近年では、さまざまな理由を背景として、新築住宅の価格が高騰していると言われています。実際に、マイホームの購入を検討し、物件探しを始めた方の中には、想像以上の価格が並んでいて自分たちが用意した予算だけでは「マイホームを買えないのではないか?」と不安を感じているという方も多いと思います。

まず、結論から言ってしまいますが、新築住宅の価格については、ここ数年で確実に高騰しています。近年では、新築住宅の価格が高すぎて、中古住宅の購入に切り替えるという方が増えているとまで言われているのです。

それでは、昨今の新築価格の高騰については、何が原因で起きているのでしょうか?また、数年前と比較すると、どれぐらい価格が高騰していて、今後の価格推移はどうなっていくのかということに疑問を感じている方が多いはずです。
そこでこの記事では、昨今の新築価格高騰の原因や、今後の新築価格がどうなっていくのか、また実際に新築住宅を手に入れる際に注意したいポイントについて解説していきます。

住宅価格高騰の背景とは?

それではまず、新築住宅の価格高騰は、何が要因となって起こっているのかについて解説していきます。

新築住宅の価格について、戸建て注文住宅の1棟当たり販売価格が5年前の1.4倍に迫る状況になっているとされます。また、民間企業が行った調査ですが、2025年の首都圏の新築分譲一戸建ての平均購入価格が5367万円(前年比523万円増)と、調査開始以降、初めて5000万円の大台を超えているのです。

それでは、このような状況は、何が原因で引き起こされているのでしょうか?ここでは、新築住宅の価格高騰の主な原因をご紹介します。

①ウッドショックの影響が残っている

ウッドショックは、2021年春頃によく耳にした言葉だと思います。これは、世界的な木材不足が深刻化したことにより、日本で輸入木材の価格が急騰した事象を指しています。

ウッドショックは、新型コロナウイルスの影響により、アメリカや中国で木材需要が急激に高くなった、また海上コンテナの不足や輸送費の高騰なども重なり、日本への木材の輸入が滞ってしまったことが主な要因とされています。このウッドショックについては、ピーク時と比較すると、落ち着いてきたと言われているものの、物価高などの問題が重なりコロナ前の水準までは戻らないという状況が続いています。

2026年においては、円安や物流コスト、人件費の高騰などがあり、高止まりを続けていることから新築住宅の建築費高騰の要因になっています。

②円安や物流コストの上昇

二つ目は、さまざまな『物』の仕入れを輸入に頼っている日本では、円安や物流コストの上昇が、住宅価格を押し上げているというものです。

家づくりには、数多くの材料が必要となるのですが、日本は、これらの製品、原材料を海外からの輸入に頼っています。そのため、円安傾向が進めば、輸入資材の仕入れ価格が上昇してしまうことになります。また、ガソリンなどの燃料費も上昇していて、この部分は輸送コストの上昇に直結します。

住宅の価格は、世界的なインフレや為替の影響などを受け、原材料の仕入れ価格の上昇と、それを輸送するためのコスト上昇、二つの要因で建築費が押し上げられているのです。

③建築業界の人手不足に由来する人件費の高騰

少子高齢化が進む日本では、労働人口の減少が社会問題化しています。特に、「過酷な労働現場だ!」などと、ネガティブなイメージのある建設業界では、若手人材の確保に苦戦しているうえ、職人の高齢化による引退というダブルパンチ状態が続いていて、人手不足が深刻化しているのです。

建設業界では、若い担い手を確保する目的で、働き方改革による労働時間の見直しや、報酬アップなどといった対策を打ちだしています。そして、これが人件費の高騰につながり、最終的に住宅価格の高騰に影響を与えているのです。

人件費の高騰については、今後も職人の急激な増加が見込みにくく、中長期的に見ても、人件費上昇による建築費の高騰傾向は続く可能性が高いとされています。

④省エネ基準の厳格化によるコスト増加

住宅価格の高騰は、外的要因によるものだけでなく、住宅の性能そのものが向上していることも大きな要因となっています。

2025年4月に、建築物省エネ法の改正があり、新築住宅・新築非住宅では、原則として省エネ基準への適合が義務化されています。これにより、これ以降に建てられる新築住宅は、一定以上の断熱性能の確保や高効率設備の導入が必要となったのです。そこに住むことを考えた時には、住宅性能が非常に高くなるため、デメリットばかりではないのですが、「マイホームを手に入れる」時点のことを考えると、今まで必要なかった資材や高性能な設備の導入が求められるため、建築費がどうしても上昇してしまうのです。

ちなみに、住宅そのものの性能上昇に関しては、初期費用の増加という問題がどうしても気になってしまう…という方が多いと思います。しかし、中長期的な視点で考えると、日々の生活にかかる光熱費を大幅に削減できるようになる可能性があるため、将来的に初期にかけた費用の増加分を取り戻すことができるかもしれません。

⑤中東情勢の緊迫化による原油価格の高騰

住宅価格の上昇を招いている直近の問題としては、中東情勢の緊迫化があげられます。

日本の原油は、中東地域からの輸入に依存していたという状況であるため、アメリカとイランの情勢が落ち着かない限り、原油価格が不安定になりやすい状況が続き、住宅価格にも大きな影響を与えます。実は、現代の家は石油製品の塊と言われる場合も多いほど、原油の輸入状況に左右されるものなのです。家を構成する断熱材や塩ビクロス、配管などについて、その多くが石油化学製品であるため、原油の価格が高騰すると、家の価格上昇に直結するのです。

中東情勢についても、「すぐに解決する」とは思えない状況が続いていますし、ウクライナの問題も解決できていない現状では、今後も世界情勢の影響による住宅価格の上昇は収まらないのではないかと予想されます。

住宅価格の高騰はいつまで続く?

