注文住宅のトイレでは、タンクレストイレの導入を検討する方が増えています。タンクレストイレは、文字通り「水をためておくためのタンクがないトイレ」のことを指していて、省スペースで設置できるうえに便器とタンクとのつなぎ目が無くなるなど、凹凸が少なくなることでトイレ掃除が圧倒的に楽になるといったことがメリットです。昨今、大阪市内など、都市部での家づくりでは、地価高騰やライフスタイルの変化、都心への人口集中などを背景に、狭小住宅が増加傾向にあります。そのため、狭い土地でも快適な暮らしを実現するための工夫として、省スペース化が実現するタンクレストイレなどの設備が注目されているのです。

ただ、タンクレストイレについて調べてみると、実際にこのトイレを導入した方がさまざまなデメリットを指摘しており、「タンクレストイレはやめたほうがいい」と言った言説を見かけることも少なくありません。そのため、これから注文住宅の建築を考えている方で、タンクレストイレの導入を検討している方の中には、「本当に設置しても大丈夫なのだろうか?」「設置を後悔しないかな?」などと不安に感じてしまっているかもしれません。

そこでこの記事では、「タンクレストイレはやめたほうがいい」と言われている理由や、実際に導入した方がデメリットとして指摘しているポイントについて解説します。なお、タンクレストイレは、一方的にデメリットのみが存在するというわけではないので、この設備を設置するメリット面もご紹介します。

タンクレストイレが「やめたほうがいい」と言われる理由

タンクレストイレは、タンクがない分、省スペースで設置することができますし、凹凸が少なく掃除の手間が大幅に削減できるなど、非常に大きなメリットが存在します。狭小地に家を建てることを考えると、これらのメリット面は非常にありがたいと感じるはずです。

しかし、タンクレストイレは「やめたほうがいい」といわれる理由にも、きちんと根拠があるのです。そこでここでは、実際にタンクレストイレを導入した人がデメリットとして指摘するポイントをいくつかご紹介します。

水圧不足に陥るケースがある

タンクレストイレは、貯水タンクを使わず、水道管からの水圧で直接水を流す水道直結式なのが特徴です。これにより、便器の設置に求められるスペースが少なくなり、広くて使いやすいスペースが確保できるのです。

ただ、水道直結式であるという点から、最低水圧が満たないと設置できないという問題点が存在します。最低水圧の基準は製品によって異なるのですが、場合によっては希望するタイプのトイレが設置できない可能性があると考えなければいけません。

ちなみに、従来型のトイレは、排泄物を洗い流す際は、1度に約13Lの水を使用するとされています。一方、タンクレストイレの場合、3~5L程度に抑えられるので、節水効果が期待出来ます。しかし、水圧不足に陥ると、使用する水の少なさも合わさり、トイレが詰まりやすくなるといった問題に発展するケースがあるとされています。例えば、トイレットペーパーを使いすぎる、特定の掃除用具を使用したといったケースでは、タンクレストイレの洗い流す力が弱く、頻繁にトイレが詰まってしまい「これなら従来型にすれば良かった…」と導入を後悔する人がいるのです。

昨今では、狭小地に3階建て住宅を建て、生活利便性を重視して、2階や3階部分にトイレを設置する住宅が増えています。しかし、上の階になるほど水を押し上げる力はどうしても弱まってしまうため、タンクレストイレの場合は、より詰まりやすくなるという問題に発展しやすいのです。タンクレストイレは、トイレの設置に必要なスペースを削減でき、空いたスペースを他の居住スペースとして利用できるため、狭小住宅に適したトイレの形と考えられています。しかし、高層階にトイレを設置する場合、スペースの削減はできても使い勝手の面で問題が生じる可能性があるという点は頭に入れておいた方が良いです。

タンクレストイレの導入を検討している方の場合、事前に水圧の測定をしてもらい、タンクレストイレの設置環境として望ましいのかをきちんと確認してもらうのがおすすめです。

修理費用が高額

二つ目のデメリットは、従来型のトイレと比較すると、タンクレストイレが故障した時には、修理費用が高額になってしまう可能性が高い点です。

修理費が高くなるのは、タンクレストイレの場合、部分的な部品交換対応が難しいからです。従来型のトイレの場合、タンクの故障ならタンクのみを、便器側の問題なら便器を交換するなど、部分的な修理対応が可能です。そのため、故障の内容によっては数千円程度の修理費用で問題を解決することができる場合もあるのです。

