
新築注文住宅を建てる時には、外壁材として何を採用すれば良いのかで迷う方が少なくありません。外壁は、風雨や紫外線など、外的要因から中に住む人や建物そのものを守る盾のような物として働くだけでなく、家の外観イメージを大きく左右する正に住まいの顔と言えるような材料になるのです。また、採用する外壁材の種類によって、将来的なメンテナンスにかかるコストなども変わってくるため、家に採用する外壁材は慎重に選ぶ必要があるのです。
なお、現在の日本の住宅市場で、最も一般的な外壁材と言えるのは「サイディング」と呼ばれる建材です。サイディングは、施工性に優れているうえ、コスト面やデザイン面に優れているというメリットがあるため、国内の外壁材のシェア率で考えると、なんと80%以上をこの建材が占めているとされているのです。ただ、一口にサイディングと言っても、いくつかの種類が存在していて、どのタイプを採用するのかによって得られるメリットなどが異なります。
そこでこの記事では、家の外壁を構成するサイディングについて、その種類と素材ごとの特徴をご紹介していきます。これから、家の新築や外壁リフォームを検討しているという方がいれば、ぜひ参考にしてみてください。
外壁サイディングの種類について
「サイディング」とは、一般住宅に限らずさまざまな建物の外壁に使用されている仕上げ用の板材のことを指しています。「サイディングボード」などとも呼ばれていて、1960年代頃から家づくりに採用されるようになっています。住宅の外壁については、砂と水を混ぜたモルタルで作られていることが主流だったのですが、サイディングが登場してから徐々にとってかわられるようになり、現在では80%以上の建物でサイディングが採用されるようになったとされています。
サイディングは、モルタル外壁などと比較すると、施工が容易で短期間で完了させることができるので、工事費用を節約することができます。また、デザインの種類や機能性なども豊富に用意されているので、新築業界では圧倒的な人気を誇っています。
ここではまず、住宅の外壁に採用されるサイディングについて、どのような種類の製品があるのかについてご紹介します。
窯業系サイディング
一つ目は「窯業系サイディング」です。窯業系サイディングは、セメントと繊維質を主な原材料とし、釜で高温処理してから板状に成形された外壁材のことを指しています。サイディング材の中でも最も一般的とされているのがこの窯業系サイディングで、日本国内の戸建て住宅の外壁においては、この材料が約8割も採用されているという調査データがあります。
窯業サイディングは、他のサイディング材と比較しても、デザインのバリエーションが非常に豊富であることや1㎡当たりの価格相場が安価である(3,000〜5,000円が相場)という点が人気の理由になっているのだと思います。また、国内での施工実績が非常に豊富なので、住宅関連の施工業者であればほとんどの業者が施工に対応可能で、工事の質も安定しているという点が大きなメリットになります。
ただ、将来的なメンテナンスにかかる費用は比較的高くなりやすいという点に注意する必要があります。
金属系サイディング
次は金属系サイディングです。名称から分かるように金属が原料として作られたサイディング材です。金属系サイディングは、屋根材としても人気のガルバリウム鋼板を成形して作られていて、外壁材として採用することで、建物のデザインがモダンでスタイリッシュになると、近年、非常に高い人気を誇っています。ちなみに、価格相場については、1㎡あたり4,000〜7,000円なので、窯業系よりも少し割高となります。
金属系サイディングは、新築業界でも高い人気を誇るようになっていますが、リフォーム業界では特に人気が高く、最近では窯業系サイディング以上に注目されているとされます。これは、金属系サイディングの場合、外壁のリフォームが「カバー工法」で実施できる点が非常に大きいです。
カバー工法は、屋根リフォームにも採用される手法なのですが、既存の材料を撤去することなく、そのまま新しい材料を施工していくという手法です。撤去工事がなくなる分、手間賃や廃材の処理費が削減できるので、リフォーム費用を大幅に軽減することができるわけです。また、外壁が二重構造になるため、外壁部分の防音性向上や断熱性の向上なども期待できます。ただ、建物の重量そのものが重くなってしまうため、耐震性が下がる可能性があると言われているので、その点は注意しましょう。なお、ガルバリウム鋼板を採用した金属系サイディングは、非常に軽量な材料なので、耐震性に悪影響が出るような事は基本ないと思います。
