新築一戸建てを購入する際には、新居への引っ越しに合わせて、大型家具や家電の買い替えも同時に行う方が多いです。マンションなどの集合住宅で生活していた方であれば、もともと使っていた家具・家電の大きさが合わない…なんてケースも多いですし、家の中のデザインに統一感を持たせたいと考えて新居に合う家具や家電に買い替えするというケースが多いとされているのです。
そして、新居への引っ越しに合わせて家電を購入する際に迷ってしまうポイントとして、「洗濯機と乾燥機は別々の方が良いのかな?」「そもそも乾燥機は必要なのか?」「洗濯と乾燥機能が一体となっている製品が良いのか?」などがあります。
まず、乾燥機が必要かどうかについては、昨今では過半数のご家庭が乾燥機を導入するようになっているというデータがあります。2021年に内閣府が行った調査では、自宅に乾燥機があると答えた家庭が50%を超えているとされ、その導入理由は「家事の時短効果が期待できる!」「花粉症やアレルギー対策に効果的」などと考え、乾燥機の導入を決断する方が多くなっているのだそうです。
ただ、乾燥機については、洗濯機と別々に用意するという選択肢と、洗濯と乾燥機能が一体型になっている製品を購入するという二つの選択肢が存在し、どちらが良いのかで迷ってしまう人が多いとされています。そこでこの記事では、洗濯機と乾燥機について、別々に購入する、一体型を購入するパターンそれぞれのメリット・デメリットを解説します。
洗濯機と乾燥機を別々に用意するメリット
それではまず、洗濯機と乾燥機について、それぞれ独立した機能を持つ家電を別々に購入する時のメリットについて解説します。
各機能が高レベルで発揮できる
洗濯機と乾燥機をそれぞれ別に用意すれば、役割が明確になるため、各機能が高レベルに発揮できることが期待出来ます。
例えば、洗濯機単体で見てみると、乾燥機と一体型になっている製品と比較した場合、洗浄力が高く、洗濯モードのバリエーションが多い傾向にあるとされています。洗濯機は、現在でも開発合戦が行われていることもあり、年々その機能は向上しているとされ、最新モデルの製品は、衣服の汚れを落とすことはもちろん、素材や色に合わせた洗濯ができるようになっています。
また、乾燥機能の面に関しても、一体型の製品と比較した場合、乾燥のパワーが強く、乾燥にかかる時間を短縮することができるとされています。一体型の洗濯乾燥機では、生乾きに悩む…なんてケースが多いとされていますが、乾燥機単体の場合、乾き残しを防げるとされています。さらに、乾燥機にもさまざまな機能が搭載されるようになっていて、乾燥の後にアイロンがけをしなくても良いモード、ふんわりと乾かしてくれるモードなど、衣類に合わせた乾燥機能が用意されている点もメリットです。
乾燥と洗濯を同時にできる
家族の人数が多く、洗濯回数が多いというご家庭の場合、洗濯機と乾燥機が別々に存在するのは非常に便利です。各家電を同時進行させることができるようになるため、洗濯という時間のかかる家事を時短できるようになります。また、お子様の衣服は部活などで汚れが多く付着していることもありますし、親世代の衣服と別々に洗濯しても、大した手間にならない点も大きな利点になるでしょう。
洗濯機と乾燥機が別々にあれば、一回目の洗濯物を乾燥機にかけている間に、2回目の洗濯をすることが可能です。そのため、デリケートな素材を採用した衣服のみを別々に洗濯するということも簡単にできます。
実は、洗濯機と乾燥機が別々にある場合、一体型の洗濯乾燥機と比較するとかなりの時短効果が得られるとされます。例えば、別々の洗濯機と乾燥機を使い、2回洗濯するケースでは乾燥までが約4時間程度で完了するとされています。しかし、一体型の洗濯乾燥機は、1回の洗濯と乾燥だけで、4~6時間かかるとされているのです。忙しい方にとっては、この時短効果は非常にありがたい存在となるはずです。
時短やまとめ洗いによる省エネ効果が期待できる
