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今回は、お家の省エネ性向上や断熱対策を検討している方がおさえておきたい、2025年度注目のリフォーム補助金についてご紹介します。
2050年カーボンニュートラルの実現が宣言されている日本では、住宅領域での省エネ、脱炭素化を推し進めるため、それに寄与する取り組みを後押しするための補助金制度が用意されています。皆さんも一度は耳に自他ことがあると思うのですが、2022年から、国土交通省、経済産業省、環境省の3省が連携した住宅省エネキャンペーンという補助金事業が継続されています。2025年度も、住宅省エネ2025事業として運営されるのですが、その中でも子育てグリーン住宅支援事業への注目度が非常に高まっています。
子育てグリーン住宅支援事業については、以前「省エネ性が高い新築住宅の入手」を手助けしてくれる補助金として紹介しましたが、実は、この補助金はリフォーム部門も用意されていて、家の断熱改修や省エネ設備の設置に対して一定の補助金が給付されることとなっています。2025年度のリフォーム工事に対する補助金の中では、補助金額が非常に大きい内容となっているため、皆さんもその内容はおさえておいた方が良いです。
そこでこの記事では、子育てグリーン住宅支援事業のリフォーム部門の詳細を解説します。
関連記事:子育てグリーン住宅支援事業とは?2025年度新築住宅に使用できる補助金の速報
子育てグリーン住宅支援事業の補助金額について
まずは、子育てグリーン住宅支援事業の補助金額について簡単にご紹介します。冒頭でご紹介したように、子育てグリーン住宅支援事業は、新築住宅の入手と既存住宅のリフォーム、どちらも対象となっています。ただ、当然ですが、新築とリフォームでは補助金の金額が異なります。
子育てグリーン住宅支援事業は、住宅省エネキャンペーンを構成するその他の補助事業と比較すると、補助金額が非常に大きいという特徴があります。うまく利用することができれば、家の購入やリフォームのコスト負担を大幅に軽減することができるので、ぜひ利用を検討してみましょう。
新築住宅の入手に対する補助金額
子育てグリーン住宅支援事業は、省エネ性が高い新築住宅の入手に対して非常に手厚い補助金が給付されることとなっています。注文住宅を新築する、新築分譲住宅を購入するという方で、国が定めた省エネ基準を満たしている場合、なんと最大で160万円という高額な補助金が給付されるのです。
この補助金は、2024年度の子育てエコホーム支援事業を継承した形で運営されています。子育てエコホーム支援事業では、新築に対する補助金は子育て世帯や若者夫婦世帯のみが対象だったものの、今年度は新たな省エネ住宅の規格として「GX志向型住宅」という基準が設けられ、GX志向型住宅であればすべての世帯が補助を受けられると、対象範囲も拡大しています。
補助金額は、以下のように、建てる家の性能によって金額が変わるようになっています。
- GX志向型住宅(すべての世帯が対象):補助金額160万円/戸
- 長期優良住宅(若者夫婦世帯などが対象):補助金額80万円/戸(ただし建替前住宅等の除却を行う場合は20万円が加算)
- ZEH水準住宅(若者夫婦世帯などが対象):補助金額40万円/戸(ただし建替前住宅等の除却を行う場合は20万円が加算)
上記のように、GX志向型住宅は、その他の省エネ住宅と比較しても、かなり高額な補助金が用意されています。GX志向型住宅は、ZEH水準の省エネ性能を大きく上回る性能を確保している住宅とされるため、国はこのレベルの省エネ住宅の普及を目指しているという意思表示なのでしょう。ちなみに、この補助金で言う子育て世帯や若者夫婦世帯は、以下のように定義されています。
なお、GX志向型住宅がどのような性能なのかについては、以前別記事で解説しているので、以下のページもご確認ください。
関連:GX志向型住宅とは?国が新たに制定した省エネ住宅の基準をご紹介
リフォーム工事に対する補助金額
次は、リフォーム工事に対する補助金額です。子育てグリーン住宅支援事業のリフォーム部門については、対象となる世帯に制限などはなく、全ての世帯が利用できます。
ただ、どのようなリフォーム工事を行う場合でもこの補助金が利用できるというわけではありません。子育てグリーン住宅支援事業は、必須工事3種、任意工事5種が定められていて、補助金を受け取るには、最低でも必須工事のうち2種以上のリフォーム工事を実施しなければならないと定められているのです。ちなみに、工事の詳細は後述しますが、子育てグリーン住宅支援事業の対象となる工事の種類は、以下の通りです。
