
今回は、空き巣犯が侵入を考えている家に残すとされるサインやマーキングについて解説したいと思います。
昨今、家への侵入犯罪が増えているというニュースを見聞きする機会が多くなっているのではないでしょうか?テレビのニュースでも、空き巣の前兆として不審者が残すマーキングの種類などを報道するケースが増えているため、侵入犯罪が増加しているのかな…と不安に感じている方も多いかもしれません。ただ、空き巣などの侵入犯罪の発生件数に関しては、平成14年をピークとして、年々減少傾向を続けています。これは、マンションなどの集合住宅は、非常に強力な防犯体制が整えられていることや、一戸建て住宅でも防犯カメラや防犯ガラス、ホームセキュリティーへの加入など、防犯意識が高まっていることが大きな要因です。
昨今の侵入犯罪は、組織的な犯行が増えていて、空き巣側もしっかりと準備を整えたうえで犯行に出ることが多くなっています。例えば、空き巣などの侵入犯罪に関しては、不審者が事前に下見を行い、その結果を何らかの方法で実行役に伝えるといった仕組みが構築されるなど、防犯意識が低い住宅が狙われやすくなっています。逆に言うと、不審者が残すマーキングの種類などをしっかりと押さえておけば、空き巣の前兆を掴むことができ、未然に犯行を防げる可能性も考えられるのです。
そこでこの記事では、空き巣被害に遭わないためにも、不審者は下見で何を確認しているのか、また空き巣の前兆として残されるサインは何かなどについて解説します。
空き巣犯が下見で確認するポイントと狙われやす家の特徴
それではず、空き巣犯が下見で確認するポイントをご紹介します。空き巣の下見で何を確認しているのかを知っておけば、狙われやすい家の特徴が理解でき、必要な対策も自ずと理解できるはずです。
ここでは、警察庁が公開している「住まいる防犯110番」を参考に、空き巣犯が下見で確認するポイントをご紹介します。
周辺環境や家そのものに関する確認ポイント
警察庁による住まいる防犯110番によると、侵入犯は下見を行うケースが多いとされていて、下見の際には「(1)留守かどうか (2)侵入しやすい家かどうか (3)逃げやすいかどうか」を確認するとされています。
まず、空き巣に入る家の周辺環境については、以下のような点を確認するとされています。
- 人通りや人目が少ないか(48%程度)
- 入りやすく逃げやすいか(41%程度)
- 留守が多い家か(35%程度)
- お金がありそうか(15%程度)
また、家そのものについては、以下のような点を確認しているとされています。
- 留守かどうか(60%程度)
- 入りやすく逃げやすい家か(50%程度)
- 隣近所からの見通しはどうか(25%程度)
- 窓のクレセント(20%程度) など
空き巣犯は、侵入する家単体だけでなく、周辺環境まで下見を行い、侵入のしやすさをチェックするとされています。例えば、侵入しやすいと判断される家であっても、周辺の道路に防犯カメラがたくさん設置されている、ご近所づきあいが盛んで良く立ち話をしているという状況の場合、下見や犯行時に自分の姿が証拠として残ったり、近所の人に顔を覚えられてしまう可能性が高いです。したがって、このような環境の場合は、犯行を諦める傾向にあるとされています。
空き巣犯にとって、最も犯行しやすいと考える条件は、留守になりがちなうえ、ご近所から目が届きにくく、安全に逃げられる周辺環境です。近所の目に関しては、立地条件だけでなく、出入りの多さなども関係するため、その辺りをしっかりと下見して犯行を行うかどうかを決めるのだと思います。
上記の条件に当てはまる家の場合、空き巣犯に狙われる可能性が高くなると考えた方が良いため、何らかの防犯対策が必要と言えるでしょう。
空き巣犯が侵入しやすいと判断する家の特徴
空き巣犯が下見で確認するポイントが分かれば、どのような家が狙われやすいのかが分かると思います。ここでは、空き巣に狙われやすい家の特徴を簡単にご紹介します。
留守が多い家
空き巣犯が下見で最も気にするポイントは、家人が留守であるかどうかです。下見を行う際には、家人の生活サイクルなども確認し、安全に侵入できる時間帯を把握したうえで犯行を行うケースが多いです。以下のような状態は、留守が悟られやすく、空き巣に狙われる可能性が高くなるので注意しましょう。
- ポストの郵便が放置され溜まっている
- 夜遅くなっても電気がつかない(毎日同じ時間に点灯する)
- 洗濯物が干しっぱなしになっている
