近年、突然訪問してきた業者に「屋根が壊れているので修理しないとまずいです!」と言われ、慌てて屋根修理の契約をしてトラブルになるといった事例が急増していると言われています。実際に、インターネットのニュースサイトなどを見ていても、数カ月おきに屋根の修理詐欺を行った悪徳業者が逮捕されたという情報を目にする機会があるのではないでしょうか?
屋根は、そこに住む人を雨風から守ってくれるという非常に重要な部位で、建物の中では最も過酷な環境にさらされ続けるため、劣化の進行が早いのは確かです。そのため、雨漏りなどを防ぎ、常に万全な状態の屋根を維持するためには、専門業者に依頼して数年おきに点検を行い、10年に1回程度の頻度でメンテナンス工事をしてあげる必要があるとされています。ただ、日本は、地震や台風などの自然災害が多い国として有名ですし、定期的に点検を行っていたとしても、災害により屋根が破損してしまうことも珍しくないのです。そして、屋根の修理詐欺を行う悪徳業者は、台風の後などを見計らって突然訪問し、「屋根が壊れていますよ!」などと住人さんの不安を煽るといった手口で迫ってくるのです。
そこでこの記事では、これからやってくる台風シーズンに向け、屋根の悪徳修理業者に騙されないためにも、詐欺業者が良く採用する手口と騙されないための対策をご紹介します。
屋根の点検商法によるトラブルは5年で約三倍に!
それではまず、屋根の修理詐欺の現状について簡単に解説します。ここで、国民生活センターが公表している屋根の点検商法によるトラブルの相談件数を基にご紹介します。
冒頭でご紹介したように、昨今では、テレビや新聞、インターネットニュースで屋根修理に関わる悪徳業者が警察に逮捕されたという情報を目にする機会が増えていると思います。屋根の点検商法に関わる消費者トラブルは、昔から多かったのですが、地震や台風による住宅被害がここ数年多かったこともあり、この5年の間で屋根修理に関わる消費者トラブルが急増しているというデータがあるのです。実際に、国民生活センターがまとめた資料によると、以下のように屋根の点検商法によるトラブルは右肩上がりで増加しています。
引用:国民生活センター資料より
上のグラフは、2018年から2023年8月31日までにあった国民生活センターへの屋根の点検商法に関する相談件数を表しています。これからも分かるように、2018年から2022年までの5年間で、屋根修理に関わるトラブルは約3倍にまで増加しているのです。さらに、2022年同時期と比較して、2023年度も屋根修理に関わる相談件数は増加しています。
それでは、屋根の点検商法に関わるトラブルがこれほどの勢いで増加しているのはなぜなのでしょうか?これについては、屋根の上は日常生活の中で目にする機会がほとんどないため、住人さんが屋根の状態を把握できていないことが主な要因です。また、台風や地震など、自然災害の発生件数が多いこともあり、常に住宅が破損する可能性があるという認識を持っている方が多いことも要因の一つと言えます。
屋根の点検商法では、突然訪問してきた業者が「近所で屋根工事をしているのですが、お宅の屋根瓦がズレているのが見えたので無料で点検しましょうか?」「この地域の屋根を無料で点検して回っています」など、親切な業者を装って近づいてきます。そして、「無料で点検してくれるならありがたい!」と考え、初めて会った業者を屋根の上にあげてしまうことでトラブルに発展するという事例が非常に多いです。悪質な業者の中には、住人さんの監視の目がないのを良いことに、自ら屋根を破損させ修理の契約を迫るなどと言ったことまで行っているそうです。
屋根の点検商法は、さまざまな手口で近づいてくるのですが、どのような場合でも、知らない業者を屋根の上にあげるのは絶対にやめましょう。次項では、実際に屋根修理の悪徳業者が使用している手口をご紹介しますので、皆さんが騙されないためにもぜひ頭に入れておきましょう。
屋根の修理詐欺で利用される手口とは?
