今回は、新築注文住宅を建築する際、多くの方が設置を希望するものの、実際に生活を始めてみると「いらなかったのでは…」とその存在に疑問を感じてしまう方が多い食洗機について解説します。

食洗機は、食器洗い機の略語で、その名称通り、家事の中でも嫌う人が多い食後の食器洗いを自動で行ってくれる設備です。最近では、システムキッチンに食洗機が付属されているケースが多く、新築時にビルトイン型の食洗機を導入するケースが多くなっています。食洗機があれば、食後に汚れた食器を自動で綺麗にしてくれるため、上手に活用することができれば、家事の手間が減るなど便利になるのは間違いありません。

しかしその一方で、食洗機に対しては、「食洗機はいらなかった…」「食洗機は逆に面倒な手間が増える…」などといった声もあり、多額のコストをかけて設置したことに後悔してしまう…という方も少なくないと言われているのです。そのため、これから家の購入を検討している方の中には、食洗機付きのシステムキッチンにするのか、それとも食洗機はつけないのかということで迷っている方も少なくないと思います。

そこでこの記事では、なぜ「食洗機はいらなった」という声があるのかを理解するため、食洗機にまつわる後悔しがちなポイントを解説していきます。自宅への食洗機の設置に迷っているという方は、ぜひ参考にしてみてください。

そもそも食洗機を設置するメリットは何?

それではまず、自宅のキッチンに食洗機を設置することで得られるメリットは何なのかについて簡単に解説します。

食洗機は、システムキッチンに組み込まれていて、新築時にビルトイン型の食洗機を設置するという方法以外にも、置き型食洗機(卓上食洗機)として家電量販店などで販売されています。置き型の食洗機は、ビルトイン型に比べると導入にかかるコストを抑えて設置することができますし、賃貸住宅など、工事を必要とする設備の導入が難しいというケースでも、家事の負担を軽減することができる家電として人気になっています。

それでは、自宅に食洗機を設置する方は、何をメリットとしてこの設備を導入しているのでしょうか?

メリット1 家事の時短効果が得られる

食洗機の一つ目のメリットは、食器洗いにかかる家事の手間、時間を大幅に軽減することができる点でしょう。最近の食洗機は、乾燥機能付きの物が増えていますし、食洗機を使って食器洗いすれば、食器を洗う手間が無くなるだけでなく、自分で水気を拭き取る作業も不要となるのです。

したがって、今まで食器洗いに使っていた時間が浮いてくるので、他の家事の時間として利用する、自分の趣味を楽しむ時間にあてることができるなど、非常に大きなメリットが得られます。近年では、共働きの世帯が増えていますし、仕事と家事で毎日忙しくしているという方が多くなっています。そういった方にとっては、食洗機を導入することで1日数十分の時間を節約できるだけでも、導入の価値があると感じるかもしれません。

メリット2 食器洗いによる手荒れ問題が解決できる

二つ目のメリットは、食器洗いという家事を原因とした手荒れを防止することができるというメリットです。食洗機を利用すれば、自分の手を汚さずに食器を綺麗にすることができるようになります。簡単な予洗いは必要ですが、洗剤をつけたスポンジなどを使って、食器の汚れを取り除く、冷たい水に手をさらすなんてことが無くなるのです。

食器洗いが、さまざまな家事の中でも嫌われている理由に、洗剤が手に直接付着する、冬場などはお湯で食器を洗うなんてことを原因に、指のひび割れや赤切れといった手荒れに悩まされてしまうことが多いからです。食洗機を利用すれば、手に洗剤が付着することも無くなるため、こういったストレスから解放されるうえ、今まで必需品だったハンドクリームなども使わなくて済むようになるかもしれません。

メリット3 節約効果が期待できる

食洗機は、食器を洗う際に大量の水を使うと考えている方が多いのではないでしょうか?しかし実は、食洗機を利用して食器洗いする場合と手洗いの場合を比較した時には、なんと食洗機の方が使用する水の量を約1/6にまで削減することができるとされているのです。手洗いの場合、汚れを落とす、洗剤を洗い流す際などに大量の水を利用することになるため、食洗機の方が圧倒的に水道代を節約できるのです。