空き巣犯が下見をする時の方法については後述しますが、上記の様な状態は、家人の留守が多いと判断されやすくなります。また、電気の点灯については、生活サイクルを見抜かれるポイントにもなります。
防犯意識が薄い家が狙われやすい
空き巣犯は、下見の際に防犯意識の高さなどを確認して、侵入しやすい家かどうかを判断します。以下のような行動は、侵入しやすい家と判断されやすいです。
- 無施錠での外出が多い
- 庭木などにより死角ができる家
- 足場のような物があり、ベランダなどに簡単に登れる
- 窓のクレセント錠が開けやすい位置にある
- 防犯に関する設備が設置されていない(カメラやセンサーライトなど)
- 犬がいない
上記のような家は、防犯意識が薄いと判断され、空き巣犯に狙われやすくなります。特に、玄関や窓の無施錠に関しては、戸建て、共同住宅に関係なく、侵入手口の中で最も大きな割合を占めています。したがって、ちょっとした外出の際でも、必ず鍵をかけるようにしましょう。
逃走しやすい状況
空き巣犯は、侵入のしやすさだけでなく、犯行後の逃げやすさも確認しています。警察庁によると、下見の際には以下のようなポイントを確認しているとしています。
- 駅に近いか
- 立ち話をしている人がいないか
- 通行人は少ないか
人目に付きにくいということは、逃げやすいだけでなく侵入のしやすさにもつなるので注意しましょう。
空き巣犯が留守を見抜く方法
空き巣犯が家人の留守を見抜く方法は、意外にも「インターホンを押す」という大胆な行動が多いようです。一般の方からすると、長時間にわたってターゲットの家を見はっておくという行動をするのかと考えがちですが、そうではないのです。警察庁が公表している、空き巣犯が家人の留守を確認する方法については、以下の通りです。
- インターホンで呼ぶ:45.7%
- 動きを見張る:20%
- 電話をかける:5.7%
- ガラスに小石を投げる:5.7%
- カーテンの閉まり具合:5.7%
- 郵便物の溜まり具合:5.7%
皆さんも、過去にインターホンが鳴って、外に出てみたものの、誰もいなかったという経験はあるのではないでしょうか?実は、この現象については、単なるいたずらなのではなく、空き巣の下見の可能性があるのです。したがって、このような現象があった際は、周囲に不審な者がいないか確認してください。
なお、この時には、郵便物の溜まり具合などもチェックされている可能性があるとされます。したがって、郵便物は、毎日きちんと処理をするようにし、また旅行などで家を空ける際は、新聞を止めるなどの対策も実施しましょう。
データ参照:警察庁「住まいる防犯110番」
空き巣の前兆について
前項で解説したように、空き巣などの侵入犯罪に関しては、突発的に犯行に及ぶというケースは少なく、安全に侵入できそうな家を見つけるため、事前に下見を行っているのです。特に昨今では、SNSなどを通じて、家人が留守になる時間帯や家族構成などを調べさせる闇バイトなども登場していて、犯行が複雑化しているとされます。
そして、空き巣の下見を実施した際には、実行犯にその情報を知らせるため、マーキングのような物を残すケースも増えていると言われています。ここでは、「空き巣犯に狙われているのでは?」と疑った方が良いかもしれない前兆をいくつかご紹介します。
マーキングが残されている
近年、テレビのニュースなどでも特集される機会があるため、侵入犯罪の前兆となるマーキングについては、皆さんも知っているかもしれませんね。
空き巣犯は、下見を行う中で、ターゲットとなっている家に自分たちだけが分かるよう、数字やアルファベット、記号などを用いてメモを残している場合があります。これが、マーキングと呼ばれるもので、家人が留守になる時間帯や家族構成などの情報が分かるようになっています。マーキングは、近隣の人に不審者の顔を記憶されないようにするため、SNSなどで「高額バイト」として人員を募集し、その結果を表札や郵便受けなどにシールとして貼り付けるといった方法が採用されていることが多いそうです。この方法の場合、実行犯が何度も下見に来る必要がなくなるため、下見の際に防犯カメラに顔が映ってしまういった事態を防止することができ、捕まるリスクが低くなるのです。
マーキングの方法については、さまざまな方法が利用されるようになっているので注意が必要です。多くの場合、表札や郵便受け、インターホンやメーターボックスなどにマーキングが残されやすいとされるので、小まめにチェックして、マーキングの疑いがあるものが残されている場合、すぐに消して警察などに相談しましょう。