しかし、タンクレストイレの場合、電気系統やポンプ、複雑な水圧制御システムなどが一体となっており、これらが一つのトイレとして働くという精密構造になっているのです。そのため、便座やウォシュレットなど、部分的な故障の場合でも、部品単位での交換が難しい機種が多く、元通り使えるようにするには便器全体を交換しなければならないという対応になるケースが多いのです。当然、作業については、自分たちで実施することなどはできないため、専門技術者に実施してもらうことになり、それなりの工賃がかかってしまいます。その結果として、タンクレストイレの修理は、新しいものに交換するという、リフォームレベルの費用がかかってしまうことになり、「これなら従来型にすれば良かった…」と感じる人が出てしまうのです。

停電時に困る場合が多い

タンクレストイレは、停電時に困ってしまう方が多いです。タンクレストイレは、水を流す仕組み部分については、電気で制御している機種が多いため、停電が発生すると操作ができなくなり、水が流せなくなるのです。なお、停電になると「完全に水が流せなくなる」というわけではないので、その点は安心してください。

多くのタンクレストイレには、手動の洗浄レバーやボタンが備わっています。停電時には、この機構を使えば、断水していない限りは水を流すことができるのです。ただ、この緊急時用の手動操作に関しては、回数制限が設けられています。そのため、家族の人数が多いご家庭の場合、停電が長期化するとトイレが使用しにくくなるという非常に困った状況に陥ってしまうのです。従来型のトイレの場合、バケツなどでタンクに水を補給すれば、何度でも水を流すことができるため、タンクレストイレは災害時に困るという印象が広まっています。

なお、万一の停電に備えるためには、太陽光発電などの創エネ設備や蓄電池が便利とされています。これらの設備があれば、停電時でも電力供給ができるため、断水していない限りは問題なくトイレを使うことができます。しかし、太陽光発電や蓄電システムは、導入に多額のコストがかかるという点から、停電時でも問題なく使用できるタンク式のトイレと比較すると、利便性が悪くなると言えるかもしれません。

手洗い場を別途設けなければならない

タンクレストイレは、タンクが無いので、用を足した後の手洗いに関しては、別の場所に用意する必要があります。タンク式トイレの場合、水を流すとタンク上部の蛇口から手洗い用の水が流れているため、手洗い専用の設備を設ける必要がありません。

トイレの中に手洗い場を設けるとなると、「タンクレストイレは省スペースで設置できる」というメリットが薄れてしまいます。また、従来型のトイレをリフォームしてタンクレストイレにするというケースでは、トイレ内に手洗いを設けるため、新たに給水管と排水管を引き込まなければならないため、工事も大掛かりになってしまうのです。

タンクレストイレは、省スペースで設置できる点がメリットとみなされていますが、周辺設備のことまで考えると、そこまでスペースを削減できるとは限りません。また、配管工事が増える、手洗い専用の設備が必要になるという点から、トイレ作りにかかるトータルの費用が膨らみやすい点も注意が必要でしょう。

高層階に設置する場合、ブースターに費用がかかる

主にマンションの高層階にタンクレストイレを設置する場合の注意点と言えます。マンションの高層階は、そこまで水を引き上げなければならないため、どうしても水圧が低くなる傾向にあります。

先程紹介した通り、タンクレストイレを正常に利用するためには、一定以上の水圧が求められます。しかし、高層階に設置する場合には、その水圧の条件を満たせなくなる環境があるのです。この場合、水圧を補うためのブースター(加圧装置)機能付きのタンクレストイレを選ぶ、もしくは増圧ポンプを別途設置するなどの工夫が必要になります。

ただ、ブースター装置については、本体と設置工事を含めると、10万円前後の費用がかかってしまうことがあるのです。そもそもタンクレストイレそのものが、従来型よりも本体価格が高く設定されていますし、その上で水圧を補助するために10万円前後の費用がかかるとなると、「トイレのためにその費用をかけるのはやめたほうがいい」と考えてしまう人もいるでしょう。

ちなみに、ブースター装置を設置した場合、定期的なメンテナンスや動作のための電気代など、トイレのランニングコスト自体も高くなるので、本当にタンクレストイレが必要なのかは慎重に検討したほうが良いです。

タンクレストイレはメリットも多い

「タンクレストイレはやめたほうがいい」と指摘する方の多くは、デメリット面ばかりに着目しているように思えます。というのも、タンクレストイレは、何もデメリットばかりが存在するのではなく、従来型のトイレと比較すると、多くのメリットが存在するのです。

