
新築注文住宅の建築を決め、自分たち家族の理想を叶えるための家の設計を打ち合わせしていくと、想像以上にお金がかかることが分かり予算オーバーに陥ってしまったというケースは非常に多いです。家の購入は、一生に一度のお買い物と言われていますし、可能な限り希望する機能などを詰め込み、理想の家にしたいと考えるはずです。しかし、あれこれと希望を追加していくと、そこにはどうしてもコストがかかってしまうことになるため、理想と現実にミスマッチが生じてしまい、悩んでしまうという方が多いのです。
特に昨今では、住宅価格の高騰が問題視されており、家を建てるための人件費や、家を構成する建材の値段が上昇していて、今まで以上に予算オーバーに陥ってしまいやすくなっています。さらにここにきて、住宅ローンの金利も徐々に上昇してきていて、理想の住宅と予算との兼ね合いが非常に難しくなっています。
注文住宅を計画して、予算が厳しくなってきたときには、理想と現実の両方を踏まえながら、妥協できる部分を見つけていく必要があります。しかし、予算内に収めるためとはいえ、闇雲に欲しいと思っている機能を削っていくのは危険と言わざるを得ないのです。例えば、予算調整のため、断熱性能などの住宅性能や、セキュリティーなどを削ってしまった場合、住んでみてから後悔する結果を招く恐れがあるのです。
そこでこの記事では、新築注文住宅を計画して、予算オーバーしてしまった場合、削るところと削らない方が良いと考えられる部分について解説します。
そもそも予算オーバーが起きてしまう理由とは?
それではまず、注文住宅の計画を立てていくとき、予算オーバーが起きてしまう主な要因について解説していきます。新築注文住宅の建築時は、「せっかく建てる家なのだから、可能な限り理想に近づけたい!」と誰もが考えるはずです。
しかし、以下のような事も考慮しておかないと、予算だけがどんどん嵩んでしまい、非現実的な計画になってしまう可能性があるのです。ここでは、予算オーバーが起きてしまう主な要因についてご紹介します。
①家づくりの基本知識がない
一つ目の理由は、家づくりに関する基本的な知識を何も持っていないというものです。注文住宅の計画を立てる際には、家づくりに関する基礎的な知識程度は身に着けておく必要があるのです。
もちろん、建材ごとの相場や機能など、詳細な知識までは必要ありませんが、基礎知識が足りない場合には、相場よりも高い金額で契約してしまう、高い金利のローンを選んでしまう、使えるはずの補助金を無視してしまうなど、自分で自分の首を絞める…という結果を招く恐れがあるのです。
家づくりは、ハウスメーカーや工務店の指示に従えば良いと考える人もいますが、全て丸投げするのではなく、自分達も事前に学んでコスト削減のためのアイデアを相談できるぐらいの知識は必要です。
②必要な情報を仕入れていない
①番に似ていますが、家づくり周りの情報収集を業者任せにしてしまう…という方は予算オーバーに陥りやすいです。
例えば、昨今の家づくりの現場では、いくつかの条件を満たすことで、国や自治体から補助金や助成金を受け取る事が出来るようになっています。当然、これらを利用すれば、機能を削らなくても予算オーバーを防げる可能性が高くなります。
補助金などの情報は、ネットで少し検索すればたくさん情報が出てくるので、補助金名をピックアップして業者側に利用できないか確認するぐらいはしましょう。
③優先順位を決めていない
注文住宅を建てる際には、自分たちが家に求める条件について、優先順位をあらかじめ決めておく必要があります。機能ごとに、「絶対に譲れない」⇒「できれば譲りたくない」⇒「妥協は可能」⇒「なくても構わない」など、優先順位を区分しておくと、後々の話し合いがスムーズに進みます。
優先順位が決まっていない場合、あれもこれも追加したいなど、どうしても欲が出てしまうことで、予算オーバーに陥りやすいのです。
④諸費用のことを考慮していない
これも①番の「基礎知識の不足」に関係します。注文住宅を建てる時にかかるコストは、「家そのものを建てるための工事費」だけではなく、諸費用と呼ばれるお金がかかってきます。
例えば、建物以外の工事にかかる費用(いわゆる付帯工事費用)や手続き関連を進めるための費用、土地の取得が必要なら土地代金など、さまざまなコストがかかってしまうのです。この費用のことを考慮せずに注文住宅の計画を進めていくと、最終的に大幅な予算オーバーとなり、「どこを削れば良いのか分からない…」といった状況に陥ってしまいやすいです。
家の建築以外に、どのような費用がかかるのかについては、事前に確認したうえで家そのものの計画を立てていきましょう。
予算オーバーした時、どこを削れば良いのか?
