今年もいよいよ最終盤に入り、年末年始の準備で毎日をあわただしく過ごしているという方が多いのではないでしょうか?12月に入ると、忘年会などの楽しみも増えますが、自宅の大掃除を始めなければならないなど、日本特有の年末年始の準備に頭を悩ませる方が多いです。

そして、年末年始はお正月飾りについてさまざまな疑問が頭をよぎることも多いのではないでしょうか?お正月飾りとは、家の玄関部分に門松を建てたり飾り物をぶら下げたりする古くからの文化なのですが、現代の若者の中には「お正月飾りはいつから飾るの?」「お正月飾りはいつまで飾って良いの?」など、そのルールがいまいち分からず困ってしまうという方も多いです。また、そもそもお正月飾りを玄関に飾るのは、なんの意味があるのか…と文化そのものに疑問を感じる人もいるようです。

そこでこの記事では、意外に知らない人が多いお正月飾りについて、なぜ玄関に飾るのかというお正月飾りの意味や、いつからいつまで飾るものなの、また片付けた後の飾りの処分はどうすれば良いのなどについて解説します。

お正月飾りの種類とそれぞれの意味

現代のお正月は、単に新年を向かえたことを家族でお祝いする日といったイメージが強いのですが、そもそも日本のお正月は、年神様(歳神様・としがみさま)という神様をお迎えするための行事とされています。年神様とは、五穀豊穣を司る農耕の神様とされていて、エリアによっては「お正月様」とも呼ばれているのです。

古くからの日本の考えでは、元旦になると年神様が家にやってきて、1年の幸運をもたらし、厄を払ってくれるとされています。そしてお正月飾りは、そのような年神様をお迎えするための習慣の一つとして現在も残っているのです。
なお、お正月飾りとして何を飾るのかについては、地域によって違いが存在します。ただ、基本的には「門松・しめ飾り・鏡餅」の3点をお正月飾りとして用意するため、ここではそれぞれのお飾りがどんな意味を持っているのかについて解説します。

門松

一つ目のお正月飾りは『門松』です。門松は、年神様を家にお迎えするための目印や、家の中に邪気が入らなくするという意味があるとされています。

神様を迎えるための目印となるため、基本的には玄関わきなど、入口の外側に左右一対で置くのがルールとされています。ただ、マンションなどの集合住宅の場合、玄関前は共用の通路となっているケースが多いため、この場合は玄関の内側に置いても良いとされています。ほとんどの集合住宅は、お正月飾りなどの飾り物を共用スペースに設置してはいけないというルールを設けていると思います。これは、緊急時の避難を妨げるなど、消防法上の決まりとなるため、文化よりも優先されるのは仕方ないでしょう。

門松は、その名称から分かるように「松」が使われています。松は、生命力の象徴とされていて、長寿を願う縁起物と扱われています。さらに、松が『祀る』に通じることから「神様に祀るための木」とされていて、年神様を迎えるために飾る木としてふさわしいと考えられたと言われています。
なお、昨今の門松に関しては、竹や梅が一緒に添えられているものが多いです。従来の門松は、「松飾り」として松だけが使用されていたそうですが、時代の流れとともに門松の姿が徐々に変化していったのでしょう。竹は、成長が早くて真っすぐ伸びるという特徴から長寿や繁栄を表していて、新春の時期に咲く梅は、1年の始まりにふさわしい縁起物とみなされ、門松に追加されたと言われています。

しめ飾り

しめ飾りは、「清められた神聖な場所です」ということ示すための飾りで、年神様をお迎えするために飾るとされています。神社などに行けばしめ縄(注連縄)を見かけることが多いと思いますが、しめ飾りは、この注連縄を紙垂(しで)や裏白(うらじろ)、ゆずり葉で飾り付けて作ります。

しめ飾りは、現世と神様の領域を区分するための結界のような役割を持つとされているので、門松と同じく、玄関などの家の入口に飾るのが基本です。なお、玄関の高い位置に飾られることが多いのは、下をくぐって神域に入るという考え方があるからだそうです。

ちなみに、しめ縄に使われる紙垂(しで)や裏白(うらじろ)、ゆずり葉にもそれぞれ意味があるので、興味がある人は調べてみてはいかがでしょう。

鏡餅

お正月のお飾りとしては、鏡餅を真っ先にイメージする方も多いのではないでしょうか?鏡餅は、通常大小のお餅が二段重ねになっているのですが、これは円満に年を重ねるという意味が込められています。

日本では、古来から「鏡」には神様が宿るとされていて、鏡餅に使用するお餅が丸いのは、神事に使う鏡を表現しているからだそうです。鏡餅は、家に訪れてくれた神様が宿る依り代になる飾りで、三種の神器のひとつである「八咫鏡(やたのかがみ)」の形状に由来して丸い餅が採用されています。なお、先に紹介した門松やしめ飾りとは異なり、鏡餅はいくつ飾っても良いとされています。一般的には、床の間などに置かれますが、その他にも神棚やお仏壇など、神様が来てほしい場所に飾ると良いとされています。

なお、お餅の上にみかんを置くようになっていますが、もともとは「橙(だいだい)」が置かれていました。これは、、代々の子孫が反映しますようにという意味で置かれていて、語呂合わせで橙が使われていたのです。

お正月飾りはいつからいつまで飾るもの?

ここまでは、代表的なお正月飾りの種類について解説しました。地域によっては、上で紹介した以外の飾りつけを行う場合もあると思いますが、全国共通なのは門松、しめ縄、鏡餅の3種類だと思います。

それでは、これらのお正月飾りはいつからいつまで飾るものなのでしょうか?「お正月飾り」という名称から、1月1日の朝に出し、1月3日の夜に片付けるといったイメージを持つ方もいますがそうではないのです。

ここでは、お正月飾りを出しても良い時期と、その逆にいつまで飾れるのかについて解説します。

お正月飾りはいつからいつまで飾るもの?

