一戸建ての購入を検討し始めた時には、「どんな間取りの家が良いかな?」「自分たちの生活リズムに最適な土地はどこかな?」など、ワクワクしながら物件探しを行うはずです。しかし、一戸建ての物件探しでは、こういった前向きな疑問だけでなく、住んでから近隣トラブルに巻き込まれないかな…」や「隣人ともめたら、どう対処すればいいのだろう?」といった感じに、初めて住む土地に対する不安を感じる人も多いはずです。
実際に、住宅を購入した方の中では、住んでみて隣人・近隣トラブルに巻き込まれてしまった…なんて方も少なくないのです。特に、昨今の一戸建て住宅は、家と家の距離が近くなっていることもあり、一昔前よりも近隣トラブルの発生リスクが高くなっているとされています。ただ、一戸建てにおける近隣トラブルについては、どのようなトラブルが発生しやすいのか、また隣人とのトラブルに発展した時にどのような対処をすれば良いのかを知っておくことで、大きな問題に発展させることを防止することができます。
そこでこの記事では、一戸建てに住む方の間でよくあるとされる近隣トラブルの事例や予防策、実際にご近所トラブルに巻き込まれた時の対処法をご紹介します。
一戸建てでよくあるご近所トラブルの事例
ご近所トラブルと聞くと、騒音を原因に隣人同士のトラブルに発展するケースをイメージする方が多いです。そのため、家と家が独立し、それなりの距離が離れている一戸建て住宅については、マンションなどの集合住宅よりも近隣トラブルに見舞われるリスクが少ないと考えている人が非常に多いです。実際に、もともと集合住宅に住んでいた方が新築戸建て住宅を購入し、そこで生活を始める時には「これで騒音などに悩まされる心配はない!」と考える人がほとんどのようです。
しかし、昨今では、戸建て住宅でも家と家の距離が非常に近くなっていることもあり、集合住宅と同じような騒音問題に悩まされてしまうケースが多くなっているとされるのです。近隣トラブルについては、誰でも不意に巻き込まれる可能性があり、適切な対処ができなかった場合には、深刻な事態に発展するケースも考えられます。さらに、生活習慣が異なる人同士のトラブルなので、被害者にも加害者にもなり得るという点を忘れてはいけません。
それでは、一戸建てに住む方は、どのようなトラブルに巻き込まれることが多いのでしょうか?ここでは、よくある一戸建ての近隣トラブルをいくつかご紹介します。
① 騒音を原因としたトラブル
近隣トラブルの原因として、最も多いのが騒音です。騒音問題は、ご近所関係を狂わせた事例が枚挙にいとまがなく、小さな騒音トラブルが傷害事件にまで発展した…というケースも珍しくありませんよね。実際に、日本国内で防音工事が注目されたのは、ピアノの音が原因となるご近所トラブルが、殺人事件にまで発展したことが要因となったとされています。
騒音による近隣トラブルは、マンションなどの集合住宅で起きる物と考えられがちですが、一戸建て住宅でも、以下のような音が原因となり、隣人とのトラブルに発展するケースがあるようです。
- 小さな子供が騒ぐ声や走り回る音
- 車のエンジン音やアイドリング音
- エアコンやエコキュートの室外機の運転音(振動音)
- 掃除機や洗濯機、TVの音など一般生活音
- 人が集まって騒ぐ声(宴会やBBQなど)
- ペットの鳴き声
- 楽器、カラオケ、ホームシアターの音
騒音トラブルは、外に繋いでいる犬が頻繁に吠える、夜間に楽器の演奏をするなど、大きな音が原因となって起きるものと考えられがちですが、家と家の距離が近くなった昨今では、誰でも日常生活の中で生じさせるような生活音が原因となってトラブルになるケースも多くなっているようです。例えば、お隣の方と生活時間がズレている場合で、夜遅くにお風呂の入るなんて場合、お隣の寝室と自宅の浴室が近くになる間取りになっているケースでは、排水音に苦情を言われる…なんてこともあるようです。
騒音は、不眠やイライラなど、さまざまな障害を引き起こすとされ、人によっては頭痛や吐き気、動機などの原因にもなるそうです。実際に、生活音を原因として裁判沙汰にまで発展する近隣トラブルもあるようなので、音に対しては細心の注意が必要と考えた方が良いです。