それではここから、新築注文住宅の建築計画を進めている時、予算オーバーに悩んでしまったという場合に「どこを削れば良いのか?」について解説していきます。もちろん、削るべき部分は、家に求める条件によって異なるため、「絶対に○○の予算を削ろう!」とは言えないのが実情です。ただ、「どこを削れるのか?」という視点で考えると、以下のようなポイント部分なら予算を浮かせることができるでしょう。
- 土地にかかる費用
- 施工業者に係わる費用
- 住宅ローン契約時の費用
- 建築費
- 外構部分の費用
それぞれのポイントについて、もう少し詳しくご紹介していきます。
土地にかかる費用を削る
まずは、土地にかかる費用を削るためのポイントについてです。注文住宅を建てる際、土地を所有していない方の場合は、まず土地を取得しなければいけません。そして、土地の取得に関して、以下のような費用が発生する土地を検討しているという方の場合、地盤などに問題がなく、そのまま家を建てられる土地を選ぶという対策で、土地にかかる費用を削ることができる可能性があるのです。例えば、以下のような感じです。
- 地盤改良が不要な土地を選ぶ⇒地盤改良費を削れる(地盤の状態によりますが30~200万円程度削れる)
- 古家解体が不要な土地を選ぶ⇒解体費用が削れる(解体費用は建物構造によって異なりますが、木造2階建ての場合100万円前後が削れる)
- 水道・ガス管引き込み工事について⇒距離や経路によって費用が変わりますが、水道で30万円程度、ガスで15万円程度削れる場合があります。
土地の取得費用については、上記のようなポイントに注意することで、大幅に費用を削ることができます。そのため、予算オーバーに陥った時には、土地選びの部分を見直してみると良いかもしれません。なお、土地にかかる費用をさらに削りたいなら、以下のような工夫を施すことで土地取得費用を削減できるかもしれません。
- 変形地(旗竿地、形状が三角など)を選ぶ
- 土地に求める希望条件(方角やエリア)を広げる
上記のように、土地に求める条件を緩和することができれば、土地取得費をさらに削ることができます。しかし、土地は、住んでからの利便性や快適性に大きな影響を与えるポイントであるため、価格だけに注目して安易に決めるのがあまりおすすめではありません。
業者選びで費用が変わる
二つ目は施工業者選びについてです。注文住宅の建築を依頼する業者については、1社だけに相談するのではなく、複数の業者から提案を受けるようにするのがおすすめです。時間や手間がかかってしまうかもしれませんが、これを行うかどうかで、最終的な費用に大きな差が生じてしまう可能性があるのです。
というのも、同じ内容の見積りを依頼した場合でも、業者によって提示してくる価格は異なる物なのです。場合によっては、数百万円単位で価格が違うケースもあるのです。したがって、家の建築を検討した時には、複数の業者に相談し、見積りの作成を依頼するようにしましょう。その際には、以下の点に注意しましょう。
- 見積り内容を変えない
- 外構費用まで含めて見積りを作ってもらう
複数の業者に相見積もりをしてもらう際には、「同じ内容」に対しての見積りを出してもらわないと意味がありません。見積りの内容が異なれば、価格に違いが生じるのは当然なので、比較検討のしようがなくなるのです。したがって、見積り依頼をする際には、自分たちの要望を箇条書きにして渡すなど、依頼内容が統一されるように心がけてください。
ちなみに、業者から提出された見積り内容の比較については「安ければ良い」というわけではないので、その辺りも注意しましょう。「提示された金額でどんな家が出来上がるのか?」をきちんと確認しておかないと、契約後にあれこれと追加工事が出て、結局予算をオーバーしてしまう、希望する性能の家にならなかった…などといった失敗に繋がる可能性があります。見積り比較については、断熱性や気密性、耐震性などの住宅性能を始めとして、アフターフォローの充実度などサービス内容を総合的に判断して、最も満足度が高いと思える業者を選ぶのがコツです。
住宅ローンに係わる費用を削る
家の購入は、多くの方が住宅ローンを組みます。注文住宅の新築の場合、約8割の方が住宅ローンを使用するとされています。そして、この住宅ローンについても、きちんと選ぶことで余計な費用を削ることができるのです。
住宅ローンは、さまざまな種類の商品、提供会社があり、契約時にかかる費用やローン金利などが金融機関によって異なるのです。したがって、家の購入にかかる費用を削りたいと考えた時には、住宅ローン選びに注目するのも一つの手です。例えば、住宅ローンは、金融機関を選ぶことで以下のような費用が変わります。
- 融資手数料・・・一律数万円~ローン総額×2%前後
- 保証料:0円~ローン総額×2%前後
