新築の注文住宅を建てる際には、建物部分に想像していた以上にお金がかかってしまい、外構工事部分で費用の節約ができないかな…と考える方は多いです。新築の購入時は、家を建てるために多額の費用がかかるだけでなく、新居への引っ越しに合わせて家具家電を全て買い替えたいと考える人が多いので、その部分にもお金がかかってしまいます。そのため、家の外構部分に関しては、費用を節約しても日常生活に支障はないのではないかと考え、この部分で費用の節約を目指すわけです。
ただ、外構工事をやらないという選択を検討した時に、「外構工事をやってない家に何かデメリットは生じるのかな?」「外構工事をやっていない家は、なんでやらなかったの?」といった点に疑問を感じる方も少なくないように思えます。家の外構工事は、正直な話、やらなくても生活自体はできてしまうものなので、予算的な問題が生じている場合は節約を考えてしまうのは当然のことだと思います。しかし、実際に新居での生活をスタートした時には、外構工事をやらなかったことを後悔してしまうリスクがあるのも事実です。
そこでこの記事では、新築時に外構工事をやらなかった時のリスクや最低限やっておきたい外構工事の種類についてご紹介します。
外構工事をやってない家が「外構工事は不要」と考えた理由
それではまず、新築時に外構工事をやらない理由について簡単に解説します。世の中にはさまざまな形の家が存在しますが、時々「外構工事をやっていない家」を見かけることがあり、こういった家がなぜ外構工事をしないという判断になったのか疑問に感じた経験がある人は多いのではないでしょうか?
もちろん、家に求めるものは人それぞれですし、各家の事情もさまざまなので、外構工事をやらなかった理由もたくさんあると思います。ただ、一般的には、以下のような理由で「外構工事はいらない」という判断をする方が多いようです。
ちなみに、「外構工事って何?」「外構ってどの部分なの?」など、基本的な部分が分からないという方は、以前別の記事で解説しているので、以下の記事も併せて確認してみてください。
関連:外構工事とは?新築注文住宅を建てる前に知っておきたい外構の種類
①「必要がない」と判断したから
新築時に外構工事をやらなかった理由の一つとして「必要ない」もしくは「必要性を感じなかった」というケースが考えられます。
このケースでは、そもそも外構部分の面積が小さくて、工事のしようがないという場合が多いです。大阪市内など、都市部で家を建てる際には、土地価格の問題などもあり、狭小地に三階建て住宅を建築するケースが多くなっています。そしてこの場合、建物を建てるだけでいっぱいいっぱいになってしまうことから、外構工事の必要性を感じない、工事ができないなんてことになるのです。
また、外構工事については、そこでの生活を考えた時には、別にしなくても日常生活を進めることが可能です。例えば、駐車場なども、土の地面のままでも車を停めておくことはできますし、「外構工事はやらなくても生活できるから必要ない」という判断をする方も意外に多いのです。
②「お金が足らない」「別の部分にお金を使いたい」と判断したから
二つ目の理由はシンプルに『予算』の問題です。新築住宅の購入時には、建物部分にお金がかかりますし、家が完成した後も引っ越しや家具・家電の買い替えに多額の費用がかかってしまいます。自分たちの要望を実現できるなら「いくらでもお金をかけられる」といった大富豪の方でもない限り、限られた予算の中でやりくりしなければならないため、以下のような理由で「外構工事はやらない」という判断になるケースがあるのです。
- 家の性能を高めるため、建物部分にお金をかけたため、外構工事まで予算が回らない
- 日常生活が便利になる高性能な設備にお金をかけたい
- 新居への引っ越しを機に家具・家電を全て買い替えるから外構にお金をかけられない
上記のような感じに、予算に上限があるため、必要性は理解しながら外構工事をやらないという選択をする方もいます。特に近年では、DIYを趣味とする方が増えているため、外構部分は家が完成してから徐々に自分でやろう…と考える人も少なくないようです。
③「後からでもできる」と判断したから
3つ目の理由は「新築時にはやらない」という判断をするケースです。外構工事は、新築時にまとめて行わなければならないものではなく、後から必要に応じて工事を進めていくことも可能です。もちろん、自分で行わなくても外構工事の専門業者に後から工事をお願いすることも可能です。
何度も言っていますが、新居での生活を考えた時には外構工事は必須の要件ではなく、行わなくても日常生活は問題なく進めることが可能です。そのため、新築時には外構工事の計画にまで頭が回らないなどといった理由で、家の引渡し後に改めて必要な工事を検討するという方も少なくないのです。一般的には、家の引渡しまでに外構工事も終わらせるというケースが多いのも事実ですが、引き渡し後3~6ヶ月以内に改めて外構工事を行うケースもあります。
なお、家の引渡し後に外構工事の計画をしようと判断する場合でも、日常生活の忙しさでなかなか手を付けられなくなる…なんてことも多いので注意しましょう。外構工事の必要性を感じているのであれば、基本的には引渡しまでに外構工事まで終わらせておくのがおすすめです。
外構工事をやってない家で考えられるデメリットとは?