洗濯機と乾燥機が別々に存在する場合、それぞれ高いパワーを発揮させることができるため、まとめ洗い・まとめ乾燥に対応することが可能です。また、乾燥時間なども一体型と比較すると短くて済むとご紹介しましたね。
当然のことながら、洗濯回数が増えれば、それだけ洗濯機と乾燥機を利用する際の光熱費がかかってしまいます。一体型の洗濯乾燥機の場合、独立した製品よりも容量が小さくなりますし、それぞれの機能のパワーが弱くなるため、洗濯・乾燥にかかる時間が長くなってしまいます。
洗濯機と乾燥機を別々に用意すれば、各々の役割がシンプルである分、各機能が効率的に動作するため、まとめ洗い・まとめ乾燥に対応できるうえ、洗濯・乾燥にかかる時間も短縮することが可能なのです。その結果、洗濯という家事にかかるコストを抑えることも可能です。
故障時のリスクが少ない
洗濯機と乾燥機を別々に用意していれば、万一の故障時のリスクが少なくなるという点もメリットと言えます。こう聞くと、一体型の洗濯乾燥機と故障時のリスクは変わらないのではないか…と感じてしまいますが、そうではありません。
洗濯機と乾燥機が別々にあれば、どちらかの製品が故障した場合、故障した方のみを買い替えれば済みます。しかし、一体型の洗濯乾燥機の場合、「どちらか一方の機能が故障する」という概念がないと考えなければならないのです。例えば、一体型の製品で乾燥機能のみ壊れたというケースでも、洗濯機能も搭載された製品を購入しなければならないのです。当然この場合、洗濯機能分のコストがもったいないと感じてしまいますよね。
別々の家電として利用していれば、洗濯機が壊れたら洗濯機を、乾燥機が壊れたら乾燥機を買うという対策で済みます。当然、独立した製品よりも一体型の製品の方が販売価格が高いですし、中長期的に見た場合には、別々に用意したほうがコストを安く抑えられるとされているのです。
洗濯機と乾燥機を別々に用意するデメリット
一体型の洗濯乾燥機ではなく、それぞれの機能を持つ家電を別々に用意するのには、上記のようにさまざまなメリットが存在します。ただ、メリットばかりが存在するのではなく、デメリット面も当然あるので、以下の点は注意しなければいけません。
イニシャルコストが高くなる
一つ目のデメリットは、新居への引っ越しに合わせて家電を購入する際のイニシャルコストが高くなってしまう点です。
洗濯機や乾燥機の値段については、製品グレードなどによって変わるものの、一般的には、一体型で15~35万円が目安とされています。一方、洗濯機と乾燥機を別々に購入する場合、それなりのグレードの物を購入すると、20~50万円程度かかるとされています。
洗濯機と乾燥機は、一体型にした方がコンパクトな形状になりますし、材料費の部分でコストを抑えられるという面があります。したがって、別々に用意する場合と比較すると、一体型の方がイニシャルコストを抑えられるのです。
設置場所をとる
これは分かりやすいデメリットですね。洗濯機と乾燥機を別々に用意する場合、大型の家電を2つ設置するためのスペースが必要になるため、ある程度縦横のスペースを確保しなければいけません。一体型の洗濯乾燥機は、別々に用意する場合と比較すると、かなりコンパクトに収まるため、この点は明確なデメリットになると言えるでしょう。
新築時なら「スペースの確保は問題にならないのでは?」と考える人もいますが、大型家電を二つも設置するためには、かなり広いランドリールームを用意しなければいけません。つまり、洗濯機と乾燥機を設置するために、他の部屋の間取りが圧迫されてしまうことになるのです。
もちろん、洗濯機と乾燥機を横に並べるのではなく、上下に設置するなど、スペースの問題を解消する工夫はいくつかありますが、その場合でも他の弊害が生じてしまいます。設置場所の問題は、一体型と比較した時には、どうしても解消しにくい点に注意しましょう。
洗濯の手間が増える
