今回は、先日紹介した給湯省エネ2024事業と同じく、国が行っている2024年度の大型補助金となる住宅省エネ2024キャンペーンの一つである、子育てエコホーム支援事業の内容を解説します。ちなみに、子育てエコホーム支援事業は、2024年度に新設された補助金と考えられていますが、完全に新設の補助金ではなく、2023年度に実施された「こどもエコ住まい支援事業」の後継事業となります。
子育てエコホーム支援事業は、住宅に関わるリフォームだけでなく、住宅の新規取得に際しても高額な補助金が用意されている点が特徴です。この記事では、子育てエコホーム支援事業が、どのような場合に利用できるのか、また対象となる人がどのような方なのかについて解説します。
子育てエコホーム支援事業の概要について
まずは、子育てエコホーム支援事業の概要を簡単に解説します。補助金の名称に「エコホーム」という言葉が利用されていることから分かりますが、この補助金は、どのような住宅にも利用できるわけではなく、新築住宅の購入に関しては長期優良住宅やZEH住宅など、高い省エネ基準を満たしている住宅の取得に対して、補助金が拠出されます。これは、通常の家と比較すると、省エネ性の高い家の方が販売価格が高くなるから、その取得に対する負担の軽減が目的です。
また、補助金の対象となるのは、子育てをしている方や予定がある方、夫婦のどちらかが20代や30代の方とされています。基本的に若者世代が補助金の対象となっているのですが、これはこの補助事業が、物価高騰の影響を受けやすい子育て世帯や若者夫婦世帯に対して、省エネ性の高い住宅の購入や省エネリフォームの実施をサポートすることが目的だからです。
なお、子育てエコホーム支援事業の事業概要は以下の通りとなっています。
●補助対象者
- 注文住宅の建築主
- 新築分譲住宅の購入者
- リフォーム工事の工事発注者
●補助金額
- 長期優良住宅:上限50万円もしくは100万円
- ZEH住宅:上限40万円もしくは80万円
- リフォーム:上限20万~60万円
●適用条件
登録事業者を通じて契約し、条件を満たす住宅を購入もしくはリフォーム工事を実施すること
予算
令和5年度補正予算 :2,100億円
令和6年度当初予算案:400億円
子育てエコホーム支援事業は、昨年度のこどもエコ住まい支援事業よりも予算額がかなり増額されています。上を見ても、潤沢な予算がつけられているように感じられますが、その他の補助金と比較すると、一件当たりの補助額が大きくなるため、予算の消化ペースも非常に早くなるのではないかと予測されています。子育てエコホーム支援事業は、リフォームだけでなく、新築住宅の取得も補助対象となっている点が特徴ですので、この補助金の利用を検討している方は、早めに動くのがおすすめです。
情報参照:子育てエコホーム支援事業公式サイト
子育てエコホーム支援事業の詳細をご紹介します
それでは、子育てエコホーム支援事業を利用したいと考えている方に向け、この補助金の詳細をご紹介していきます。どのような補助金でも同じですが、予算の上限に達すると、早期に申し込みの受付が終了してしまいます。子育てエコホーム支援事業は、2024年12月31日が申し込みの最終期限に設定されていますが、例えば7月に予算の全てが消化された場合、7月の時点で申し込みの受付が終了してしまう仕組みです。
ちなみに、2023年度に実施された、子育てエコホーム支援事業の前身となるこどもこどもエコ住まい支援事業は、9月の段階で予算が全て消化されてしまい、2023年9月28日をもって 交付申請 (予約含む)の受付が終了しています。本年度の子育てエコホーム支援事業も、早期の予算消化が予想されていますので、その点は注意しましょう。
補助対象者の詳細
子育てエコホーム支援事業は、その名称から、子育て世帯と若者夫婦世帯のみが対象となると考えられがちです。ただ、注文住宅と新築分譲住宅の取得については、この条件で間違いないのですが、リフォームに関してはその限りではありません。
なお、この補助金は、以下のような方が利用することができます。