また、金属系サイディングはメンテナンス性にも優れているという点がメリットです。窯業系サイディングと異なり、材料にひび割れが生じる可能性がないため、その部分から雨水などが侵入する心配がありません。また、外壁の目地に充填されるシーリングについても、外に露出する部分が少なくなるため、メンテナンスの必要性が少なくなるのです。
ただ、ガルバリウム鋼板は、金属板の表面に、サビに強いメッキが施されているという製品で、このメッキが傷つくとそこからサビてしまう可能性があります。「ガルバリウム=サビない」と考えている人もいるのですが、あくまでもサビに強いだけで、強風などに飛ばされてきた物が外壁に衝突し、メッキが剥がれてしまうと、そこから普通にサビます。
樹脂系サイディング
3つ目は樹脂系サイディングで、これは塩化ビニル樹脂を主原料とした外壁材となります。樹脂の特性を生かした建材なのですが、現状の日本国内ではあまり普及しているとは言えない外壁材です。しかし、アメリカでは昔からこの樹脂系サイディングが広く普及しているので、今後日本でもシェア率を伸ばす可能性はあるでしょう。
樹脂系サイディングは、目地が存在しない外壁を実現できるので、シーリングが不要となります。外壁の目地は、シーリングの劣化による雨水の侵入など、家にとっての大きな弱点となるのですが、これが存在しなくなるため、メンテナンス性のことを考えると、とても優れていると言えるでしょう。また、外壁材そのものの耐久性も高く、一度施工すれば再塗装メンテナンスも20~30年は不要となるなど、将来的なランニングコストを抑えることができるのです。
注意点としては、日本では普及していない建材なので、単純に施工に対応できる業者が少ない、また仕入れの問題などがあるため、施工費がどうしても割高になってしまいます。耐久性の面では、圧倒的に優れた素材なので、今後に期待と言った所でしょう。
木質系サイディング
最後は木質系サイディングです。名称から分かるように、この外壁材は天然の木材を主原料としています。サイディング材の中でもシェア率は低いのですが、木材ならではのデザインを実現することができるため、家の外観にこだわりたいと考えている方が建てる注文住宅では高い人気を誇っています。
窯業系サイディングにも木目調のデザインが用意されているのですが、天然の木材を採用した木質系サイディングと比較すると、高級感の面ではやはり劣ってしまいます。木材ならではの暖かみのある独特な外観を実現できるため、唯一無二のマイホームを作りたいという方にはおすすめの素材です。
木材は、熱を通しにくいという特性を持っているため、このサイディング材を採用した場合には、高い断熱性を実現できる点が大きな魅力です。外気の影響を受けにくい住宅が出来上がるので、空調効率が高くなり、光熱費の削減などが期待できるようになるでしょう。
ただ、天然の木材を採用しているため、どうしても小まめなメンテナンスを欠かすことができないという点は注意が必要です。木材は、水分を吸収してしまうと、腐食や反りなどの問題が生じますし、家を良い状態で維持するためには塗装メンテナンスを欠かすことができません。木質系サイディングの場合、使用する塗料も特殊ですし、メンテナンスサイクルも短めとなってしまうため、どうしてもランニングコストが割高になってしまうという点は注意しましょう。他にも、木材なので、耐火性の面ではどうしても低くなります。耐火性をあげることもできるのですが、そのためには特殊な加工が必要になるので、外壁材としてのコストがさらに高くなります。
素材ごとのメリット・デメリットについて
外壁に使用するサイディング材は、上記の通り4種類の素材があります。そして、原材料となる素材の違いによって、外壁材として採用した時のメリットとデメリットが変わります。
ここでは、それぞれの外壁サイディング材について、素材ごとのメリットや注意点などについて解説します。
窯業系サイディングのメリットや注意点
それでは、窯業系サイディングのメリットとデメリットからご紹介します。日本の戸建て住宅に採用される外壁材では、この窯業系サイディングが圧倒的なシェアを誇っています。
それでは、家を建てる際、外壁材として窯業系サイディングを採用する場合のメリットとデメリットはどのようなことが考えられるのでしょうか?