食洗機では、漂白成分や酵素を含んだ高濃度の洗剤が利用されているため、手洗いと比較すると泡立ちが少なく、少量の水で簡単にすすぎができることから、節水効果が得られるとされているのです。

メリット4 食洗機の方が衛生的

食洗機は、手洗いよりも衛生的という点もメリットといえるでしょう。手洗いの場合でも、洗剤を使って食器を洗うため、不衛生とまでは言いません。

しかし、食洗機の場合であれば、高温の水で食器が洗われることになるため、手洗いよりも衛生的に保たれるとされているのです。食洗機は、約50〜60℃という高温で食器を洗うため、油汚れなどもスムーズに溶かすことができます。さらに、強力な水流が汚れに直撃する、酵素が配合された食器用洗剤を使用するとなど、汚れを徹底的に浮かせて除去することができるので、衛生的な面では食洗機の方が優れていると言えるかもしれません。なお、食洗機は、手洗いでは除去が難しい、口紅や茶渋などの汚れも効果的に取り除けるとされています。

食洗機がいらなかったと言われる理由

ここまでは、食洗機を設置することで得られるメリットについて解説しました、メリット面だけを見ると、非常に優れた設備で食洗機を設置した方がいらなかった…と後悔することなどないのではないかと感じてしまいますよね。

しかし実は、食洗機は、手洗いという代替方法があるわけですので、それなりのコストをかけて導入した方の中には、「これならいらなかった…」と後悔する人もいるとされているのです。ここでは、食洗機を導入した方が、いらなかった…と後悔する代表的な要因をご紹介します。

①予洗いが面倒に感じる

「食洗機を設置する」と聞くと、食器洗いに関わる手間が全て解消されるなど、その能力を過剰に評価してしまう人がいます。しかし、食洗機を設置したとしても、食器洗いに関わる手間がすべてなくなるわけではないのです。

というのも、一般的な食洗機の場合、食器を入れる前に、大きな汚れを取り除くための予洗いが必要になります。お茶を飲んだコップなどであれば、食洗機にそのまま入れても良いのですが、料理が乗っていたお皿などは、ソースやドレッシングといった汚れが付着しています。そして、予洗いをせず食洗機に汚れが付着したまま入れてしまうと、食器の汚れが落ちないだけでなく、食洗機の中を汚してしまうことで、機器の劣化を早めてしまう可能性があるのです。

つまり、食洗機を導入したとしても、食器洗いの際には、予洗いという手間が残ってしまう訳です。したがって、予洗いの手間があるぐらいなら、初めから手洗いしたほうが早いと感じ、食洗機はいらなかったと考えてしまう訳です。なお、予洗いがどうしてもいやだという場合は、食洗機に入れる前に汚れた食器をしばらく水に浸けておくという対処が必要です。そのため、食器洗いが完全に終了するための時間が長くなります。

②食洗機に食器を並べるのが面倒

「食洗機はいらなかった」と感じている方の中には、この理由をあげる人が意外に多いです。食洗機を使って食器洗いをする際は、何でもかんでもテキトーに食器を入れれば良いというわけではありません。食洗機の中に入れて、きちんと水流が当たるように、お皿やコップを綺麗に並べていく必要があるのです。乱雑にお皿などを並べてしまうと、部分的に洗浄効果が得られない箇所が出てきてしまい、汚れが残ってしまう可能性が生じます。

なお、全ての食器に水流が当たるようにお皿を並べようと思うと、どうしてもデッドスペースが増えてしまい、一度に洗える食器の量が少なくなってしまいます。そのため、家族の人数が多い場合などは、何度も食洗機を稼働させなければならないなんてことになり、「これなら手洗いの方が手っ取り早い!」となってしまう訳です。この場合、「もっとサイズが大きい食洗機にすれば良かった…」という後悔の念も生じてしまうかもしれませんね。

③食洗機対応の食器を使わなければならない

食洗機は、対応する食器が限られてしまいます。先ほど少し触れましたが、食洗機の洗浄効果は「高温の水」を使って洗浄するという点も大きいです。逆に考えると、プラスチックの容器や漆器などの食器は、食洗機で洗うと、熱で変形する可能性があるのです。したがって、家の中で使用する食器については、「食洗機に対応したものに買い替える」もしくは「対応できない食器は手洗いする」といった対処が必要になってしまうのです。