② ペットを原因としたトラブル
ペットが原因となるトラブルは、騒音だけではありません。実は、犬や猫などのペットを飼育する人が増えている昨今では、ご近所さんとペットの扱いでトラブルに発展するケースが増えていると言われています。
現在では、「ペットも家族の一員」として迎えるご家庭が多いため、一昔前のように外に繋いでいる犬が吠えて騒音トラブルになる…なんてケースは少なくなっています。しかし、ペットが原因となる近隣トラブルは、糞尿の処理やニオイの問題など、さまざまな要因が考えられるのです。具体的には、以下のような事が原因となり、トラブルに発展するケースが多いとされています。
- 家の前の電柱や壁に尿をされる
- 家の前(近く)に糞を残されたままにされる
- 換毛期に毛が飛散する
- 人に危害を加えた
コロナ禍以降、ペットの飼育率がさらに高くなっているとされますが、世の中には犬・猫などの動物を苦手とする人もいるのです。また、アレルギーを持っている方などは、近所から飛散してくるペットの毛などで体調が悪くなる…なんてことも考えられるでしょう。
特に、犬の散歩の際、街中に糞尿をさせ、そのまま放置するなんて行動をすると、ほぼ確実にトラブルに発展するでしょう。戸建ての購入をする際には「絶対にペットを迎え入れたい!」と考える方も多いと思いますが、近隣の方に迷惑をかけないようにするという点は意識しましょう。また、ペットによるトラブルを避けるには、ご近所さんもペットを飼っているという状況が望ましいので、土地探しの段階でその辺りも注目してみると良いです。
③ ゴミ捨てに関するトラブル
集合住宅に住んでいる方は、戸建て住宅を購入し引っ越しする際は、ゴミ捨てに関するトラブルに注意しなければいけません。アパートやマンションなどの集合住宅では、曜日など気にせずに、ゴミ捨て場にゴミを出せば、業者さんが回収してくれるスタイルになっている場合が多いです。ゴミ捨て場の掃除などに関しても、管理会社側がきちんと行ってくれるため、ゴミ出しに苦労するようなことはほとんどありません。
しかし、一戸建てで生活をする場合、ゴミ出しに関して近隣トラブルを抱えるケースがあるのです。例えば、以下のような事が原因にトラブルに発展することが多いです。
- 曜日や時間などゴミ出しのルールを守らない
- 家の前のゴミがカラスに荒されたのに掃除しない
- ゴミ捨て場の掃除について(これは町内会に関する問題でもあります)
- 町内会に加入しないとゴミが出せない
ゴミ出しに関しては、一戸建てに住む場合の思わぬ盲点になるので注意しましょう。近年では、町内会に入りたくない…という方も増えていて、加入しないことを理由にゴミ出しができなくなる…といったトラブルなども報告されるようになっています。ゴミ出しに関しては、エリアによって独自のルールなどが作られている場合があるので、その辺りは注意しましょう。
④ 自動車に関するトラブル
一戸建てでの近隣トラブルでは、路上駐車や自動車による騒音など、乗り物が原因になるケースもあります。例えば、以下のような事例が考えられます。
- 向かいの家の路上駐車で、自分の車の出し入れができない
- 車、バイクのエンジン音がうるさい
- ちょっと路上に駐車したら通報された
- 近所の子供が駐車場に侵入し車を傷つけられた
近隣トラブルでは、乗り物に関する問題も起きやすいので注意しましょう。路上駐車に関しては、近隣に迷惑になるような狭い道路の場合、少しの時間でもしないようにしましょう。また、相手の路上駐車などに迷惑している場合は、早めに困っていることを伝えてみると良いでしょう。きちんと話せば、大きなトラブルに発展することなく、問題を解決できる場合もあります。
⑤ ニオイに関するトラブル
家と家の距離が近くなった昨今では、一戸建てにおける近隣トラブルについて「ニオイ」が原因となるものが増えていると言われます。例えば、ペットの糞尿の臭いや、ゴミ屋敷の悪臭などが考えられるでしょう。
