今回は、家の美観を保つ、外壁の機能性を左右する重要なポイントである外壁塗装の種類について解説します。

どのような住宅でも、家を建てれば一生新築の状態を維持できるようなことはありません。特に、外壁や屋根など、家の外装部分に関しては、常に紫外線や風雨の影響を受け続ける場所となるため、新築後はそこに存在するだけで劣化が進行してしまうものなのです。実際に、外壁や屋根に関しては、新築してから約10年周期で塗装のやり替えが必要になるとされています。

それでは、自宅の外壁塗装を検討した時、新たに採用する塗料はどのような物を選べば良いのでしょうか?外壁塗装に使用する塗料は、住宅の外観デザインを決定する大きなポイントになるため、仕上がりのカラーなどにこだわるお客様が多いです。しかし、昨今の塗装業界では、塗料の進化が急速に進んでおり、採用する塗料をきちんと選ぶことによって、外壁の性能などにも大きな影響を与えるようになっているのです。さらに、塗料のグレードによって耐用年数なども大きく変わるため、外壁塗装が必要になるサイクルが変わることで、家の維持にかかるコストに影響を与えるポイントになります。

そこでこの記事では、住宅の外壁塗装に使用される主な塗料の種類について、それぞれの特徴や採用する場合のメリット・デメリットについて解説します。外壁塗装の種類に関する知識を何も持たないまま塗装工事を進めると、余計なコストがかかるなど、後から失敗した…と後悔する結果を招くかもしれないので、ぜひ参考にしてください。

塗料は外壁材との相性も考慮すべき!

自宅の外壁塗装を検討した時には、塗料の種類などはあまり考慮せず、塗装工事にかかるコストや家の外観が好みのカラーリングになるように…と言った点を重視する方が多いです。ただ、冒頭でもご紹介したように、昨今は塗装工事に使用する塗料そのものの進化が急速に進んでいるため、塗料の違いをきちんと押さえておかないと思わぬ失敗をしてしまう可能性があるのです。

一般的に、外壁塗装と聞いたときには、「シリコン塗装」や「ウレタン塗装」のことが頭に浮かぶという方が多いのではないでしょうか?外壁や屋根塗装の業界で、古くから使用されつづけているのが、シリコン塗料やウレタン塗料で、どちらかというとコストパフォーマンスが重視されているといったイメージのある塗料です。各塗料の詳細は後述しますが、外壁塗装に使用する塗料の種類については、塗料を生成する段階で使用する原材料(液体の種類、含まれる樹脂の種類)などが違い、それによって塗料の特徴や用途、耐用年数などに大きな違いが生じるのです。

現在の外壁塗装業界では、本当にさまざまな種類の塗料が存在しているため、採用する塗料を決める際には、コストやカラーだけでなく、自宅の外壁材との相性などもきちんと考慮しなければいけません。

例えば、多くの住宅の外壁材として採用されている「窯業系サイディング」は、セメント系の外壁材であるため、経年劣化により熱を溜めやすく、水を吸いやすくなるという性質を持っています。そのため、外壁塗装に関しては、脆くなった機材を補強できるような含浸性がある材料を使用することが望ましいのです。一方、耐火性、耐震性に優れていることが特徴のALCは、吸水性に優れているという特徴を持っているため、防水性が高い塗料や、湿気が材料内にこもらないようにするため、透湿性の高い塗料が望ましいです。

自宅の外壁塗装を行う際は、上述のような外壁材との相性やダメージの進行状況なども加味したうえで、最適な物を選ぶ必要があります。

塗料の種類と特徴について

それではここから、現在、住宅の塗装工事に使用されることがある主な塗料について、塗料ごとの特徴とメリット・デメリットについて解説します。

外壁や屋根の塗装に採用される塗料は、単に住宅の外観を綺麗にする目的のみで採用されるのではありません。例えば、同じ色の塗料でも、耐用年数が大きく違ったり、塗装後は外壁に汚れやカビがつきにくくなるなど、機能性を向上させることができる塗料などもあるのです。

現在、住宅の外壁塗装に使用される塗料の種類では、「アクリル」「ウレタン」「シリコン」「ラジカル」「フッ素」「無機」塗料の6種類が有名です。ここでは、この6種類の塗料について、それぞれの特徴と採用した場合のメリット・デメリットを解説します。

