
自宅の収納力が不足していると感じる方の場合、屋外に物置の設置を検討するのではないでしょうか?置き型の物置は、ホームセンターなどで購入することができる時代になっていますし、家族の人数が増えたことで収納力が足らなくなった…など、後から自宅への設置を検討することも可能です。
そして、屋外設置型の物置に関しては、新築の注文住宅を建てる時、最初から設置を検討する方も多くなっています。これは、屋外に大型の物置を設置すれば、宅内の収納力を減らすことができるようになるため、居住のためのスペースとして活用することができるからです。しかし、大型の物置の設置に関しては、法的な問題が立ちはだかるのではないか…など、いくつか気になるポイントがあるのも事実だと思います。
そこでこの記事では、自宅に屋外設置型の大型物置の導入を考えている方に向け、大型物置を設置するメリットとデメリット、また導入前に多く方が気になってしまうポイントについて解説していきます。
倉庫と物置の違いについて
自宅の収納力を拡大する方法については、置き型の物置を設置するという方法以外に、倉庫を作るという方法も考えられます。一般住宅において、宅内以外の収納スペースについては、「物置=倉庫」と言った感じでイメージしている方も多いのですが、実は倉庫と物置は別物として扱われるものなのです。
そこでまず、倉庫と物置の主な違いについて簡単にご紹介します。
倉庫と物置は「目的と規模」が異なる
結論から言ってしまいますが、倉庫と物置は、その規模や設置する目的が異なります。一般的に、企業が事業として物品を保管するための建物のことを「倉庫」と呼び、物置に関しては、一般家庭や小規模事業者が使用する小型の収納設備のことを指しているのです。物置は、普段の生活の中で頻繁に使用するわけではない物品を一時的に収納しておくための小型の小屋を指しており、倉庫よりもかなり規模が小さくなります。
そのため、設置時の建築確認申請の必要性や、設置後の税金の取り扱いなども変わります。ここでは、倉庫と物置について、それぞれの特徴を簡単にご紹介するので、おさえておきましょう。
倉庫とは?
倉庫は、企業や工場、物流センターなどで使用される大型の建築物で、事業用として物品の保管、貯蔵をする場所です。最近では、流通加工についても倉庫内で行われることが想定されるようになっていて、建物の中で人が作業することを想定しているなど、大型の施設となります。施設規模によっては、耐火構造や消防設備の導入など、法律によって安全対策などに関する定めも設けられています。
なお、法律的な位置付けで考えても、倉庫の場合は建築基準法上の「特殊建築物」に該当するケースが多いです。そのため、倉庫の設置には厳格な建築確認申請が必要とされますし、設置後は固定資産税の課税対象にもなります。この他、倉庫業法の対象となる施設の場合、許可や登録なども必要です。
物置とは?
次は、物置ですが、これは一般家庭や小規模事業者などが使用する小型の収納設備のことを指していて、普段頻繁に使用することがない物品を一時的に保管するための場所となります。一般住宅では、庭や敷地内に簡単に設置することができ、工具や園芸用品など屋外で使用する物品や、特定の季節にしか使用しない雑貨など、宅内で保管するのでは少し邪魔に感じてしまうような物品の保管がメインとなります。
また、倉庫とは異なり、小型〜中型の規模で、中で人が継続的に作業することを想定していないことも倉庫との大きな違いになります。また、法律的な扱いについても、一定の条件(床面積が10㎡以下など)を満たせば、設置の際も建築確認申請が不要となる、固定資産税の課税対象から外れるといった点も大きな違いです。ちなみに、物置でも、大型のタイプや基礎で地面に固定される場合は、法的には「建物」という扱いになり確認申請や固定資産税の対象に入ります。
上記のように、多くの方が「倉庫=物置」と考えているものの、この二つの設備は大きな違いがあります。一般家庭で収納スペースの拡大を目的に設置されるのは、基本的に「物置」となるでしょう。
屋外に大型の物置を設置するメリット
