近年の家づくりでは、「高気密高断熱住宅」や「省エネ住宅」などという言葉を耳にする機会が増えています。実際に、2025年からは全ての新築住宅・非住宅に国が定める省エネ基準適合が義務付けられることになっていますし、2024年1月からは住宅ローン減税を受けるには省エネ基準に適合する必要があるとされています。
それでは、新築業界などで頻繁に耳にするようになった省エネ住宅や高気密・高断熱住宅というものは、そこに住む人にとってどのようなメリットが存在するのでしょうか?省エネ住宅や高気密・高断熱住宅は、わざわざ一般的な住宅と差別化するためにこれらの用語が作られているわけですし、住宅の性能が高くなるのだろうということはなんとなくイメージできると思います。しかし、家の性能を高くするためには、それだけ高性能な建材を採用することになり、家の建築コストが高くなってしまうのではないかと不安になる方も少なくありません。
そこでこの記事では、これから新築住宅の入手を検討している方に向け、国が強く推奨するようになった省エネ住宅や高気密・高断熱住宅を選ぶことで得られるメリットについて解説します。実は、国土交通省が、省エネ住宅を選ぶことで、そこに住む人にどのようなメリットがあるのかを示すため、特設サイトを用意しています。これからも、国が省エネ住宅と呼ばれる家の普及を推進していることが良く分かると思います。なお、記事内では、省エネで健康&快適な生活空間を実現するために非常に有効な工法とされている、通気断熱WB工法についても簡単に解説します。
省エネ住宅で期待できる、健康で快適な生活空間とは?
住宅は、一日の中で最も多くの時間を過ごすための場所となります。特に近年では、テレワークなどの在宅勤務形態が広く普及したこともあり、一日のほとんどの時間を自宅で過ごしているという方も珍しくないのではないでしょうか?
つまり、人が日々、健康で快適に暮らしていくためには、長い時間を過ごすことになる自宅の生活環境に求められる条件が非常に多くなっているのです。逆に言うと、マイホームが快適な空間になれば、それだけでそこで暮らす人の健康に好影響を与えることができると考えられます。
ここでは、国土交通省のwebサイトで紹介されている、省エネ住宅に住んだ際に得られるメリットをご紹介します。
季節に関係なく快適な環境で過ごすことができる
省エネ住宅とは、家の気密性と断熱性を高めた住宅を指していて、夏は涼しく冬は暖かい住環境を実現してくれます。気密性・断熱性が高い住空間は、騒音の侵入を防ぐ、外気温の影響を受けにくくするなどと言った効果が期待できます。温度、騒音、照度、衛生、安全、防犯に問題がない住環境は、人々のはQOL(生活の質)を高めてくれるとされていますので、省エネ住宅は生活の質を向上してくれると考えられるでしょう。
実際に、国土交通省の特設サイトで紹介されているデータによると、外気温の影響を受けにくく室温を一定に保つことができる省エネ住宅は、そこで生活する人の健康に好影響を与えるとされているのです。以下のデータは、住空間の室温について「18℃以上」「12~18℃」「12℃未満」の方の健康診断結果をまとめたものとなります。
画像引用:国土交通省サイトより
上図の通り、室温が18℃以上に保たれている空間で過ごしている人に比べて、12~18℃、12℃未満の住宅に住む人は、以下のような問題が生じています。
- 心電図の異常所見のある人が1.8倍、2.2倍
- 総コレステロール値が基準範囲を超える人が1.8倍、1.9倍
さらに、断熱改修などにより、住宅の断熱性を高めることができれば、住宅内全てが快適な空間にすることができます。冬場でも暖かく快適に過ごせる空間を実現することができれば、コタツなどが不要となり、そこに住む人の住宅内の身体活動が多くなるという効果も得られるとされます。寒い空間になると、コタツでじっとしているという方も多いですが、高断熱住宅の場合は、1日の身体活動が最大で約50分増加する可能性があるとされ、人の健康に好影響を与えると考えられます。
睡眠環境が良くなりぐっすり眠れる
高気密・高断熱を実現した省エネ住宅は、そこに住む人の睡眠の質向上を実現するとされています。皆さんも、寝ているうちに寝室の気温が下がってしまい「寒くて起きてしまう…」なんて経験をしたことはあるのではないでしょうか?実は、寝室が寒くなると、そこに住む人の睡眠の質が低下するとされているのです。