こういったことから、「食洗機を導入しても手洗いする必要がある」「食器の買い替えにコストがかかる」なんてことを理由として、食洗機の導入に後悔してしまう人がいるのです。

④使い方や機器選びが悪いと汚れが落ちない

食洗機については、「高いお金をかけたのに汚れが落ちない!」などといったネガティブな口コミを見かけるケースも多いと思います。これについては、食洗機側が悪いわけではなく、利用者の使い方や間違った機器選びをしている可能性が高いです。

例えば、食洗機は、製品ごとに洗浄力が異なるのですが、洗浄力があまり高くないタイプを設置しているご家庭で、一度に大量の食器を入れてしまった…なんて場合、思うように汚れが落ちないなんてことになりやすいです。また、こびりつく系の汚れを、予洗いなしに食洗機に入れ、綺麗にならなかった…なんてパターンも少なくありません。

食洗機で汚れが落ちなければ、結局手洗いをしなくてはならなくなるのですが、「コストをかけて食洗機を導入した」という方の場合、手洗いの心理的負担がかなり大きくなってしまうことでしょう。食洗機を使って、綺麗に汚れを落とすためには、全ての食器に水流がきちんと当たるように配置する必要があります。また、しつこい汚れに関しては、予洗いも欠かせません。食洗機に慣れていないうちは、この事実に気付けないことから、「思ったよりも汚れが落ちない…」と、機器の設置を後悔してしまう人がいるのです。

⑤乾燥まで行うと時間がかかる

食洗機は、乾燥機能付きの物が登場していて、このタイプが人気になっています。ただ、食洗機を使って食器洗いする際、乾燥までが完了するには1時間半~2時間程度かかるとされています。そのため、食器の片付けのことまで考えると、「時間がかかりすぎて、棚に収められない」「これなら手洗いの方が手っ取り早い」と感じてしまう人がいるのです。

中には、自分たちが就寝している深夜に食洗機を回し、翌朝に食器を棚に戻すようにしているというサイクルの方もいますが、この場合、別の問題が発生する可能性がありますし、朝は誰でもバタバタするため、その時間に食器を取り出すのが面倒に感じるようになるケースも多いです。

⑥音がうるさい

食洗機の設置を後悔する方の中には、「モーターの作動音や水が流れる音がうるさい」「食洗機が動いているとガタガタ振動を感じる」なんてことを嫌う人もいます。もちろん、誰が聞いても「うるさい!」と感じるほど大きな音が生じるわけではないのですが、周囲が静かな深夜などに稼働させると、食洗機の駆動音をうるさく感じる可能性があります。マンションなどの集合住宅の場合、深夜に食洗機を稼働させたことで、騒音トラブルに発展する…なんてケースもあるようなので注意しましょう。

ちなみに、最初は食洗機の音など気にならなかったのに、「最近うるさく感じ始めた…」なんてケースの場合、食洗機の経年劣化が考えられます。内部で部品などの故障が発生している可能性があるので、一度メーカーや設置業者に点検してもらうと良いでしょう。

⑦食洗機の大・小に関わる失敗

食洗機は、キッチンに設置する設備の中でも、年々その人気が高くなっています。それに伴って、メーカー側もさまざまな種類の製品を販売し始めています。大きく分けると、ビルトイン型と置き型の2種類があるのですが、それ以外にもサイズの違いがあるのです。そして、食洗機選びでは、このサイズ選びで失敗してしまうケースが少なくないとされます。

当然のことですが、一度に使用する食器の数や大きさはご家庭によって異なります。食洗機を選ぶ際には、パンフレットに記載されている家族構成などを参考にすると思うのですが、これはあくまでも一般論なので、実際に設置してみると「食器が入りきらない…」「大きすぎて邪魔…」といった問題が発生することがあるのです。
同じ家族構成だったとしても、大皿にのせて提供し、個人が小皿に取って食べる家庭と、それぞれ個人用に大きめの皿に入れて提供するご家庭では、洗わなければならない食器の数が大きく違ってきます。つまり、自分たちに最適な大きさの食洗機を選べなかったことを理由に、不便だし食洗機はいらなかった…と感じてしまうことがあるのです。