- ①開口部の断熱改修(必須工事)
- ②躯体の断熱改修(必須工事)
- ③エコ住宅設備の設置(必須工事)
- ④子育て対応改修(任意工事)
- ⑤防災性向上改修(任意工事)
- ⑥バリアフリー改修(任意工事)
- ⑦空気清浄機能・換気機能付きエアコンの設置(任意工事)
- ⑧リフォーム瑕疵保険等への加入(任意工事)
上記のうち、①~③が必須工事となり、このうち最低でも2種の工事を行わなければ、補助金の対象となりません。2024年度の補助金は、1種だけでも補助金が利用できたので、勘違いしないように注意しましょう。
補助金額については、工事の内容に対して細かく補助金額が設定されていて、実施するリフォーム工事の内容に合わせて加算されていく仕組みになっていてます。なお、必須工事を3種実施するのか、2種で抑えるのかによって、最大で受けられる補助金額が変わるので、その点も注意しましょう。子育てグリーン住宅支援事業の、リフォームに対する補助金の上限額は、以下の通りです。
- Sタイプ(必須工事3種全て実施する場合):最大60万円/戸
- Aタイプ(必須工事3種のうち2種を実施する場合):最大40万円/戸
なお、子育てグリーン住宅支援事業をリフォーム工事に利用する場合、補助額の合計が1申請あたり5万円以上から申請可能となります。
補助金対象となるリフォーム工事の内容と細かな補助額について
リフォーム工事に対する子育てグリーン住宅支援事業は、前項で紹介した①~③の必須工事のうち2種以上を実施することで、④~⑧の任意工事が補助金の対象となります。なお、①~⑧の工事については、細かく工事内容ごとに補助額が設定されていて、その合計が5万円を超えることで申請ができるという制度となっています。
なお、住宅省エネキャンペーンを構成するその他の補助事業との関係性もおさえておきましょう。例えば、開口部の断熱改修は、先進的窓リノベ2025事業があり、エコ住宅設備の設置に関しても「給湯省エネ2025事業」または「賃貸集合給湯省エネ2025事業」という補助金が用意されています。実は、これらの補助金は、重複して補助金を受け取ることはできないものの、必須工事を行ったものと看做してもらうことは可能です。
例えば、エコキュートの交換に際して、給湯省エネ2025事業の交付決定を受けている場合、子育てグリーン住宅支援事業において③の工事を行ったものと取り扱われるのです。先進的窓リノベ2025事業も同様です。
それではここでは、子育てグリーン住宅支援事業のリフォーム項目について、それぞれの細かな補助金額についてご紹介します。
①開口部の断熱改修
開口部の断熱改修とは、窓やドア部分の断熱性能を高めるためのリフォーム工事を指しています。住宅の中でも、最も熱の出入りが多いとされているのが窓などの開口部で、この部分の断熱性能を高めてあげることができれば、空調効率を改善でき、省エネにつながるとされているのです。開口部の断熱改修について、対象となる具体的な工事内容は以下の通りです。
- ガラス交換
既存窓を利用して、複層ガラス等に交換するものをいう。 - 内窓設置
既存窓の内側に、新たに窓を新設するもの、および既存の内窓を取り除き、新たな内窓に交換するものをいう。ただし、外皮部分に位置する既存外窓(ドア)の開口面から屋内側へ50cm以内に平行に設置するものに限る。 - 外窓交換
既存窓を取り除き、新たな窓に交換するもの、および新たに窓を設置するものをいう。 - ドア交換
既存のドアを取り除き、新たなドアに交換するもの、および新たにドアを設置するものをいう。
各リフォーム工事に対する補助金額については以下の表のとおりです。
なお、補助額については、「防犯性の向上に資する開口部の改修」、「生活騒音への配慮に資する開口部の改修」または「防災性の向上に資する開口部の改修」に重複して性能を満たしている場合は、より高い補助額に該当する交付を受けられるとされています。
②躯体の断熱改修(外壁、屋根・天井または床)
躯体の断熱改修は、壁や屋根、天井や床部分の断熱性を高めるため、断熱材を設置するリフォーム工事を指しています。リフォーム工事により、断熱性を一定以上のレベルに高めることで補助金が給付されます。
