家づくりの際には、自然な光を取り入れたい、換気効率を高めたいなどという考えから、お風呂に窓を設置したいと考える方が多いです。

お風呂は、暖かいお湯を使う、長時間にわたって水気が残ってしまう場所となるため、どうしてもカビが繁殖しやすくなってしまいます。そのため、窓を設置しておけば、浴室内の湿気を素早く排出することができ、さらに日光を取り入れることでカビの繁殖を抑え、快適な入浴環境を維持しやすくなると考えるのだと思います。

ただ、お風呂への窓の設置に関しては、プライバシーの問題、お風呂の断熱性能の問題、防犯リスクなど、そこに住む人にとっては心配事が増えてしまうというデメリットも存在します。そのため、注文住宅の建築を検討している方の中には、「本当にお風呂の窓は必要なのか?」という点に迷ってしまう場合が多いのです。

そこでこの記事では、お風呂の窓を設置することで得られるメリットや、その逆にお風呂の窓に後悔するかもしれないリスクについてまとめてみます。

お風呂の窓を設置するメリット

まずは、お風呂の窓を設置することで得られるメリット面からご紹介していきます。ある程度予想することはできると思いますが、ここでは主なメリットを分かりやすくご紹介します。

メリット1 換気がしやすくなる

お風呂の窓を設置するメリットとして、最も大きいと言えるのが換気効率の向上です。そもそも、お風呂への窓の設置目的は、この部分のメリットを狙ってという方が多いです。

冒頭でご紹介した通り、お風呂は多くの水を使う場所となります。また、冷たい水ではなくお湯を利用することになるため、湯気が発生することで、浴室内は湿気が溜まりやすい場所となるのです。もちろん、浴室内で発生した湿気は、換気扇を使って排出する仕組みになっていて、時間をかければ空気を入れ替えることができます。しかし、一定時間以上は、高温多湿状態が保たれやすくなるので、常に換気扇を回していたとしても、浴室内のカビに悩まされてしまう方が多いはずです。

お風呂に窓を設置すれば、開放することで一気に湿気を逃がすことができるようになるため、浴室内の湿度の調整が容易になり、カビの繁殖リスクは低減することができるわけです。

メリット2 自然光を取り入れやすく明るく快適な浴室にできる

二つ目のメリットは、自然光を取り入れることができるようになるため、浴室内の明るさを保ちやすいという点です。

特に、朝風呂や昼間にお風呂に入る場合、高い採光性によって電気を使わなくても明るさを維持することができ、快適な入浴空間とすることができます。また、掃除のことを考えても、しっかりと日の光が入ると、汚れている部分に気付きやすくなり、清潔な状態を維持しやすくなるでしょう。

この他、適度に日光が取り入れられる環境になると、カビが発生しにくくなり、浴室内を清潔に保ちやすくなります。「お風呂は夜に入るものだし採光はどうでも良いのでは?」と考える人もいますが、掃除などは昼間に行うご家庭が多いはずですし、取り入れてみると便利に感じるという方が多いです。

メリット3 立地条件によっては開放的な入浴空間を確保できる

お風呂は、家の中で考えると、トイレと並んで最もプライバシー性を確保したい場所となります。そのため、基本的には「密閉する」ということが重視され、中には窮屈に感じてしまうような場合もあるのです。

これが、お風呂の窓を設置すれば、適度な開放感を感じることができるようになります。特に、窓を開放して夜空を見ながら入浴できるような環境になれば、よりリラックスできる入浴時間とすることができるようになるでしょう。

もちろん、入浴中に窓を開けるという行為については、外部からの視線が気になってしまうため、「家の周りに高い建物がない」「2階以上にお風呂を設置している」「1階のお風呂でも通りからは見えない位置にある」など、いくつかの条件を満たしている必要がります。逆に考えると、この条件を満たす家の場合、お風呂に窓があるからこそ楽しめる空間にする事ができるのです。

メリット4 電気代削減効果が期待できる

4つ目のメリットは、お風呂部分の電気代を削減できる可能性があるという点です。お風呂に窓を設置した場合、以下のような運用方法が可能になるため、その部分の電気代がかからなくなるのです。

  • 昼間の入浴時は自然光で明るいので照明を使わない
  • 日中のお風呂掃除で照明を使わなくて済む
  • 換気として窓を開ければ換気扇の稼働を抑えられる

このように、お風呂に窓を設置しておけば、さまざまな場面で電気の利用を抑えられる可能性があります。瞬間的に見ると微々たる節約効果しかないかもしれませんが、中長期的に見た時には、それなりに大きな金額になるでしょう。