マーキングの例について
マーキングの方法は、いろいろな手段が用いられているため、なかなか特定することが難しいのが実情です。警察庁などでも、具体的なマーキング事例の詳細を公開しているわけではないのが現状です。ただ、アルファベットや記号、数字を用いたマーキングは、以下のような感じで残されているそうです。
- 住人の特徴を示す記号・・・M:男性、W:女性、F:家族、S:一人暮らし
- 留守の頻度を示す記号・・・ル・R:留守、SS:土日休み
- その他・・・空:空き家、10-17R:10時から17時が留守など数字が時間を示す
上記の様な感じで文字や記号に意味を持たせています。知らない人からすると、意味の分からない文字列になるのですが、空き巣犯からすると安全に侵入できる時間などを知らせているのです。例えば「20SW_9・21」というマーキングが残されている場合、「20代独身女性、9時出勤、21時帰宅」という意味になるとされています。
自宅にこのようなマーキングが残されていた場合、警察の指示を仰ぐために、マーキングの写真を撮影しすぐに消しましょう。その後警察に連絡し、対応を検討すると良いです。
インターホンや電話による在宅の確認
先程紹介したように、空き巣犯が留守を見抜く方法はさまざまです。しかし、最も多い方法については、インターホンを直接押すという行為なのです。インターホンを押すことによる在宅の確認については、空き巣犯からするとリスクが大きのではないか…と考える人もいますが、家人が在宅していて応答があった場合でも、セールスなどを装うことで不審に思われることを防ぐことができます。したがって、空き巣犯からすると、家人の留守を確認するための方法としては、インターホンが最も単純な方法となるのです。
この他にも、直接電話をかけることで留守や家族構成を確認することがあります。「電話で家族構成なんか分からないのでは?」と考えるかもしれませんが、アンケートや調査を装うことで、そこに住んでいる人の情報を引き出そうとするのです。アンケートに答えるだけで何かが貰えると言われると「家族構成程度なら大丈夫か」と答えてしまう場合があります。しかし、空き巣犯にとっては、安全に侵入できる時間帯を判明させるための重要な情報になるかもしれません。したがって、見ず知らずの人に個人情報などを明かすことは絶対にやめましょう。
不審な人や車を自宅周辺で何度も見る
空き巣の下見は、一度だけではなく、何度も入念に行うとされています。家人の生活サイクルを判断するためには、何度も出入りを確認しなければならないですし、安全に侵入するためにも、確実な情報を得ようと考えているわけです。
なお、空き巣の下見を行う際には、その周辺にいてもおかしくない格好をしています。例えば、近くで工事を行っていると装うために作業着を着ている、セールスに回っているように見せるためスーツを着ていることが多いとされています。しかし、同じエリアに長時間居続けることはやはりおかしいので、一日に自宅周辺で何度も同じ人を見かけるという場合は、下見の可能性があるので注意しましょう。この他、自動車の乗って下見を行っているケースもあるので、普段見かけない車を何度も見かけるというケースも注意が必要です。
空き巣の下見に関しては、そこにいても違和感を持たれないような格好をしています。スーツや作業着以外にも、ジョギングを装う、ただ散歩をしているように見せるなど、一度見ただけでは不振に思えない格好をしています。そのため、なかなか対策が難しい面があるのですが、警察などによると普通に挨拶をするという行為が空き巣の犯行を諦めさせるのに効果的だとされています。
なぜなら、近隣住民がきちんと挨拶する環境は、ご近所づきあいが盛んと考えられるため、家人が留守であっても侵入するリスクが高いと考えるのだそうです。実際に、空き巣犯が犯行を諦める理由として「声をかけられたから」という理由が最も多いとされています。近所で不審な人物を見かけた時、普通に挨拶をするという行為が、犯行を未然に防ぐことができるかもしれないので、普段の生活の中でも意識しておくと良いでしょう。
空き巣の被害に遭わないようにするには?
それでは最後に、空き巣の被害を未然に防ぐため、どのような対策が有効なのかについて解説します。ここでは、下見の段階で空き巣を諦めさせる対策と、家の防犯性を高めることによる対策について解説します。
下見の段階で空き巣を諦めさせるには?
