の有無を確認する」以外にも、そこに住んでいる人の生活パターンを把握するということが重要ポイントにされています。住人の生活パターンを掴み、留守になる時間帯を特定することができれば、侵入した際に住人と鉢合わせになるということを防ぐことができます。
下見時には、通勤や通学などの生活パターンや、電気の消灯状況などを確認することで住人の生活リズムなどを把握し、安全に侵入しやすい時間を予測するとされています。そのため、平日の生活パターンが一定に保たれているという家は、留守になる時間や寝静まる時間が把握されてしまうので、狙われやすくなります。
⑩ご近所づきあいがない
空き巣犯が下見をするときには、ご近所の方との関係性なども確認しているとされます。そして、ご近所づきあいが気薄なエリアは、空き巣に狙われやすくなるとされています。
これは、ご近所間で近くに住む人の生活パターンなどを把握していないことから、本来は留守にしている時間帯に人がいるのを見つけても、不審に思うことがないためです。また、関係が気薄な場合、お隣に異変を感じたとしても、「面倒事に巻き込まれたくない…」などと、通報などせずに無視される可能性も高くなるでしょう。その逆に、ご近所間のやりとりが多いエリアは、ご近所に住んでいる方が突然訪問してくる、下見中に「普段見かけない」ということを理由に警戒して話しかけてくるなど、通報されるリスクが高くなるのです。
昨今では、ご近所間の関係が気薄になってきていると言われますが、エリア全体の防犯性を高めるためにも、普段からしっかりとコミュニケーションをとっておくのがおすすめです。
新築時にできる防犯対策について
それでは、空き巣に狙われにくい環境を作るため、新築時にできる対策についてもご紹介します。
空き巣がどういった特徴を持つ物件をターゲットにするのかが分かれば、狙われにくい環境を作るのも容易なはずです。ここでは、注文住宅の設計時や建売住宅の物件選びで注目したいポイントをいくつかご紹介します。
防犯対策に有効な設備を導入する
最もわかりやすい対策としては、新築に合わせて、しっかりと防犯対策についても検討してもらうという方法です。例えば、以下のような防犯対策アイテムの導入が有効です。
- 防犯カメラやセンサーライトの設置
- 玄関ドアはピッキング対策が考慮された製品を選ぶ
- 窓は補助錠の設置や防犯ガラスの設置を検討する
- 警備システムを導入する
上記のような防犯対策に有効なアイテムを導入すると、空き巣に狙われにくくなります。
防犯カメラは、「犯罪の証拠を残すための設備」と考えられがちですが、実は犯罪の抑止効果も非常に高いです。空き巣などの侵入犯は、犯行時の姿が証拠として残ってしまうのを嫌うため、防犯カメラが設置されている住宅はターゲットにしなくなるのです。
この他、玄関や窓などの開口部については、物理的に侵入できなくするという方法も有効です。玄関は、カードキーなどで開錠する製品を選べばピッキングによる開錠が不可能になります。また、自動で鍵を閉めてくれるドアを選べば、鍵の閉め忘れによる侵入も防げます。
どちらにせよ、空き巣が「ここに侵入するのはリスクが高い」と考えるような防犯対策を実施すれば、それだけで狙われにくくなります。
外構の工夫
空き巣などにターゲットにされないためには、外構工事の部分にも注目する必要があります。例えば、以下のような点は慎重に確認しましょう。
- 2階への足場を無くす
- 死角を作らない
- 敷地内への侵入ハードルを高める
空き巣などに狙われやすい家は、外構部分の設計に失敗しているケースが多いです。先程紹介した通り、カーポートや物置などを設置して、それを2階への足場に使われ被害に遭うというケースも少なくないのです。
したがって、自宅の外構については「単にお洒落なお庭を作る」と言った視点で考えるのではなく、防犯上の弱点を作らないようにするという点も意識しましょう。カーポートや物置を設置する場合でも、建物から少し離れた場所にして足場にならないようにする、もしくはカーポートや物置の屋根近くに窓やベランダを作らないようにすると良いです。
この他にも、塀や庭木のせいで敷地内に死角ができるといった問題が起きないようにするのも有効です。ただ、オープン外構にしてしまうと、敷地内への侵入ハードルが低くなるため、死角のことは無視しても、高い塀や頑丈な門扉を設置して、物理的に部外者が侵入できないようにするという方法も有効です。
テクノロジーの導入で生活リズムを隠す
最近では、「モノのインターネット」と呼ばれるIoT機器や、タイマー機能付き照明を選ぶことで、そこに住む人の生活リズムを把握させないようにすることができるようになっています。
例えば、スマートフォンなどを利用して、外出先から照明のスイッチを入れることができるようになれば、「一定の生活リズムで留守が把握しやすい」という状況を防ぐことができるようになるでしょう。
この手の設備は、帰宅前にエアコンのスイッチを入れておく、お風呂を沸かしておくといった使い方もできるため、単純に生活利便性能向上にも役立ちます。
日常生活の中でできる空き巣対策
空き巣対策は、新築時に建物に対策を施すことで、防犯性を高めるという対策が非常に有効です。ただ、これ以外にも、日常生活の中で、ちょっとした意識で空き巣対策をすることが可能です。ここでは、普段の生活でできる空き巣対策についてもご紹介します。
- 犬を飼う
犬の飼育は、生活を豊かにしてくれるだけでなく、空き巣対策としても有効です。空き巣が下見をするときには、犬の有無を必ず確認すると言われているなど、犬の存在は被害リスクを大きく低減してくれるのです。 - 戸締りの徹底
普段からできる空き巣対策としては、戸締りの徹底が最も大切です。先程紹介した通り、侵入窃盗の手口では、なんと無締まりが最も多いという結果が出ているのです。「ちょっとコンビニに行くだけだから」など、鍵を閉めずに外出する人がいますが、このような行為は絶対にやめましょう。 - ご近所さんとのコミュニケーションを密にする
ご近所づきあいが密なエリアは、空き巣に狙われにくくなると言われています。これは、近所に住む人の顔が割れているため、空き巣の下見などがしにくくなるためです。また、近所の方の生活リズムをある程度把握できるので、異変に気付きやすく、通報されるリスクが高くなるため、空き巣からすると狙いにくくなるとされています。
空き巣に狙われにくくするには、普段の行動もとても大切です。
まとめ
今回は、空き巣などに狙われやすい一軒家の特徴と、侵入犯罪の被害に合わないようにするための対策について解説しました。
空き巣などの侵入犯罪については、件数そのものは減少傾向にあると言われています。これは、防犯カメラやセンサーライト、キーレスの玄関ドアなど、建物の防犯性を向上させてくれるアイテムがたくさん開発されていて、物理的に侵入が困難な家が増えているというのが大きな理由です。ただ、自宅に施す防犯対策については、そこに住む人の考えに大きく左右され、中には「大したお金はないしうちは狙われないでしょ!」などと、いっさい防犯対策を実施していないというケースもあるのです。
記事内でご紹介しているように、空き巣などの侵入犯罪については、基本的に「侵入がしやすい」「発見されにくい」家をターゲットにする傾向があるため、防犯対策が不十分な家は非常に危険だと言わざるを得ません。最近では「侵入がしやすそうな家」をリスト化し、その情報を流すような仕組みも出来ていると言われているので、家族が安心して安全に生活できるようにするためにも、しっかりと防犯対策を実施するようにしましょう。
データ参照:住まいる防犯110番より