海外の実験データによると、寝室がいつも寒く、乾燥しているといった環境の住宅では、睡眠障害の疑いがある人が多いというデータがあります。高気密・高断熱な省エネ住宅は、室温が外気温の影響を受けにくくなるため、寝室が寒くなりすぎることを防いでくれます。そのため、快適な睡眠環境が実現して、ぐっすり寝られてすぐ起きられる環境になるとされています。
さらに、気密性の高い寝室は、騒音の侵入も防いでくれますので、静かで快適な睡眠環境を構築してくれるはずです。
喘息などになりにくい
省エネ住宅と喘息は、なんの関係性もないのではないか…と感じてしまいますが、実は省エネ住宅は子供が喘息を患う可能性を低くしてくれるとされているそうです。
国土交通省が行った「住宅の断熱化と居住者の健康への影響に関する全国調査第6回報告会」のデータによると、以下のようになっています。
画像引用:国土交通省サイトより
上図のように、床近傍室温が16.1℃以上の住宅では、そこに住む子供の喘息が、床近傍室温が16.1℃未満に住む子供の半分になるというデータがあります。高気密・高断熱の省エネ住宅は、室温が一定に保たれやすく、床近傍室温も下がりにくいです。そのため、そこに住むお子様の健康維持を助けてくれるというメリットが得られるのです。
ヒートショックなど入浴事故のリスク低減
近年では、高齢者のヒートショックなど、家の中の気温差による入浴事故の増加が社会問題にもなっています。ヒートショックとは、以下のような現象を指します。
ヒートショックは『急激な温度変化により急激に血圧が上下することで、心筋梗塞や不整脈、脳出血・脳梗塞などの発作を起こすこと』です。医学専門用語ではありませんが、上記の現象を示す医療用語として遍く使用されています。
引用:総合東京病院サイトより
住宅内で発生するヒートショックによる入浴事故は、居間や脱衣所などの寒い場所にいた人が、熱め入浴(42℃以上)をした際に発生することが多いとされています。実際に、国土交通省のサイトでは、「居間や脱衣所の室温が18℃未満の住宅では、入浴事故リスクが高いとされる“熱め入浴(42℃以上)”が約1.7倍に増加します。」と紹介されています。
こういったヒートショックによる入浴事故の防止は、40℃以下の温めのお湯で入浴するという方法も推奨されているのですが、冬場の入浴は「温度の高いお湯が気持ち良い」と考える方も多く、無理にお湯の温度を下げることは逆にストレスになってしまう可能性があります。言い換えると、生活の質が下がるということです。
高気密・高断熱の省エネ住宅は、家全体を暖かく保つことができ、部屋間の温度差が少なくなるため、こういった入浴事故を防止することが可能です。
掃除が楽になり、家が長持ちする
断熱性が高い省エネ住宅は、結露が発生しにくい家になります。結露は、室内と屋外の気温差によって生じる現象で、気温が下がる冬場になると、室内側の窓が水滴で濡れてしまう…と言った現象のことですね。
日本の住宅のほとんどは、木造住宅ですので、結露などによる水分は天敵と言っても良い存在です。住宅内で結露が発生し、それを放置してしまうと、カビの発生を招く、木材が水分を吸ってしまいシロアリなどを誘引するといった問題に発展します。結露によりカビやダニが発生してしまうと、そこに住む人がカビの胞子を吸い込むことでアレルギーを発症するなど、健康被害に発展することもあります。
したがって、冬場は窓付近に発生した結露を頻繁に拭き取らなければならない…と言った掃除の手間が悩みの種となっている方も多いと思います。しかし、断熱性を高めた省エネ住宅は、結露が発生しにくくなるため、掃除の手間が少なくなるのです。さらに、結露が発生しにくいということは、家そのものが水の影響を受けにくくなるため、家を長持ちさせることにも繋がるのです。
WB工法の家は健康&快適な生活空間を実現する
ここまでは、国土交通省の特設サイトで紹介されている、高気密・高断熱の省エネ住宅を実現することで、そこに住む人が得られるメリットについて解説しました。それでは、上述したようなメリットを実現するため、自分たちが建てる新築住宅を省エネ住宅にするには、どのような点に工夫すれば良いのでしょうか?