アクリル塗料について

まずはアクリル塗料の特徴からご紹介します。一昔前の塗装業界では、アクリル塗料が主流という時代もあったのですが、耐用年数の短さなどが要因となり、昨今では住宅の外壁塗装で採用されるケースが非常に少なくなっています。この塗料の特徴を簡単にご紹介すると以下のような感じになります。

  • 塗料の種類:アクリル塗料
  • 塗装工事の価格:安い
  • 塗膜の耐用年数:3~5年

アクリル塗料は、他の塗料と比較すると塗装工事にかかるコストが最も安くなります。ただその一方で、熱や紫外線に弱く、塗膜の耐用年数が短いという点が大きな難点となります。外壁や屋根は、常に紫外線を浴び続ける場所となるわけですので、施工後数年で、塗膜がボロボロになる可能性がある点は注意が必要です。

アクリル塗料を採用するメリットとデメリット

アクリル塗料は、アクリル樹脂を主成分とする塗料なのですが、この塗料を採用する場合の最大のメリットは、外壁塗装などの塗装工事にかかる費用が安くなる点です。アクリル塗料は、ウレタン塗料やシリコン塗料などと比較しても、材料コストがかなり安いため、工事全体の費用を抑えることが可能です。さらに、発色が良い塗料なので、塗装工事の失敗リスクが少なくなることもメリットとされています。

ただその一方で、他の塗料と比較すると、耐久性がかなり低くなってしまうという致命的なデメリットが存在します。先ほど、コストの安さがメリットと紹介しましたが、耐久性が低い分、塗装のやり替えを頻繁に行わなければならないため、中長期的な視点で家の維持費を考えると、他の塗料よりもコスト高になってしまいます。アクリル塗料は、耐久性の低さからコストパフォーマンスが悪いと考えられ、現在の外壁塗装業界ではほとんど使用されなくなっています。

なお、安価である、発色が良いなど、一般の方でも取り扱いやすい塗料であるため、DIYなどで採用されるケースは多いようです。

アクリル塗料を使用した外壁塗装の費用相場

アクリル塗料は、その他の主要な塗料と比較すると、費用が安くつくという点が最大のメリットです。一般的に、アクリル塗料を採用した場合の塗装工事の費用は、1㎡当たり1,000~1,500円が相場と言われています。

ただ、耐用年数が非常に短く、頻繁に塗装のやり替えが必要になる点は注意しましょう。塗料の耐用年数は、立地条件などによって変わるものの3~6年程度と言われていて、紫外線に弱く、ひび割れなどが生じやすいという弱点を持っています。日当たりの良い南向きの住宅などであれば、5年弱で再塗装が必要になる…なんてことも普通にあるため、コストパフォーマンスは決して良いとは言えない塗料です。

ウレタン塗料について

次はウレタン塗料と呼ばれる塗装材料です。ウレタン塗料は、ポリオール樹脂を主成分とし、ポリイソシアネートと呼ばれる硬化剤と組み合わせることで塗膜を作る塗料です。密着性・伸縮性に優れた塗料で、付帯部や木部の塗装でも採用可能と、外壁塗装だけでなく家具の塗料としても活躍しています。ウレタン塗料の特徴は、以下のような感じです。

  • 塗料の種類:ウレタン塗料
  • 塗料の特徴:機能とコストのバランスが良い
  • 塗膜の耐用年数:5~8年

ウレタン塗料は、コストと機能性のバランスが非常に良いことから、現在でも一般住宅の塗装剤として採用されることが多いです。

ウレタン塗料を採用するメリットとデメリット

ウレタン塗料は、高い密着性を持っているため、さまざまな箇所に使用できるという機能性の高さと、塗料の価格が安いというバランスの良さがメリットです。現在の塗装業界では、シリコン塗料が主流となっているのですが、それ以前はこのウレタン塗料がコスパが良いと人気でした。

ただ、ウレタン塗料は、近年登場している機能性塗料と比較すると、耐久性があまり高くない点がデメリットとされています。上で紹介したアクリル塗料よりは長持ちするものの、一般的に5~8年程度が寿命とされていて、15年前後持つような高耐久塗料がたくさん登場している現在では、グレードが低めの塗料とみなされるようになっています。