これ以外にも、ガレージなどを利用して家族でBBQをするなんてケースでは、ニオイや煙が近隣に広がり、迷惑をかける可能性があります。自宅でのBBQに関しては、敷地内で楽しく過ごしているだけ…と感じるかもしれませんが、ご近所の方が外に洗濯物を干しているという状況では、洗濯物にニオイが付着してしまうなど、近隣トラブルの原因になる可能性があります。
上記の5つ以外にも、境界トラブルや庭木の越境、落ち葉の問題など、さまざまなことが要因となり、近隣トラブルが発生する可能性があります。一戸建て住宅は、集合住宅と異なり、独立した建物となるため、トラブルの可能性は低いと考えられがちです。しかし、ほんの些細なことが原因でトラブルになり、その後はご近所さんからの嫌がらせを受けてしまう…なんてこともあるので注意しましょう。
近隣トラブルを防止するための予防方法とは
前項で、一戸建て住宅での生活でも、さまざまな近隣トラブルに見舞われる可能性があるとわかっていただけたのではないでしょうか?それでは、近隣トラブルを事前に予防することはできないものなのでしょうか?
日常生活を進めるうえで、一切の音を出さずに生きていくことなど誰にもできませんし、一戸建てならペットは飼育したいと考える人も多いことでしょう。そこでここでは、一戸建てに住む方が、近隣トラブルを予防するために注意したいポイントをご紹介します。
購入予定の土地は細部までチェックする
一戸建て住宅を購入する際には、出来るだけ近隣トラブルに巻き込まれないような土地を選ぶことが非常に重要です。というのも、賃貸物件選びとは異なり、住宅の購入は、後から問題が見つかったとしても、そう簡単に引っ越しすることができないからです。家を購入した後、何らかのトラブルに巻き込まれたとしても、家を手放すという決断をするのは難しく、ストレスや身の危険を感じながらの生活を強いられてしまう…という話を耳にした経験は誰にでもあるのではないでしょうか。
したがって、一戸建てでの近隣トラブルを防止するための対策としては、購入を検討している物件については、そこに住んだ後にトラブルになる火種がないのかを、慎重にチェックすることが重要になるのです。例えば、以下のような点についてはしっかりと確認しておきましょう。
- 物件周辺におかしなニオイや悪臭がないか
- 邪魔になるような大きな音が生じていないか
- 近隣の方はペットを飼育しているのか?している場合、おかしな飼い方をしていないか
- 隣家との境界が明確になっているのか
- 室外機が自分たちに迷惑になるような場所に設置されていないか
- 隣家の庭木や建造物が越境していないか
- 近隣の方は良識のありそうな人か
- 路上駐車の状況や近隣の家に改造車がないか
- 近所にゴミ屋敷(将来的にゴミ屋敷になりそう)な家はないか
土地を購入する前は、上記のように、周辺の状況について慎重に確認しなければいけません。なお、物件周りのチェックについては、異なる時間帯について、何度かチェックしに行くのがおすすめです。例えば、昼間は静かに感じたけれど、夕方に行ってみると近所の子供のたまり場になっていてうるさい…、近くに繁華街があるため夜中まで騒音がある…なんて状況は、住んでから気付くとトラブルのもとになってしまいます。
トラブルを防止できる家になるように工夫する
近隣トラブルを防止できる家を購入するためには、土地選びだけでなく、建物そのものの性能に注目することが大切です。例えば、家族の中に楽器の演奏を行う人がいるなんて場合、自分たちが騒音の原因とならないためにも、新築時に防音室を用意しておくべきでしょう。この他にも、換気のために窓を開けなくて済むように全館空調システムを導入する、隣家の寝室と離れた位置に浴室やトイレを設置するなど、間取りの工夫により騒音トラブルを防止できるようにするといった方法が考えられます。
近隣トラブルを予防するための家づくりのポイントをいくつかご紹介するので参考にしてください。
- 楽器の演奏やカラオケなど、大きな音が生じる趣味を持つなら防音室を用意する
