家づくりにおいて、建物の外観イメージに大きな影響を与えるのが屋根の形状や採用する屋根材の種類です。住宅の屋根にはさまざまな形状があり、さらに屋根材の種類も豊富になっているのですが、屋根は建物のデザイン面だけでなく、耐震性や断熱性、遮音性など、家の性能面にも関係してくる非常に重要なポイントとなります。
一般の方であれば、屋根形状や屋根材の種類に関して、そこまで詳しい知識を持っていない方が多く「屋根なんて何を選んでも同じでしょ!」と考えてしまっている方が多いです。しかし、現在、日本国内の住宅に採用されている主な屋根材でも複数の種類が存在していて、マイホームにどの屋根材を採用するのかによって家の建築費はもちろん、住み始めてからのランニングコストなどが大きく変わります。家の購入は、その後、一生を過ごす大切なマイホームを手に入れるという人生の中でも重要なポイントになるタイミングですし、その時点のことだけを考えるのではなく、中長期的な視点も持っておかなければいけません。
そこでこの記事では、これから新築一戸建て住宅の購入を検討している方に向け、家づくりの際に注意したい屋根材選びのポイントなどを解説します。記事内では、現在の新築業界における屋根材の人気ランキングやそれぞれのメリット・デメリットもご紹介しますので、是非参考にしてみてください。
新築業界における屋根材の人気ランキング
それでは早速、新築業界における屋根材の人気ランキングについてご紹介します。なおここでは、それぞれの屋根材の特徴や屋根材ごとのメリット・デメリットも合わせてご紹介します。日本の住宅の屋根については、「瓦屋根」が採用されているというイメージが強いですが、瓦屋根がナンバーワンのシェア率を誇っていたのはかなり昔のことです。日本は、地震が非常に多い国として有名ですので、住宅を建てる際には耐震性を高くするということが重要とされます。そのため、住宅の屋根材は「より軽量な屋根にする」ということが重視されるようになっていて、粘度を焼き固めた日本古来の瓦はスレートや金属屋根のような軽量な屋根材に取って代わられるようになっています。
新築業界では、瓦屋根に代わりスレートと呼ばれる屋根材が長らくトップシェアを誇っていましたが、それもここ10年ほどで変化してきています。以下に、日本国内の新築業界で主流となっている屋根材をランキング形式でご紹介します。
第一位 金属屋根(ガルバリウム鋼板)
現在の新築業界では、非常に軽量であることを理由に、金属屋根素材が第一の人気となっています。ちなみに、金属屋根材と聞くと、昔ながらのトタン屋根をイメージする方がいるかもしれませんが、トタン屋根ではなく、ガルバリウム鋼板と呼ばれる素材を採用した屋根材です。ガルバリウム鋼板は、薄い鉄板の表面にアルミニウム・シリコン・亜鉛の合材をメッキしてコーティングした素材となります。表面に施されたメッキにより、金属なのに非常にサビに強いという特徴を持ちます。また、非常に薄く成形された屋根材なので、その他の屋根材と比較すると、圧倒的に軽量だという点が人気の理由です。ガルバリウム鋼板を採用した金属屋根は、もともと屋根リフォーム業界で人気になり、新築業界でも採用されるようになったという経緯があります。
これは、ガルバリウム鋼板を採用した屋根材を開発するメーカーが増え、デザインのバリエーションなども多くなったことで、新築住宅にも採用しやすくなってきたのが要因だと思います。この屋根材のメリット・デメリットは以下のような感じです。
●金属屋根素材のメリット
まずは、新築住宅に金属屋根を採用したことで得られるメリット面からです。金属屋根には以下のようなメリットがあるとされています。
- 非常に軽量で建物の耐震性向上が見込める
- 気密性・防水性に優れている
- 耐火性能が優れている
- 屋根材が割れない
- シンプルでスタイリッシュな外観デザインの家になる
金属屋根材最大のメリットが、非常に軽量な屋根材となるため、建物の耐震性向上が見込める点です。このメリットから屋根リフォーム、新築業界でナンバーワンのシェア率を誇るようになっています。屋根の重量と建物の耐震性は関係ないと考えている方もいますが、実は屋根は軽量なほど耐震性向上が見込めます。これは、屋根重量が大きくなるほど、建物の重心が高くなってしまうため、地震の揺れがあった時には建物も大きく揺れることになるため、倒壊や損壊のリスクが高くなるからです。屋根の軽量化は、国の耐震化リフォームに関する補助金も受けられるなど、その効果が認められるようになったことから金属屋根の人気がどんどん高くなっているのです。
