一戸建て住宅の間取りを考えた時、風呂の配置については多くの方が一階部分にある物というイメージを持っているのではないでしょうか?一昔前までは、庭付き一戸建て住宅が当たり前で、住宅を建てるための土地にある程度の余裕があったため、2階部分には子供部屋や夫婦の寝室などを配置し、キッチンやお風呂などの水場は一階部分に配置するという間取りが一般的でした。

しかし、昨今の新築業界では、都市部で狭小地に一戸建て住宅を建てるケースが増えていて、このような住宅は3階建てが選ばれるケースが多く、お風呂も2階部分に配置されるようになっているのです。また、ある程度の面積を確保できている2階建て住宅でも、「2階にお風呂(浴室)を設ける」というアイデアのメリット面が注目され、この間取りの人気が上昇しているという情報もよく耳にします。

ただ、2階にお風呂を設置するという間取りに関しては、メリットが得られるだけでなく、無視することができないデメリット面も多いということを忘れてはいけません。実際に、「2階にお風呂」という間取りを選択した方の中には、「実際に生活してみると、2階にお風呂はめんどくさい」「騒音に悩まされることになった」など、ネガティブな意見を指摘する方も少なくないのです。
そこでこの記事では、2階にお風呂を設置する場合のメリットとデメリットをご紹介します。

2階にお風呂を配置する間取りのメリット

まずは、一階ではなく、二階部分にお風呂を配置する間取りのメリット面について解説していきます。新築時の費用面のことを考えると、二階にお風呂を配置するのではなく、従来通り一階部分にお風呂を配置するという方法がコストを抑えられます。しかし、昨今では、費用がかかったとしてもお風呂を二階に配置したいという要望を持つ方が増えているのです。

それでは、二階にお風呂を配置したいと考えている方は、何をメリットに感じているのでしょうか?以下で代表的なメリットをご紹介します。

メリット1 一階部分のスペースに余裕ができる

当然のことですが、お風呂の場所を二階部分にすれば、一階部分はスペース的な余裕を作り出すことができ、その他の用途の部屋として活用することができるようになります。

例えば、1階部分にリビングやキッチンなどを配置している場合、家族が集まるスペースを広く確保することができるようになります。また、1階部分に寝室などを配置している場合も、大きなベッドを置ける余裕のある寝室にすることができるかもしれません。

お風呂として確保されるスペースは、一般的に1坪(3.3㎡)~1.5坪(4.9㎡)程度とされています。洗面や脱衣所も一緒に設ける場合は、さらに1坪程度のスペースを確保する必要があるため、二階にお風呂を配置するようにすれば、一階部分のスペースとして2坪分の余裕ができるということなのです。2坪は4畳程度のスペースとなるため、リビングなどを広げる以外にも、テレワーク用に書斎を確保する、ウォークインクローゼットや広めのパントリーにするなど、さまざまな使い方ができるようになるでしょう。

余裕のあるスペースの使い方ができるようになれば、家全体がより広く感じられるようになるかもしれません。

メリット2 プライバシーを守りやすい

お風呂は、住宅の中に存在するスペースとして、トイレと並んで最もプライバシー性が高い場所になります。そのため、二階部分にお風呂を配置するという対策は、家族が安心して気楽に入浴を楽しむことができるようになるという点も大きなメリットになるのです。

例えば、一階部分で来客者の対応をしていたとしても、お風呂が二階にあるのであれば、それを気にすることなく入浴することができるようになるでしょう。脱衣所やお風呂場がリビングなどから見える心配が一切ないため、家族全員が快適に過ごすことができるようになります。また、一階部分にお風呂を設置する場合と比較すると、覗かれる心配がなくなるなど、セキュリティ面でも安心感が高くなります。

メリット3 生活感を感じさせにくくできる

二階にお風呂を配置するという間取りは、生活感を隠せるという点もメリットと言われています。

どれだけモダンでスタイリッシュな家を作ったとしても、洗濯物などが表に出ているだけで、一気に生活感が出てきてしまいます。また、お風呂や洗面所などの水回りは、どうしても生活感を隠しにくい場所となるため、玄関部分やリビングなどをどれだけおしゃれに整えたとしても、一階部分にあるお風呂場が見えてしまうと、生活感が残ってしまうという訳です。

お風呂を二階に配置しておけば、来客者はおしゃれに整えられた一階部分しか目に入らなくなるため、生活感を感じさせずに済むのです。特に、小さなお子様や家族の人数が多いお宅の場合、二階部分にお風呂を配置することでおしゃれ空間を作りやすくなるので、おすすめの間取りの工夫と言えます。