窯業系サイディングのメリット
窯業系サイディングは、サイディング材だけで比較すると、約8~9割程度のシェア率を誇っているとされています。これほどまでに人気の理由は、以下のような点がメリットとみなされているからです。
- デザインやカラーが豊富
- 耐火性・防火性に優れている
- 初期費用が比較的安い
- 施工が容易で工期が短い
窯業系サイディングは、タイル調、木目調、レンガ調など、さまざまなデザインの製品が用意されています。また、カラーも豊富なので、家を建てようと考えている方の要望に合わせて、理想の外観を実現しやすいという点が大きなメリットになっています。選択肢が多いため、周りに窯業系サイディングを採用した住宅が多くても、家の見た目が被りにくくなるのです。
また、主原料がセメント素材となるため、燃えにくく防火性に優れている、施工が容易なため、家を建てる際の費用を抑えることができる、工期も短くなるといったことがメリットになり、多くの方に選ばれているのだと思います。窯業系サイディングでも高機能な製品は、それなりに高いですが、スタンダードモデルの場合は他のサイディングよりも、外壁にかかるコストを抑えられます。
窯業系サイディングの注意すべきデメリット
次は、窯業系サイディングのデメリット面です。どのような建材にも、注意すべきデメリットがあります。窯業系サイディングの場合は、以下のような点に注意しましょう。
- メンテナンス頻度が高い
- メンテナンス不足によるリスク
- 重量がある
- 蓄熱性が高い
窯業系サイディングのデメリットは、他のサイディング材と比較すると、メンテナンス頻度が高くなるため、ランニングコストが割高になりやすいという点です。窯業系サイディングは、防水性を塗装によって得ているため、定期的な塗装メンテナンスが欠かせません。塗装メンテナンスは、採用する塗料のグレードによって変わりますが、一般的には10年に1回の頻度で再塗装が必要になります。
塗装メンテナンスを怠ると、サイディング材が吸水性を持っているため、水分を吸い込んでしまい、湿潤と乾燥を繰り返すことで一気に劣化が進行します。その結果、雨漏りに発展するなどの問題があるのです。また、窯業サイディングは、目地をシーリング材で埋めるのですが、このシーリング材も定期的に打ち替える必要があります。
この他、建材としては若干重量が重いため、建物への負担が大きくなる、蓄熱性も持っているため、夏場は室内温度が上がりやすいなどの注意点があります。
金属系サイディングのメリットや注意点
次は金属系サイディングのメリット・デメリットです。上でも紹介している通り、住宅リフォームの場面では、他のサイディング材よりも人気なのがこの金属系サイディングです。また、最近では新築時でも金属系サイディングにしたいというお客様も増えています。
金属系サイディングのメリット
まずは金属系サイディングのメリット面からご紹介します。外壁材として金属系サイディングを採用するメリットは以下の通りです。
- 耐震性・軽量性が優れている
- 高耐久・防水性が高い
- 高い断熱性・防音性が期待できる製品が多い
- メンテナンスコストを抑えられる
- モダンな外観を実現で出来る
金属系サイディングの最大のメリットは、住宅としての維持コストを削減することができる点でしょう。窯業系サイディングのように、高頻度に再塗装が必要になるということもありませんし、シーリングが表に出てこないので、この部分のメンテナンスも少なくて済みます。また、建材そのものが高耐久、高防水性を持っているため、天候などの影響も受けにくく、長期間良好な状態で利用できるようになるため、トータルコストを抑えることができるのです。また、外壁リフォームのことを考えた時には、金属サイディングを選べばカバー工法が採用できるという点も大きな魅力でしょう。
この他、材料そのものが軽量なので、建物への負担が少なく、地震への揺れを軽減できるとされています。住宅の外観デザインに関しては、シンプルでモダンな外観を実現できるので、そういった家を求めている人にとっては非常におすすめです。
金属系サイディングのメリット
金属系サイディングにも注意しなければならないデメリットがあります。この材料を外壁材として採用したいと考えている方は、以下の点に注意しましょう。
- 初期コストが高め
- 衝撃に弱く、傷・凹みがつきやすい
- サビ(腐食)のリスクがある
- 施工できる業者が限られる
金属系サイディングは、ランニングコストの削減が期待できるものの、初期費用は窯業系サイディングよりも高くなってしまいます。これは、材料としての金額が高いという点も関係するのですが、施工できる業者が限られてしまうことから、施工費も割高になってしまうことが影響します。
また、金属系サイディングは、薄い金属板を外壁材として採用するのですが、ちょっとした衝撃によって傷や凹みが生じてしまいやすいので注意が必要です。窯業系サイディングは、多少の衝撃であれば、何の影響も出ないのですが、金属系の場合は、自転車をちょっとぶつける、強風で何かが飛ばされて衝突するといった程度でも、表面のメッキが剥がれたり、凹みが生じて外観を損なったりします。
特に、表面のメッキに傷が入ると、その部分からサビが発生してしまい、徐々に拡大していってしまいます。ガルバリウム鋼板は「サビに強い」ことが特徴なのですが、絶対に錆びないわけではありませんし、サビを抑えるためのメッキに傷が入ると普通の金属と同じようにサビてしまうのです。一般的に、金属系サイディングは、メンテナンスの手間が少なくなるとされていますが、こういった問題のことを考えると、完全にメンテナンスフリーになるわけではないと考えた方が良いです。