屋根の修理詐欺の被害に遭わないためには、悪徳業者がどのような手口を利用するのかを知っておく必要があります。屋根修理に関わる消費者トラブルは、いくつか代表的な手口が存在しますので、以下で紹介するようなセールストークで近づいてきた業者は「危険なのでは?」と考えてください。
手口① 「屋根がズレているのが見えたので!」など、住人の不安を煽る
屋根のリフォーム詐欺で多い手口が、住人さんが屋根の状態を把握できていないのを良いことに、「屋根が壊れているのでこのままだと雨漏りする」などと、不安を煽ってくるというものです。このパターンの場合、以下のようにあくまでも善意の指摘を装って近づいてくるため、親切な業者のように見えてしまいます。
- 近くを通っていたら屋根がズレているのが見えた
- 近所で工事しているのですが、屋根が割れているのが見えて親方に伝えて来いと言われた
突然訪問してきた業者が、屋根の上にあがることもなく、上記のようなセールストークで近づいてきたら注意が必要です。もちろん、築年数が経過した住宅であれば、屋根に小さなひび割れやズレ、板金の固定が緩むなど、さまざまな不具合が生じている可能性はあります。しかし、これらの症状を屋根の上にのぼることもなく、下からや離れた住宅から判断することなど不可能だと考えた方が良いです。離れた位置からでもわかるレベルで屋根が破損していれば、住人さんでも気付けるはずです。逆に、「板金が浮いている」「釘が抜けかけている」などと言った問題を指摘してくる業者は確実に危険です。これらは、屋根の中でも頂上付近に位置しますので、離れた位置から不具合を判断することは不可能です。したがって、それが見えると言ってきた業者はウソをついている可能性が高いわけです。
このような手口を使用する悪質な業者は「もし本当に屋根が破損しているなら…」という皆さんの心理に付け込んで屋根の上にあがろうとするのです。しかし、屋根の上にあげると何をされるか分かりませんし、絶対に知らない業者を招き入れるような事はせず、改めて信頼できる業者に屋根を点検してもらうようにしましょう。
手口② 「定期点検に来ました」など、ハウスメーカーを装う
この手口も多いと言われているので注意しましょう。例えば、家を建ててくれたハウスメーカーや、近所にある工務店、自治体の指示など、信頼性の高い会社などを装って訪問してくるというケースが報告されています。
家を建てた際には、長期的な保証サービスをハウスメーカーなどが用意しているのが一般的です。どのような住宅でも、そこに存在するだけで徐々に劣化が進行してしまいますので、ハウスメーカーなどはあらかじめ点検やメンテナンスのスケジュールを立て、訪問点検などをするサービスを作っています。悪質な業者は、これを逆手に取って近づいてくるのです。
実際に、家を建ててくれたハウスメーカーを名乗り、「屋根の定期点検に来ました」と言われれば、何も疑わずに屋根の上に上げてしまう人が多いはずです。そして、「点検した結果、屋根材の劣化が激しいので、修理が必要です」と言われると、そのまま契約してしまう方が多いのではないでしょうか。この手口の怖いところは、実際に、定期的な無料の点検を行うハウスメーカーや優良屋根業者がある点で、本当に付き合いのある業者かどうかが判断しにくい点です。
ただ、ハウスメーカーや過去に屋根工事を行ってもらった業者など、もともと付き合いのある業者なら、何の事前連絡もしないまま突然点検に訪問してくることなどありません。電話や手紙などで点検の時期を知らせる連絡が必ずあるはずなので、それがなく訪問してきた業者は危険と判断したほうが良いです。ハウスメーカーなどを名乗り、覚えのない点検が来たときには、社員証や名刺を提示してもらう、念のため担当者の方に連絡し点検の有無を確認すると良いでしょう。
手口③ 「無料点検で回っています」など、優良業者を装う
手口②に似ていますが、この場合はあなたと関係のある業者を装うわけではなく「近所で工事をしていて、周辺の家の屋根を無料点検で回っています」など、親切な業者を装うパターンとなります。