- 注文住宅の建築主
- 新築分譲住宅の購入者
- リフォーム工事の工事発注者
子育て世帯と若者夫婦世帯の定義については、以下のように公式サイトで説明されています。
子育て世帯とは
申請時点において、子を有する世帯。子とは令和5年4月1日時点で 18 歳未満(すなわち、平 成17(2005)年4月2日以降出生)とする。ただし、令和6年3月末までに工事着手する場合においては、令和4年4月1 日時点で 18 歳未満(すなわち、平成16(2004)年4月2日以降出生)の子とする。
若者夫婦世帯とは
申請時点において夫婦であり、令和5年4月1日時点でいずれかが39歳 以下(すなわち、昭和58(1983)年4月2日以降出生)である世帯。ただし、令和6年3月末までに工事着手する場合におい ては、令和4年4月1日時点でいずれかが39歳以下(すなわち、昭和57(1982)年4月2日以降出生)の世帯とする。
補助額について
子育てエコホーム支援事業の補助額は、住宅の種類や地域によって変わります。以下で、新築住宅の取得時に貰える補助金額と、リフォーム時の補助金額をそれぞれご紹介します。
●住宅を建築・購入する場合の補助金額
まずは新築住宅の取得に対する補助金額についてです。新築住宅の取得時でも、以下のように、地域によって補助金の上限金額が変わります。
- 市街化調整区域であり、なおかつ土砂災害警戒区域もしくは浸水想定区域にある場合
この場合、長期優良住宅で50万円/戸、ZEH住宅で40万円/戸が補助額となります - 上記以外
この場合、長期優良住宅で100万円/戸、ZEH住宅で80万円/戸が補助額となります
リフォームに対する補助金についても、住宅の種類などによって上限金額が変わります。
- 既存住宅の購入を伴う場合
若者夫婦世帯は上限60万円/戸、その他の世帯上限20万円/戸 - 長期優良リフォームを行う場合
若者夫婦世帯は上限45万円/戸、その他の世帯上限30万円/戸 - その他の場合
若者夫婦世帯は上限30万円/戸、その他の世帯上限20万円/戸
リフォームに関しては、対象となる工事の種類も決まっていて、以下のような物が補助金の対象となります。
- 開口部の断熱改修
- 外壁、屋根・天井又は床の断熱改修
- エコ住宅設備の設置
- 子育て対応改修
- 防災性向上改修
- バリアフリー改修
- 空気清浄機能・換気機能付きエアコンの設置
- リフォーム瑕疵保険等への加入
補助金の対象期間について
子育てエコホーム支援事業は、以下のようなスケジュールが決まっています。
- 契約時期:問わない
- 工事着手:2023年11月2日以降
- 交付申請:2024年3月中下旬~12月31日
※予算に達し次第終了 - 完了報告 :
戸建て住宅:2025年7月31日まで
マンション:2026年4月30日(11階以上の建物は2027年2月28日)まで
子育てエコホーム支援事業の申請期限は、2024年12月31日に設定されています。ただし、予算が全て消化されると、その時点で申請が打ち切られてしまいます。2023年度は、9月という非常に早い段階で申請の受付が終了したこともあり、本年度は予算が増額されています。しかし、それでも12月までには予算が消化されるだろうと予想されていますので、この補助金の利用を検討中の方は、なるべく早くハウスメーカーなどに相談すべきです。
子育てエコホーム支援事業の注意点について
それでは最後に、子育てエコホーム支援事業の注意点についても簡単にご紹介しておきます。
給湯省エネ2024事業など、他の補助金との併用に注意
子育てエコホーム支援事業は、住宅省エネ2024キャンペーンの中の一つの事業です。住宅省エネ2024キャンペーンには、これ以外にも給湯省エネ2024事業や先進的窓リノベ2024事業、賃貸集合給湯省エネ2024事業という3つの事業があり、これらの補助事業と併用できるのかという質問を受けるケースが非常に多いです。この点については、以下のような解説されています。