それでは、外構工事をやっていない家で考えられるデメリット面についてもご紹介します。先ほどから言っているように、家の外構部分は、工事をしなくても日常生活ができないわけではありません。外構工事を行うには、それなりに高額な費用がかかるわけですし、各家の考え方などもあるため、外構工事をやっていない「=良くない」とは言い切れないのも事実です。
しかし、外構工事をやっていない家の場合、明確なデメリットが存在することは間違いないので注意しましょう。現在、家の購入を考えていて、外構工事の必要性に迷っているという方は、外構工事をやらなかった場合にどのようなデメリットが生じるのかを理解したうえで検討すると良いでしょう。
デメリット① 美観が損なわれる可能性がある
一つ目のデメリットは、お金をかけて建てた新築住宅なのに、外構工事を行わなかったことで家の外観について美観が崩れてしまう…という問題が生じやすいです。建物部分がどれだけキレイに仕上がっていたとしても、その周りの敷地が整備されていなければ、どうしても見栄えが悪くなってしまいます。
家の外構部分は、「住まいの顔」とも言える部分となるため、そこが「地面が土のままで整備されていない」「囲いや門扉もない」「植栽がない」なんて状態で放置されている場合、敷地全体の景観はグレードが下がってしまう恐れがあります。
デメリット② 住んでから、外構部分のメンテナンスが大変
実は、外構工事をやらなかった家では、そこで生活を始めてみると、さまざまな場所が汚れてしまうといった事態になりやすく、小まめに掃除をしなくてはならなくなる…など、想像以上にメンテナンスが大変だって…という声が多いです。実際に、この面をデメリットとして、後から外構工事にお金をかける人も少なくないのです。
例えば、駐車場や玄関までのアプローチについて、外構工事を無視して土を押し固めた状態のままにした場合、どうなると思いますか?この場合、雨の日には地面がドロドロになってしまい、車のタイヤが汚れたり、泥が靴について玄関まで汚れたりするというデメリットが生じます。また、車の出し入れの際に泥を撥ねて、家そのものを汚したり、家の前の道路にタイヤ痕が残ったりすることも考えられるでしょう。当然、こういった汚れは住人さん自身が掃除しなければならないため、本来は掃除しなくても良いはずの公道まで水洗いしなくてはならなくなるのです。
また、意外に見落とされがちなポイントとして、地面をコンクリートなどで舗装せず、土のままの状態にした場合、雑草問題が生じるというデメリットがあります。雑草を放置すると、家の外観が悪くなりますし、害虫の発生や小動物が糞尿をする場所になってしまう恐れなどがあるため、家の周りに悪臭が漂ってしまうリスクも生じます。したがって、家の周辺を舗装していない場合には、小まめに草むしりをしなくてはならなくなるなど、肉体労働が増えてしまう点も大きなデメリットになるのです。外構工事で、アプローチ部分の舗装や駐車場を舗装するのは、見栄えを良くするだけでなく、住んでからの余計な手間を省くためという面もあるのです。
デメリット③ プライバシーが確保しにくい
外構工事をやっていない家の場合、外からの視線を遮ることが難しくなり、家族のプライバシーの確保が難しくなります。
外構工事では、通常、家の敷地を囲うように塀やフェンス、生垣などが設けられます。これらの外構設備は、敷地の境界を明示するという役割以外にも、通行人などの視線を遮るという役割を持っているのです。
逆に考えると、家の周りに塀などの目隠しが何もなければ、通行人がいつでも家の中をのぞける環境になってしまいます。家の前の道路が、交通量が多い、通学路になっていて人の行き来が多いなんて状況の場合、家の中にいても外部からの視線が気になってしまい、常にカーテンを閉めて過ごす…なんてことになりかねません。外構工事は、家の周辺環境のこともきちんと認識したうえで、本当に必要ないのかを判断しなければいけません。
デメリット④ 防犯・安全対策の面で弱くなる