この他にも、金属なので耐火性が高い、割れない、さらに気密性や防水性に優れているなどと言った点も金属屋根がおすすめできるポイントです。建物の外観デザインに関しては、好みの問題がありますので、逆に金属屋根を採用した外観デザインがしっくりこない…という方もいます。したがって、新築に金属屋根を採用する際には、実際の住宅を見せてもらい、自分の感性に合うのか確認しておくのが良いでしょう。
●金属屋根素材のデメリット
当然のことですが、金属屋根にもいくつかのデメリットが存在します。
- 表面のメッキにキズが付きやすい(傷を放置すると錆が発生することも)
- 軽量なため、強風で飛ばされることがある
- 通気性が悪いため、浸水した時は注意が必要
- 遮音性が低い
- 断熱性が低い
ガルバリウム鋼板を採用した金属屋根は「金属なのにサビに強い」点がメリットとして紹介されるケースがあります。しかし、あくまでも錆びにくいだけで、絶対に錆びないわけではないのです。例えば、飛来物などが屋根に当たり、表面のメッキにキズが入ると、そこに雨水が侵入して錆が発生してしまう恐れがあります。金属以外の素材を採用した屋根材であれば、錆の心配は一切ないので、この点は明確なデメリットと言えるでしょう。
この他には、非常に薄く成形された屋根材のため、素材そのものは遮音性、断熱性が低いという点です。最近では、屋根材と断熱材が一体型になった製品も登場していますが、高い断熱性や防音性を求めるなら、屋根裏部分に断熱対策をきちんと施す必要があります。
なお、ガルバリウム鋼板は、金属なのにサビに強く高い耐久力を誇ることがメリットなため、「メンテナンスフリーだ!」と勘違いしている方も多いです。この認識は大きな間違いで、金属屋根を採用しても、定期的な屋根のメンテナンスは必要となり、一般的には10年程度に一度の塗替えが必要とされています。この辺りは、採用する屋根材のグレードによってメンテナンス頻度が変わりますので、新築時にしっかりと確認しておきましょう。
第二位 スレート屋根(化粧スレート)
新築業界における屋根材の人気ランキング第二位は「スレート屋根」と呼ばれる屋根材です。この屋根材は、他にもコロニアルや化粧スレートなどと呼ばれる場合があります。
もともとスレートと呼ばれる屋根材は、粘土板岩を使用したもののことを指していたのですが、この屋根材は耐久性は高いものの、非常に高価であるという致命的なデメリットがありました。現在では、セメントと繊維質を混ぜて本来のスレートを模して造られた「化粧スレート」と呼ばれる屋根材が主流となっています。ちなみに、従来のスレート材は「天然スレート」と呼ばれています。
化粧スレートは、日本の伝統的な屋根材である瓦と比較すると、非常に軽量なため耐震性に優れていると言われています。また、施工性が高く、工場製品のため価格がおさえられるというメリットがあり、国内の新築業界では長らくシェアナンバーワンを誇っていました。10年程度前までは、新築業界ではスレートが第一位のシェア率だったとされています。現在でも、新築住宅の多くにスレート屋根が採用されていますが、屋根材自体には防水性や断熱性がなく、表面の塗装により各種機能を得ることから、小まめなメンテナンスが必要だという点に注意が必要です。この屋根材のメリット・デメリットは以下のような感じです。
●スレート屋根のメリット
スレート屋根は、新築業界で長くシェア率ナンバーワンだったという実績からも分かるように、多くのメリットを持っています。
- 軽量で、粘土瓦などと比較すると、耐震性向上が見込める
- 耐火性に優れている
- 施工性が高く、全国に施工対応可能な業者が多い
- 新築時の屋根の初期費用を抑えられる
- デザインが豊富
スレート屋根が広く普及した理由は、伝統的な瓦屋根と比較すると、非常に軽量でスタイリッシュな外観デザインを実現できることが大きな要因です。上述した金属屋根よりは重量がありますが、瓦屋根と比較すると、圧倒的に軽量な屋根を実現することが可能です。
また、スレート屋根は、施工性が非常に高いため、スレート屋根の施工に対応できる業者が多い点もメリットと看做せます。施工性が高いということは、工期も短くでき、さらに業者による価格競争が起きることで、安価に屋根の施工ができるようになるのです。金属屋根は、板金仕事に近い面もありますので、純粋な屋根施工業者の中には取り扱うことができない業者もあります。その点、スレート屋根は、ほとんどの屋根業者が同じレベルの施工が可能ですので、安定した精度の屋根が実現できます。
●スレート屋根のデメリット
次はスレート屋根のデメリット面です。スレート屋根には以下のようなデメリットがあるので注意しましょう。