躯体の断熱改修については、建物そのものの断熱性を向上させることができるため、エアコンの電気代を削減することができるなど、住人さんにとっても非常に大きなメリットが存在します。家の中にいて、冬場は底冷えする…、夏場は二階部分が暑すぎる…なんて悩みを抱えている方は、補助金を利用して断熱改修を検討してみてはいかがでしょう。
補助金額については、以下の通りです。
③エコ住宅設備の設置
エコ住宅設備の設置は、節水や節電などに繋がる高効率な設備に入れ替えする工事のことを指しています。例えば、通常のガス給湯器を利用しているお宅が、エコジョーズやエコキュートなど、高効率給湯器に交換するといったリフォームが対象となります。
なお、エコ住宅設備の中には、節水トイレなども含まれているため、水回り設備が古くなって不具合が生じるようになった…なんて場合でも、補助金を利用することが可能です。補助金額については、以下の通りです。
- 太陽熱利用システム・・・30,000円/戸
- 高断熱浴槽・・・32,000円/戸
- 高効率給湯器・・・30,000円/戸
- 蓄電池・・・64,000円/戸
- 節水型トイレ(掃除しやすい機能を有するもの以外)・・・21,000円/台
- 節水型トイレ(掃除しやすい機能を有するもの)・・・23,000円/台
- 節湯水栓・・・6,000円/台
節水トイレと節湯水栓は台数に応じた補助金が貰えるのも嬉しいポイントですね。
④子育て対応改修
子育て対応改修とは、子育てしやすい住環境をつくるためのリフォームを指しています。対象となる工事は、以下のようなリフォームとされています。
- 家事負担の軽減に資する設備を設置する工事
- 防犯性の向上に資する開口部の改修工事
- 生活騒音への配慮に資する開口部の改修工事
なお、補助対象になるには「事業の事務局に登録された型番の製品を使用した工事のみを対象とします。」という条件もあるので注意が必要です。補助額については以下の通りです。対象となる工事が非常に多いです。
■家事負担軽減に資する住宅設備
■防犯性の向上に資する開口部の改修
■生活騒音への配慮に資する開口部の改修
■キッチンセットの交換を伴う対面化改修
引用:子育てグリーン住宅支援事業公式サイトより
⑤防災性向上改修
防災性向上改修と聞くと、地震や台風、水害など、自然災害に備えるための幅広い対策をイメージする方が多いです。ただ、子育てグリーン住宅支援事業における防災性向上改修は「屋根瓦の破片相当以上の飛来物の衝突に対して安全性を有することが確認された合わせガラスまたは合わせ複層ガラス」への交換リフォームが対象です。
補助金額については、以下の通りです。
⑥バリアフリー改修
バリアフリー改修は、住宅内に存在する段差の解消や手すりの設置などといった、安全対策リフォームが対象となります。バリアフリー改修を行えば、高齢者が安全に過ごせるようになるだけでなく、小さなお子様や妊婦さんなど、さまざまな世代の方が安心して生活できるようになるでしょう。
補助金金額については、以下の表のとおりです。
なお、バリアフリー改修については、工事個所によらず、工事の種類に応じて1戸当たりで補助金が給付される形となります。
⑦空気清浄機能・換気機能付きエアコン設置工事
子育てグリーン住宅支援事業では、空気清浄機能や換気機能がついたエアコンへの交換も対象となっています。現在、利用しているエアコンが古くなって交換を考えている、子供部屋や寝室などにエアコンを新設したいといった場合には非常にありがたい補助金となるので、省エネリフォームに合わせて検討してみてはいかがでしょう。
補助金額は、以下の通りです。
エアコンに関しては、1戸当たりではなく設置台数に応じて補助金が給付されます。
⑧リフォーム瑕疵保険等への加入
リフォーム瑕疵保険とは、リフォーム工事後に何らかの欠陥が見つかった時、補修や保険金が受け取れるという保険です。子育てグリーン住宅支援事業では、国土交通大臣が指定する住宅瑕疵担保責任保険法人が取り扱うリフォーム瑕疵保険および大規模修繕工事瑕疵保険への加入が対象となり、補助額は「7,000円/契約」となっています。
データ参照:子育てグリーン住宅支援事業公式サイト
子育てグリーン住宅支援事業利用時のポイント
それでは最後に、自宅のリフォーム工事に子育てグリーン住宅支援事業を活用したいと考えている方が抑えておくべきポイントをいくつかご紹介します。2024年度の子育てエコホーム支援事業とはいくつか変更された部分もありますし、ここでは代表的な注意点について解説します。