それでは、実際に自宅の庭などに、物置を導入したいと考えている方に向け、物置の中でも大型タイプを設置することで得られるメリットについて解説していきます。
一口に物置と言っても、さまざまな種類の製品が販売されています。一般的に、物置が大きくなるほど商品価格や施工費が高くなるのですが、「どうせ設置するのであれば大型の製品が良い!」と考える人は多いです。ちなみに、物置の大きさについては、以下のように3つのタイプに分けることができます。
- 小型物置
小型タイプは、「幅100〜150cm × 奥行き40〜90cm × 高さ100〜190cm」が大きさの目安となります。軒先やベランダなどにも設置可能な大きさで、小型の工具や園芸用品、一時的なゴミ置き場などとして用いられます。 - 中型物置
中型タイプは、「幅150〜260cm × 奥行き90〜220cm × 高さ190〜210cm」が大きさの目安となります。庭や駐車場の片隅に設置されるケースが多いです。小型タイプと比較すると、奥行や天井高が確保されているので、スノーボードやテントなど、大型のアウトドア用品なども保管可能です。 - 大型物置
大型タイプは、「幅220〜440cm × 奥行き150〜300cm × 高さ210〜250cm」が目安と、かなりの大きさとなります。ここまでの大きさとなると、確認申請や固定資産税の取り扱いについては、倉庫と同等レベルとなる可能性があります。保管品に関しては、園芸用品やアウトドア用品以外にも、自転車やバイクなど、大型の物品を保管できます。
ここでは、さまざまある物置の中でも、大型タイプを選ぶメリットについて解説します。
メリット1 大きな収納力を確保できる
大型物置は、上で紹介した目安となるサイズを見て分かるように、抜群の収納力を持っています。この収納のためのスペースを屋外に用意することができるというのは、想像以上に大きなメリットがあります。
例えば、屋外収納が確保できていない場合、スノーボードやテントなどのアウトドア用品を片付ける場所に困ってしまう場合が多いです。アウトドア関連の趣味を持つ方の場合、シーズンアイテムを保管するための場所として「1部屋潰れてしまう…」となるケースも少なくないのです。アウトドア関連の用品は、一つ一つが大きいものが多いですし、外で使うという特性上、他の衣服などと一緒にクローゼットに保管するわけにはいかないので、片付け場所に困ってしまうのです。
屋外に大型物置を設置すれば、こういったアイテムをまとめて保管することができるようになるため、家の中もすっきりと片付けられるようになり、家族の生活のためのスペースも余裕を持って用意することができるようになるのです。
メリット2 大きい・長いものでも保管できる
物置を設置する際、小型や中型物置ではなく、「大型」タイプを選んでおけば、その他の物置では保管することが難しい、長さのある物や大きな物を保管することができるようになるのです。
例えば、サーフボードやスノーボード、釣り竿などに関しては、小型の物置では入れることができません。ゴルフバック程度であれば保管可能かもしれませんが、大きな物をいれると、他のものが何も入れられなくなるなど、物置の収納スペースをうまく使えなくなることもあるのです。
これが、大型タイプの物置であれば、内部に広いスペースが確保されているだけでなく、間口も大きいため、長さのある物でも出し入れしやすく、綺麗に片付けることが可能です。この他、バイクや自転車などを安全に保管する場所としても有効利用できるというメリットがあります。
メリット3 幅広い用途で使える
大型タイプの物置は、当然、「広い収納スペースを確保する」ということを目的に設置する方がほとんどです。シーズンアイテムや趣味のための用品、防災グッズなど、普段頻繁に使うわけではない物品を、生活スペースを圧迫することなく安全に保管することができるようになるのです。