上記のように、ローン契約時にかかる費用は、きちんと金融機関を選ぶことで大きな格差が生じるのです。例えば、保証料が0円の金融機関と、最も高い金融機関では、100万円前後の違いが生じます。この他、団体信用生命保険(10万円前後が相場)を住宅ローンに組み込める金融機関などもあり、手持ち資金に余裕がない方は、初期費用が抑えられる商品をきちんと探すのがおすすめです。
建築費用を削る
注文住宅の建築で予算オーバーに陥った時には、建築費の部分で予算を削っていくのが望ましいです。先程紹介したように、家に求める条件には、譲れないものとなくても良いと考える物があるはずです。したがって、基本的には優先順位の低い部分のコストを削ることで予算内に収まるように調整していくのが良いでしょう。
なお、建築費の部分に関しては、費用を削れる箇所が多岐にわたるので、ここではいくつかに分けてご紹介します。
面積や間取り、構造など
建築面積が少なくなれば、当然、建築費用は下がります。一般的な木造住宅の場合、1坪減らして間取りに変更を加えるだけで、60万円前後の費用が削れる可能性があります。
もちろん、理想とする間取りというものがあると思いますが、予算をオーバーしているのであれば、何らかを削らなければいけません。面積や間取りに関しては、廊下や収納、玄関ホールや家族の個室などを少し狭くするだけで、予算を調整できます。特に、家族の個室などについては、多少狭くなったとしても生活に支障がないケースも多いです。
構造部分の変更による費用の削減については少し注意が必要です。建物の構造部分は、安全性や住宅性能に関わる判断が必要なので、変更による影響やデメリットを施工業者に確認しながら実行するかどうかを決めましょう。ちなみに、建物の構造については、大きく分けると以下の3種類があるのですが、選択する物によって費用が大きく異なります。
- 木造:坪単価60万円~が相場
- 鉄骨造:坪単価80万円~が相場
- 鉄筋コンクリート造:坪単価100万円~が相場
つまり、もともと鉄筋コンクリート造の家を想定していた方の場合、木造に変更することで大幅に予算を削ることができるのです。
建物の外観(外装)
次は建物の外装部分の削減ポイントです。この部分も、新築計画に変更を加えることで大きく費用を削ることができます。例えば、以下のようなポイントに注目すると良いです。
- 建物の形状
L字など複雑な形状ならシンプルな形状にするだけで費用は安くなります。 - 屋根の形状
屋根も複雑な形状より、シンプルな形状の方が安くなります。また、使用する屋根材の種類も考慮しましょう。 - 外壁
外壁材の種類を見直すと費用を削減できます。 - 窓
窓の数を減らず、シンプルな形状にする、窓を小さくするなど
建物の外観や外装については、「性能は落とさない」ということに注意して、形状や数などを工夫すると良いです。ただ、外壁塗装などについては、グレードを下げて初期費用を抑えた場合、リフォームサイクルが短くなるため、初期費用が抑えられてもランニングコストが高くなります。また、性能が低い建材を選ぶと、コストは抑えられても家の快適性が下がってしまう、冷暖房効率が悪くなることで光熱費が高くなるなどの問題が生じる可能性があるので注意しましょう。
住宅設備
住宅設備も、設置する製品のグレードによって費用が大きく変わるため、予算オーバーした時には、この部分で調整することが可能です。例えば、以下のような点を確認してみましょう。
- キッチン、バス、洗面台
オーダーを取りやめ、既製品の中から選ぶ。また設置するキッチンは、標準的なサイズ、グレードのものにする。(型落ち品を選ぶとさらに低コストに) - トイレ
標準的な製品を選ぶ。もしくは、タンクレストイレなどを選び、トイレの面積を小さくする。 - 給湯器
給湯器の種類やグレードの変更。もしくは、補助金の利用による費用削減を目指す。補助金は使えないが、型落ち品を選ぶのもコスト削減につながります。
住宅設備のグレードを下げると、便利機能が少なくなったり、耐久性が低くなったりするという問題が生じる可能性があります。したがって、「どのような使い方をしたいのか?」などもよく考え、本当に住宅設備の変更によるコスト削減が望ましいか慎重に検討しましょう。
グレードや種類を変えることで、数十万円単位のコスト削減が可能です。
外構費用を削る
外構費用とは、敷地の中で住宅本体以外の工事にかかる費用のことを指しています。そして、この部分にかかる費用についても、ちょっとした工夫や変更を加えることで、大幅に費用を削減できる可能性があります。
外構部分の工事については、庭や駐車場、玄関アプローチや隣地境界に設置する塀や植栽などの工事があります。この部分の費用を削減するには、以下のような点に注目すると良いです。
- 庭について
整地程度に収めてもらい、完成後に自分で庭を造成する - 駐車場