メリット4 お風呂の風通しが良くなる

二階部分にお風呂を配置すると、風通しの良いバスルームにすることができるでしょう。周りに高い建物がないという立地の場合、大きな窓を配置することができるため、効率的に換気が出来るようになり、カビの繁殖などに悩まされる心配が少なくなります。

また、入浴時に周囲の景色を楽しむことができるようになるなど、開放感のあるお風呂を楽しめるかもしれません。

メリット5 洗濯の家事動線が短くなる

二階にお風呂を配置するという間取りは、家事の中でも洗濯に関わる動線を短くすることができ、家事負担を軽減することができるというメリットが期待できます。

洗濯物を干す場所として利用されるのは、多くの場合、2階にあるバルコニーになると思います。つまり、お風呂と洗濯機を配置する洗面所を二階部分に配置すれば、水を含んだ重たい洗濯物を運ぶ距離が大幅に短くなるのです。一階部分に洗濯機を配置すると、洗濯物を持って階段を上らなければならなくなるため、この体制が作れると非常にありがたいと感じるはずです。

また、浴室乾燥機能などを付属させている場合、洗濯物を干すための距離がさらに短くなるため、家事負担の軽減に役立つでしょう。

メリット6 寝室の配置を考慮することで生活動線も便利に

これは、子供の寝室や自分たちの寝室を、お風呂と同じく二階に配置した場合に得られるメリットです。

寝室とお風呂が別々の階に配置されている場合、お風呂に入るための移動を面倒に感じてしまう人も多いようです。また、小さなお子様がいるご家庭の場合、お風呂と寝室が同じ階にあれば、階段移動がなくなるため安心感が大きくなるはずです。入浴後に階段移動で寝室に移動させる場合、階段の上り下りの際に目を離せないという問題が生じてしまうのです。

お風呂と寝室を同じ階に配置する場合、湿気が回る恐れがある、生活時間の違いが出てくると入浴時の音でおこされてしまうなどの問題が生じる可能性が出てくるため、一概に同じ階にある方が良いと言えないのも事実なのですが、お子様が小さいうちは便利に感じると思います。

2階にお風呂を配置する間取りのデメリット

二階にお風呂を配置するという間取りについては、上記のようなメリットが存在する一方、見落とすことができないデメリットもあります。二階にお風呂を配置するという選択をした場合、以下で紹介するようなことに頭を悩ませる可能性があるので、その点は注意しましょう。

デメリット1 浴室の重量に耐えられる構造にする必要がある

一つ目は、重量の問題です。お風呂は、通常の住宅に存在する部屋の中でも、特に重量が重くなりがちです。

なぜなら、お風呂は入浴するため、浴槽に数百リットルのお湯を張るからです。例えば、浴槽に500リットルのお湯を張れば、それだけで500kgの荷重が建物にかかってしまいます。もちろん、お風呂にはそれ以外にもさまざまな設備が設置されることになるため、入浴中の人の重量も加えると、一時的に700kg~800kgもの負荷がかかってしまうことになるのです。

この重量については、建築構造上好ましい構造とは言えませんし、家を設計する時には、二階以上に重量のある部屋が存在するとなると、その重さに耐えられるだけの強い構造にしなければならないため、一階にお風呂を設置する家と比較すると、建築コストが高くなる可能性があります。

この点は明確なデメリットと言えるでしょう。

デメリット2 浴室の音が一階に響く可能性がある

二つ目のデメリットは、お風呂使用時の流水音などで騒音問題が生じるという点です。お風呂を利用する時の流水音は、皆さんが考えている以上に響いてしまいます。

二階部分にお風呂を設置した時には、シャワーなどを使用する際の排水が、二階から一階に向けて排水管を通って流れていきます。排水管は天井裏などを通されているため、一階にリビングなどがありその上を配管されているという構造になると、一階にいる人がお風呂の排水音をうるさく感じてしまう訳です。

また、お風呂の浴槽にお湯を貯める時の音や、浴室を使用する時の振動音なども一階部分に伝わってしまうため、家族間での騒音トラブルに発展する恐れがあります。特に、親世代と子世代の生活時間がズレていて、寝室が一階部分にあるという時には、夜中のお風呂利用でおこされてしまう…と言った事態に発展する可能性があります。

ちなみに、都市部では、お隣の家との距離が非常に近くなっていて、排水管がお隣の家の寝室近くを通っている時には、お隣から排水音に対して苦情が出るといったこともあるようです。