お風呂の窓を設置することで生じるリスクについて

お風呂の窓の設置は、上記のように快適な入浴環境を作ることができるという点が魅力です。特に、換気性能の向上については、カビの発生を抑えられるという点から、家族の健康維持の面でも非常にありがたい効果となるでしょう。

しかし、多くのメリットがある一方、お風呂の窓の設置は、いくつか注意しなければならないリスクがあるのです。ここでは、お風呂の窓の設置に後悔するかもしれない代表的なリスクをご紹介します。

①防犯上のリスクが大きくなる

一つ目は、家の防犯性を考えた時には、大きな落とし穴になってしまうという点です。空き巣など、住宅を狙った侵入犯罪については、窓からの侵入割合が50~55%(一戸建ての場合)を占めていると言われています。その中でも、お風呂の窓は以下のような理由から、侵入を考えている不審者に狙われやすくなるのです。

  • 死角になりやすい
    お風呂の窓は、家の裏手や隣家との境界などに設置されるケースが多いです。そのため、通行人などからは侵入する姿が見えなくなる可能性があるのです。侵入を狙う不審者からすると、安全に犯行を行える場所となるので、窓の破壊なども決断しやすくなるでしょう。また、間取り的にも奥まった場所にお風呂があるお宅が多いので、ある程度の音が生じても住人に気付かれる心配が少ないという理由から侵入口として狙われやすくなります。
  • 無施錠になりがち
    お風呂の窓は「換気効率を考えて設置する」という方が多いです。当然、換気を行うためには窓を開けておく必要があるので、無施錠で放置されている時間が長くなるでしょう。侵入犯からすると、窓を破壊する必要がないため、簡単に侵入できるようになります。人が通れるだけの大きな窓は、特に注意が必要です。
  • 壊しやすい構造のモノが多い
    お風呂の窓は、ルーバー窓(ブラインドのような可動式窓)などが設置されているケースが多いです。しかし、このタイプの窓は、ガラスを割らなくても隙間からこじ開けることができるのです。上で紹介した通り、死角に位置することが多いため、破壊するための道具も使いやすくなり、どうしても狙われやすくなります。

上記のような理由から、お風呂の窓の設置は、防犯上のリスクが高くなるという点に注意が必要です。窓の高さや大きさによっては、侵入口として使われるリスクが高くなるので、防犯対策についてもしっかりと行っておきましょう。

②プライバシーに関するリスクが生じる

この問題は非常に分かりやすいと思います。一階部分にお風呂がある間取りの場合、お風呂の窓を設置すると、外からの視線がどうしても気になってしまうようになります。

換気のために窓を少しでも開ければ、「外から覗かれるのではないか…」と不安に感じてしまう人が多いはずです。またそうでなくても、入浴中の姿が「人影」として外から見えることも「嫌だな…」と感じる人が多いはずです。この他、家の周りに、自宅よりも背の高い建物がある場合、上からお風呂の中を覗かれるリスクが生じてしまうなど、プライバシー関連の心配がどうしても残ってしまうのです。

お風呂の窓を設置する場合には、こういったリスクを排除するためにも、目隠しの設置を検討する方が多いです。しかし、目隠しを設置した場合には、日当たりや入浴中に景色を楽しむといったことが難しくなるので、窓を設置するメリットの一部が失われてしまいます。

③断熱性の低下リスク

通常の窓は、壁と比較すると、断熱性能が低くなります。そのため、お風呂の窓を設置した場合、特に冬場は外からの冷気が侵入してくるようになるため、浴室内が寒く感じる可能性が出てくるのです。この場合、以下のような問題に発展するリスクが生じます。

  • ヒートショックが起きるリスクが高くなる
    外気の影響で浴室内の温度が下がると、家の中の他の部屋との気温差が大きくなります。また、お湯に浸かる時との温度差も大きくなります。こういった急激な温度変化があると、身体にダメージを受ける「ヒートショック」が起きるリスクが高くなるとされています。最近では、高齢者の自宅での死亡事故に関して、ヒートショックが原因のモノが増えているとされているので、大きなデメリットと言えるでしょう。
  • 光熱費の上昇リスク
    外からの冷気が窓から侵入するようになると、浴室内の温度が下がるだけでなく、浴槽のお湯の温度も下がってしまいます。この場合、家族の入浴時間がズレてしまうと、追い炊きなどが必要になるので、余計な光熱費がかかってしまうことになるのです。

お風呂の窓の設置は、上記のように断熱性能の低下をもたらし、さまざまな問題を引き起こす可能性があります。そのため、このような問題を防ぐためには、断熱対策が必要になります。