一体型でなく、洗濯機と乾燥機を別々に用意する場合の最大のデメリットは、洗濯という家事の手間が増える点です。洗濯にかかる時間そのものは短縮できる可能性があるものの、洗濯機と乾燥機が別々に用意されている場合、洗濯物を乾燥機に移すという作業がどうしても増えてしまうのです。
例えば、一体型の洗濯乾燥機の場合、機械に洗濯物を入れ、正しい設定条件で稼働させれば、外出中や就寝中に乾燥までの工程をノンストップで完了させることができます。しかし、洗濯機と乾燥機が別々の場合は、洗濯の工程完了後に、人為的に乾燥機に移さなければ乾燥までの工程が完了できないのです。
したがって、深夜の料金単価が安い電力を利用して洗濯と乾燥を済ませる、仕事などで外出している間に洗濯を済ませるといった使い方ができなくなるという点が大きなデメリットになります。
一体型の洗濯乾燥機を利用するメリット
それでは次に、洗濯機能と乾燥機能が一体となった洗濯乾燥機を利用するメリットについて解説しましょう。一体型の洗濯乾燥機は、家族の人数が少なく、日々の洗濯回数がそこまで多くないというご家庭の場合にオススメとされています。
洗濯機と乾燥機を別々に用意するのではなく、一体となった製品を利用する場合のメリットは、以下のような点があげられます。
洗濯から乾燥までワンストップで進む
一体型の洗濯乾燥機を利用する最大のメリットは、洗濯の手間が削減できる点です。先ほどご紹介したように、一体型の洗濯乾燥機の場合、洗濯・乾燥にかかる時間は長くなってしまいがちです。これは、二つの機能を一つの設備に詰め込んでいることから、それぞれの機能が少し弱くなってしまうのが要因と言われています。
しかし、洗濯乾燥機の場合、洗濯物を機械の中に入れ、スタートボタンを押せば、乾燥まで一気に完了させることができるのです。深夜の寝ている時に、洗濯をスタートさせれば、朝起きた時に洗濯が完了しているという状態が作れますし、時間がかかるというデメリットを解消することも不可能ではありません。
洗濯乾燥機が動いている間は、基本的に放置で良いため、洗濯中に他の家事を進めるとができる点は非常に魅力的でしょう。
設置スペースが少なくて済む
一体型の洗濯乾燥機は、洗濯機と乾燥機を一つの家電にまとめた製品となります。同じ容量の単体の洗濯機と比較すると、少し大きくなるものの、洗濯機と乾燥機、二つの設備を設置する場合と比較すれば、かなりの省スペースを実現することができます。
新築時に、広いランドリースペースを確保することが難しい…なんてケースでは、コンパクトに収まる洗濯乾燥機は非常に便利です。
ドラム式なら節水効果が期待できる
一体型の洗濯乾燥機と聞くと、多くの方はドラム式の製品をイメージするのではないでしょうか?実際に、人気のある製品はドラム式なので、このタイプが多いと思います。
ドラム式の洗濯機が増えているのは、見た目がスタイリッシュで見栄えが良いという点があげられます。一般的な洗濯機は、四角い大きな箱のような見た目で、決して見栄えが良いとは言えません。そのため、新築時に洗濯機を購入する際には、多くの方がドラム式を希望するのです。
そして実は、ドラム式の洗濯機、洗濯乾燥機は、見栄えが良いだけがメリットではないのです。ドラム式の製品は、洗濯する際に衣類を上から下に落とす「たたき洗い」ができるのが特徴で、縦型の洗濯機と比較すると、洗濯時に使用する水量が少なくなります。したがって、洗濯乾燥機を選ぶ場合は、ほとんどがドラム式なので、意識しなくても節水効果が期待できる点がメリットと言えます。
一体型の洗濯乾燥機を利用するデメリット
それでは、一体型の洗濯乾燥機に存在するデメリット面についてもご紹介します。洗濯と乾燥がワンストップで出来る製品が登場してかなりの時間が経過しているのですが、現在でも一体型を利用していない人は少なくありません。
それでは、一体型の洗濯乾燥機を利用しない人が考えるデメリット面とは何があるのでしょうか?