- 凍害に弱い(寒冷地の屋根材に向かない)
- 断熱性が低い
- 強風で飛散する恐れがある
- 屋根材そのものが防水性などの機能を持たない
- 割れる
スレート屋根のデメリットは、屋根材そのものの機能性がそこまで高くない点です。スレート屋根は、表面に施されている塗装により、防水などの各種機能を保持しています。逆に言うと、経年劣化などで表面塗装が落ちてしまうと、屋根そのものの機能性が低くなってしまうのです。
例えば、長年メンテナンスを怠ったスレート屋根では、屋根材が水を吸収するようになり、湿潤と乾燥を繰り返すようになります。そしてその状態を放置すると、徐々に屋根材の隅が反り返ってしまい、そこに強風が当たることで屋根材が剥がれてしまう…なんて被害が生じてしまう可能性があるのです。この他にも、非常に薄く成形されたセメント材であることから、飛来物が衝突することで割れてしまう…なんて可能性もあります。
スレート屋根は、表面の塗装が非常に重要な役割を担っていますので、塗膜の機能が切れないように定期的にメンテナンスをしなければいけません。再塗装などのメンテナンスは、採用している塗料のグレードによって変わりますが、一般的な塗料の場合7~10年程度に一度の頻度で塗装メンテナンスが必要です。これからも分かるように、スレート屋根は、初期費用はおさえられるものの、メンテナンスにかかるランニングコストが高くなることがデメリットと言えるでしょう。
第三位 軽量瓦(樹脂繊維セメント)
第三位は軽量瓦などと呼ばれる屋根材です。分かりやすいように、製品名でご紹介すると、屋根材のトップメーカーであるケイミュー社が販売する「ROOGA」などが軽量瓦です。
日本の住宅の屋根材と言えば、粘土瓦をイメージする方が多いのですが、瓦は非常に重量があるという致命的なデメリットが存在します。上述したように、屋根の軽量化が建物の耐震性向上に役立つと言われていることから、昨今では、スレートや金属屋根の人気が高くなっています。これは、瓦は素材的に重量があるため、どうしても屋根の重量を軽量にすることができないからです。なお、瓦屋根を採用した住宅は、耐震性に問題があるかというとそうではありません。日本の住宅は、建築基準法に則って建てなければならず、どのような住宅でも、決められた耐震性能を確保しているのです。ただ、瓦など重量のある屋根材を採用する場合、それに耐えられるだけの土台を構築しなければならないことから、どうしても建築コストが高くなってしまいます。
このような中、開発されたのが軽量瓦と呼ばれる屋根材です。軽量瓦は、伝統的な日本建築の外観を保持したまま、屋根の軽量化が実現できると、年々その人気が高くなっています。現在では、伝統的な粘土瓦のシェア率を抜く状況にまでなっているのです。
参照:ケイミュー「ROOGA」
●軽量瓦のメリット
それでは、軽量瓦を採用する場合のメリットについてもご紹介します。
- 断熱性など、屋根材として機能性が高い
- 粘土瓦よりも軽量なうえ、耐久性が高い
- 防水性、防音性が高い
- 耐火性に優れている
- デザインが豊富
軽量瓦のメリットは、伝統的な日本建築の外観を維持したまま、屋根の軽量化ができる点と、屋根材としての機能性が非常に高い点があげられます。スレートや金属屋根が人気なのは、屋根を軽量にすることができ耐震性向上が見込めるからと紹介しました。しかし、これらの屋根材を採用した場合、建物の外観がどうしてもシンプルなものになりがちで、昔ながらの日本建築が持つ重厚感のある見た目が好みという方にとっては、家の外観デザインが気にいらない…となってしまう場合があったのです。家の外観は、毎日目に入るものですので、屋根の軽量化よりも重視したいと考える方も多く、そういった方は瓦を選ばざるを得ないとなってしまう場合もありました。しかし、軽量瓦の登場により、そういった方も屋根の軽量化を目指すことができるようになったのは非常に大きなメリットになるでしょう。
更に、屋根材としての機能性については、スレートや金属屋根と比較しても優れている面が多いです。したがって、軽量瓦は、屋根の軽量化を進めることができるうえ、高い機能性を持った屋根を作ることができると言えます。
●軽量瓦のデメリット
それでは、軽量瓦を採用する場合のメリットについてもご紹介します。
- 屋根材として高価
- 施工業者が限られる
- 実績がまだ少ない