「リフォーム」の対象建材・設備は一部、「先進的窓リノベ2024事業」「給湯省エネ2024事業」または「賃貸集合給湯省エネ2024事業」においても補助対象となります。対象建材・設備の性能等に応じて、両事業を併用することができます。(同一の工事請負契約および工期でも可)
ただし、本事業で補助金の交付を受けたリフォーム工事については、「先進的窓リノベ事2024業」「給湯省エネ2024事業」または「賃貸集合給湯省エネ2024事業」において、重複して補助金の交付を受けることはできません。
引用:補助金公式サイト
子育てエコホーム支援事業の対象となるリフォーム内容には、先進的窓リノベ2024事業や給湯省エネ2024事業においても補助対象とされている物があります。これらの補助金は、基本的に併用が可能とされているのですが、全く同じリフォームに対して重複して補助金を受け取ることはできないので注意しましょう。
例えば、窓の断熱化工事とエコキュートの設置を行う場合、「窓の断熱に対して先進的窓リノベ事業を利用し、エコキュートに子育てエコホーム支援事業を利用する」と言った使い方は問題ありません。しかし、窓の断熱化工事とエコキュートの設置に対して、子育てエコホーム支援事業の申請を行ったにもかかわらず、先進的窓リノベ2024事業や給湯省エネ2024事業も重複して申請するという使い方はできません。
地方自治体の補助金は併用できる
家の断熱化工事などに対しては、国だけでなく地方自治体が補助金制度を用意している場合があります。それでは、国の補助金と自治体の補助金は併用することは可能なのでしょうか?これについては、以下の様に解説されています。
同一の補助対象となるリフォーム工事に対して、重複して国の他の補助制度から補助を受けることはできません。なお、地方公共団体の補助制度については、国費が充当されているものを除き、併用可能です。
引用:補助金公式サイト
「国費が充当されているものを除き、併用可能」とされているように、補助金が利用できる場合もあります。したがって、自治体の補助金を併用したいと考えた時には、住宅省エネ2024キャンペーンと重複利用が可能か確認すると良いでしょう。
申請手続きに手数料がかかることがある
子育てエコホーム支援事業は、ハウスメーカーや工務店など、登録事業者を通して申請を進めることになります。登録事業者は、対象者に対して手数料を請求できると決められているため、利用する事業者によっては手数料が発生する可能性があると考えましょう。
新築住宅の購入時に、子育てエコホーム支援事業の利用を考えている方は、登録事業者とのやり取りが必要になるため、ハウスメーカーなどと契約を結ぶ前に、補助金の申請などをしてもらえるか、手数料などは発生するか事前に確認しておきましょう。
まとめ
今回は、2024年度における住宅関連の大型補助金制度「住宅省エネ2024キャンペーン」の中でも、特に補助額が大きい子育てエコホーム支援事業の内容をご紹介しました。
子育てエコホーム支援事業は、住宅のリフォームだけでなく、建売住宅や注文住宅の購入も補助してくれる非常にありがたい補助金となっています。ただ、補助金の対象となる住宅については、長期優良住宅やZEH住宅など、省エネ性が非常に高いと認められている住宅に限ります。このタイプの住宅は、当然、一般的に新築住宅よりも建築コストが高くなってしまいますので、補助金を利用できたとしても家の取得にかかるイニシャルコストは高くなってしまうでしょう。
こう聞くと、「補助金を利用せずに一般的な住宅にすれば良いのでは?」と考える方がいるかもしれませんね。ただ、省エネ性の高い住宅を最初に建てておけば、日常生活にかかる光熱費の負担を大幅に削減することが可能です。近年では、太陽光発電や蓄電池を利用することで日々の生活にかかる光熱費を0円にできるような技術も登場しているのです。もちろん、どのような住宅が自分にとって最適な住宅を取得したいと考えた時には、コストだけに注目するのも良くありませんが、誰にとっても重要なポイントであることは間違いないと思います。
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