お正月飾りを出すタイミングに関しては、1月1日の朝など、お正月を迎えてからと考えている方が多いかもしれませんがそうではありません。

実は、12月13日が「正月事始め」の日とされていて、これ以降であれば基本的にいつお正月飾りを出しても構わないとされているのです。正月事始めは、年神様を迎えるための準備を始める日とされていて、神社などではこの日に「すす払い」と呼ばれる大掃除を行っていますよね。有名な寺社仏閣のすす払いはテレビのニュースなどでも報道されますが、これはお正月の準備として行われているのです。

ただ、実際に12月13日ごろからお正月飾りを出すご家庭はないと言えるでしょう。近年では、12月25日のクリスマスが過ぎてからお正月の準備を始めるご家庭が多く、26日以降に門松などを出すケースが多いです。なお、お正月飾りを出す日として適しているのは、末広がりの「八」の字が入っている12月28日や、キリが良い12月30日が良いと考える人が多く、このどちらかに飾り付けをするのがおすすめです。

※12月29日は「二重苦」、葬儀と同じ「一夜飾り」となってしまう12月31日にお正月飾りを出すのは縁起が悪いとされているので避けた方が良いでしょう。

お正月飾りはいつまで飾って良いの?

お正月飾りは、出すタイミングに迷うだけでなく、「いつまで飾っておいて良いの?」と片付けるタイミングがわからないと悩む人も多いです。

まず、門松やしめ飾りについては、正月事始めから神様がお帰りになるまでの期間とされる「松の内」と呼ばれる期間内は飾ったままで良いとされます。注意が必要なのは、松の内の終わりの時期は地域によって異なります。悠建設のある関西地方の場合、1月15日(小正月)までとするのが一般的ですが、関東や東北、九州地方などは1月7日までと関西よりも短い期間となります。どちらにせよ、各地域の松の内の終わりの時期までは飾っておいて良いと考えてください。

次に鏡餅についてですが、1月11日の鏡開きの日まで飾るというのが一般的です。鏡餅は、鏡開きの日が来たら、小さく割って、お雑煮などにして食べると良いでしょう。なお、鏡開きの時期に関しても、地域差があります。関西地方では、1月15日もしくは20日が鏡開きとなるのですが、京都などは1月4日を鏡開きの日としていて、門松やしめ飾りを片付ける前に鏡餅を食べてしまうという文化になっているようです。

お正月飾りの処分方法について

それでは最後に、お正月飾りの処分方法についてもご紹介します。鏡餅については、鏡開きの日に小さく割って食べれば良いのですが、それ以外の門松やしめ飾りの処分方法に迷ったことがあるという人は多いはずです。役割を終えたお正月飾りは、燃えるゴミとして回収してもらうことはできるものの、縁起物を一般ごみとして処分するのはどうなのか…と感じる人が多いはずです。

これについては、いくつかの処分方法があるので、以下でご紹介します。

  • ①松の内を過ぎ、片付けたお正月飾りは神社に奉納して処分するのが基本です。
  • ②各地域で行われる火祭りでお焚き上げしてもらうという方法も正しい処分方法です。地域によっては、1月15日の小正月に「どんどん焼き」や「どんど焼き」、「左義長(さぎちょう)」と呼ばれる火祭りが行われるはずなので、そこに片付けたお正月飾りを持っていきましょう。なお、火祭りの日程は地域によって異なるので、その点は注意しましょう。
  • ③現在は難しいかもしれませんが、自分で燃やすことができる人は、正しい手順で燃やすと良いです。お正月飾りを燃やす時は、土を塩や酒で清めたうえで燃やしましょう。なお、燃やして出た灰は、新聞紙などに包んでから捨てましょう。

お正月飾りを1度で処分するのはもったいない…と感じるかもしれませんが、神様をお迎えするための飾りなので、使いまわしは失礼に当たります。したがって、片付けたお正月飾りは、上で紹介したいずれかの方法で適切に処分すると良いでしょう。なお、地域の火祭りがない、自分で焼くことができないなんて場合は、自治体のごみ回収に出すしかないでしょう。ゴミ回収に出す際は、塩やお酒でお清めしたうえ、半紙などでくるんで捨てると良いです。

まとめ

今回は、日本のお正月の文化として伝わるお正月飾りの取り扱いについて解説しました。お正月の前になると、玄関に門松やしめ飾りを出すというご家庭が現在でも多いのですが、このお正月飾りについては、いつまで飾っていても良いのかが分からないと悩んでいたという方も多いのではないでしょうか?

記事内でご紹介したように、お正月飾りを出す時期、また片付ける時期はある程度決まっているものの、地域によって微妙な違いが存在します。もちろん、数カ月単位など、大きな違いがあるわけではないので、そこまで気にする必要はありません。

この記事では、お正月飾りの意味や飾りつけの時期について解説していますので、今年のお正月は上の内容を参考に適切なタイミングで飾りつけすると良いでしょう。

悠建設広報のM

悠建設のサイトでは当社の有資格者の監修のもと皆様の家創りにとって有益な情報を配信しております。 以下、各種許可、資格となります。

  • 一級建築士 3名
  • 二級建築士 1名
  • 二級福祉住環境コーディネーター 1名
  • 宅地建物取引士 1名
  • 二級建築施工管理技士 1名
  • 建築物石綿含有建材調査者 2名
  • 既存建物耐震診断士 2名