実は、悠建設も推奨している通気断熱WB工法で建てる住宅は、そこに住む人の健康や快適な生活を実現するためのさまざまな工夫が施されているのです。WB工法の家は、その他の工法にはない、特別な工夫が施されていることで、家自体が呼吸し、そこに住む人にとって有害な物を吐き出してくれるなどの効果も期待できるのです。
ここでは、家族が健康で快適に過ごすことができる家を建てるため、皆さんにも知っておいてほしいWB工法の特徴をご紹介します。
壁の中に通気層で快適な住空間を実現
画像引用:WB HOUSE公式サイトより
WB工法の大きな特徴は、壁の中に通気層が設置されているという点です。WB工法で建てた家の場合、壁の中を自然な空気が循環することになり、夏の熱気や無駄な湿気を家の外に自動で排出してくれるのです。上述していますが、木造住宅にとって「湿気」は天敵のような物で、これを自然と排出することができるWB工法の家は、そこに住む人の快適性が高まるだけでなく、家そのものの寿命を長くするという効果が期待できます。
WB工法で建てた家は、上のイラストのように、床下のひんやりした空気が通気口に入り、通気層を上昇していく仕組みになっています。そのため、真夏の強い日差しがあっても、壁の焼き込みによる熱を緩和し、室内に熱が伝わるのを防いでくれます。その結果、真夏でもエアコンなどの空調機器に頼らなくても、快適で涼しい環境を作りやすく、省エネな生活が実現します。
画像引用:WB HOUSE公式サイトより
さらにWB工法の家は、冬場も外気の冷たさを室内に伝えにくくすることができます。「床下の冷たい空気が通気層を上昇する」と聞くと、WB工法の家は冬場は寒くなるのではないか…という不安を感じる方も少なくないようです。当然、この部分については、対策が考えられていて、WB工法の家は、人と同じように季節によって衣替えする機能が搭載されていることから、冬場も快適な住環境を維持することができるのです。
WB工法の通気口は、上のイラストのように形状記憶合金が採用されています。この形状記憶合金は、気温が高くなると縮み、低くなると伸びるという性質を持っていて、気温が下がる冬場は、自動的に通気口が閉じて冷たい空気を取り込まなくなるのです。この形状記憶合金が採用されていることで、夏場は湿気や熱気を逃がし、冬場は湿度と暖かい空気を逃がさないことで暖かさを保つなど、そこで暮らす人が、一年中快適に過ごすことができる気温を保つことができるようになっています。
高気密・高断熱を実現
画像引用:WB HOUSE公式サイトより
WB工法の家は、壁の中に空気層が設けられているうえ、通気口には形状記憶合金が採用されています。そのため、通気口があったとしても、気温の低い冬場は、通気口が自動で閉じることで冷気を遮断することができ、暖められた室内の温度や湿度を逃がさないようにできます。また、夏場に関しても、空気層の中に冷たい空気が上昇していくという構造になっているため、この空気層が天然の断熱層として働き、室内の空気が外気の影響を受けにくなります。
WB工法のこういった機能性は、家そのものの気密性・断熱性を非常に高くしてくれ、日々の生活にかかる光熱費を大幅に削減することが可能です。WB工法の家は、通気層による高い断熱性により、夏は涼しく冬は暖かいという、住む人が快適に過ごせる空間を実現するだけでなく、非常に高い省エネ性を兼ね備えることができる点が特徴です。
家が呼吸することで、除湿や有害物質の排出が可能
画像引用:WB HOUSE公式サイトより
WB工法の家は、壁から湿気を逃がして除湿することができる点も特徴の一つです。公式サイトで公表されている情報によると、WB工法では、土壁の原理を応用しており、臭いも化学物質も湿気と一緒に壁を通過するようになっています。そして、この機能により、換気システムに頼らなくても、住んでいる人が深呼吸したくなるような、結露しないクリーンな環境の家を実現するとしています。
WB工法を採用した家は、シックハウス症候群の原因となる有害物質や、嫌な生活臭などを湿気と共に屋外に逃がすことができるため、常に快適でクリーンな空間を維持することが可能です。ペットを室内で飼育しているご家庭や、小さなお子様がいるご家庭には非常におすすめの住宅工法と言えるでしょう。
まとめ
今回は、近年の家づくりで注目されている「高気密高断熱住宅」や「省エネ住宅」について、これを選択することでどのようなメリットが得られるのかについて解説しました。
「高気密高断熱住宅」や「省エネ住宅」は、そうではない一般的な住宅と比較すると、使用する建材が高性能であったり、グレードの高い設備の導入が必要であったりするため、どうしても建築コストは割高になってしまいます。また、一般的な住宅でも、建築技術の進歩や建材の高性能化が進んでいるため、一昔前までの住宅と比較すると、気密性や断熱性はかなり高くなっています。そのため、新築住宅の購入を検討した時に、「わざわざコストをかけてまで高気密・高断熱住宅にしなくても構わないのではないか…?」と考える方も少なくありません。
ただ、記事内でご紹介したように、「高気密高断熱住宅」や「省エネ住宅」と呼ばれるような、高性能な家は、家族が快適に暮らしていけるような環境を作ってくれるだけでなく、そこで暮らす人の健康まで守ってくれるのです。さらに、日々の生活にかかる光熱費を大幅に削減することも期待できますので、中長期的に見た時には、建築コストの高さを取り戻すことも不可能ではないでしょう。
これから家の建築を検討している方は、ぜひ「高気密高断熱住宅」や「省エネ住宅」という選択も検討してみてください。なお、高性能で家族が安心して健康に暮らせる住宅にしたいと考えている方には、通気断熱WB工法がおすすめです。大阪府内など関西圏内にお住まいの方で、WB工法の家に少しでも興味がある方は、お気軽に悠建設までお問い合わせください!