食洗機を購入する際は、一度にどの程度の量の食器を洗うのかをしっかりと想定しサイズを決めるようにしましょう。

⑧食洗機のメンテナンスが面倒

食洗機は、日々の食器洗いの手間は少なくなるものの、食洗機そのもののメンテナンスが必要になるので、全てを加味すれば「余計に面倒なことになっているのでは?」と感じてしまう人もいます。食洗機を使用する場合でも、予洗いして綺麗に食洗機内に並べていくことを考えると、食器洗いの手間はそこまで減っていないと感じる人もいます。その上で、食洗機自体のメンテナンスが必要になるので、作業が増えているように感じてしまうのです。

なお、食洗機のメンテナンスは、本体そのもののメンテナンスが月1回の頻度で、それ以外に残菜フィルターの手入れが週1回程度必要になります。これを怠ると、食洗機内の衛生状態が悪くなるので、必ず行う必要があります。したがって、「食洗機を導入すると楽になる」と考えていた人の場合、面倒事が増えた…と感じ、要らなかったという結果に達するわけです。

⑨導入コストのもとは取れない

先程紹介したように、食洗機は、手洗いと比較すると水の使用量が大幅に少なくなります。食器洗いは毎日のことなので、それなりの水道代が節約できると考えてしまいます。中には、食洗機の購入について「水道代が安くなるのお得です」と言われ、その節約効果で設置にかけたコストの『元』がとれるのではないかと考えて設置を決める人もいるかと思います。

しかし、この部分に関しては、食洗機の導入にかけるコストを、節約効果で元を取ることは基本的にできないと考えておきましょう。というのも、食洗機を稼働させる際には、水以外に電気を使うことになります。手洗いの場合、電気を使うことはないため、食洗機を使うことによる電気代のUPのことを考えると、節約どころか光熱費が高くなってしまう可能性すらあるでしょう。

したがって、「元をとれる」と考えていた人からすると、食洗機なんかいらなかった…という印象になってしまう訳です。

まとめ

今回は、昨今の新築住宅で、当たり前のように導入されるようになった食洗機について解説しました。最近は、多くのシステムキッチンに食洗機が付属できるようになっていて、メリット面にばかり注目して食洗機の導入を決める方が多くなっています。

食洗機は、家事の中でも嫌う人が多い食器洗いの手間を軽減してくれる、食器洗いに書かrう時間を短くしてくれるといった点が注目され、キッチンに設置する設備の中でも人気になっています。しかし、この設備に関しては、事前に聞いていた情報と実際に使ってみた時の印象の格差が大きいと感じる人も多く、中には「食洗機はいらなかった」と後悔する人もいると言われているのです。これについては、もともと食洗機の能力を過剰に評価していた方にありがちな失敗といえます。

食洗機を導入すれば、食器洗いの手間がすべてなくなると考えているのであれば、大間違いです。実は、固形物などの汚れやソースの汚れなどについては、予洗いしたうえで食洗機に入れる必要があるため、実際に使ってみると「対して便利ではないかも…」と感じる人もいるのです。もちろん、衛生面や洗剤が手に付着しなくなるなど、メリットも多い設備ですが、本当に自宅に必要なのかは慎重に検討すると良いでしょう。

ちなみに、食洗機は「食器洗い時の水を節約できる!」という点が強みとして紹介されることが多いです。この点から、光熱費の削減が期待できるのではないかと考える人もいますが、食洗機は家計全体のことを考えると、大きな節約効果などありません。特に、乾燥機能付きの食洗機の場合、電気代が高くなることを考えると、手洗いする方が光熱費はおさえられると思いますよ。

新築住宅に設置する設備は、きちんとその特徴を詳細まで抑えておかないと本当に自分たちに必要な設備か判断することはできません。悠建設では、本当にお客様にとって必要な設備が何なのか、しっかりと要望をお伺いしたうえでご提案させていただきます。設備に関する疑問点などがあれば、お気軽にお問い合わせください。

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