外構工事を行わず、囲いや門扉がないという状況になれば、いつでも・誰でも敷地内に侵入することができるようになってしまいます。そのため、侵入犯罪の防止という面では、どうしても弱くなってしまうでしょう。
また、小さなお子様やペットなどがいるご家庭の場合、庭で遊ばせている時に、道路に飛び出してしまうリスクが高くなるなど、安全面の確保という面でも弱くなる点が大きなデメリットです。
デメリット⑤ 近隣トラブルの原因となる場合がある
外構工事をやらなかったからといって、必ず近隣トラブルが発生するというわけではありません。しかし、住宅街に建てる家で外構工事をやらなかった場合には、近隣住民とのトラブル要素が残ってしまうというデメリットがあるのです。例えば、以下のような事が原因で近隣トラブルに発展する可能性があります。
- 風の強い日に砂塵が舞って、周辺住宅に影響を与える
- 地面が土のままの駐車場の場合、周辺道路をタイヤ痕で汚し苦情が入る
- 雑草の放置や水たまりができるなどといった状況の庭は、蚊などの害虫が発生し、近隣の迷惑になる
- 管理されていない庭に野良猫などの小動物が集まり、鳴き声による騒音や糞尿による悪臭問題を起こす
外構工事を行わず、整備されていない庭になってしまうと、上記のような問題が起きてしまう可能性があります。この場合、自分たち家族だけの問題ではなく、近隣の方にまで迷惑をかけ、最悪の場合は近隣の方とのトラブルにまで発展する可能性があります。
最低限やっておいた方が良い外構工事とやって良かったという人が多い工事について
それでは最後に、家の外構工事について、新築時などに最低限やっておいた方が良い工事の種類についてご紹介します。新築注文住宅を建てる際には、住宅そのものの性能や便利な住宅設備の導入にコストがかかるため、外構部分に潤沢な予算を確保することが難しい…というケースも少なくありません。外構部分は、最悪の場合、無くても生活できますし、後からでも必要に応じて追加することが可能です。ただ、ある程度の予算が確保できる場合、最低限行っておきたい外構工事はあるのです。
また、外構工事の中には、後から「新築時にやっておいて本当によかった!」と感じられる工事もあるので、ここではそれぞれの外構工事の種類について簡単にご紹介します。
最低限やっておいた方が良い外構工事
それでは最低限やっておいた方が良いと考えられる外構工事の種類をご紹介します。予算の関係もあると思いますが、以下のような点については、新築時にやっておいた方が無難です。
玄関アプローチの舗装
一つ目のポイントは、玄関アプローチの舗装です。先ほどご紹介したように、玄関アプローチの部分は、家の顔とも言える場所なので、ここが綺麗に整っているかどうかが家の外観に与える影響が非常に大きいです。
さらに、玄関アプローチは、日常生活の中での利便性にも直結するポイントになります。玄関アプローチは、そこに住む人が毎日利用する場所となるだけでなく、来客時にはお客様もそこを通過することになる場所です。それなのに、アプローチ部分を舗装せず、土のままの地面になってしまうと、雨の日などに来客者の履物が汚れてしまう要因になります。また、玄関の中まで泥を引き込んでしまう要因にもなるので、日々のお掃除の労力にも大きな影響を与えます。
したがって、いつ人が通っても足元に影響を与えないよう、快適性・機能性を備えたアプローチにしておくのがおすすめです。玄関アプローチの工事にかかる費用は、どのような舗装をするのか、広さや長さなどが関係しますが、基本的には15~30万円程度が相場となります。
ポスト・表札・インターフォン
ECの利用率が高まっている昨今では、ポスト・表札・インターフォンの設置は最低限行っておくべき外構工事の一つとなっています。表札がない場合、荷物の配送をしてきた業者さんが迷ってしまう可能性がありますし、来客者もスムーズに家を見つけることが難しくなる可能性があります。
ポスト・表札・インターフォンについては、一体となっている製品も多いですし、工事にかかる費用も10万円以下など、安く抑えることも可能です。なお、通販をよく利用するという方であれば、宅配ボックスも一体となっているタイプを選んでおくのがおすすめです。