そこでここでは、タンクレストイレを導入する時に得られるメリットについてもご紹介します。

省スペースで設置できるため、トイレ空間が広がる

タンクレストイレの最大のメリットと言えるのは、従来型のトイレのような貯水タンクがないシンプルでスッキリとした構造になっている点です。

タンク式の従来型のトイレと比較すると、タンクレスになることで奥行が10~20cmほど短くなります。そのため、トイレ空間が狭い場合でも、圧迫感を感じないゆとりのある空間にすることができるのです。

タンクレストイレは、便器そのものも非常にシンプルな形をしているので、便器の後ろなどにできるスペースを使えば、掃除用具を片付けるためのちょっとした収納スペースや手洗い場の設置場所として有効活用することができるでしょう。
そのため、限られたトイレのスペースを可能な限り有効的に使えるようになるので、狭小地に建てる家の場合は非常にありがたい特徴になるはずです。

日々の掃除が楽になる

自宅のトイレをタンクレストイレにするメリットとしては、日々の掃除がしやすくなるという点もよく指摘されます。

タンクレストイレは、タンクがなく便器と便座が一体になった構造をしています。そのため、便器周りには凹凸が生じにくく、ホコリや汚れなどが溜まりにくくなるのです。もちろん、拭き掃除をする際も、凹凸が少なければさっと拭くだけで汚れを落とすことができるようになります。

また、タンクがない構造になっているので、便器の裏側の掃除も非常に楽になります。従来型のトイレは、便器の横や裏側まで手が届きにくかったですが、タンクレスの場合、無理な姿勢にならなくても簡単に床を拭くことができるようになります。掃除の手間が少なくなるうえ、清潔さを維持しやすくなるという点はタンクレストイレならではのメリットと言えます。

節水効果による水道料金の削減

タンクレストイレは、従来型のタンク式トイレと比較すると、節水効果が非常に高い設計になっています。

先程紹介した通り、従来型のトイレは、1回の洗浄で13~15Lの水を使用します。これに対し、タンクレストイレの場合は、1回の洗浄に3~5L程度の水しか使用しないのです。トイレの使用頻度は、家族の人数によっても異なりますが、どの住宅でもそれなりの回数の洗浄が行われているはずです。そのため、従来型のトイレからタンクレストイレに変更すれば、毎月の水道料金を節約することができるようになるのです。

水道料金の節約効果については、タンクレストイレの一般的な寿命である15年間で見ると、約5~10万円程度の節約につながる可能性があるとされていますし、初期費用の高さをランニングコストの安さで補うことができるかもしれません。

※水の使用量を削減できる点は環境配慮の面からも有利です。そのため、節水機能が高いトイレへの交換は、国の補助金が利用できる場合があります。

連続使用が可能

これはそこまで大きなメリットとまでは言いませんが、タンクレストイレの場合、水道直結式なので、連続して水を流すことができます。

従来型のタンク式トイレの場合、一度水を流すと、タンクに水が貯まるのを待たなければいけません。場合によっては、1~2分程度は水を流せなくなる…というケースもありますし、家族の人数が多いご家庭の場合、朝の忙しい時間帯にトイレ渋滞が発生しやすくなるのです。

タンクレストイレの場合、いつでも同じ勢いで水を流せるようになるため、こういった事態を防止することができます。

デザイン性が良い

タンクレストイレは、余計な部品がなく、シンプルでスタイリッシュな見た目をしている点をメリットとして指摘する人もいます。

実際に、飲食店などは、トイレも高級感やモダンな雰囲気を維持したいと考えるため、多くのお店がタンクレストイレを選ぶようになっています。タンクレストイレは、トイレ全体が洗練されたデザインになりますし、また掃除の手間が少ないため、常に清潔感を維持することができることから、一般住宅でもホテルのトイレのようなお洒落な空間にしやすいという点がメリットかもしれません。

まとめ

今回は、昨今の新築業界で選ばれることが増えているタンクレストイレについて解説しました。タンクレストイレは、文字通り、貯水タンクのないトイレのことを指しており、省スペースで設置することができることから、狭小地に建てる住宅の場合、トイレに必要なスペースが少なくなる分、居住のためのスペースを確保しやすくなるのです。

ただ、記事内でご紹介しているように、タンクレストイレにもさまざまなデメリットが存在していて、実際に導入した方の中には、「タンクレストイレはやめたほうがいい」「タンクレストイレにして後悔した」と言っている方もいるのです。

この記事では、タンクレストイレのメリットとデメリットを両方ご紹介しているので、自分たちが求めているトイレの形に近いかどうかを慎重に検討してみると良いのではないでしょうか?

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