この他、デザイン性に関して、金属系サイディングを採用すると、シンプルでモダンな仕上がりになるのですが、それを「シンプル過ぎる」などと嫌う人もいます。金属系サイディングの採用に迷った時は、この外壁材を採用している建物を事前に確認させてもらっておくのがおすすめです。
樹脂系サイディングのメリットや注意点
次は樹脂系サイディングのメリット・デメリットです。日本ではあまり普及していない外壁材ですが、この素材のメリットとデメリットは以下の通りです。
樹脂系サイディングのメリット
まずは樹脂系サイディングのメリットからです。
- 非常に優れた耐久性を持っている
- 耐候性・耐水性が非常に高い
- 軽量で建物の負担を軽減
樹脂系サイディングのメリットは、他のサイディング材と比較すると、圧倒的に高い耐久性を持っている点です。この外壁材は、約20〜30年の超寿命を持っていて、再塗装などもほぼ不要でメンテナンスフリーな外壁材とされています。塩害・凍害・カビなどにも強いため、沿岸部や寒冷地に建てる住宅の外壁材としては最適とされています。
また、外壁材としての重量は、窯業サイディングの1/4程度と、非常に軽量なので、建物への負担を軽減し、高い耐震性を実現することができます。外壁リフォームの場面では、カバー工法にも対応可能なので、施工性が高い点も優れていると言えます。
樹脂系サイディングのデメリット
樹脂系サイディングのデメリットは以下の通りです。
- 施工、調達が難しい
- コストが高い
- デザインバリエーションが少ない
- 建材の特性によって制限が生じる
樹脂系サイディングは、国内シェアが1%に達するかどうかなど、余り普及していない外壁材です。そのため、樹脂系サイディングの施工に対応できる業者が少なく、また材料の仕入れも難しいという問題があるのです。特殊性の高い建材なので、その分コストもかかり、最も普及している窯業サイディングを比較すると、初期費用は倍近くかかるとされています。
また、デザインバリエーションの少なさも、日本国内で人気が上がらない理由になっています。アメリカでは主流の外壁材なのですが、海外風のラップサイディングがメインで、日本の住宅に合うようなモダンなデザインや色の選択肢が少ないため、検討候補になかなか入らないのです。素材が樹脂なので、プラスチック素材特有の質感があり、薄く成形されていることから、どうしてもチープに見えてしまう点もデメリットです。
樹脂系サイディングの「再塗装が不要」という部分は、メンテナンスコストを抑えられるというメリットがある一方、塗り替えができないため、塗装で色を変えるなど、家のイメージチェンジができないことも意味します。長年、同じ外観を維持し続けることになるので、その点を嫌う人もいます。
木質系サイディングのメリットや注意点
最後は木質系サイディングのメリット・デメリットです。昨今の住宅市場では、この外壁材も採用されることは少ないです。
木質系サイディングのメリット
まずはメリット面です。以下のようなメリットが特徴です。
- 木特有のデザイン性とぬくもり
- 断熱性能に優れている
- 経年変化(エイジング)を楽しめる
- 環境に優しい
木質系サイディングの最大のメリットは、やはりデザイン性の面です。天然木ならではの自然な木目が楽しめるため、窯業系や金属系にはない「温かみ」や「高級感」を演出することができ、おしゃれな住宅を実現することが可能です。特に、店舗兼住居などには最適な外壁材かもしれません。さらに、木質系サイディングは、他の建材にはない「経年変化を楽しめる」というメリットがあります。時間の経過とともに、自然に色合いが変わっていくため、時間をかけて味わい深い住まいを実現することが可能です。
この他には、高い断熱性や軽量なので耐震性に優れる、再生可能な資源であるため、環境負荷を低減できるなどの点もメリットです。
木質系サイディングのメリット
デメリットもご紹介します。
- メンテナンス頻度が高い
- 初期費用が割高
- 耐久性と防火性の制限
- 施工・管理の難しさがある
木質系サイディングは、初期費用もランニング費用も割高になってしまう点が最大のデメリットです。窯業系や金属系サイディングと比較すると、材料費も工事費も高価になるため、新築コストが上がってしまいます。また、主原料が木材なので、防水塗装の効果が切れる前に再塗装を必要とするなど、メンテナンス頻度がどうしても高くなってしまいます。建物の美観や防水性を保つには、3~10年に1度の頻度で塗装メンテナンスが必要とされるなど、他の外壁材よりも維持費がかかってしまうのです。
メンテナンスを怠ると、シロアリなどの害虫を引き寄せてしまう可能性が出てきますし、維持管理の面ではどうしても難しさがあります。なお、施工に関しても、高い技術力が求められるので、木質系サイディングに対応できる業者は少ないです。
まとめ
今回は、住宅の外壁材として主流になっているサイディングについて、サイディング材の主な種類について解説しました。
記事内でご紹介した通り、サイディングには、主に4つの種類の製品があるのですが、採用するサイディング材によって、初期費用やメンテナンスにかかる手間とコストが大きく変わります。また、外壁材は建物の外観イメージを決定する非常に重要な要素でもあるため、さまざまなことを考慮しながら慎重に選ばなければならないと考えてください。
現在、マイホームの新築を検討していて、採用する外壁材に迷っているという方がいれば、お気軽に悠建設にご相談ください。
