今回は、意外に悩んでいる方が多いとされるトイレの防音事情について解説します。

私たちが普段生活する住居の中でも、特にプライバシーの高さを重視したい場所がトイレです。どのような方であっても、日常的に使用する場所となるのですが、トイレの使用に関わる音の問題については、家族にも聞かれたくない…と考える方は多いです。また、来客者があった際には、お客様がトイレの使用に困らないようにしたいと考える人も多いのではないでしょうか?

トイレは、「お手洗いに行く」「化粧室に行く」「 お花を摘んできます。」など、わざわざ言い換える言葉が作られていますし、最近では排泄音を隠すために音楽を流せるような便器が登場しているなど、やはり多くの方が「トイレの音を聞かれると恥ずかしい…」と考えていると想定できるような状況です。実際に、年々需要が高くなっている防音工事業界でも、トイレの防音工事に関する問い合わせが増えていると紹介されているのです。

それでは、日常的に使用する場所となるトイレについて、使用時の防音対策はどうすれば良いのでしょうか?また、トイレの音が外に漏れてしまいやすい理由はどのようなことが考えられるのでしょうか?この記事では、トイレの防音について、音漏れの原因やその対策、新築時に検討しておきたい間取りの工夫などについて解説します。

トイレの防音需要が高くなっている理由

それではまず、トイレの防音が注目されるようになった要因について解説します。トイレの防音を検討する方が増えていると聞くと、昔よりも神経質な人が増えたのかな…と考えるかもしれません。

確かに、昨今では、個人のプライバシーが重視されるようになっているということもあり、一昔前と比較すると、トイレの音などを気にしすぎているという方が増えているかもしれません。しかし、トイレの音の問題については、こういった人の考えに由来しているのではなく、そもそも設計上、トイレは防音がしにくい構造になっているということが大きな要因です。

トイレは、その他の住空間と異なり、「排泄するための場所」であることから、どうしても臭いがが発生してしまう場所となります。そのため、室内の空気ができるだけ早く入れ替えされるような構造が検討され、わざと多くの隙間が生じるように作られているのです。隙間が生じていれば、その部分から空気の行き来があるため、空気音の出入りを塞ぐことができなくなり、トイレの外にいる人にも音が聞こえやすくなるという訳です。

トイレの音漏れが気になる主な要因について、以下のもうすこし詳しくご紹介します。

①トイレに設けられる隙間

先程紹介した通り、トイレは「臭いが発生する場所」となるため、その臭気対策として換気が重要視されています。

室内で発生した臭いは、換気構造によって速やかに排出されるということが重視されているのです。例えば、多くの家庭に設置されているトイレは、換気扇で空気を外に排出する仕組みになっていて、給気に関してはドアの下部に「アンダーカット」と呼ばれる隙間が設けられ、そこから空気を取り入れるようになっています。そのため、トイレの内外で常に空気の出入りがなされているため、空気音がどうしても漏れやすくなっているのです。

ちなみに、ドア部分の隙間に関しては上部に設けられる「トップカット」という方法もあります。トイレの水が流れる音に関しては、トップカットの方が音源から遠くなるため、漏れていく音は少なくなるとされています。したがって、これから家を新築する、ドアの交換を考えているという方の場合、ドア部分に隙間を作るならトップカットを検討すると良いです。

②ドアの構造(防音性能)

二つ目の理由は、換気のことを考えると「防音性の高い防音ドアの設置が難しい」という点にあります。

防音工事などでも採用される防音ドアは、遮音性が高い素材でドアが構成されている以外にも、ドア部分に生じる隙間を限りなく少なくするという仕組みになっています。つまり、換気性能が重要とされるトイレのドアとしては、あまり適しているとは言えない製品なのです。本格的な防音ドアを設置すれば、ドア部分からの音漏れを防げるようになるかもしれません。しかし、この場合には、給気ができなくなるため、臭いの問題が解消できなくなるのです。その逆に、高性能なスチール製のドアを設置し、アンダーカットなどのスリットを設けると、今度は高いお金をかけて防音ドアを設置する意味がなくなってしまいます。

トイレのドアとして、どうしても防音ドアを設置したいという場合、壁や天井に、給気用の換気扇を設置して、そこを給気口にする必要があります。しかし、トイレという狭い空間に排気口と給気口を設置するという方法の場合、それぞれの場所が近くなりすぎてショートサーキットと呼ばれる別の問題が起きるのです。ショートサーキットによる換気は、同じ空気が狭い空間をめぐる結果、不衛生な空気が循環してしまうことになり、換気の意味がなくなってしまうような現象です。この場合、新鮮な空気が取り込めなくなるため、臭いの面でも酸素供給の面でも好ましくないのです。