ガレージでなくカーポートを設置する、もしくは屋根機能を無くす。舗装もコンクリートでなく、砂利敷きにする - 玄関アプローチ
簡易的な舗装にする、門柱のグレードを落とすなど
外構部分は、家全体の外観デザインに大きな影響を与えますが、「住む」ことだけを考えると、コストを調整するための場所として利用しやすいです。上記以外にも、塀を低くする、門扉を設置しないなどの対応をとっても、後からどうとでもできるので、新築時はコストをおさえておき、お金に余裕ができてから調整するというのも良いかもしれません。
予算オーバーでも削るべきでないところ
新築注文住宅を建てる際には、「予算が厳しい…」となった場合でも、削るべきではないところがあります。以下に紹介するような部分の費用を削ると、安全性や快適性などが著しく下がってしまう恐れがあります。
断熱性能や耐震性能
断熱性や耐震性など、そこに住む人の安全や快適性に大きな影響を与える、住宅そのものの性能は削るべきではありません。
この部分を削ってしまうと、夏場や冬場の快適性が著しく悪くなる、冷暖房コストが高くなるなどの問題が生じます。また、地震の発生件数が多い日本では、耐震性能が非常に重要で、この部分の費用を削ると、不安を抱えながらの生活になってしまいます。
家の購入は、「一生を過ごすため」に購入するわけなので、そこに住む人が快適に生活できるだけの性能は確保しましょう。
※2025年4月からは原則としてすべての新築建築物に省エネ基準の適合が義務化されているので、無理なコストダウンは元々できません。
外壁や屋根
外壁部分は、上で紹介したように、コスト調整をすることができる場所でもあります。しかし、中長期的な視点でコスト比較をすると、この部分の予算は削るべきではないと言えます。
外壁や屋根に採用する建材については、できるだけ品質の良い資材を選ぶことがおすすめです。安価な外壁材・屋根材は、汚れなどがつきやすく、また劣化が早く進む傾向にあるため、メンテナンススパンが短くなってしまうのです。そのため、住んでからの維持管理に費用がかかりすぎてしまうことになり、長期的な視点で考えると、高性能な建材を選んだ方がお得になるのです。
窓のグレード
窓についても、予算オーバーした時にはコスト調整が可能な部分と紹介しました。ただ、窓によるコスト調整は、数や大きさによって行い、窓そのもののグレードは下げないようにするのがおすすめです。
窓を安価なものにすると、断熱性や防音性、防犯性が下がる可能性があります。したがって、窓は、希望する性能に合わせて、高グレードの製品を選ぶのがおすすめです。
セキュリティ
防犯面については、そこに住む人の安全性に関わる問題なので、ここにはコストをかけた方が良いです。特に、小さなお子様がいるご家庭の場合、セキュリティ面は大切にしたいポイントになります。
防犯カメラや防犯ガラス、窓シャッターにモニター付きインターホンなど、どのようなセキュリティが必要なのかを家族でしっかりと話し合い、お金をかけるべきところにはかけていきましょう。家族全員が安心して暮らせる住宅にすることを優先すべきです。
自分たちが譲れないところ
最後は、家の建築を計画しているそれぞれのご家庭が、「ここは譲れない」と考えている優先順位が高いポイントです。もちろん、ご家庭ごとに譲れないと考えているポイントが異なると思うのですが、理想とする住宅を作るために最も重要なポイントになるはずなので、その部分は絶対に予算を削らないようにしましょう。
注文住宅は、建てる方の理想やこだわりを形にできることが最大の魅力な訳ですし、優先順位が高いポイントについては、しっかりとお金がかけられるように、他の部分でコスト削減を目指すと良いです。
まとめ
今回は、新築注文住宅の建築計画を進めている時、予算がオーバーした時にはどこを削れば良いのか、また予算を削るべきではない部分について解説しました。
注文住宅を建てる際には、あれこれと自分たちの希望をドンドン詰め込んでいくうちに、気付いたら大幅に予算をオーバーしてしまっていた…ということが珍しくありません。もちろん、一生に一度のお買い物となるため、可能な限り理想に近い家にしたいと考えるのは当然です。しかし、家を建てるために出せるお金にはどうしても限界があるため、全てを理想通りに計画するということはなかなか難しいものなのです。
記事内では、注文住宅の新築計画で予算オーバーに陥ってしまった時、どういった考えて予算を削っていけば良いのかを紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。悠建設では、お客様が理想とする家を、予算内で作り上げるため、さまざまなご提案を行っています。補助金の活用をお考えの場合、申請代行なども行っていますので、お気軽にご相談ください。