軽量瓦のデメリット面は、機能性が高い分、価格も高いことがあげられます。また、取り扱うことができる施工業者が限られてしまう点も、屋根工事にかかる費用が高くなる要因です。例えば、軽量瓦の代表である、ケイミュー社のROOGAについては、メーカーの講習などを受けて高い技術を持っていると認められた業者しか取り扱うことができないようになっています。更に、高い機能性を保持するため、屋根材そのものだけでなく、下地材などもメーカーが指定する純正品を採用しなければならないと決まっているのです。こういった決まりがあることから、その他の屋根材と比較すると、どうしても屋根工事の費用が高くなってしまいます。
軽量瓦は、非常に高い耐久力を誇りますので、約30年間は何の問題もなく屋根材がそのまま利用できるとされています。しかし、軽量瓦は登場してまだ間もない屋根材なので、本当に30年間問題なく使用できるのかの実績がない点は注意が必要です。更に、屋根を構成するその他の部材は、そこまでの耐久力はないため、約10年程度に一度のメンテナンスは必要になると思います。
第四位 粘土瓦
粘土瓦は、皆さんがイメージするいわゆる「瓦屋根」と呼ばれるものです。日本の伝統的な屋根材で、粘土を高温で焼き固めた製品で、非常に高い耐久力を誇り、なんと100年以上も現役で利用されているものもあるほどです。ただ、粘土が素材であるということから、屋根材としては非常に重量があり、屋根が重くなってしまうことで建物の耐震性を考えて、近年では敬遠されがちになっています。
ちなみに、瓦屋根は非常に耐久力が高いと説明されますが、「屋根」として見た場合、災害時には最も被害が生じやすい屋根材です。というのも、瓦屋根は釘などで屋根材を固定しているわけではなく、桟木と呼ばれる部材に引っ掛けてさらに屋根材同士が噛み合うことで固定力を得ています。ただ、ちょっとしたズレが生じると固定力が弱まることから、地震や台風などの強い力を受けた時には、意外に簡単に飛ばされてしまいます。瓦の弱点を解消するために考案された軽量瓦などは、こういった問題を踏まえて、屋根材一枚一枚を釘で固定するようになっています。
●粘土瓦のメリット
それでは、粘土瓦を採用する場合のメリットについてもご紹介します。
- 耐久性が非常に高い
- 機能性が高い(断熱性、防水性、防音性など)
- 日本建築の見た目を実現できる
粘土瓦のメリットは、非常に高い耐久性と機能性を誇っている点です。粘土瓦は、古くから日本国内で採用されてきた屋根であることから、日本の気候に合わせた機能性を保持しています。例えば、高温多湿で雨も多いという気候に合わせて、高い断熱性や雨音が気にならない防音性、防水性など全てを兼ね備えています。さらに、普通に利用していれば100年以上も使用できるほど高い耐久性を持っているなど、他の屋根材にはないメリットをたくさん保持しています。
この他には、日本建築特有の外観デザインを実現できる点を重視して瓦屋根にこだわる方も多いです。スレートや金属屋根は、どうしてもシンプルな外観になってしまいますので、その点を嫌う人は一定数いるのです。屋根に瓦を採用しただけで、どこか重厚感を感じる住宅になるという点は大きなメリットになるのではないでしょうか。
●粘土瓦のデメリット
それでは、粘土瓦を採用する場合のメリットについてもご紹介します。
- 初期費用が高い
- 施工できる業者が減っている
- 重い
- 災害に弱い
瓦のデメリットは、素材的特徴からどうしても重量のある屋根材になってしまうことでしょう。スレートや金属屋根のシェアが伸びているのは、軽量な屋根材である事が大きいと言われています。また、日本の伝統的な屋根である瓦屋根ですが、年々そのシェア率が落ちていることもあり、瓦屋根の施工やメンテナンスができる業者の数も少なくなっていると言われています。屋根材そのものも高価なのですが、施工業者の減少により施工費も割高で、家の建築コストが高くなってしまう点は大きなデメリットでしょう。さらに、将来的なメンテナンスのことを考えた場合、依頼できる業者を見つけにくい点も注意しなければいけません。
瓦は、非常に重量があるため、台風などの災害に強いと考えられがちですが、その施工方法が理由となり、その他の屋根材よりも被害が出る可能性が高いです。一般的な瓦屋根は、下地の木材に引っ掛けて屋根材同士が噛み合うことで固定力を得ているだけなので、ちょっとした衝撃で固定が緩み、強風や地震の揺れで屋根が崩れてしまう可能性があります。実際に、昨今の大型化している台風などでは、瓦屋根に住宅被害が集中していると言われています。
なお、瓦は耐久力が非常に高いため、メンテナンスが不要などと解説されている場合があります。この情報は間違いです。瓦の耐久力が高いのは確かですが、瓦屋根には、漆喰や下地木材など、さまざまな副材が採用されています。そしてこれらは瓦ほどの耐久性を持っていないため、定期的なメンテナンスを欠かすことができないのです。一般的には、10年程度に一度の頻度で、漆喰のやり替えなど屋根メンテナンスが必要になります。