屋根は、住宅の中でも最も過酷な部位となりますし、住人さんがその状態を把握するのが難しい場所となります。そのため、無料で点検してくれると聞くと、ありがたいと考え点検をお願いしてしまう方がいるのです。しかし、このようなケースでは、以下のような問題に発展する場合が多いです。
- 屋根材を踏み割る
- 棟板金などを引っ張り、浮きを作る
- 道具を使って屋根を破損させる
上記のように、屋根に業者をあげた結果、屋根をわざと破壊され、修理箇所を作り上げられてしまうのです。屋根の上は、向きによって下から見ても何をしているのか全く見えなくなる場所があります。悪質な業者は、住人さんから見えないのを良いことに、わざと屋根を壊して修理が必要と営業をかけるわけです。
実際に、つい先日も、高齢者のお宅に訪問し、自ら屋根を破損させて高額な修理費用をだまし取ろうとしたとして逮捕された業者のニュースがありましたね。いくら無料と言われても、全く知らない人を屋根の上に上げてしまうと、必要のない工事をしなくてはならなくなる可能性があります。屋根点検の必要性を感じた時でも、過去にお世話になったハウスメーカーや近くにある信頼のできる屋根業者に相談しましょう。
手口④ 「火災保険を使えば無料で屋根修理ができる」など、お金がかからないアピールをする
近年の屋根修理では、この手口が非常に多くなっているので注意しましょう。どのような屋根でも、20年程度経過すれば、カバー工事や葺き替え工事など、大規模なリフォーム工事が必要になります。屋根のカバー工事や葺き替え工事は、150~200万円など、住宅リフォームの中でも特に高額な工事となります。悪質な業者の中には、「火災保険を使用すれば、200万円の工事でも、保険がおりるので無料です!」と言って安心させ、工事契約を結ばせるという手口を使うのです。
なお、屋根修理に火災保険が使用できるというのはウソではありません。したがって、火災保険を使用しましょうという業者が全て悪徳業者というわけではないので、その点は注意しましょう。ただ、屋根修理に火災保険が適用できるのは、無条件なのではなく、適用範囲というものがあります。基本的には、以下のように自然災害などにより屋根が破損した際、その修理代を保険会社に負担してもらうという形となるのです。
- 台風の強風により屋根材が飛ばされた
- 強風で飛ばされてきた物が屋根に衝突し穴が開いた
- 大量の雪が降り積もり、屋根や雨樋が破損した
上記にような天災による被害の場合は、火災保険を使用して屋根修理を行うことが可能です。ただ、火災保険の契約内容について、風災補償や雪災補償など、天災に対する特約を付帯していない場合、使用できなくなるので、一度ご自身が契約している火災保険の内容を確認しておきましょう。また、天災による屋根被害でも、工事費全額を火災保険で賄えるとは限らないので、その点も注意が必要です。
そして、最も注意しなければならないのは、屋根修理に火災保険が使用できるかどうかは、保険会社の審査によって決まるという点です。一般的に、保険適用を受けるためには、工事前に保険会社に連絡し、指定の手続きを行わなければいけません。例えば、保険会社が屋根の被害について、天災ではなく経年劣化と判断する場合は、火災保険の適用ができなくなるのです。
つまり、業者に「火災保険で無料で工事できる」と言われ、それを信じて工事を行った場合、後から保険申請が通らず、全額自費で負担しなければならなくなることがあるのです。当然、無料で工事ができると思っていたのに、100万円以上の費用を支払わなければならなくなると、業者とのトラブルに発展してしまうことでしょう。
屋根修理に火災保険が適用できるというのは、有名になっているものの、全ての修理に無条件で適用できるわけではありません。したがって、突然訪問してきた業者が「火災保険で屋根修理が無料でできます」と言ってきたら危険な業者と考えた方が良いです。
手口⑤ 即決を煽ってくる業者は危険
訪問販売をメインとする悪徳業者の場合、とにかくその場での契約を迫ってきます。この特徴がある業者は、契約しない方が良いです。
