今回は、築年数が経過した住宅について、修繕の必要性を感じた時、最適な選択をするためにおさえておきたいポイントをご紹介します。

どのような建物であっても、そこに存在するだけで劣化が進行します。家は、日光に含まれる紫外線や風雨、地震の揺れなどの外的要因から、中に住む人を守るためのものです。家の中にいれば、雨水や強風の影響を受けずに過ごすことができるのですが、当然、それを遮っている住宅の屋根や外壁はダメージを受け続けているのです。そのため、築年数が経過していくと、徐々に建物の劣化が目立ち始め、いずれ専門業者による修繕をしなければならない時がやってくるのです。

ただ、家の修繕については、建て替えやリフォーム、リノベーションと言った感じに、採用できる手法がいくつか存在します。そして、建て替えとリフォーム・リノベーションについては、大切な住まいの状態を取り戻すための対策ではあるものの、概念としては対になる対策とされているのです。そのため、実際にマイホームの修繕を考えている方の中には、どの方法を採用するのが正解なのかで迷ってしまう方が多いとされているのです。

そこでこの記事では、家の修繕方法について、建て替えやリフォーム、リノベーション、それぞれの違いや採用した時のメリット・デメリットをご紹介します。

建て替え、リフォーム、リノベーションそれぞれの特徴

家の状態を取り戻すための修繕方法としては、建て替えとリフォーム、リノベーションと呼ばれる手段があります。リフォームとリノベーションいついては、「同じ対策でしょ」などと混同されてしまいがちですが、厳密にいうとこの二つの対策についても、その目的などは異なります。ただ、リフォームとリノベーションいついては、いずれも建て替えと対になる概念とされているため、家の修繕を考えた時には、それぞれの特徴を理解して、正しい方法を選択しなければならないのです。

ここでは、建て替えとリフォーム・リノベーションの違いを理解していただくため、それぞれの特徴をご紹介していきます。

建て替えとは?

まずは建て替えについてです。建て替えとは、文字通り、既存の住宅を一度取り壊し、基礎部分から住宅を建て直す方法のことを指しています。

建て替え工事の場合、既存住宅については、基礎部分まで全て取り壊されるため、土地は更地にまで戻されることになります。そして、その後、新築住宅を一から建てるという手法となるのです。この場合、家の建築工事の前段階となる、地盤調査や地盤改良工事なども行うことができるようになり、新たに建てる家の耐久性を向上させることができます。

建て替えについては、既存住宅の取り壊しを事前に行うという工程がある以外は、一般的な新築注文住宅を建てるための工程とほとんど同じと考えておいても良いです。新たに建てられる住宅については、現行の建築基準法に則って建てられるため、耐震性などの安全性の面などに関してはより高い状態にすることができます。

リフォームとは?

「築年数が経過した住宅の修繕」と聞くと、ほとんどの方がリフォームを思い浮かべると思います。実際に、リフォームとは、劣化が進行した住宅に対し、部分的な修繕工事を施すことで、新築時の性能や機能を取り戻すことを指しています。つまり、リフォームは「マイナスな状態をゼロまで戻す」施工のことを指していると考えていただければ良いです。

リフォームの実施方法については、「水回りのみ」や「屋根、外壁のみ」など、部分的に施工を行うリフォームと、建物全体に改修を実施するフルリフォームの2パターンが存在します。ただ、フルリフォームとはいっても、住宅の基礎部分や柱や梁、床と言った骨組み部分は残したまま工事を進める形となります。つまり、基礎部分から一度取り壊しする建て替えと比較すると、施工の範囲や規模は小さくなります。

リノベーションとは?

3つ目の方法はリノベーションです。リノベーションという言葉については、リフォームと同様の意味合いで用いられるケースも多いのですが、厳密にはリフォームとリノベーションは異なる意味を持っているのです。先程、リフォームは「マイナスをゼロにまで戻すための工事」と紹介しましたが、リノベーションは「元の状態に付加価値を加えてプラスにする」ことを目指す工事です。

もうすこし分かりやすく言うと、施工を施す前の既存住宅と比較して、機能性や価値をより高めるために実施する工事がリノベーションです。例えば、外壁塗装を実施する際、断熱効果をもたらす高機能性塗料を採用し、住宅の断熱性能を高めるとか、太陽光発電や蓄電設備を導入して省エネ性を高めるなど、新築時の状態に戻すだけでなく、より価値が高まるような状態に改修する工事などがリノベーションに分類されます。一方、古くなった給湯器を新しい製品に交換するなど、単純な設備交換や外壁塗装などがリフォームに当たります。

建て替え工事のメリット・デメリットとは?