屋根材選びのポイントについて
ここまでの内容で、日本国内でどのような屋根材が人気なのかが分かっていただけたと思います。新築業界では、金属屋根とスレート屋根が「軽量で耐震性が高くなる」とみなされ、人気の屋根材となっています。ただ、スレート屋根や金属屋根は、建物の外観イメージがシンプルになってしまうことから、重厚感のある日本建築の外観が好みという方からは敬遠されがちとなっています。そういった方にじわじわと人気になっているのが、軽量瓦と呼ばれる素材です。
それでは、これから新築住宅の購入を考えているという方が、自宅の屋根に採用する屋根材に悩んだ時、どのようなことを考慮して選べば良いのでしょうか?屋根材選びでは、建物の外観デザインや性能が注目されがちですが、それだけでなくメンテナンスにかかるコストや地域特性なども考慮して選ぶのがおすすめです。
住宅の屋根は、中に住む人を風雨や紫外線から守るために取り付けられています。逆に言うと、屋根は常に風雨や紫外線の影響を受け続けていることから、住宅の中で最も過酷な場所と考えられるのです。したがって、自宅の屋根に採用する屋根材を選ぶときには、以下のような点を確認するようにしましょう。
- お住いの地域の気候や生活環境などを踏まえ、優先すべき屋根機能を判断する
- 費用は、初期コストのみに着目するのではなく、ランニングコストのことも考える
- 屋根の保証やアフターフォロー体制をチェックする
上述したように、一口に屋根と言っても、採用する屋根材の種類によって得られるメリットやデメリットが異なります。例えば、スレート屋根や金属屋根は、非常に軽量な屋根材ではあるものの、断熱や遮音性能に関しては瓦に劣ってしまうという問題があります。それでは、屋根材を選ぶときには、何を重視して選ぶべきなのでしょうか?これに関しては、お住いの地域の気候や生活環境にことも考慮して、屋根に求められる機能性を判断すべきです。例えば、海からの潮風が届くようなエリアに家を建てる場合、金属屋根を採用すると塩害により早期に屋根がサビてしまう可能性があるでしょう。他にも、寒冷地の場合は、屋根そのものが高い断熱性を保持している方が、快適な住空間を作りやすくなります。このように、住んでいる地域によって屋根材に求める条件が異なるため、まずは自分が建てる家が持っていてほしい機能を考えると良いしょう。
次に考えるべきは、屋根のメンテナンスのことも考慮して屋根材選びをするというポイントです。新築時には、建築コストをできるだけ抑えたいと考え、初期費用が安く収まる屋根材を選びたくなってしまいます。しかし、家は建てた後、何十年をそこで暮らすことが想定されますので、その時点でのコストのみを考慮していては損をする可能性があるのです。初期費用のみで考えると、スレート屋根が最も安く収まる可能性が高いです。しかし、スレート屋根の場合、10年前後に一度の頻度で塗装メンテナンスが必要になり、その都度100万円近いコストがかかってしまいます。軽量瓦の場合、30年程度は再塗装なしで運用できることから、単純計算で300万円近いランニングコストの差が生じます。当然、スレート屋根と軽量瓦で、初期費用が300万円も違うことなどありませんし、中長期的に見た場合には軽量瓦の方が安くつく可能性があるのです。このように、屋根材選びを進める時には、その時点でかかるコストではなく、何十年もそこで暮らすときのランニングコストにも目を向けましょう。
まとめ
今回は、日本国内の住宅における、屋根材の人気ランキングやそれぞれの屋根材が持つ特徴などについて解説しました。新築住宅の購入を検討している方でも、屋根は建物の外観イメージに影響を与えるだけで、デザイン面が気に入れば何を選んでも構わないと考えている方がいます。しかし、記事内でご紹介したように、屋根材はそれぞれ異なる特徴を持っていますので、採用する屋根材が変われば家の機能性が大きく違ってくるという点を忘れないようにしましょう。
特に、冬場は気温が極端に下がる、台風が多い地域、塩害の影響が考えられる地域など、一般地とは異なる特徴を持つエリアに家を建てる場合、建物の外観デザインよりも屋根材の機能性に着目して必要な機能を保持しているのかをチェックするようにしましょう。
屋根材選びは、一般の方では難しい面もありますので、これから新築一戸建ての購入を考えている方で、「屋根は何を選べば…」と迷っていれば、お気軽に悠建設までお問い合わせください。