一般的に、屋根修理などの高額な住宅リフォーム工事は、複数の業者から相見積もりを取って比較検討するケースがほとんどです。これは、屋根修理の相場を一般の方が理解していない場合がほとんどですし、本当に必要な工事なのかがお客様だけでは判断できないことから、複数の業者に相談し「本当に工事しなければいけないのか?」「工事するならいくらぐらいが適正価格か?」を見極めるのが目的です。
悪徳業者の場合、相場とはかけ離れた金額を提示する、もしくは必要のない工事を提案するといったことをします。つまり、他社から相見積もりを取られてしまうと、自社が選ばれないことを理解しているのです。
そのため、お客様からお金をとってさっさと行方をくらませるため、以下のようなお得感を出して、その場で契約を迫るという業者が多いです。
- キャンペーン枠があるので、この価格を提示できるのは今だけ
- 近くの現場から足場を移動させることができるので、すぐ工事すれば足場代が不要
- 今契約してくれるなら〇〇万円割引します
上記のように、根拠のない理由で大幅な割引を提示し、お客様に「お得に工事できるのは今だけなのでは?」と思わせるのです。当然、このような手口を使う業者は、もともと割高な価格を提示していますので、割引後も相場よりもかなり高い工事費になってしまうことが多いです。この他にも、「いますぐ工事しないと雨漏りなど、大変なことになる」など、お客様の恐怖心をあおるようなこともします。
このように、とにかく急いで契約を迫ってくるような業者は、危険な悪徳業者の可能性が高いので、その場で契約するのは絶対にせず、他の業者からも見積りをとってみましょう。
手口⑥ 工事後に費用を追加される
昔から住宅リフォーム業界のトラブルで多いのは、見積りに記載されていない費用を後から請求されるというものです。このタイプの業者は、見積りの段階では他の業者よりも安価な価格を提示してきますので、つい契約してしまう…というケースが多いです。
そして実際に工事を行ってもらう段階になり、「この部分は見積りに入っていないので別料金がかかります。」「工事に入ってみると、下地から直さないとだめなので、大掛かりな工事になります」などと言って、最初の見積り金額とは比較にならないような費用を請求してくるのです。このような手口は、既に工事に入ってしまっているため、お客様側が断りにくくなるということを見越して行っています。
相見積もりを取る際には、最も安い金額の会社に依頼したいなど、工事費にばかり注目する方がほとんどです。しかし、その安さが何で実現できているのかをしっかりと確認しなければ危険な場合が多いです。他の業者の見積りと比較して、工事内容が同じなのか見積書に記載されている面積などをもとに、詳細まで確認するようにしましょう。また、契約する前に「追加工事が発生する可能性があるか?」をしっかりと確認しておきましょう。この段階で答えを濁すようなら危険な業者と言わざるを得ません。
その他、近年の屋根修理業界で確認できた悪質な事例
上記以外にも、屋根修理の点検商法で消費者トラブルに発展した事例がたくさんあります。件数的にはあまり多くはありませんが、以下のようなトラブルも実際に発生していますので、注意しましょう。
- 契約前に修理して費用を請求される
屋根の点検商法では、無料点検で訪問して屋根にあがり、勝手に修理してから費用を請求するというパターンがあります。点検が無料だからと屋根の上にあげると、「悪いところは直したので、〇万円いただきます」などと点検以外の作業も行い勝手に請求してくるということがあるのです。この場合、「対価を支払わないコチラが悪い」とまくしたてられ、怖くなってお金を支払う…なんて方が多いようです。 - 前金を支払ったのに工事をしてもらえない
これは、大規模災害などの後に多い手口です。被災地を回り、親切に「格安で屋根修理を請け負います」などと声をかけるのですが、前金を支払ったのにいつまでも工事に入ってくれないというパターンです。災害後は、工事が必要なお宅が非常に多いため、「工事が立て込んでいるのでもう少し待ってください」など、言い訳ができることもあり、詐欺被害と通報されにくいのが業者側のメリットのようです。そして、最終的に会社ごとなくなり、お金だけとられてしまうといった被害になるのです。 - 空き巣の手口として使われる