さらに、トイレの排気口は24時間換気システムにおいて第3種換気を担っているケースが多いため、この点からもドア部分の隙間を遮ることが好ましくないと言えます。こういった事情もあり、防音ドアによる対策と相性が悪いという問題があるのです。

③配管分からも音漏れがある

トイレからの音の問題は、排泄音や排水音だけでなく、配管を流れる水が生じさせる衝撃音もあります。

トイレは、給水管と排水管が繋がっていて、そこを通って水が流れていきます。そしてこの給水管と排水管は、床や壁の中に配管されています。そのため、トイレを流す際には、水が流れる時に衝撃音が直接壁や床に伝わり響いてしまうことがあるのです。

集合住宅に住んでいる方の場合、深夜帯にお風呂に入るのはマナー違反という話を聞いたことがあると思います。これも、排水の音が建物内に響いてしまうことで、他の住人に騒音で迷惑をかけてしまう可能性があるからです。一戸建て住宅でも、寝室の近くに配管を通している場合、夜中にトイレを使用した人がいた場合、排水音で睡眠を妨げられてしまう…といった問題に発展する可能性があります。

トイレの音の問題と防音対策が求められる場面について

前項でご紹介したように、トイレの防音需要が高くなっているのは、トイレの構造的に音漏れしやすい設計になってしまうということが要因です。それでは、トイレの音の問題について、どんな音が問題になり、また防音対策を検討する実際の場面とはどのような時が考えられるのかについてもご紹介していきます。

トイレから生じる主な騒音とは?

それではまず、トイレから発生する音について、どのような音が問題になっているのかをご紹介します。トイレの音を気にする方は、以下のような音の問題を抱えていると言われています。

  • トイレタンクへの給水音
    一つ目は、トイレを流した後、タンクに吸水されるときの音です。タンクレストイレを導入している場合は気にする必要はないのですが、従来型のタンクが設置されているトイレの場合、排水で失われたタンク内の水を補充するための吸水時に、それなりに大きな音が生じてしまいます。特に、水圧を高い状態に設定している場合、タンクに勢いよく水が流れ込み、その際に大きな音が生じるのです。最近では、静音モデルなどが登場しているので、設置するトイレの種類を選ぶことで、比較的容易に対策が可能ではあります。
  • 排水時の音
    トイレを流す時には、それなりに大きな音が生じます。一般的なトイレの場合、排水時に約500Hzで70dB程度の音が生じるとされていて、隣の部屋にいても50dB程度の音として伝わるとされているのです。これは日常会話に近いレベルの音量となるので、寝室の近くにトイレを設置しているというご家庭の場合、家庭内で騒音問題が発生する可能性があるでしょう。なお、排水時には、配管を通る水によって、衝撃音が発生します。配管の位置によっては、この音も問題になることがあります。
  • 排泄時の音
    「トイレの音が恥ずかしい」と感じる方の多くが気にするのは、この排泄時の音でしょう。例えば、用を足す際、尿が水面に直接あたると、意外に大きな音が生じます。先程紹介した通り、トイレは防音が難しい構造となっているため、その排水音がトイレの外まで聞こえてしまい、「他人に聞かれるのが嫌だ…」と感じる人がいるのです。

トイレで発生する主な音の問題は上記のような物があります。それでは、このような音の防音が求められる状況とは、どのような時なのでしょうか?

トイレの防音を考える時とは?

それでは、「トイレの防音工事をしよう」と考える方について、なぜこのような考えに至るのかについても解説します。防音工事と聞くと、楽器防音やホームシアターなどの対策として実施する物というイメージが強いのですが、最近では日常生活上どうしても生じてしまう生活音に対処する目的で実施するという方が増えているとされています。

特に、一般住宅周りでは、トイレ周りの防音需要が高まっているとされていて、これは都市部などで狭小住宅が増えていることで、日常生活の中でトイレの音が気になる場面が増えているからだそうです。ここでは、トイレの防音工事を思い立った方について、どんなことに悩んだ末、防音工事を決断したのかについてご紹介します。

間取りの関係上、家族にトイレの音が聞こえやすいから

大阪市内に建てる戸建て住宅など、都市部の住宅では、この理由でトイレの防音を決断する方が多いと言われています。都市部では、土地価格の問題などから、狭小地に3階建て住宅を建築するというケースが多くなっています。そして、このような住宅の場合、2階部分と3階部分など、複数のトイレを設けるケースが多いのですが、床面積の関係上、トイレの位置が寝室やリビングの近くにせざるを得ない…というケースが少なくないのです。