ウレタン塗料を使用した外壁塗装の費用相場

ウレタン塗料は、アクリル塗料よりも割高ですが、それでも下で紹介するグレードの高い塗料よりは安いです。一般的に、ウレタン塗料を使用した外壁塗装の場合、1㎡当たり1,400~2,300円が相場とされています。

ウレタン塗料は、シリコン塗料が登場する以前は、塗装業界の主流と言っても良い塗料だったのですが、アクリル塗料と同じく、耐久性がそこまで高くないため、再塗装の頻度が多くなることで家の維持コストが高くなると考えられるようになっています。そのため、高耐久塗料が増えた現在では、あまり使用される塗料ではなくなっています。ウレタン塗料が現在でも活躍するのは、雨樋などの付帯部の塗装の際です。

シリコン塗料について

シリコン塗料は、主成分の合成樹脂にシリコンが含まれているタイプの塗料です。先ほどご紹介したように、現在の外壁塗装業界では、最も使用されている塗料で、メーカーからも多種多様な商品が販売されるようになっています。

シリコン塗料は、アクリルやウレタン塗料と比較すると、耐久性が高く、費用対効果が優れていることから、長い間主流の塗料になっているのだと思います。また、カラーバリエーションが豊富である点も、住宅に採用する塗料として普及する大きな要因になっています。この塗料の特徴は、以下のような感じです。

  • 塗料の種類:シリコン塗料
  • 塗料の特徴:価格と耐久性のバランスが良く、豊富なバリエーションがある。水性が高い。
  • 塗膜の耐用年数:8~13年(基本10年前後と説明されます)

シリコン塗料は、耐用年数が10年前後と、高い耐久性を誇っています。住宅は10年おきに大きなメンテナンスが必要とされるため、いろいろな場所をまとめてメンテナンスすることを考えた場合、シリコン塗料がちょうど良い耐久性を持っていると言えます。なお、シリコン塗料は、固くなりやすく、伸び縮みが少ない塗料のため、外壁の素地にひび割れが生じた時には、塗膜も一緒に割れてしまうなど、カバーしきれない可能性が高いので注意が必要です。

シリコン塗料を採用するメリットとデメリット

シリコン塗料は、アクリルやウレタンと比較すると、熱や紫外線に強く耐久性が高い、さらに汚れがつきにくく落ちやすいという低汚染性を持っている点が大きなメリットになります。これらの特徴は、まさに住宅の外壁塗装材に必要な性能と言え、長年塗装業界で主流の塗料となっています。さらに、その人気の高さから、さまざまな商品が開発されていて、機能性やカラーバリエーションを、豊富な商品の中から選ぶことができます。

もちろん、シリコン塗料は、現在主流になっているとはいえ、なんのデメリットもないというわけではありません。シリコン塗料は、塗膜が硬くなりやすく、伸縮性の少ない塗料であることから、経年劣化が進むとひび割れが生じやすいです。また、塗料の性質上、重ね塗りが難しく、技術を要する点も注意が必要です。

なお、シリコン塗料は、シリコンの含有量によって耐久性や性能に幅が生じるため、塗装工事を起こう際は、塗料の特徴をしっかりと確認しましょう。各メーカーがいろいろな商品を開発していて、塗料を選ぶことで家の機能性を高めることができる物もあります。

シリコン塗料を使用した外壁塗装の費用相場

シリコン塗料の費用相場は、多種多様な商品が開発されていることから、選択する塗料によって価格が大幅に違います。一般的には、1㎡当たりで、安いもので1,800円前後が相場となるのですが、機能性の高いシリコン塗料になると、3,000円/㎡を超えるような場合もあります。

なお、耐用年数に関しては、アクリルやウレタンと比較すると、かなり長く8~12年程度と、住宅に採用する塗料としては十分な耐久性を持っています。ただ、素地の劣化が進行している場合、塗膜の伸縮性が少ないため、ひび割れをカバーしきれない可能性が高い点は注意が必要です。

ラジカル制御型ハイブリッド塗料について

ラジカル制御型ハイブリッド塗料は、業者によって「ラジカル塗料」や「ラジカルフリー塗料」などと呼ばれます。あまり聞き馴染みがない塗料だと思いますが、それも当然で、2012年ごろから販売され始めたまだ新しい塗料です。