- 外部騒音を気にしなくても済むよう、二重窓・ペアガラスの設置など窓の防音性を高める
- 高気密・高断熱住宅にする(気密性、断熱性の高さは防音性能に直結します)
- 室外機は、隣家に影響を与えない位置に設置する
- 騒音問題を防止できるように間取りを工夫する
一戸建ての近隣トラブルは、家そのものの性能を高めてあげることで防止することが可能なものが多いです。特に、悠建設でもおすすめするWB工法などは、家そのものが呼吸することで、窓を開けるといった換気方法に頼らなくても、家の中の空気を新鮮に保つことが可能です。そのため、外部からの騒音の侵入や、自分たちの生活音が漏れてしまうといった事態を防止することができ、ご近所さんとの余計なトラブルを予防できます。
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可能であれば、隣家との距離を開ける
一昔前と比較して、一戸建てでも騒音を原因とする近隣トラブルが増えていると言われています。実は、一戸建てで騒音トラブルが増加しているのは、家同士の距離が近くなったことが大きな要因になっているとも言われています。近年では、土地価格の高騰などもあり、家を建てたいと思っても、都市部などでは狭小地に3階建て住宅を建てるのが限界という場合も珍しくありません。郊外などであれば、庭付きの一戸建てを購入することも不可能ではありませんが、通勤や通学のことを考えると、大阪市内などの都市部の方が良いと考える人が多いです。そして、都市部の戸建て住宅は、お隣の家との間隔が、1m程度しかない…なんてケースも珍しくなく、ちょっとした生活音でも聞こえてしまう…といった状況になっているのです。
もちろん、家と家の距離が近ければ、騒音だけでなく、ニオイなども伝わりやすいです。また、室外機の向きによっては、冷風が隣家に向かって吹き出してしまい、それに苦情を言われる…なんてこともあるようです。家の購入をする際、お隣との距離を十分に取れるだけの広い敷地を選んだ場合、以下のようなメリットが得られます。
- お互いの生活音・生活臭が伝わりにくくなる
- 室外機からの距離が物理的に離れるので、振動、騒音、冷風などの影響が少ない
- 出入りしやすい、広い駐車場を設けられる
- 日照・通風を確保しやすい
広い敷地を確保し、庭を設けることができれば、近隣トラブルの防止にも役立ちます。もちろん、家の購入かかる費用が高くなるため、「可能であれば」という対策になります。
ご近所さんとのコミュニケーションを大切にする
近隣住民同士のトラブルを防止するため、重要な役割を果たすのが住民同士のコミュニケーションです。近年、近隣住民同士でトラブルが増加している要因として、トラブル原因となる方のマナーの欠如という理由以外にも、近隣住民同士の人間関係が希薄になっている、地域コミュニティの仕組みが消滅している場所が増えているなどといったことが原因になっていると言われています。
逆に考えると、地域住民同士の交流があり、きちんとコミュニケーションがとれているという状況であれば、昨今問題視されているような、近隣トラブルには発展しないのではないかと考えられるのです。例えば、お隣さんの為人が理解できていれば、「ちょっと神経質なところがあるから音には気をつけよう」「マナーに疎い人だし、悪気はないと理解できる」などと、トラブルに発展する前に自分たちで予防することができるようになります。
さらに、普段からコミュニケーションがきちんととれていて、仲良くしている隣人同士の場合であれば、ちょっとした問題でも寛容な気持ちで許すことができるようになるのが人間なのです。例えば、普段から挨拶もしない隣家から赤ちゃんの夜泣きが聞こえてきた場合「うるさくて眠れないじゃないか!」と苦情を言いたくなってしまうでしょう。しかし、普段から仲良くしていて交流のあるお宅の場合、「○○さんも大変ね。子供は泣くのが仕事だし私も我慢しよう。」と自然と許せてしまうものですよね。