この場合、トイレの利便性の面だけを考えると、近くにトイレがあるため使いやすくなるのですが、音の問題を抱えやすいという点がデメリットになるのです。例えば、親世代と子世代のライフスタイルが大きく違う場合、夜中にトイレを使用されることで、就寝中の親世代が起こされてしまう…といった問題が生じるかもしれません。また、リビング近くのトイレを使用する場合、リビングにいる家族に排泄音が聞かれるのではないか…などと、思春期のお子様が考えるかもしれません。

そのため、家族間でトイレにまつわる音の問題が生じた時、「トイレの防音工事をしたい」と考える人が多いようです。

来客者への配慮

これも、トイレを使用する時の音の問題です。トイレを使用する際の音に関しては、「家族であっても聞かれたくない!」と考える人がほとんどのはずです。そのため、間取りの関係上、リビングの近くにトイレを設置せざるを得なかった…というケースでは、トイレの使用に関して、家族全員がストレスを感じてしまうようになるということもあるのです。

さらに、これが来客者となると、もっと大きな問題で、家族でもない人に「トイレの音を聞かれるのでは?」と考え、来客者が音を気にしてトイレが使用しにくくなるという問題が生じます。また、家族も、来客者がいる時には、音を気にしてトイレを使いにくくなるでしょう。

このようなことから、来客の際でも、誰でも気兼ねなくトイレを使用するため、トイレの音漏れ対策を検討する方が多いのです。

近隣住民との騒音トラブル

昨今、大阪市内など、都市部の戸建て住宅は、お隣の家との距離が数十cmしか離れていない…といった状況になっていることも珍しくありません。そしてこのような立地関係の場合、トイレの排水音がお隣の家にまで響いてしまい、騒音に関する苦情が出てしまうことがあるのです。

先程紹介した通り、トイレは、他の場所よりも防音が難しいうえ、そもそも防音のことが考慮されていないというケースの方が多いです。そのため、お隣との間取りの関係を気にせずにトイレを配置してしまうと、隣家の寝室の真正面に配管を通してしまい、深夜のトイレ利用時の排水音で迷惑をかけてしまうということがあるのです。

この場合、隣人との良好な関係を維持するためにも、防音工事を検討する方が多いです。

具体的なトイレの防音対策とは?

それでは最後に、トイレの防音を考えている方に向け、具体的にどのような対策を施せば良いのかについて解説します。

室内に対する防音対策

まずは、同居家族や来客者がストレスなくトイレを利用できるようにするため、室内向けの防音対策をご紹介します。先程紹介したように、トイレは「換気」のことが重視されているため、どうしても室内側に音が漏れて行ってしまいやすいです。そのため、間取りなどによっては、トイレの音で睡眠が妨げられる、リビングなどにトイレの音が聞こえてしまう…といった問題に発展しやすいのです。

そこで、こういった問題を解消するために検討したいトイレの防音対策は以下のような方法となります。

  • ドア部分の隙間を塞ぐ
    トイレのドアは、効率的に換気がなされるよう、下部や上部に隙間が設けられています。室内ドアもこの隙間があるのですが、トイレのドアは通常よりも広めに作られているケースが多いため、より音が漏れていきやすい構造と言えます。タンクに水をためる音、排水時の音、排泄音など、さまざまな音がトイレの外まで聞こえてしまうのは、隙間があることで空気の出入りができるからなのです。逆に言うと、この隙間を埋めてあげることができれば、音の出入りがかなり軽減されることになるため、トイレの音の問題を解消できる可能性があります。ホームセンターなどに行けば、ドア用の隙間テープなどが販売されているので、ご自身で対策を施すことも可能です。ただ、トイレに窓などが設置されていないお宅の場合、換気効率が大幅に落ちるという別の問題に発展しかねないので、その点は注意しましょう。
  • ドアを防音ドアにする
    ドア部分の防音をもっとしかっりとしたいという場合は、防音ドアに交換するという方法があります。防音ドアは、パッキンなどによりドア周りの隙間をしっかりと埋めてくれるうえ、ドアを構成する素材の遮音性が高いので、ドア部分からの音漏れをかなり軽減します。ただ、この方法についても、換気については注意する必要があります。
  • 消音タイプの便器に交換する
    トイレの音の問題を気にする方が多いということは、便器メーカーも理解しています。そのため、昨今では、トイレの音問題を解消するため、流水音などを静かにした消音タイプの便器が開発されているのです。このタイプは、排泄時の音を隠すため、音を流すことができるような機能もありますし、トイレにまつわる音の問題の多くをまとめて解消することができるでしょう。