この塗料は、チョーキング現象の発生を抑えることを目的に開発されていて、シリコン塗料よりも長い耐用年数を誇っていることが特徴です。チョーキング現象は、経年劣化によって塗膜内の樹脂の結合力が低下して、ボロボロに崩れていってしまう現象です。外壁の塗装面に手で触れた時、チョークの白い粉のような物が付着することがあると思うのですが、それがチョーキング現象です。この現象が起こると、塗膜の防水性が失われてしまうため、外壁内部にまで雨水が侵入し、外壁材そのものが傷んでしまいます。チョーキングは、外壁塗装のやり替えを見極める重要なポイントとしても有名です。

  • 塗料の種類:ラジカル制御型ハイブリッド塗料
  • 塗料の特徴:チョーキングを防止できる
  • 塗膜の耐用年数:12~15年

ラジカル塗料は、現在、塗装業界で主流となっているシリコン塗料などよりも高い耐久性を誇っている点が特徴です。

ラジカル制御型ハイブリッド塗料を採用するメリットとデメリット

ラジカル塗料を採用する最大のメリットは、チョーキング現象の発生を抑える目的で開発された高い耐久性を誇る点でしょう。紫外線などの影響も受けにくい塗料なので、日当たりが良い住宅などでは、再塗装の頻度を最小限におさえることが可能です。また、チョーキングを抑えられるということは、素地となる外壁材そのものを保護することができるという意味なので、家そのものの寿命を延ばしてくれると言い換えることが可能です。

ただ、2012年頃に開発されたまだまだ新しい塗料なので、公表されている耐用年数が本当なのかどうかがまだ判断できない点などがデメリットと言えるでしょう。新しく開発されたからと言って、以前の物よりも全ての面に優れているとは言い切れないので、塗装完了後にどのような問題が生じるのかがまだ分からない点は注意が必要です。

ラジカル制御型ハイブリッド塗料を使用した外壁塗装の費用相場

ラジカル制御型ハイブリッド塗料は、新しく開発されたばかりの塗料であること、従来の塗料よりも機能性が高いなどと言った理由から、施工にかかる費用が割高に設定されています。一般的に、1㎡当たり2,000円〜4,000円程度とされているので、シリコン塗料と比較しても割高な塗料と言えるでしょう。

なお、耐用年数が12~15年と、非常に長持ちする塗料なので、コスパは良いと考えても構いません。

フッ素系塗料について

フッ素塗料は、フッ素樹脂が配合された塗料で、非常に高い耐久性と対候性を持っていることが最大の特徴です。一般住宅の外壁塗装でも採用されることがあるのですが、基本的には頻繁に塗り替えができない賃貸物件や大型商業施設などに採用されている塗料です。ちなみに、フッ素系塗料は、スカイツリーの塗装にも採用されたことで有名です。

  • 塗料の種類:フッ素系塗料
  • 塗料の特徴:耐久性・対候性・非粘着性を兼ね備えた塗料で、美観性も高い
  • 塗膜の耐用年数:15~20年

フッ素系塗料は、20年近い耐用年数と、さまざまな塗料の中でも耐久性が上位に位置することが大きな特徴です。ただその反面、塗料の価格は高くなってしまうことが難点です。

フッ素系塗料を採用するメリットとデメリット

フッ素系塗料を採用するメリットは、なんといってもその高い耐久性です。フッ素系塗料は、非常に硬い塗膜を形成するため、紫外線などにも強く、頑丈な塗膜を長く維持することができます。また、撥水性が高く汚れにくい、耐薬品性・耐候性も高いため、住宅の外壁だけでなく駐車場のシャッターの塗料としても非常におすすめできます。

欠点をあげるとすれば、シリコン塗料など、現在主流となっている塗料と比較すると、塗装工事にかかる費用が高くなってしまう点です。ただ、塗装の効果が20年近く続くことを考えると、再塗装の頻度を少なくすることができる分、中長期的に見れば決して高くはありません。

フッ素系塗料を使用した外壁塗装の費用相場

フッ素塗料を採用した場合の外壁塗装については、1㎡当たり3,500円〜5,000円が費用相場となります。最近開発されたラジカル塗料と比較しても、割高な価格設定となりますので、塗装工事の前の塗料選びではなかなか手が出ない塗料と感じる方も多いです。