必須工事を2種類以上実施する必要がある
先程ご紹介しましたが、子育てグリーン住宅支援事業をリフォーム工事に利用する場合、事務局が定めている必須工事を2種以上行わなければ補助金が受け取れません。
2024年度は、必須工事1種類以上を実施すれば補助金が受け取れたため、今年も同様と考えている人が多いです。しかし、2025年度は「開口部の断熱改修(内窓設置など)、躯体の断熱改修、エコ住宅設備の設置(エコキュート、エコジョーズ、節水型トイレ、節湯水栓など)」の3種類のうち、2種以上の工事を行う必要があります。
子育てグリーン住宅支援事業のみで補助額合計5万円以上が必要
子育てグリーン住宅支援事業は、1申請当たりの補助額の合計が5万円未満だと対象外となってしまいます。例えば、既存給湯器をエコジョーズに交換する工事と内窓の設置(大)を1箇所行うという場合、その補助額は「30000+17000=47000円」となります。この場合、必須工事2種を行っているものの、最低限の補助額に達していないため、補助金の申請ができないのです。
なお、2025年度は、他の補助金事業を併用する場合でも、子育てグリーン住宅支援事業だけで5万円以上が必要となっている点も注意が必要です。2024年度の事業では、先進的窓リノベ事業など、他の補助金と併用する場合、子育てエコホーム支援事業分は2万円以上で交付申請が可能だったのですが、今年は併用の場合でも5万円以上が条件です。
補助額上限はすべての世帯で共通化されている
2024年度の子育てエコホーム支援事業では、子育て世帯または若者夫婦世帯がリフォーム部門でも優遇され、補助上限額が高く設定されていました。しかし、2025年度の子育てグリーン住宅支援事業では、家族構成などに関係なく、上限額はすべての世帯で共通化されています。
補助金申請の流れについて
自宅のリフォーム工事に子育てグリーン住宅支援事業を利用する場合の流れも簡単にご紹介します。補助金の申請から交付までの流れは以下の通りです。
- STEP1 リフォーム会社を探す
最初にリフォーム工事を依頼する業者を見つけます。ただ、子育てグリーン住宅支援事業を活用するには、事業者登録をされた会社に依頼する必要があるので、最初に事業登録が済んでいるのか確認しましょう。 - STEP2 工事請負契約・共同事業実施規約を締結する
工事の内容が決定したら、業者と工事請負契約を結びます。その際、補助金の受け取り方法などを約束する「共同事業実施規約」も同時に締結しましょう。 - STEP3 リフォーム工事を行う
補助金の申請は工事後に行うので、リフォーム工事を進めます。なお、補助金は予算が消化されると早期に申請が打ち切られてしまいます。したがって、工事を行ったのに、予算がなくなり補助金の交付が受けられなかった…なんてことが無いよう、着工後に交付申請の予約をしておくのがおすすめです。 - STEP4 補助金の交付申請をする
補助金の交付申請は、工事を行ったリフォーム会社が行います。工事完了後は、速やかに交付申請をしてもらいましょう。 - STEP5 リフォーム会社に交付された補助金を受け取る
申請内容に問題が無ければ、交付決定通知が届きます。補助金の受け取りは、STEP2で決めた方法で還元してもらいましょう。
子育てグリーン住宅支援事業は、上記の流れで補助金が支払われます。
まとめ
今回は、2025年度の住宅関連の補助金として、最も大きな補助金を受け取ることができる子育てグリーン住宅支援事業のリフォーム部門の詳細をご紹介しました。
2024年度に実施された子育てエコホーム支援事業から、いくつかの変更が加えられているので、その辺りに注意しながら、現在検討中のリフォーム工事にこの補助金が活用できるか調べてみてはいかがでしょうか?
子育てグリーン住宅支援事業が対象となるリフォーム工事は、住宅の省エネ性や断熱性を向上させてくれるものとなるため、工事後は日々の生活にかかる光熱費の削減が期待出来ます。「ちょうど給湯器の交換を考えていた!」「夏の暑さ対策のため窓の断熱化を考えていた!」といった方にとっては、まさにうってつけの補助金となるので、ぜひ活用してみてはいかがでしょう。
悠建設は、新築注文住宅の建築だけでなく、より過ごしやすい住宅を作るためのリフォーム工事も承っています。もちろん、子育てグリーン住宅支援事業など、補助金を利用した工事も受け付けていますので、お気軽にご相談ください。