室内側のトイレの音問題は、上記のような対策で解消できる可能性があります。

屋外に対する防音対策

トイレの音の問題は、隣人から苦情が出てしまう…というケースも考えられます。排水時に配管を通る水の音がうるさい、開口部から漏れ出る音が気になるといった騒音問題が生じることがあるので、隣家との距離が近いという場合には、何らかの対策が必要かもしれません。

  • 換気部分への対策
    トイレは、臭いの問題があるため、換気用に小さな窓が設置されていて、その窓を常に開放しているというお宅も多いです。しかし、そのような使い方の場合、開口部からさまざまな音が漏れてしまい、騒音問題に発展することがあるのです。音漏れの原因が、開口部にあるというケースでは、その開口部を塞ぐのが最も簡単な対策になります。ただ、換気機能は残さなければならないので、その点は注意しましょう。窓部分は、採光性だけ残すためFIX窓にして、排気用の換気扇を別途設けるといった手法が良いでしょう。この際、換気扇は防音タイプの物を採用すれば、トイレの音問題を軽減できます。
  • 配管の防音対策
    隣家とのトイレの音問題では、間取りの関係上、配管を通る排水の音に苦情が出るというケースが多いです。この場合は、配管に対して防音対策を施すと良いです。例えば、配管に防音材や遮音シートを巻き付けるという方法があり、使用する防音材によっては流水音や振動音を10~15dB程度低減できます。深夜帯の排水音で苦情が…というケースなら、配管部分に対策を施すと良いです。
  • トイレそのものを防音室仕様に
    コストはかかってしまいますが、トイレの音を外に漏れないようにするため、壁や天井、床に防音工事を施すという方法もあります。簡単に言うと、トイレを防音室のような構造にするという方法で、この対策を実施すれば、屋外への対策はもちろん、室内側への音漏れも大幅に軽減することができます。

屋外側への対策は、上記のような方法があります。

新築時にできる対策について

トイレの防音については、新築時に行っておくという方法が最もオススメです。ここまでの解説で分かるように、トイレはプライバシー性が非常に高いわりに、音漏れがしやすいという構造になるのです。そのため、何も考えずにトイレを設置すると、住み始めてから音の問題に悩まされてしまう可能性がどうしてもあるのです。

新築時であれば、以下のような事を考えながらトイレを作れるため、音の問題を抱えにくくなります。

  • 間取りを考慮する
    寝室やリビングなど、音が聞こえてほしくない場所からトイレの位置を離すという対策が最も簡単です。お風呂などに隣接した場所にトイレを設置すれば、配管面でも有利ですし、音の問題を抱えにくくなります。
  • 音が生じにくい便器を選ぶ
    先程紹介したように、トイレに設置する便器は、音の問題を抱えにくくする対策が施された製品が登場しています。通常モデルと比較すると、製品価格は高くなるものの、何十年も住むことを想定した新築住宅の場合、家族がストレスなく過ごせるようにするためにも、消音タイプの便器を選ぶのが良いでしょう。
  • 換気の仕様を考慮する
    新築時であれば、屋内側にトイレの音が漏れにくくなるよう、家全体の換気に関する仕様を工夫することができます。換気がきちんと行われるのであれば、トイレのドアに生じる隙間を埋めることができ、音漏れを防ぐことができるようになるでしょう。

トイレの音の問題は、新築時に検討するのが最も効果的です。

まとめ

今回は、トイレの音の問題を解消するための対策について解説しました。昨今の住宅事情では、家と家の距離が近くなっている、新築コストが高騰しているため狭小住宅が選ばれることが増えているという理由から、トイレに関わる音の問題に悩む人が増えていると言われているのです。

トイレの音の問題に関しては、そもそもトイレが「防音のことを基本的に無視した構造になっている」ということが理由で音の問題が発生しているケースが多いです。記事内でご紹介した通り、トイレは、どうしても音が生じやすい場所となるうえ、臭いの問題を優先して解決しなくてはならないため、給気のための隙間がわざと作られているのです。

もちろん、きちんと対策を施すことも可能ではあるので、既存住宅の場合は、リフォームにて防音対策を実施すれば良いと思います。新築住宅の場合は、トイレの位置などをキチンt考慮することで、住んでから「音が気になる…」といった事態を防ぐことができるので、新築時にきちんと建築会社に相談するようにしましょう。

悠建設広報のM

悠建設のサイトでは当社の有資格者の監修のもと皆様の家創りにとって有益な情報を配信しております。 以下、各種許可、資格となります。

  • 一級建築士 3名
  • 二級建築士 1名
  • 二級福祉住環境コーディネーター 1名
  • 宅地建物取引士 1名
  • 二級建築施工管理技士 1名
  • 建築物石綿含有建材調査者 2名
  • 既存建物耐震診断士 2名