しかし、フッ素系塗料は、機能性が非常に高いうえ、耐用年数も非常に長いため、コストに見合った塗料であることは間違いありません。

無機系ハイブリッド塗料について

最後は、無機系ハイブリッド塗料や無機塗料と呼ばれる塗料です。この塗料は、上で紹介したフッ素系塗料と並んで、現在の塗装業界でハイグレード素材という立ち位置になっています。無機塗料は、炭素を含まない無機物質を主成分としていて、シリコン塗料など有機系塗料と比較すると藻やコケが繁殖しにくいという特徴があります。建物の美観性を長く維持することができるうえ、耐久性も高いため、短い周期でン無理替えができない大型施設の塗装工事で採用されることが多いです。無機塗料の特徴は以下のような感じです。

  • 塗料の種類:無機系ハイブリッド塗料(無機塗料)
  • 塗料の特徴:耐久性が非常に高く、カビ・コケ・藻などの繁殖を防ぎ美観が長持ちする
  • 塗膜の耐用年数:20〜25年

無機系塗料は、20年以上の耐用年数を誇るなど、非常に高い耐久性を持っているのが特徴です。湿気に強く、カビやコケの繁殖を防ぐことができるため、湿度が高めな場所に建てる家には非常におすすめです。なお、再塗装の際は、既存の塗膜を削り取るか専用の下塗り材を使用しなければならない、耐久性が長すぎるため屋根の塗装とタイミングを合わせづらいなどと言った点に注意が必要です。

無機系ハイブリッド塗料を採用するメリットとデメリット

無機塗料を採用した場合のメリットは、耐久性が非常に高い塗料のため、家の美観を長期間維持することができる点です。有機系塗料と比較すると、湿気の多いエリアでも、外壁にカビやコケ、藻が発生するのを防ぐことができるため、長く綺麗な状態の家を保つことができます。

その一方で、無機塗料は、塗装業界でもハイグレード塗料という立ち位置のため、塗装工事にかかる費用がどうしても高くなってしまう点がデメリットとされています。この他、塗膜の耐用年数が非常に長いことから、屋根塗装とタイミングを合わせることが難しく、個別に工事を行うことで足場費用などの無駄な費用がかかってしまう可能性があるので注意しましょう。

無機系ハイブリッド塗料を使用した外壁塗装の費用相場

無機塗料は、フッ素系塗料と並んで、現在の塗装業界のハイグレード塗料という扱いです。そのため、塗装工事にかかる費用は、1㎡当たり4,000円〜5,500円と、全塗料の中でも最も高くなると考えてください。

ただ、塗料の耐用年数は、20年以上となっていますので、再塗装の頻度を限りなく少なくすることができるので、中長期的に見た場合、家の維持コストを安く抑えることも可能です。

その他の塗装工事の種類について

ここまでは、塗装工事に使用する主な塗料とそれぞれの違いについて解説しました。外壁塗装の種類と言えば、基本的には採用する塗料の種類のことを意味していると考えて良いでしょう。ただ、外壁塗装の打ち合わせを行う時には、塗料のグレード以外にも「水性と油性」「1液型と2液型」などと言った分類が出てきて、これは何が異なるのかという点に疑問を感じる方も多いです。

そこでここでは、外壁塗装について、塗料の種類以外におさえておきたいポイントをご紹介します。

水性と油性について

まずは、「水性と油性」についてです。これについては、マジックやペンなどの水性と油性の違いをイメージしていただければ分かりやすいと思います。

外壁塗装を行う際、主剤と呼ばれる塗料の原材料を「何で希釈するのか?」によって水性と油性に分かれます。それぞれの特徴について以下でまとめてみます。

  • 水性塗料
    水性塗料は、希釈液として「水」を使用している塗料です。水性塗料は、価格が安いものの、耐久性が低いというデメリットがあります。なお、希釈液が水なので、塗装工事の際のにおいは少ないです。
  • 油性塗料
    油性塗料は、シンナーなど、有機溶剤で原材料を溶かした塗料です。耐久性が高くなるものの、価格が高い、においが強い点がデメリットです。

水性塗料と油性塗料は、上記のような特徴があります。正直、どちらも一長一短で、一方的にメリットが存在するわけではありません。外壁塗装で、コストの安さや近隣への影響を重視する場合なら水性塗料、完成後の塗膜の耐久性を重視するなら油性と言った選び方をする場合が多いです。