実は、人は「単純接触効果(何度も見たり聞いたりすることで、その対象に対する親近感や好感度が高まる現象)」によって、お互いが寛容になれるとされていて、これが近隣トラブルを予防するうえで、非常に重要な要素になるとされているのです。一戸建てにおける近隣トラブルを防止するには、引っ越しした時点でご近所さんに挨拶に伺い、普段からコミュニケーションをとっておくだけで、ほとんどの問題は解決できる可能性が高いです。コミュニケーションがきちんととれていれば、どうしても我慢できない問題が生じた時も、気楽に相談できるようになるはずです。
近隣トラブルが発生した時の対処法
それでは最後に、近隣の方と何らかの理由でトラブルに発展してしまった時の対処法についても解説します。どれだけ注意しながら生活していたとしても、予期せぬ理由でトラブルに発展してしまうことは誰にでもあります。
そのような場合は、大きな問題に発展する前に、以下のような対処で解決を目指しましょう。
早めに当事者同士で話し合う
近隣トラブルは、出来るだけ早く、問題が小さなうちに消火することが大切です。火種は小さい方が消しやすいのと同じで、近隣トラブルも、大きな問題に発展する前に当事者同士で話し合って解決できるのが一番良いのです。一戸建てでの近隣トラブルは、お互いに引っ越しすることは難しく、何十年先まで付き合っていかなければならないご近所さんでもあるのです。したがって、遺恨を残さないようにするためにも、きちんと当事者同士が顔を合わせて話し合いをすることも大切です。
なお、話し合いをするときには、感情的にならないこと、相手のペースにはまらないこと、事実をきちんと受け入れるということが大切です。例えば、あなたが騒音の苦情を言われたとして、「うるさいわけはない!」と感情的に相談を突っぱねたとすればどうなるでしょうか?「うるさいかうるさくないか?」は相手側の感じ方なので、苦情の原因となった音を本当に自分たちが生じさせているのか、生じさせていた場合、どうすれば解決できるのかを冷静に考えなければならないのです。
近隣トラブルは、きちんとコミュニケーションがとれている人同士なら、冷静な話し合いで解決できる場合がほとんどです。したがって、お互いが問題を相談できる体制を作り、何かあれば真剣に取り組む姿勢を見せることでトラブルを解消することが可能でしょう。
自治体や警察などに相談する
近隣トラブルが感情トラブルにまで発展した、または普段から話したことがないため当事者同士の話し合いは怖い…なんて場合、第三者の力を借りて解決に向かう方が良いかもしれません。近隣トラブルから生涯沙汰に発展する…というケースでは、相手方の為人が分からないまま、苦情を言いに行く、反撃にあう…なんてケースが多いようです。
したがって、相手方の為人がわからない…という場合や感情トラブルにまで発展したという場合は、以下のような第三者に力を借りると良いでしょう。
- 自治体の窓口に相談する
お住いのエリアの役所や役場に行けば、住民相談に関する窓口があると思います。したがって、当事者同士でトラブルの解決に向かうのが難しい…という場合、自治体の相談窓口に頼ってみると良いでしょう。なお、自治体によっては、騒音や悪臭、ゴミ問題など、よくある住民トラブルごとに電話相談を受け付けている場合もあるので、自治体のwebサイトで確認してみましょう。 - 警察に相談する
警察は、何らかの事件が無ければ動いてくれないというイメージがあるかもしれませんが、騒音などの近隣トラブルも相談することが可能です。特に、当事者間の話し合いが拗れてしまい、嫌がらせを受けている…なんてケースでは、警察などに相談するのがおすすめです。 - 自治会に相談する
自治会が活発に動いている地域なら、自治会に相談することで、回覧板などを利用して注意喚起をしてもらうことも可能です。相手方も自治会メンバーなのであれば、他の自治会の方に仲裁に入ってもらうことも可能でしょう。特に、複数の住人が困っているというケースでは、自治会全体の問題と捉え、主体的に動いてもらえる可能性もあります。