それではまず、空き巣犯に下見の段階で「ここはやめておこう」と思わせるための対策について解説します。
生活サイクルを読まれないようにする
空き巣犯が下見をする大きな目的は、家人の生活リズムを把握することで、留守になる時間帯がいつなのかを知ることです。そのため、生活サイクルを読まれないようにして、留守の時間が分からないようになれば、それだけ空き巣に入られるリスクは低くなるのです。
したがって、留守だとわかる行動はなるべく控えるようにしましょう。例えば、一人暮らしでも外出時は必ず「行ってきます」と声に出す、夕方ぐらいになると自動で照明がつくようにするなどの行為は、留守時間が分かりにくくなるのでおすすめです。
防犯性の高いインターホンなどを導入する
先程紹介したように、空き巣犯は、在宅の確認をするため、インターホンや電話を利用します。したがって、この部分のアイテムについて、防犯性の高いものに交換することで、「この家は防犯意識が高い!」と判断させることができるようになるのです。
例えば、インターホンについては、録画機能付きの物を導入し、外から分かりやすい場所に「録画中」などのシールを貼っておきましょう。そうすると、顔を見られることを嫌がる空き巣犯は、インターホンをうっかり押せなくなります。この他、自宅で使用する固定電話についても、登録された番号以外は着信拒否をする設定ができる製品などがあるので、そういったものを選ぶのも有効です。
小まめにマーキングを確認し消す
先程紹介したように、空き巣が実行される前には、下見を行い、ターゲットとなるお宅の生活スタイルや家族構成を実行犯に伝えるためのマーキングがなされることが多くなっています。なお、このマーキングについては、空き巣犯以外にもセールスや近所の子供がいたずらで落書きするなんてケースもあるのですが、どちらにしても残しておく必要はありません。
それどころか、マーキングが長時間残されているお宅の場合、防犯意識が低い家と判断される可能性があり、狙われやすくなるかもしれないのです。したがって、小まめにマーキングの有無を確認し、あれば消すということも対策になります。
ご近所づきあいを盛んにする
昨今では、ご近所間のやりとりが少なくなっているとされます。特に、若者世代の場合、集合住宅に住んでいても、お隣の人と一度も話したことがない…という方も多くなっています。
しかし、このような状況は、空き巣犯にとっては、犯行をしやすい状況となるのです。ご近所づきあいが盛んなエリアでは、近隣に住む人の顔が一致するため、不審者がいたらすぐに気づかれてしまうのです。そのため、そういったエリアは、空き巣犯からすると通報される可能性が高くなるため、敬遠される傾向にあるのです。
自宅の防犯性を高めることにより空き巣を防ぐ
空き巣を防ぐ、空き巣に狙われにくくするためには、自宅の防犯性を高めるという対策も有効です。そこでここでは、新築時やリフォームで実現可能な防犯対策について、いくつか有効な方法をご紹介します。
防犯カメラを設置する
防犯カメラは、空き巣犯が最も警戒する防犯アイテムの一つです。侵入犯からする、自分の犯行が証拠として残ってしまうことになるため、早期逮捕されてしまう可能性が高くなるのです。
したがって、空き巣を防止するためには、敷地外からでも防犯カメラが複数台設置されていることが分かるようにしておくと良いです。そうすると、下見の段階で「防犯意識が高い家だ」とアピールすることができ、被害を防げる可能性が高くなります。
補助錠を設置する
補助錠とは、既存のカギに追加する形でカギを設置するという対策です。窓やドアに補助錠を設置すれば、侵入に時間をかけなければならなくなるので、空き巣犯が諦める可能性が高くなるのです。実際に、警察庁の住まいる防犯110番では、侵入時間について以下のように紹介しています。
侵入に手間取り、5分かかると侵入者の約7割はあきらめ、10分以上かかると侵入者のほとんどはあきらめるといいます。
引用:警察庁「住まいる防犯110番」
なお、侵入に時間がかかるようになるアイテムは、他に以下のような物があるので、自宅の防犯性を高めたいと考える時には導入を検討してみましょう。
- 防犯ガラス・防犯フィルム
- ピッキングが難しい鍵(ディンプルキーやウェーブキー、キーレス錠)
- 窓シャッター
新築時には、間取りや外観デザインに着目する方が多いのですが、上記のようなアイテムで防犯性を高めてあげることも重要です。
その他の防犯対策について
上記以外にも、空き巣を防ぐのに有効な防犯対策をまとめてご紹介します。
- 防犯砂利を設置する
- センサーライトを設置する
- 窓用防犯センサーを設置する(窓破りなどがあった際に警報音が鳴る)
- 庭がある場合は門扉を取り付ける
- ホームセキュリティーへ加入する
まとめ
今回は、空き巣などの侵入犯罪に遭わないため、皆さんが知っておきたい情報について解説しました。
記事内でご紹介した通り、空き巣などの侵入犯罪に関しては、事前に下見を行い、安全に犯行を行える家かどうかが確認されています。そして昨今では、下見で分かった情報を実行犯に知らせるといった目的で、マーキングが残されていることが多くなっているのです。なお、マーキングについては、空き巣などの侵入犯罪以外にも、セールスや詐欺のターゲットを知らせるために残されている場合があるそうです。このマーキングは、どちらにしても残しておくと危険性が高くなるだけなので、小まめに家の周りを確認し、マーキングが残されていないかチェックするようにしましょう。
日本は、諸外国と比較すると安全な国と言われますが、犯罪が一切おこらないわけではないので、自分や家族のみを守るためにも、きちんと防犯面の対策は検討すべきです。これから家の購入を検討しているという方がいれば、家の外観や住みやすさだけに注目するのではなく、空き巣などに狙われにくい家にするための防犯対策のことも考えてみてはいかがでしょう!