1液型と2液型について

次は、1液型と2液型の違いです。先ほどご紹介した、水性塗料、油性塗料、どちらの製品も1液型と2液型があります。1液型と2液型については、名称からイメージできると思うのですが、塗料として使用できる状態にするまでの手間の違いで分類されています。これについても、以下でその違いをまとめてみます。

  • 1液型
    塗料を希釈液(水やシンナー)で薄めることですぐに使用できるものが1液型です。手間が少ないため、価格は安くなるものの、耐久性が低くなります。なお、1液型の塗料は、混ぜ合わせた日にすべて使いきれなくても、次の日に使えるなど、使用期限が長い点も特徴の一つです。
  • 油性塗料
    2液型は、主剤と硬化剤に分かれていて、これを混ぜ合わせた後に希釈する塗料です。2つの液を混ぜ合わせる必要があるため、2液型と呼ばれています。2液型の塗料は、混ぜ合わせたその日にしか使えないため、使い勝手が悪そうに見えますが、耐久性の高い塗膜を実現できます。ちなみに、2液型の方が価格は高くなります。

1液型と2液型は、上記のような特徴を持っています。なお、住宅の外壁塗装に使用する塗料に関しては、価格は高くなるものの、高い耐久性を持っている2液型がおすすめとされています。

外壁塗装に失敗しないために注意したいポイント

ここまでは、外壁塗装の種類について、主に塗料に着目して比較してみました。なお、外壁塗装に使用される塗料については、本当にさまざまな商品が開発されていて、上で紹介した以外にもいくつかの種類の塗料が販売されています。また、同じ系統の塗料だとしても、塗膜が持つ機能性が大きく異なる製品も多いです。最近では、外壁や屋根に塗装することで、家の断熱性や遮熱性を高めたり、防音効果を期待できるような塗料が登場しているなど、カラーや耐久性、コストだけに注目するのではなく、塗料が持つ機能性についてもしっかりと検討しましょう。

ここでは、これから外壁塗装を検討している、新築住宅に採用する塗料で迷っているという方に向け、塗装工事の際に注意したいポイントをいくつかご紹介します。

「結局、どの塗料を選べば良いの?」について

外壁塗装に使用できる塗料は、数多くの種類が存在します。この記事では。6種類の塗料の特徴をご紹介していますが、業者によってはこれ以外にも取り扱っている塗料が存在する場合も多いです。そのため、外壁塗装を検討した時には、「結局、どの塗料を選べば良いの?」という面で困ってしまう方が少なくないのです。

この問題については、塗料の種類が多すぎて決まらない…なんて場合、「シリコン塗料」か「フッ素塗料」のどちらかを選択するというのがおすすめです。なぜなら、住宅の外壁塗装として考えた時には、十分な耐久性と機能性を持っていて、塗料の価格帯としても高額すぎないというのが理由です。

一般的に、外壁塗装は10年前後に一度の頻度でやり替えが必要と言われており、耐用年数が10年前後あるかどうかが、採用する塗料を選ぶ際のポイントの一つになるのです。シリコン塗料に関しては、長い間塗装業界で主流の塗料となっていることから、各メーカーがさまざまな商品を開発・販売するようになっています。そのため、カラーバリエーションや機能性が異なる塗料が多いので、好みの塗料をちょうど良いコスト感で見つけることができるのです。

なお、住宅の塗装工事に関しては、外壁塗装だけでなく、屋根塗装のことも考慮しておくと良いです。どちらの工事も、足場を組み立てる必要があるため、同時に施工を行うことで足場にかかるコストを削減することが可能なのです。そして、外壁と屋根では、屋根の方が紫外線の影響を受けやすく、塗膜の劣化が早くなる傾向があります。つまり、屋根の塗料は、外壁に使用する物より、ワンランク上のグレードの塗料がおすすめで、そうすることでどちらも同じタイミングで再塗装工事を行えるようになります。分かりやすく言うと、外壁にシリコン塗料、屋根にフッ素塗料を採用するといった組み合わせがおすすめです。