実は、屋根の点検商法は、空き巣の手口としても使用されます。一人しか在宅していない家を狙い、無料点検と称して訪問するのですが、住人さんに「壊れているところを確認してほしいので一緒に来てください」などと言って家から連れ出すのです。そして、壊れた箇所や修理方法を丁寧に説明するなど、一見親切な業者のように思えます。しかし、その裏では別の人間が家の中に侵入し空き巣をするという手口になります。
このように、屋根の点検商法は、さまざまな悪質な手口が存在します。日本は夏の終わりから秋にかけて、毎年複数の台風が上陸し、多くのお宅が屋根を破損します。実は、台風シーズンは、上で紹介したような屋根の点検訪問詐欺が急増する時期でもありますので、悪徳業者が使用する手口を覚えておき、騙されないように注意しましょう。
屋根の修理詐欺に遭わないための対策
それではここから、屋根の修理詐欺に遭わないためにはどうすれば良いのかについて解説します。屋根の修理詐欺については、多くの場合、点検商法と呼ばれるような、突然訪問してきた業者に騙されてしまう…というケースが多いです。
ただ、注意しておきたいのは、突然訪問してきて営業をかけるといった訪問販売形式を採用している業者全てが悪徳業者というわけではありません。屋根のような外装部分の劣化に関しては、敷地外から確認することができるため、訪問販売がやりやすい面もあります。そのため、まっとうな工事を行う業者の中にも訪問販売を行う会社は少なくありません。悪徳訪問販売業者と、そうでない優良業者を見極めるには、以下のようなポイントに注意すると良いです。
名刺をもらい、会社を調べてみる
突然訪問してきた業者が、自ら名刺や名札などを提示しない場合、その時点で断りを入れ、帰ってもらうのが良いです。というのも、訪問販売では、法律で氏名や訪問した理由などを提示しなければならないと定めているのです。
(訪問販売における氏名等の明示)
第3条 販売業者又は役務提供事業者は、訪問販売をしようとするときは、その勧誘に先立つて、その相手方に対し、販売業者又は役務提供事業者の氏名又は名称、売買契約又は役務提供契約の締結について勧誘をする目的である旨及び当該勧誘に係る商品若しくは権利又は役務の種類を明らかにしなければならない。
引用:特定商法ガイド
特商法では、訪問販売に関する細かなルールを定めていて、勧誘に先立って営業マンの氏名や会社名を提示しなければならないのです。したがって、まずは訪問してきた方に名刺をもらい、スマホなどで名刺に記載された会社が本当にあるのか、どのような評判なのかを確認してみましょう。そして、名刺を提示しない、名刺に記載されている会社を調べても情報が出てこないという場合は危険な業者と考えた方が良いです。そもそも、名刺や会社のパンフレットを出さないという行為は、法律を守るつもりがないと考えている証拠ですので、そのような業者がまともな会社とは考えられません。
屋根の上にのぼらせない
上でも紹介していますが、突然訪問してきたよく知らない業者を屋根の上にのぼらせては絶対にダメです。屋根の上は、死角がたくさんありますので、何をされるか分かったものではありません。
実際に、過去に弊社で家を建てたお客様の中には、無料点検を謳って訪問してきた業者を屋根の上にあがらせたら、「200万円以上かかる修理が必要」と言われたと相談してきたケースもあります。そしてこのケースでは、弊社が再度点検してみたところ、屋根に新しい傷がたくさん生じていたという状況でした。現場を見ていないので断定できませんが、傷の新しさから屋根にあがった人間がわざと破損させたと考えられる状況だったわけです。
屋根は、住宅の部位の中でも最も過酷な場所なので、「もし破損していたら…」「無料で点検してくれるならありがたい」などと考えてしまう方もいます。しかし、一緒に確認することができない場所となるため、わざと壊され不必要な工事を迫られる可能性があることを忘れないようにしましょう。正直な話、知らない業者を屋根の上にあげるという行為は、その後の高額な修理がセットになっていると覚悟しておいた方が良いぐらいです。