乾燥容量が少ない
一体型の洗濯乾燥機は、洗濯と乾燥機能について、それぞれの許容範囲が決められています。そして、洗濯と乾燥では、乾燥の許容範囲がかなり少なく、一般的に洗濯の許容範囲の半分程度しかないと言えます。
つまり、12kgの洗濯容量を持つ一体型の洗濯乾燥機でも、乾燥までワンストップで進めたい時には、6kgの容量におさえる必要があるのです。したがって、家族の人数が多く、まとめ洗いしたいと思っても、乾燥容量が要因となり一度で洗濯を完了させることができない可能性があります。洗濯回数が増えれば、それだけ光熱費もかかってしまうことになるので、大きなデメリットといえるでしょう。
乾燥のパワーが弱い
一体型の洗濯乾燥機は、乾燥機能のパワーが弱く、十分に乾燥させるまでに時間がどうしてもかかります。一体型の洗濯乾燥機を利用している方の中には、乾燥機能が完了したのに生乾きの状態が多い…と悩んでいる人も多いかもしれませんね。
この問題については、「乾燥時間を長くすれば良い」という解決方法があるのですが、洗濯物の量が多い時には、非常に困ってしまいます。洗濯機と乾燥機が別々になっているものなら、乾燥機にかけている間に洗濯機を回すといった使い方ができますが、一体型の場合、乾燥の工程が完了しなければ次の洗濯を始められないのです。先ほどご紹介したように、洗濯乾燥機の場合、全ての工程が完了するまで、最長で6時間程度かかってしまうので、複数回洗濯しなければならない…なんて時には非常に困ってしまいます。
なお、一体型の洗濯乾燥機の場合、厚手の洗濯物は乾燥機にかけず、自然乾燥させるのがおすすめです。乾燥までにかなりに時間がかかってしまうため、光熱費的にも大きな落とし穴になってしまいます。一体型の製品を利用する場合は、乾燥機能を使う洗濯物と乾燥はかけない洗濯物を振り分けた方が生乾きを防げますし、光熱費も削減できます。
どちらかが壊れると買い替えなければならない
これは、洗濯機と乾燥機を別々に用意した時のメリットでもご紹介しているのですが、一体型の洗濯乾燥機は、どちらかの機能が故障した場合、片一方の機能が生きていたとしても買い替えなければならない点が大きなデメリットになります。
一体型の宿命とも言えるデメリットなので、この点は注意したほうが良いです。
機能が複雑な分、耐用年数が短くなりがち
一体型の洗濯乾燥機は、洗濯と乾燥という2つの機能が合わさっているため、別々の物と比較すると内部構造が複雑になっています。そして、内部構造が複雑であることが要因で、単機能型の洗濯機、乾燥機と比較すると、寿命が短くなりがちとされているのです。
例えば、国内の洗濯機の寿命に関しては、政府が行っている消費動向調査のデータで約10年程度とされています。しかしその一方、一体型のドラム式洗濯乾燥機は、平均使用年数が約7年から10年とされており、少し短くなっているようなのです。実際に、ドラム式洗濯乾燥機の場合、メーカーの部品保有年数が6年とされているなど、通常の家電と比較しても短めの設定と言わざるを得ません。
もちろん、洗濯機など、使用頻度の高い家電に関しては、日頃の使い方によって寿命が大きく変わるため、一体型の方が確実に早く壊れるとは言いません。しかし、構造が複雑になる、異なる機能が同一機械内で働くという特性上、どうしても寿命が短くなる可能性があるとは言えるでしょう。
まとめ
今回は、新築時の家電の買い替えで迷ってしまう方が多い洗濯機と乾燥機の疑問について解説しました。記事内でご紹介しているように、昨今では、自宅に乾燥機を導入しているというご家庭が過半数を超えており、乾燥機は設置して当然の設備と考えられるようになっています。
ただ、洗濯機や乾燥機の購入を考えて、家電量販店に足を運んでみた時には、洗濯と乾燥機能が別々になったそれぞれの製品が合ったり、どちらの機能も一台でこなせる洗濯乾燥機があるため、どっちを購入すれば良いのかで迷ってしまう方が意外に多いのです。もちろん、ランドリースペースの問題もあるため、どちらか一方が誰にでもおすすめできる選択肢とは言えないのが実情です。
現在、洗濯機・乾燥機を別々に用意するのか、一体型を購入するのかで迷っているという方がいれば、記事内でご紹介したメリット・デメリットを参考に、自分たちに合う家電を選ぶと良いでしょう。