各メーカーの色見本をきちんと確認する

外壁塗装の失敗で多いのが、完成した家を見ると「イメージしていたカラーと違っている…」というケースが非常に多いです。外壁塗装のカラーは、家の見え方を決める最も重要なポイントの一つになるので、大まかな色のイメージで話を進めるのはおすすめできません。例えば、同じ系統のカラーでも、黄色味がかった色と、白に近い色では、全く異なる印象の家に仕上がってしまいます。したがって、外壁塗装のカラーを決める際には、出来るだけ具体的な色をイメージして、それを正確に業者に伝えることが大切と考えてください。

なお、塗料のカラーについては、メーカーごとに仕上がりの色が微妙に異なる点も注意が必要です。シリコン系塗料のグレーにしたいと思っても、業者が取り扱っている塗料が、自分のイメージ通りなのかは事前に確認しなければいけません。また、すべてのメーカーが同じ色を取り扱っているわけでもないので、希望するカラーがあるのかも確認しましょう。

塗料メーカーは、塗料の種類ごとに色見本を必ず出しているので、自分のイメージに最も近い塗料を見つけるためにも、各メーカーの色見本をすべて用意してもらい比較検討するのがおすすめです。なお、色見本は、出来るだけ大きめのもので、色の確認をする際は光に当てるなど、さまざまな状態の色をきちんと確認することが失敗しないためには重要です。

複数の業者から相見積もりを取り、業者の施工事例などを確認する

外壁塗装に失敗しないためには、技術と知識を持った施工業者に出会うことも大切です。皆さんもご存知の通り、外壁や屋根の塗装など、塗装業界では昔から消費者トラブルが多いことで有名です。外壁塗装の劣化状況などは、敷地外からでも確認することができるため、悪質な訪問販売業者の商材として現在でも利用されています。

訪問販売営業では、「キャンペーンで…」「今契約してくれるなら」などと言った口実で、塗装工事にかかる費用の割引を提示し、その場での契約を迫ってくる業者が多いです。しかし、本当に適切な見積り金額なのか、自宅に適した塗料の提案になっているのか分かったものではないので、訪問販売業者とその場で契約するのは絶対にやめておきましょう。外壁塗装の必要性を感じている場合は、ネットで業者を検索すれば、近くの塗装業者のHPがたくさん出てきますので、いくつかの業者に相談し、相見積もりを取ると良いでしょう。その中で、自分たちの要望に合う業者の提案を選ぶようにすれば、不当な高額請求を受ける…と言った失敗を防ぐことが可能です。

なお、塗装工事を依頼する業者選びの際には、過去にその業者が行った施工事例もきちんと確認しておきましょう。塗装工事は、単に塗料を壁に塗るだけと言った簡単な作業ではなく、高度な技術が必要な施工です。したがって、業者の技術力や知識を確認するためにも、過去の施工事例を確認することが大切なのです。

まとめ

今回は、外壁塗装の種類について、現在の塗装業界で主流となっている塗料の特徴や、それぞれの塗料を採用した場合のメリット・デメリットについて解説しました。

外壁塗装は、家の外観イメージを決定づける非常に重要な役割を持っているため、家のメンテナンスとして塗装工事を行う際には、好みのカラーの塗料という点を重視する方が多いです。この他にも、塗装工事にかかる費用面を重視して、出来るだけコストがかからない塗料を選択したいと考えるケースも多いです。

しかし、外壁塗装に使用する塗料に関しては、選ぶ製品によって耐久性や機能性がかなり違ってくる事から、塗料の特徴をきちんとつかんだうえで選ばなければならないのです。例えば、塗装工事の安さを重視して塗料を選んだ場合、早期に再塗装が必要になることから足場代などを含めると、グレードの高い塗料を選んだ場合よりも総合的な家の維持コストが高くなってしまう可能性があります。分かりやすく言うと、アクリル塗料と無機塗料で比較した場合、耐用年数が4倍近く変わるため、無機塗料の耐用年数を迎えるまでとなると、アクリル塗料は4回も塗装工事が必要になるのです。この場合、時間や手間などのことも考えると、何度も再塗装工事が必要になる方が、全体的なコストは当然かかっているといっても過言ではないですよね。

外壁塗装は、どのような住宅でも必ず必要になるメンテナンスなので、記事内でご紹介した内容は是非覚えておきましょう。なお、悠建設は、新築注文住宅の建設だけでなく、外壁・屋根塗装などの家のメンテナンス工事も請け負っています。自宅に最適な外壁塗装の種類を知りたいと考える方がいれば、お気軽に弊社までお問い合わせください。

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