即決しない(一人で決めない)
屋根の点検商法では、割引や恐怖心をあおるといった方法で、その場での契約を強く迫ってきます。しかし、どれだけ業者に急かされたとしても、その場で屋根修理の契約を結ぶのはおすすめできません。
とにかく即決を迫るというのは、詐欺業者によくある手口です。これは、お客様が冷静に考えて判断する時間を与えない、家族など他の人に相談する時間を作らせない、他の業者の話を聞かせないための作戦なのです。屋根のリフォーム工事は、住宅リフォームの中でも高額な部類に入る工事なので、まともな業者であれば、お客様が冷静に考えられる時間を与えてくれるはずです。
したがって、どれだけ即決を迫られたとしても「家族と相談する必要がある」「他の業者の話も聞く必要がある」など、今日は決められないということをきっぱりと伝え、その場での契約は断りましょう。
契約内容はきちんと書面に残す
屋根修理だけに関わらず、住宅リフォーム業界での消費者トラブルは、業者との打ち合わせ内容をきちんと書面に残しておらず「言った、言わない」でトラブルに発展するケースが多いです。
特に、悪徳業者の場合、口頭ではお客様に非常に有利な内容を話すものの、契約書には一切その内容を記載しない会社もあるのです。最悪なパターンでは、契約書を取り交わすことなく、口約束で契約をしようとする業者まであるのです。
皆さんに覚えておいてほしいのは、口約束で取り決めた内容は、後から何を言っても無駄だということです。契約書に記載されていない内容については、「そんな契約していないから、契約書に書いていないのです。」と言われてしまい、裁判などの争いでも不利になります。したがって、屋根修理の現地調査や見積りなどで、業者が言った内容やあなたがお願いした内容については、事細かに契約書内に記載するように依頼してください。もし、話した内容を契約書に記載できないというのであれば、その業者は「口約束の内容は守るつもりがない」という意味です。
契約書を作成しない、打ち合わせ内容を契約書内に記載しないという業者の場合は、どれだけ良い条件を提示されたとしてもその場でお断りしましょう。守られない約束ですので、条件が良くても意味がありません。
まとめ
今回は、近年急増していると言われている屋根の点検商法による修理詐欺について解説しました。記事内でご紹介したように、屋根の点検商法では、突然訪問してきた業者が、無料で屋根の点検をしてくれるというパターンが多いです。しかし、屋根の上は、下からでは何をしているのか確認することができず、その業者にわざと屋根を壊され修理契約を迫られるという結果になることが多いのです。
記事内では、点検商法における悪質な手口をご紹介していますが、悪徳業者に騙されないための最も良い方法は、突然訪問してきた知らない業者は相手にしないという対応です。例えば、以下のような対処で、話を聞かずに帰ってもらうのが良いでしょう。
- 居留守を使う(訪問販売は対応しない)
- 最初に相手の身分と目的を聞く(悪徳業者は明らかにしたくないので帰る場合が多い)
- スマホなどで記録に残す(悪徳業者は記録に残されたくない)
- 身内に修理業者がいるという(リスクが高い客と考え深追いしてこない)
- 明確に断り帰るように言う(断ったのに勧誘を続ける行為は法律違反。警察を呼びましょう)
屋根の無料点検などを称して突然訪問してくる業者に関しては、「そもそも対応しない」というのが最も良いです。話を聞いてしまうと、長々と居座られる可能性がありますので、その場合は、「いらない」という意思を明確に伝えましょう。それでも勧誘を続ける行為は、特商法に違反する行為なので「警察を呼びますよ」と言えば良いでしょう。大概の業者はこれで帰ってくれるはずです。
なお、間違って屋根の上に業者をあげてしまい、高額な見積書を提示された場合、お気軽に悠建設に相談してください。見積り内容が適正なのか、本当に必要な工事なのか、改めて弊社が診断することができます。