前項でご紹介した通り、昨今の住宅価格の高騰は、さまざまなことが複雑に絡み合って起きています。僅か5年程度で新築住宅の価格が1.4倍に迫るほど高騰していると聞くと、「今は新築を購入するタイミングではないな!」と考える方が多いはずです。

それでは、現在のような住宅価格の上昇傾向については、いつまで続くものなのでしょうか?しばらく待っていれば、価格が下落していくのであれば、今は新築住宅の購入は控えた方が良いと考えられるはずです。そこでここでは、住宅価格が今後どうなっていくと予想されているのかについて解説します。

短期的な予測(5年後など)

まずは、5年後予測など、短期的な住宅価格の変化についての予測です。新築業界に携わる多くの方の予測では、住宅価格については、現状比で1.1〜1.2倍程度と、さらに上昇する可能性が高いと予想している方が多いです。特に、都市部や人気エリアに関しては、土地の価格上昇率が高くなり、戸建て、マンション共に値上がり傾向が続くのではないかと予想されています。

2026年時点のことを考えても、中東情勢の緊迫化や円安傾向が続いているため、建築費は高止まりの状態が続いています。世界情勢については、短期間で全ての問題がいきなり解消されるということも考えにくいですし、現在の水準が短期間で大きく下落するということは考えにくいです。

建築資材価格については、一部の製品についてピーク時よりも落ち着きを見せているものの、円安や物流コスト、人件費の上昇については、今後も残るわけなので、複合的な要因による住宅価格の高騰は続くと考えられます。

つまり、新築住宅の価格については、良くて「高止まり」、中東情勢をはじめとした世界経済のさらなる混乱があれば、さらなる高騰もあり得るという状況と言えるのです。実際に、ウッドショックのあった2021年頃も「しばらく待てば住宅価格が落ち着く」との予想もありましたが、結果を見ると2026年現在もまだ、上昇傾向が続いているという状況です。マイホームの購入について、「価格が落ち着くまで待つ」という判断をして家づくりの計画を先送りにした場合、さらなる価格高騰が待っているかもしれないので注意しましょう。

※人口減少エリアでは供給過多による一時的な調整があるのではないかという予想もあります。

中期的な予測(10年後など)

不動産業界で、新築価格については、中期的に見た場合でも、建築費などが以前の水準に戻り、大きく下落する可能性は低いと予測されています。それどころか、住宅の平均価格は「今より20〜30%高くなる」との見方が大半を占めているという状況なのです。

建設業界は、慢性的な人手不足の課題を抱えています。また、住宅に対する国の基準(省エネや耐震など)は厳しくなることはあっても、緩くなることは考えにくいです。つまり、新築住宅を建てるためのコストが今後も下落に繋がるような材料がほとんどないという状況であるため、住宅の販売価格も下がらないと予測されているのです。

建築資材の価格が落ち着いたとしても、人件費や輸送コストの上昇など、家の建築コストは構造的に上昇傾向にあります。さらに、省エネ・高断熱・耐震・ZEH仕様など、高性能住宅へのニーズが高まっていることを考えると、資材にかかるコストも現在より高くなる可能性があります。

したがって、新築住宅の入手については、価格の下落を待つよりも、日々の生活にかかるコストを抑えられる高性能な家づくりの計画をした方が、長期的に見るとお得になる可能性があると言えます。

さらに、2024年3月の日本銀行によるマイナス金利政策解除以降、4回の追加利上げにより、住宅ローンの金利も上昇傾向を続けています。住宅ローン金利が上昇すれば、毎月の返済額にも影響しますし、借入可能額にも影響を与えます。ローン金利についても、今後さらに上昇すると予想されているため、待てば待つほど状況が悪化する可能性が高いと言えます。

住宅価格が高騰している今だからこど考えるべきポイント

ここまでの解説で分かるように、新築住宅の価格は2021年以降、上昇傾向を続けています。さらに、今後の予測を見ても、ほとんどの方が下落すことはなく、さらなる上昇傾向が続くのではないかと言われているのです。

そのため、これから新築一戸建て住宅の購入を検討している方は、初期費用にだけ目を向けるのではなく、中長期的な視点で家づくりの計画を立てていく必要があるとされています。そこでここでは、住宅価格の高騰が指摘される今、どのような点に注意しながら、マイホームの計画を立てていけば良いのかについて、いくつかのポイントをご紹介します。