お風呂の窓によるリスクを回避する対策について

それではここから、お風呂の窓を設置した場合に生じるリスクについて、その問題を解消するために考えておきたい対策についてもご紹介していきます。ここでは、プライバシー性を確保するための目隠し、防犯性を維持するための対策、断熱性能を落とさないようにするという3点について、それぞれ有効だと考えられる手法をご紹介していきます。

お風呂の窓の目隠しについて

まずは、プライバシー性を確保するための対策についてです。お風呂の窓の設置は、外からの視線が気になってしまうという問題が生じます。特に、1階部分にお風呂がある間取りの場合、敷地内に不審者に侵入されて覗かれるリスクがある、周囲の高い建物からお風呂の中が見えてしまうなどが気になってしまう人が多いはずです。

この場合、窓の設置に合わせて目隠し機能を付属させるという対策が有効です。なお、お風呂の窓の目隠しについては、いくつかの方法があるので、代表的な手法を以下でご紹介します。

すりガラスにする

一つ目は、お風呂の窓については、ガラスを「すりガラス」にするという方法です。このタイプのガラスは、リビングの窓に設置するガラスとは異なり、透過性が無いので外から中にいる人をはっきりと見ることができなくなります。そのため、入浴時に窓を閉めておけば、外から内部をのぞき見されるという心配は少なくなります。

ただ、すりガラスの場合、浴室内にいる人の姿が透けて見えてしまうため、特に女性の不安が解消されにくいので注意しましょう。夜間の入浴時は、浴室の電気がついていることで、外から人影として見えてしまいます。道路などから見渡せる場所にお風呂がある、近くのマンションからお風呂が見えるといった立地の場合、視線が気になってしまうかもしれません。

可動式のルーバー面格子を設置するする

窓の外側に、ルーバー面格子を設置するという方法もおすすめです。

この製品は、ブラインドのように角度を調整することで、開閉することができ、入浴時はぴったりと閉めておき、換気したい時は隙間を作っておくといった使い方ができます。そのため、窓の設置目的である換気機能を維持しながら、お風呂のプライバシー性を確保できるようになるのです。

注意点としては、完全に開放することができないため、外の景色を楽しみながら入浴するといったお風呂の使い方は難しくなります。

カーテンやブラインドを設置する

これは、浴室側で目隠しする方法です。ホームセンターなどに行けば、浴室用のカーテンが販売されています。このタイプの製品は、突っ張り棒で設置できるので、気軽に活用することができます。

入浴時は、カーテンを閉じておくことで、外から姿を見られる心配がなくなるので、目隠し効果としては十分な製品だと思います。また、昼間などはカーテンを開けて窓を開放すれば、換気機能の邪魔にもなりません。

注意点としては、カーテンにカビが繁殖することで、浴室内の衛生環境が悪くなる恐れがある点です。カーテンは入浴時に濡れてしまうのですが、湿気の関係上、なかなか乾かないのです。その結果、カーテンそのものやカーテンに隠れている部分にカビが繁殖しやすくなるのです。浴室内部で目隠しする場合は、カビ対策を小まめにしなければならない点に注意しましょう。

※窓に貼り付けるタイプの目隠しシートであれば、カビの問題は起きにくいです。

外構に目隠しフェンスを設置する

1階部分にある浴室の場合、外構部分に目隠し用のフェンスを設置することで、お風呂のプライバシー性を確保するという方法もあります。周囲に背の高い建物がない場合、人の目線よりも高いフェンスを設置すれば、窓を開けて開放的な入浴を楽しむことができるようになるでしょう。

ただ、その他の方法と比較すると、コストが高くなるので、費用対効果のこともよく考えて設置するかどうかを検討しましょう。また、目隠しフェンスは、道路側から敷地内の様子が見えにくくなるため、空き巣などの侵入犯罪者にとっては行動しやすくなる可能性があります。したがって、敷地内を常に監視できるような防犯カメラシステムも組み合わせる必要があるかもしれません。

お風呂の窓の防犯対策について

次は、お風呂の窓の防犯対策についてです。先程紹介した通り、お風呂の窓は空き巣などの侵入経路として狙われやすいです。これは、お風呂の窓は、通行人などから見えにく死角に設置されることが多いことや、奥まった位置にお風呂が配置されるため、在宅していても寝室で寝ている住人に気付かれにくいと考えられているからです。