近隣トラブルが当事者同士で解決できない場合は、上記のような第三者に間に入ってもらうという方法が考えられます。ただ、警察に相談するといった方法は、「問題を大きくした」と捉えられてしまい、相手方がより攻撃的になる可能性もあるので、その辺りは慎重に方法を選ぶ必要があります。
専門家や紛争解決機関に相談する
最後は、専門家や紛争解決機関に相談するという方法です。もう少し分かりやすく言うと、弁護士や裁判所に相談し、問題の解決を目指すという方法です。
こう聞くと、「ご近所トラブルで裁判まではちょっと…」と感じる方が多いかもしれませんが、騒音問題が原因となる近隣トラブルが裁判沙汰にまで発展するケースは特に珍しくないのです。そして、過去には、騒音問題を原因とした裁判で、騒音源となっている住人に対して損害賠償が認められたというケースも多いのです。
近隣トラブルなどの紛争を解決したい場合、以下のような専門家、専門機関に相談することが可能です。
- 弁護士に相談する
弁護士と聞くと「=裁判」というイメージがありますが、裁判にまで行かなくても、法律的な視点で問題の解決に動いてくれる場合もあります。例えば、当事者間の話し合いに同席し、法的な解釈で合意できるポイントを提示してもらう、内容証明郵便などを作成し迷惑行為に対する警告を行うといった対処が可能です。なお、弁護士にトラブルの解決を依頼する場合、それなりの費用がかかるので、その点は注意しましょう。 - 民事調停する
民事調停は、裁判所で当事者同士が話し合いを行い、合意によって解決を図る手続きです。民事調停法第1条で「民事に関する紛争につき、当事者の互譲により、条理にかない実情に即した解決を図ることを目的とする」とあるように、平和的な解決法といえるでしょう。民事調停は、「どちらが正しいのか?」を決める場ではなく、調停委員会が個別にヒアリングすることで、調停案(お互いがどこまで譲れるか)を探るという場所になります。起訴よりも手数料が安く設定されていて、手続きも簡単なので、当事者だけでは解決できない問題を持ち込むには良いと思います。 - ADR(裁判外紛争解決手続き)
あまり聞き馴染みがないと思いますが「ADR(Alternative Dispute Resolution)」という、裁判よりも手続きが簡易で経済的な紛争解決方法もあります。ADRの詳細は、政府広報オンライン内で解説されているので、『法的トラブル解決には、「ADR(裁判外紛争解決手続)」』というページを確認してみてください。
上記の方法を利用して、法的に問題の解決に動くことが可能です。ただ、ケースによっては上記の方法を利用しても、問題の解決ができない場合もあります。そのような時には、訴訟を起こすしかないでしょう。
起訴の利用は、相手がかたくなな場合でも、法的な最終決着を図ることができる点が大きなメリットになります。ただ、時間や労力、費用はどうしてもかかってしまいますし、裁判に必ず勝てるわけではないという点は注意が必要です。
まとめ
今回は、一戸建て住宅に住んでいる方が巻き込まれる可能性がある近隣トラブルの種類や未然に近隣トラブルを防ぐための予防策などについて解説しました。
騒音などを原因とする近隣トラブルについては、各家庭の生活空間が非常に近くにある集合住宅で発生するもので、戸建て住宅に引っ越せば騒音問題などの心配がなくなると考えている方が多いです。しかし、昨今の戸建て事情を考えてみると、家と家の距離が非常に近づいていることで、ちょっとした生活音でも騒音トラブルに発展してしまう…なんてケースが多くなっていると言われているのです。
もちろん、近隣トラブルは、騒音以外にもさまざまな原因が考えられ、いつあなた自身がトラブルに巻き込まれるのか分かったものではありません。したがって、新築住宅の購入時には、自分たち生活にだけ注目して土地選びや家づくりを進めるのではなく、「近隣トラブルが発生しないようにするには?」という視点も持っておくと良いです。例えば、高気密・高断熱住宅は、空調効率が良く省エネ性を高めてくれるだけでなく、外部騒音の侵入や自分たちが生じさせる音漏れを防止してくれるなど、近隣トラブルの防止にも役立つのです。