ただ、大型タイプの物置は、単なる収納スペースとしてだけ利用できるわけではないという大きな魅力があるのです。物置内は広いスペースとなるため、趣味のためのスペースや作業場所としても活用することができます。また、バイクを駐車する、メンテナンスやカスタマイズするための場所として利用するなど、さまざまな用途として利用することができるのです。
趣味や作業の内容によっては、ニオイや騒音で家族に迷惑をかける可能性などがありますし、屋外に自分だけのためのスペースを確保するという意味でも、魅力的な設備になるのではないでしょうか。
屋外に大型の物置を設置するデメリット
屋外に設置する大型物置には、上記のようなメリットが存在します。しかしその一方、いくつか注意しておかないといけないデメリットが存在するので、以下に紹介するポイントもおさえておきましょう。
デメリット1 庭スペースが圧迫される(置けない場合もある)
一つ目のデメリットは、大型物置の設置によって、かなり広いスペースがつぶれてしまうという点です。
もともと、ガーデニングなどを楽しみたいと考えて庭付き一戸建てを選んだ方の場合、設置する物置の大きさによって、その希望を叶えるためのスペースが圧迫されてしまう可能性があるのです。先程紹介した通り、大型の物置は、かなりのサイズになるため、それを置けるだけのスペースを確保しなくてはいけません。ある程度スペースに余裕のある庭であれば、大型物置の設置も可能かもしれませんが、最悪の場合、物置を設置したせいで、本来考えていた庭の使い方ができなくなることもあるので、注意しましょう。
庭のスペースによっては、大型タイプの設置が難しい場合もあるので、その時には中型以下の物置でも大丈夫なのか確認してみましょう。
デメリット2 コストがかかる
二つ目のデメリットは、その他の大きさの物置を導入する場合と比較すると、大型タイプの導入はコストがかかる点です。例えば、物置のサイズとして「小型」「中型」「大型」とあるのですが、それぞれの製品を購入する場合の費用相場は以下のような感じになります。
- 小型物置(1坪未満)の製品価格相場:約5~14万円
- 中型物置(1〜2坪)の製品価格相場:約12万〜30万円
- 大型物置(2坪以上)の製品価格相場:約20万〜60万円以上
上記のように、物置の価格は、サイズが大きくなるほど高くなっていきます。大型物置は、種類によって製品だけで50万円前後もかかるケースがあるのです。さらに、物置の設置にかかる作業費についても、物置の大きさによって変わります。大型物置を設置する場合、地震や台風などによる転倒を防ぐため、しっかりとした専門業者による基礎工事が求められるケースがほとんどです。そのため、本体価格以外に、設置工事にそれなりの費用が掛かってしまうことになり、導入コスト全体で考えると、小型や中型よりもかなり高くなります。
デメリット3 設置のための手間が増える
物置の中でも、大型の物置を設置する場合には、事前の建築確認申請が必要とされるケースがあるのです。建築確認申請は、建築予定の建築物が、各種法令の基準などに適合しているのか、審査してもらう手続きのことを指しています。新築時に物置を設置する場合は、その他の部分と一緒に対処してもらえるので気にする必要はありませんが、後から物置を設置する場合、条件によっては、この手続きが必要となるのです。
建築確認申請が必要かどうかは、以下の条件を満たしているかどうかで決まります。
- 床面積が10㎡を超えること
- 建築する地域が防火地域、もしくは準防火地域であること
大型タイプの物置は、床面積が10㎡を超えるような製品も多いですし、このタイプの製品を設置する場合は、申請手続きに手間がかかります。小型や中型の物置の場合、この部分はほぼ気にしなくても良いため、大型物置を設置するデメリットと言えるでしょう。
デメリット4 固定資産税が課せられる可能性がある
大型物置に関しては、固定資産税の課税対象になるケースもあるので注意しましょう。この点については、後述します。
自宅に大型物置を設置する場合の疑問点
それでは最後に、自宅の収納力を高めるため、屋外に大型の物置の設置を検討した時、多くの方が疑問に思ってしまうポイントについてもご紹介します。
固定資産税はかかるのか?