それではここから、築年数が経過してマイホームの修繕が必要と感じた時、リフォームやリノベーションではなく、建て替えを選んだ時のメリットとデメリットをご紹介していきます。先程紹介した通り、建て替えは、既存の建物を一度完全に取り壊し、そこに新築住宅を建てるという方法となります。

この方法を採用する場合、以下のようなメリットとデメリットが存在します。

建て替え工事を選択することで得られるメリット

まずは、マイホームの修繕で建て替えを選ぶメリットからご紹介します。建て替え工事を選んだ場合、以下のようなメリットが得られます。

  • 間取りや設備を一から見直せる
    建て替えは、更地にしてから新築住宅を建てるという方法です。そのため、新たに実現する住宅については、元の住宅の形や間取りを気にする必要がなくなるのです。建て替えが必要になる住宅の場合、その家を建てた時と家族構成や生活スタイルが大きく変化している可能性が高いです。例えば、子供が独立して部屋数が必要ない、年をとって階段移動がしんどくなったなど、その時の状況に合わせて、最適な形の家を建てられるようになるのです。既存住宅での生活に不便さや不満を感じているという方の場合、修繕を機に、理想の生活が実現できる建物に作り変えることができる建て替えがおすすめです。
  • 現行の法律に則った安全性の高い家になる
    二つ目のメリットは、現行の建築基準法に基づいた安全性の高い家にすることができるという点です。特に、築年数がかなり経過した古い家の場合、建て替えを選択すれば、既存住宅とは全くレベルが異なる住宅性能を実現することができます。例えば、1981年5月以前に建築された住宅の場合、旧耐震基準をもとに建てられているので、現在の基準で言うと「耐震等級1」ですら満たしていません。また、断熱性や気密性に関しても、そのころには特に重視されるポイントではなかったため、機能性がどうしても劣ってしまうのです。建て替えを選んだ場合、現行の建築基準法に則った家を建てる必要があるため、耐震性が高く、断熱性能や気密性能が高い家にすることができ、そこに住む人の安全性や快適性の向上が期待できるというメリットが得られます。
  • 資金調達に住宅ローンが利用できる
    建て替えは、住宅ローンを活用することができるため、資金調達の面では柔軟性が高くなります。既存住宅のローンがまだ残っている状態でも、建て替えのローンに一本化することができますし、ダブルローンや親子ローンなど、多重ローンを回避できる仕組みはしっかりと整っているのです。リフォームなども、リフォームローンなどを活用することで、資金調達は可能ですが、金利の面を考えると、住宅ローンの方が圧倒的に有利です。

建て替えのメリットは、上記のような感じで、機能性の高い家を住宅ローンを使って実現することができるのです。築年数が経過した建物の場合、経年劣化の問題以前に、そもそも機能性が低いことで生活のしづらさを感じてしまうという場面も多いはずです。建て替えにより、現行の建築基準法に沿った家を建てることができれば、そこに住む人の快適性は大幅に向上するはずです。

建て替え工事を選択することで得られるデメリット

上記のようなメリットが存在する一方、建て替えという選択肢にも、見落とすことができないデメリットがあります。ここでは、建て替えに存在する代表的なデメリットも紹介します。

  • コストがかかる
    一つ目のデメリットは、リフォームやリノベーションと比較すると、どうしてもコストがかかってしまう点です。先程紹介したように、建て替えの場合、既存住宅の解体からスタートし、一から新築住宅を建てる必要があります。当然、建物の解体などを前提としないリフォーム、リノベーションよりも工事が大掛かりになり、費用が高くなるのです。リフォーム、リノベーションは、基本的に部分的に対策を施す方法なので、建て替えほどの費用は掛かりません。
  • 工期がかかる
    建て替えのデメリットとしては、工期がかかる点も注意が必要です。新たに建てようと考えている住宅の質や大きさによっては、工事が完了するまでに1年以上の時間を要してしまうケースもあるでしょう。地盤調査や地盤改良などが必要になるケースは、さらに時間を要すことになります。
  • 仮住まいが必要
    建て替えは、もともとそこに建っていた住宅を取り壊し、更地にしてから新築住宅を建てる方法です。つまり、それまで住んでいた自宅の建て替えを行う場合、工事中は仮住まいを用意しなくてはならないのです。この場合、建て替え工事に必要なお金以外にも、仮住まいの家賃や引っ越し費用など、コスト負担が大きくなります。リフォームやリノベーションの場合、基本的には住みながら工事を進めてもらうことができるので、仮住まいに関するコスト負担はないケースが多いです。

建て替えには、上記のようなデメリットがあるので注意しましょう。また、そこまで大きなデメリットとまでは言えないのですが、建て替えの場合、現行の建築基準法にしたがって新しい家を建てなければいけません。そのため、法律的な規制により、もともとの住居よりも狭い家しか建てられないなど、思わぬ部分に制限がかかってしまうケースがあるので、その辺りも注意しましょう。

リフォーム・リノベーションを選ぶのメリット・デメリットとは?