塀やフェンスで境界を明確にする
境界部分を明確にするための外構工事は、新築時に最低限やっておきたい工事の一つです。上で紹介した外構工事と比較すると、費用負担の面は大きくなりますが、家のセキュリティやプライバシー面を考えるとあった方が良いと言えます。
敷地の境界部分に塀やフェンスを設置しておけば、部外者が敷地内に侵入してくる可能性を低くすることができます。さらに、土地の境界を明確にして区切っておくという行為は、後々の近隣トラブルを防止するうえでも非常に効果的です。
注意が必要なのは、塀やフェンスの設置は外構工事の中でも高額な部類に入る点です。フェンスの設置の場合、製品や設置する長さによりますが、50~100万円程度はかかってしまうことでしょう。境界としてメジャーなブロック塀を使った工事の場合は、1メートルあたり2~3万円程度が相場なので、ブロック塀の方が安く抑えられるでしょう。
やって良かったと感じる方が多い外構工事
外構工事は、それなりの費用がかかってしまうこともあり、可能であれば「やりたくない」と考える人が多いです。ただ、外構工事の中には、そこで生活し始めた後に「設置してよかった(工事してよかった)」と多くの方が感じる物もあるのです。
ここで、「やって良かったと感じる外構工事」の代表例をご紹介します。
カーポートの設置
多くの方の想像よりも、実際に使ってみてその良さがわかる設備にカーポートがあります。カーポートは、柱と屋根だけで構成される設備で、駐車場の屋根として働いてくれるという設備になります。こう聞くと、あっても無くても良いのではないかと感じますが、実は非常に便利な設備なのです。
例えば、駐車場に屋根機能があれば、雨や雪など、悪天候時でも濡れずに乗り降りすることができます。特に、小さなお子様がいる大きな荷物があるなんて時には、カーポートのありがたさが良く分かるはずです。他にも、真夏の炎天下でも、カーポートが熱線を遮断してくれるため、車内が異常な高温になるのを防いでくれますし、鳥の糞や雹などの飛来物から愛車を守ってくれます。
さらに、カーポートの下は、雨の日でも洗濯物を干せる、夏場にビニールプールを出して子供を安全に遊ばせることができるなど、駐車場の機能性そのものを向上させてくれるのです。ガレージと比較すると、固定資産税などもかかりませんし、設置にかかる費用も割安なので、コスパが非常に良い外構設備の一つと言えます。
土間コンクリート
土間コンクリートは、地面をコンクリートで舗装する工事のことを指しています。新築時には、駐車・駐輪スペースやアプローチ部分に土間コンクリートを用いる方が多いです。
そして土間コンクリートは、悪天候時でも足元が汚れない、雑草などが繁殖するのを防止できる、耐久性が高いため駐車場の地面が長持ちするなどのメリットが得られ、こう言った面でやって良かったと感じる人が多いです。
地面をコンクリートで舗装しておけば、メンテナンスの手間や時間を省くことができますし、中長期的に見てもコスパが良いと思います。
まとめ
今回は、外構工事をやってない家について、なぜ外構工事をやらないご家庭があるのか、また外構工事をやらなかった時に考えられるデメリットなどについて解説しました。
記事内でご紹介したように、新築時に外構工事を行わなかったとしても日常生活自体は問題なく進めることが可能です。もちろん、雨の日に玄関などが汚れてしまう可能性がある、家の前を通る通行人の視線が気になることがあるなど、いくつかのデメリットはあるものの、生活ができなくなる…というほどの問題が生じる心配はありません。
そのため、新築時には建物部分に置開けをかけたいと考え、外構工事を「やらない!」という判断にする方も少なくないのです。しかし、外構工事をやらなかった家は、住んでみてていくつかの面で不満wの感じるケースもあるので、その点は注意しておきましょう。家づくりの際は、どこにどれだけのお金を変えれば良いのか、予算配分がなかなか難しい問題となるので、専門家のアドバイスを受けながら、慎重に決定すると良いです。