屋外に物置を設置する場合、固定資産税の課税対象に入るのかが気になるという方が多いと思います。固定資産税の課税対象になるのかどうかは、「(1)外気分断性」「(2)土地への定着性」「(3)用途性」の3つの条件をすべて満たしているかどうかが関係します。それぞれが何を意味するのかは以下の通りです。
- 外気分断性
屋根があり、かつ三方が壁などで囲まれているなど、風雨などから人や物を十分に保護する能力を備えているか否か。 - 土地への定着性
建物が土地に固着しているか否かです。基礎工事などにより、土地にしっかりと固定され、容易に移動できない状態が「定着性がある」と判断されます。 - 用途性
建造物が家屋本来の目的(居住・作業・貯蔵等)を有し、その目的とする用途に供し得る一定の利用空間が形成されていることをいいます。
物置に関しては、外気分断性と用途性について、ほとんどの製品が満たしていると言えます。そのため、固定資産税の課税対象になるのかどうかは、土地への定着性があるかどうかで判断されます。例えば、以下のような設置方法を選んだ場合、固定資産税の課税対象に入ります。
- 安定的な物置の設置を実現するため、基礎工事を行った
- 基礎と物置がアンカーボルトなどでしっかりと固定されている
上記のような設置が実施された場合、その物置は固定資産税の課税対象となります。逆に言うと、地面にコンクリートブロックなどを配置し、その上に物置を単に置いただけというケースであれば、定着性があるとはみなされず、固定資産税の課税対象にはならない可能性が高いです。
ただ、大型の物置の場合、台風や地震などによって、移動・転倒した場合、その被害が大きくなってしまいます。そのため、設置時には、しっかりとした基礎工事の実施が推奨されるため、ほとんどの場合で、固定資産税の課税対象に含まれてしまうと考えた方が良いです。
どこに設置しても良いのか?
物置の設置を検討した時には、「どこに設置すれば良いのか?」で迷う人が多いです。この点については、物置を設置することができるだけのスペースがあれば、基本的にはどこに配置しても良いです。
ただ、自宅の屋上やベランダなどの高所の場合、物置を設置できるだけのスペースがあったとしても、大型物置の設置には適しているとは言えません。これは、台風などの強風があった時には、地面に設置している時よりも強風の影響を受けやすくなってしまうため、物置が落下するなどの被害に発展する可能性があるからです。
基本的に、大型物置の設置に関しては、置くことができるだけのスペースがあり、さらに転倒リスクが低いと考えられる場所が望ましいです。なお、日当たりや風通しが悪い場所は、湿気がこもりやすく、物置内に保管している物品や物置そのものの劣化が早くなることがあるので注意しましょう。また、隣家の日当たりや風通しを悪くするような位置も、近隣トラブルに発展する可能性があるので、避けた方が良いです。
大型物置の設置費用相場は?
先程紹介した通り、物置の導入にかかる費用については、物置のサイズが大きくなるほど高くなります。大型物置の場合、本体価格を含めて総額25万円〜70万円程度が相場と言われていて、設置する製品のグレードによってはこれ以上の費用がかかるケースがあります。費用の内訳に関しては、以下のような感じです。
- 本体価格:15万〜50万円以上(サイズやメーカーによって変わる)
- 設置費用(組立て含む):3万〜6万円(物置のサイズが大きくなるほど高い)
- 基礎工事:約1万〜15万円
大型物置の設置は、上記のような費用がかかります。なお、ブロック基礎など、簡易的な基礎を採用する場合なら基礎工事にかかる費用は1万〜3万円程度と安価になります。この場合、固定資産税の課税対象からも外れる可能性が高くなるのですが、物置の安定感に関しては不安が残ります。しっかりと土間コンクリートによって基礎を作る場合、5~15万円程度のコストがかかります。
まとめ
今回は、自宅の空きスペースを利用して、大型の物置の設置を考えている方に向け、屋外設置型の大型物置周りの基礎知識について解説しました。
物置の設置は、宅内の収納スペースを減らすことができる設備となるので、居住のためのスペースを余裕をもって確保することができるようになるなど、新築時に設置を検討する方も多くなっています。その中でも、大型の物置の設置に関しては、さまざま物品を保管することができるだけの収納力を確保できる、さらに保管以外の用途にも活用できるなど、非常に魅力的な設備となるのです。
ただ、大型物置の設置に関しては、建築確認申請や固定資産税の課税対象になる可能性があるなど、法的な取り扱いに注意する必要があるので、事前に専門家に相談するのがおすすめです。