したがって、お風呂の窓を設置する場合には、しっかりと防犯対策のことも検討しなければいけません。お風呂の窓の防犯対策は、以下のような方法があります。

  • 面格子の設置
    面格子は、窓の外側に取り付けられる格子状の部材です。人が通り抜けられないようにできるため、侵入を防げるアイテムとなるのです。ただ、お風呂の窓は、死角にあるため侵入に時間をかけられるという特徴があります。面格子の場合、固定用のネジを外せば音を出さずに侵入経路を確保できるようになるので、そこまで高い防犯効果が期待できないので注意しましょう。
  • 防犯ガラスを導入する
    窓からの侵入に関しては、無施錠以外で考えると「窓破り」と呼ばれる方法によるものが多いです。これは、窓ガラスを破壊して侵入経路を確保する方法です。お風呂の窓は、道路から離れた位置にあるため、ある程度大きな音を出しても発見されにくいと考えられ、この方法が採用される可能性が高いです。したがって、この部分の防犯対策としては、窓ガラスとして防犯ガラスを採用するという方法がおすすめです。防犯ガラスは、大きな衝撃を与えても割れないような構造になっているので、物理的に侵入を防ぐことができます。なお、下の断熱対策も併せて、二重窓を採用して、どちらかのガラスを防犯ガラスにするという方法が機能性の面ではおすすめです。
  • 二重ロック(補助錠)を設置する
    これは、鍵の数を増やすことで、侵入の難易度を高めるという方法です。二重ロックなどの対策が施されている家は、「防犯意識が高い」とアピールすることができ、心理的に狙われにくくなるという効果が期待できます。さらに、鍵が二つになるということは、物理的に侵入するための時間をかけさせることに繋がり、不審者に侵入を諦めさせるという効果も期待できるのです。空き巣などの侵入犯罪については、侵入に5分以上かかると約7割、10分以上で約9割が諦めると言われているため、二重ロックは防犯対策として大きな効果を期待できます。

お風呂の窓を設置する場合、侵入犯罪の被害を防ぐためにも、上記のような防犯対策を実施すると良いです。どれか一つでも効果が期待できますが、より安全な住環境を実現するには、全ての対策を組み合わせるのもおすすめです。

お風呂の窓の断熱対策について

最後は、お風呂の窓を設置する場合に考慮すべき断熱対策についてです。お風呂だけに限らず、住宅に存在する窓は、断熱性能を考慮した時には大きな弱点となってしまいます。一般的な窓は、非常に薄い素材で構成されているため、断熱材が設置されている壁と比較すると、熱の行き来が起きやすくなるのです。

そのため、断熱対策のことを無視した状態でお風呂の窓を設置した場合、冬場は浴室で寒さを感じる…、浴槽のお湯がすぐに冷めてしまい光熱費が高くなるといった問題に発展する可能性があります。お風呂の窓を設置する場合には、以下のような方法を採用し、窓部分の断熱性能を確保しましょう。

  • 二重窓にする
    窓の断熱性を向上させる方法として最も有名なのは、内窓を設置して二重窓にするという方法です。ガラスとガラスの間に空気層ができることで、外気温の影響を受けにくくなるのです。ちなみに、どちらか一方の窓ガラスを防犯ガラスにすれば、防犯対策としても有効です。
  • 複層ガラスを採用する
    窓ガラスの中には、断熱性向上が考慮された製品が開発されています。いわゆる複層ガラスと呼ばれる製品で、2枚のガラスで構成されていて、ガラスとガラスの間に特殊な膜やガスを封入することで断熱性を高めます。このタイプのガラスを採用すれば、窓部分からの冷気の侵入を防止でき、ヒートショックなどの対策も出来るようになります。
  • 樹脂サッシを採用する
    窓サッシにもいろいろな種類があるのですが、お風呂の窓については、熱を伝えにくい素材である樹脂サッシがおすすめです。樹脂サッシを選択するだけで、浴室内に冷気が入りにくくなるので、お風呂の寒さを軽減することができます。

窓の断熱対策には、さまざまな手法があります。一般的には、二重窓にするという方法が有名ですが、この方法を採用した場合、換気のためには同じ行動を二回しなくてはならなくなります。また、掃除の手間も増えるなど、利便性の面が低下してしまうので、その点は注意しましょう。

上記以外の方法であれば、窓を小さくするといった対策も有効です。

まとめ

今回は、お風呂の窓を設置する場合のメリットとその逆のデメリット、またデメリットを解消するための対策について解説しました。

お風呂の窓の設置は、換気口率が高くなることで、浴室内でのカビの繁殖を防止することができるという点が最大のメリットです。お風呂には、必ず換気扇が設置されていますが、換気扇だけに頼っていては、長時間湿気が残ってしまうことになり、カビの繁殖をどうしても防げないという状況に陥りやすいのです。

ただ、お風呂への窓の設置に関しては、記事内でご紹介した通り、さまざまなデメリットも存在するので、きちんと問題を解決するための対策も併せて導入するようにしましょう。特に、防犯性や断熱性の部分二関しては、これを無視すると後悔する結果を招く恐れがあるので、しっかりと対策を検討しなければならないと考えてください。

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