住み始めてからのランニングコストも資金計画に含める

一つ目のポイントは、新築住宅の入手の際には、初期費用にだけ注目するのではなく、住み始めてからの光熱費やメンテナンスにかかる費用なども含めて、トータル的にコスト比較をするということが重要です。

新築住宅の価格高騰が指摘されている現在では、予算的な限界もあることから「初期費用をできるだけ抑えたい!」という考えを持って計画を立てていく人がいます。しかし、無理に予算を削ってしまうと、住宅の気密性や断熱性と言った住宅性能の面が十分に確保できなくなる可能性があるのです。その結果、住み始めてから冷暖房にかかる空調コストが高くなってしまう…、結露などによる早期劣化を招いてメンテナンスコストが高くなるといった問題が生じる可能性があるのです。

家は、購入後、何十年もそこで過ごすことを想定しているはずなので、日々の生活にかかる光熱費や修繕、メンテナンス費を抑えることができれば、長期的な経済負担が抑えられるはずです。したがって、これから家を建てようと考えている方は、家の入手コストと暮らしの快適性、省エネ性能など、総合的なコストバランスを考慮しながら資金計画を立てていくようにしましょう。30年、50年住むことを考えると、初期費用がかかっても高性能な住宅を実現したほうがお得になるケースが多いです。

家に求める要望に優先順位をきちんとつける

住宅価格が高騰する中、効率的に理想の家を建てられるようにするには、予算をどこに使うのか、その優先順位を間違わないことが大切です。優先順位を整理して、メリハリのある予算配分を意識することが、新築計画を成功させるためには非常に重要になります。

例えば、住宅性能を落とさずにコストを抑えるためには、以下のような視点を持つことが大切です。

  • 建物や間取りをシンプルに
    外観にこだわりたいという方は多いですが、シンプルな形状、間取りを選べば、施工効率が高まる、使用建材が少なくなるといったメリットが得られ、初期費用を抑えられます。また、メンテナンスも容易になるので、この部分の費用も節約できます。
  • 設備・仕様のグレードを見直す
    家族が生活する姿を具体的にイメージし、導入する設備の種類やグレードに優先順位を付けることも大切です。高性能な設備を設置しても、使わない機能が多ければ、無駄な投資になってしまいます。住宅設備は、必要な機能をよく考え、適切な予算配分ができるように計画しましょう。
  • 水回りの集約
    水回りを離れた位置に配置するのではなく、可能な限り集約すると、建築費を節約できます。これは、配管距離が短くなるので、工事費、材料費が節約できるからです。

住宅の価格は、要望を叶えれば叶えるだけ高くなっていきます。「憧れ」だけで導入してしまうと、住んでみると「意外に使わなかった…」などと後悔する結果を招く恐れがあるので、家族の要望にきちんと優先順位をつけて、適切に予算を配分していきましょう。

補助金や税制優遇を最大限活用する

日本では、新築住宅の入手に際して、さまざまな補助制度や税制優遇措置が用意されています。これらは、「家を買えば勝手についてくる」といったたぐいのものではなく、使いたい人がきちんと申請しなくてはいけないのです。つまり、家の購入を考えた時には、どのような制度が設けられていて、どんな条件を満たせばその制度が利用できるのか、知識として持っておく必要があるのです。

特に、2050年カーボンニュートラルの実現が目指されている今、省エネ性能の高い住宅には、かなり手厚い補助金が給付されるようになっています。そのため、補助金を使って高性能な家を建てる場合と、補助金を使わずに一般的な性能の家を建てる場合のコスト比較などをきちんと行い、どちらが最適なのかを検討する必要もあるのです。この際には、初期費用だけで検討するのではなく、ランニングコストも含めてコスト比較をすると良いでしょう。

この他、住宅ローン減税などの制度の利用も確実に行えるようにしましょう。

まとめ

今回は、昨今の不動産市場で指摘されている新築住宅の価格高騰について、何が原因で価格が高騰しているのか、また今後、この新築価格がどのように推移していくと予測されているのかについて解説しました。

新築住宅の価格高騰は、ウッドショックの影響がいまだに残っている、円安や燃料費の高騰による物流コストの上昇、建築業界の人手不足による人件費高騰など、さまざまなことが要因となって起きています。また、環境配慮の面から、住宅そのものに求められる性能が高くなっていることも、住宅価格を押し上げる一つ要因となっているのです。

住宅価格の高騰は、複数の要因が複雑に絡み合って起きていることから、短期間で問題が解決して下落に転じるということは考えにくいです。また、建築業界の人件費高騰は、現在が天井なのではなく、今後も上昇することが予測されていますし、新築住宅の価格はさらに上昇すると予測する方が多いのです。

現在、新築住宅の購入計画を立てている方の中には「しばらく待った方が良いのかな?」と考える方が多いかもしれませんが、待っても状況が好転するとは考えにくいため、家づくりに対する視点を変えてみるのが良いと思います。記事内でご紹介したように、初期費用だけに注目するのではなく、住み始めてからのランニングコストも含めて、中長期的な視点でコスト比較しながら、自分たちに最適な計画にすると良いです。新築にこだわらなくても、中古住宅が選択肢に入る場合もあるかと思います。

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