それでは、マイホームの修繕を考えた時、建て替えではなくてリフォームやリノベーションを選択する時のメリット・デメリットもご紹介します。先程紹介した通り、リフォームとリノベーションは、厳密には異なる目的を持った施工方法なのですが、「ベースとなる住宅そのものは維持したまま」という点は同じなので、ここでは基礎から取り壊す建て替えと比較した場合のメリット・デメリットとしてご紹介します。

リフォーム・リノベーションを選ぶのメリット

まずは、建て替えではなくて住宅そのものは残したままにするリフォームやリノベーションのメリット面をご紹介します。この場合には、以下のような点がメリットとなります。

  • 工事の内容や規模を柔軟に選べる
    一つ目のメリットは、住人側が「どこを直すのか?」「どのような設備を交換するのか?」など、工事の範囲や規模を柔軟に選べるという点です。建て替えの場合、更地にしてから新築住宅を建てる方法なので、部分的に工事を施す場所を決めるといったことはできません。しかし、リフォームやリノベーションの場合、予算などを先に決めて、どこの修繕を行うのかなど、工事の規模を自分でコントロールすることができるのです。
  • 工期が短い
    リフォーム、リノベーションは、建て替えと比較すると、工事にかかる期間が圧倒的に短くなります。そもそも、建物の解体などが必要ありませんし、この部分の時間はまるっと削減できます。また、施工業者との打ち合わせに関しても、新築を建てる打ち合わせと比較すると、時間をかける必要がありません。その結果、普段の生活に大きな影響を与えることもなく。修繕工事を短期間で完了させることができるのです。
  • 基本的に仮住まいが必要ない
    リフォームやリノベーションの場合、基本的に仮住まいに引っ越しする必要がありません。一般的な住宅リフォーム工事は、「塗装の効果が切れたから再塗装する」「屋根材を葺き替えする」「太陽光発電を設置する」など、部分的に施工を進めるという方法となります。そのため、普段の生活よりも、ある程度の制限が生じてしまうものの、そこでの生活を維持したまま工事を進めてもらうことは普通にできるのです。ただ、家の中の間取りを一新するなど、大規模な工事の場合は、仮住まいに一時的に引っ越しする必要が出る場合もあります。ただ、この場合も、建て替えと比較すると短期間で済むため、引っ越し費用などは抑えることができるはずです。

リフォームやリノベーションは、建て替えと比較すると、工事の規模が小さくなるため、工期やコストを抑えられるという点がメリットです。日常生活と並行しながら工事を実施できるので、建て替えよりもさまざまな面で負担が軽減できます。

リフォーム・リノベーションを選ぶのデメリット

リフォームやリノベーションにも、当然デメリットがあります。以下のようなデメリットがあるので、建て替えと迷っている方は慎重に検討する必要があります。

  • 修繕効果は限定的
    当たり前のことですが、リフォームやリノベーションは、工事を施した部分にしか効果を発揮することができません。外壁の再塗装を行ったとしても、家そのものの状態が新築時まで戻るようなことはありませんよね。家は、全ての箇所で経年劣化が進んでいくため、予算などの都合で、修繕を遅らせてしまうと、余計に状態が悪くなることもあります。リフォームは、住人側の都合で工事の規模を決められるのですが、それなりのコストが必要になるため、修繕の必要性を理解しながらも工事を先延ばしにするといった対応がなされるケースも多いです。このような時には、家の状態がどんどん悪くなり、地震や台風の際に家族の安全を脅かしてしまう恐れが出てしまいます。
  • 費用的に「得」になるわけではない
    リフォームやリノベーションは、建て替えと比較すると、1回の施工にかかる費用を抑えることができます。そのため、「安く工事できるからお得」と感じてしまう人もいると思います。しかし、リフォームやリノベーションは、単純に工事の規模が縮小されているから、建て替えよりも費用が抑えられているだけということを忘れてはいけません。各々の工事を積み上げていけば、その総額は一気に建て替えしたほうが安くなるのが一般的です。

リフォームやリノベーションは、修繕の効果が限定的になってしまう、予算の兼ね合いをどうしても考慮してしまうため、工事を先延ばしにして手遅れになるケースが多い、一見安く見えるけど合計すると決して安くないといった部分がデメリットと言えるでしょう。築年数がさほど経過しておらず、初めての家のメンテナンスだというケースなら、部分的なリフォームで構わないと思いますが、築30年以上経過した古い住宅の場合、小まめにリフォームを実施するよりも、一気に建て替えしたほうが中長期的に見ると安くおさまるというケースが多いので、その辺りの判断は間違えないようにしましょう。

まとめ

今回は、築年数が経過した住宅の修繕方法について、建て替えやリフォーム、リノベーションの特徴や、それぞれを採用した時のメリット・デメリットをご紹介しました。

記事内でご紹介した通り、建て替えは、既存住宅を基礎部分から取り壊してしまい、新たな住宅を建てるという方法なので、対策完了後は新築住宅が手に入ると考えても良いです。当然、現行の建築基準法に則って家が設計されるため、既存住宅とは比べ物にならないほど高性能な家に作り変えることができるでしょう。

一方、リフォームやリノベーションは、部分的に改修工事を実施する方法なので、その効果も限定的となってしまいます。建て替え、リフォーム、リノベーションについては、どれか一つが一方的に有利というわけではないので、既存の家の状態や築年数、かけられる予算や将来計画など、総合的に判断する必要があると考えてください。現在、築年数が経過した家の修繕について、リフォームか建て替えかで迷っているという方がいれば、お気軽に弊社までお問い合わせください。

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