デメリット3 給湯器によってはシャワーの水圧が弱くなる

この問題については、設置する給湯器に注意すれば、そこまで大きな問題にはなりません。しかし、給湯器としてエコキュートなど、貯湯式の給湯器を選択している場合、高水圧モデルの機器を導入しなければ、水圧の弱さに悩まされる恐れがあるのです。

二階部分にお風呂を設置した場合、地面に配置している給湯器は、お湯を高所まで送らなければならなくなります。この際、安価なモデルの給湯器を導入すると、水を押し上げる力が弱くなり、シャワーの水圧に不満を感じてしまうことになるのです。

そもそも、エコキュートなどの貯湯式の給湯器は、タンクにお湯を貯めるために、水道水の水圧を減圧しています。そして、お湯を供給する際には、減圧された水圧によって供給される仕組みになるので、水道直圧式のガス給湯器よりも水圧が弱くなるのです。最近では、高い水圧を維持できるタイプの製品が登場しているため、二階以上にお風呂を設置する場合は、そういったタイプを選択しましょう。ただ、高水圧モデルは、製品グレードが高くなるので、給湯器の導入コストが高くなります。

デメリット4 水漏れリスクが付いて回る

二階部分にお風呂を作る場合、一階の天井裏などに配管を通すことになります。つまり、何らかの理由で水漏れが発生した時には、一階部分についても、広範囲に浸水被害が生じてしまう恐れがあるのです。

一階部分にお風呂を設置している場合、その他の部屋にまで浸水することは基本ないのですが、二階以上にお風呂があると、天井裏で水漏れが起こるため、下にある部屋にも水の影響が出てしまうのです。住宅で使用される配管は、しっかりとメンテナンスを実施することで、水漏れなどを防げるようになっていますが、地震や台風などの災害によって、思わぬ負荷を受けた場合、突然配管が破損して水が漏れてしまうといったリスクを無くすことはできません。また、メンテナンス不足に陥ってしまうと、経年劣化によって水漏れが発生し、広範囲にその影響が拡大してしまうのです。

この他、お風呂のお湯はりで、とめ忘れなどが発生した時も、下の階にその影響が出てしまう可能性があるでしょう。

デメリット5 将来的には不便に感じる可能性がある

最後は、将来的に「お風呂に入るために階段移動が必要」という点を苦痛に感じる可能性がある点です。

人間は誰しも、年齢を経るにつれて身体機能が低下してしまいます。そのため、高齢になると階段での移動などは可能な限り少なくしたいと考える人が多いはずです。しかし、二階部分にお風呂を用意した場合、毎日の入浴のため、必ず階段移動をしなくてはならなくなるのです。身体機能が低下した人が階段移動をする場合、ちょっとしたことで転倒事故に発展する可能性もあるため、将来的な負担や危険性のことを考えると、非常に大きなデメリットになると言えるでしょう。

また、介護が必要になった際には、二階部分にお風呂があると、物理的に自宅でお風呂に入れなくなる可能性が高いでしょう。この場合、外部サービスを利用してお風呂に入らなくてはならなくなるので、コスト的な負担増加に繋がる可能性があります。

まとめ

今回は、二階部分にお風呂を作る間取りのメリット・デメリットについて解説しました。

都市部に建てられる新築住宅に関しては、狭小地に三階建て住宅を建築せざるを得ないというケースが多く、お風呂を二階以上に配置するというケースが多くなっています。これは、一階部分に駐車場などを用意したい場合、スペース的な問題で一階にお風呂を作ることができなくなる可能性が高いというのも一つの理由です。

ただ、三階建て住宅の場合、寝室や子供部屋を三階部分に用意するケースが多いため、一階にお風呂を配置すると、毎日の生活で階段移動が多くなりすぎてしまい、その点を負担に感じる方が多いのです。また、二階部分にお風呂場と洗濯機置き場を配置すれば、家事動線が短くて済むため、一階部分にお風呂を用意するよりも便利に感じる方が多いです。そのため、昨今の住宅業界では、お風呂は二階部分に設けるという選択が人気です。

ただ、記事内でご紹介している通り、二階以上にお風呂を配置するという方法は、建物の補強が必要になったり、高グレードな給湯器の設置が求められたりするので、家の建築コストは割高になる可能性が出てきます。また、将来的なことを考えると、階段の上り下りを苦痛に感じ始める方が多いため、「お風呂は絶対に二階以上に作るべき」とは言えないという点に注意しましょう。

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