今回は、年々重要性が増していると言われるお風呂の寒さ対策について解説したいと思います。

「お風呂が寒い」と感じる家の場合、特に高齢者と同居しているご家庭では、ヒートショックに注意しなければいけません。実は、「お風呂が寒い」という問題については、単に快適な入浴が難しくなる…という生活利便性に係わる問題があるだけでなく、そこに住む人の健康面にも大きな問題を生じさせる可能性があるのです。

そこでこの記事では、お風呂が寒い…と感じている方に向け、すぐにでもできる簡易的な対策や、根本的にお風呂の寒さを解消するためのリフォーム手法について解説していきたいと思います。

そもそもお風呂が寒い原因とは?

それではまず、お風呂が寒く感じてしまうようになる原因について解説していきます。お風呂は、お湯に浸かり温まるためのものですが、ここが寒く感じるというのは少し疑問に感じてしまう方もいるかもしれませんね。

しかし実は、お風呂の構造などによっては、想像以上に室温が下がってしまうことになり、入浴前後の温度差によってヒートショックのような事故を引き起こす可能性があるのです。ここでは、お風呂が寒くなる主な要因をご紹介します。

①窓やドアから冷気が流れ込む

お風呂は、浴槽にお湯を貯めていたとしても寒さを感じることが多いはずです。浴槽からの熱である程度は室内を暖めるという効果が期待出来ますが、構造によってはその熱が逃げてしまうのです。

お風呂が寒く感じる最も大きな要因は、窓やドアに生じている隙間から冷気が入り込む、また暖かい空気が逃げて行ってしまうということがあげられます。隙間から冷気が入り込んでしまうと、浴室内はなかなか暖かくなりません。また、浴槽から熱が放出されていたとしても、その暖かい空気が外に逃げて行ってしまうと、冷気の侵入と相まって寒さを感じてしまうことになるのです。

さらに、浴室に設けられる窓については、リビングなどと異なり、断熱性などが考慮された高性能な物でない場合が多いです。この場合、冷気が入り込むような隙間が生じていないとしても、窓そのものが冷やされてしまい、その周辺の空気がどんどん冷たくなっていくことで、浴室内の温度が下がっていってしまうのです。

つまり、お風呂で寒さを感じないようにしたいと考えるなら、窓やドアの建てつけに注意して隙間を無くすだけでなく、窓そのものの断熱性も向上させる必要があると考えてください。

②換気により室温が下がる

お風呂は、暖かいお湯を使用する場所でもあるため、利用時は湿気が非常に高くなります。そのため、カビ予防などを目的に、換気システムを常に稼働させているお家が多いと思います。

ただ、この換気システムについては、換気口から常に外気が入り込むことになるため、これが室温を下げてしまい寒く感じる要因になってしまうのです。そのため、入浴中に寒さを感じてしまうようであれば、一旦は換気機能をオフにして外気が入り込まないようにするというのも一つの手です。

ただ、24時間換気システムのことを考えると、本来は常時換気機能をオンにしておくのが望ましいです。24時間換気システムは、1日中作動することを前提として作られているため、室内の空気を清潔に保つためにはこの機能は停めない方が良いのです。万一、お風呂の換気を止め、それをONにし忘れてしまうと、浴室がカビだらけになるなど、寒さ以上の問題に発展する可能性があります。

③床の保温性

3つ目の要因は、床の保温性の低さです。床の保温性が低い浴室の場合、浴室内が浴槽のお湯で暖められていたとしても、床面がひんやりとしているため、寒いと感じてしまうことがあるのです。

例えば、昔ながらのお風呂は、床にタイルが敷かれているのですが、このタイプの場合は、非常の保温性が低く、下からの冷気で寒さを感じてしまうということが多かったです。また、タイルの上に立っている場合、足の裏から冷たさを受け取ってしまうことで、浴槽で温まった体がすぐに冷まされてしまうという状況になります。

タイルは、非常に丈夫で耐久性があるため、浴室の床材として見ても悪くない素材なのですが、寒さを感じてヒートショックなどの心配があるというご家庭の場合は、床材の変更などを検討したほうが良いです。ちなみに、一昔前までは、浴室の床にマットを敷いているご家庭が多かったのですが、これは床材がタイルだからです。

寒いお風呂が引き起こす具体的な弊害

それでは、お風呂が寒い場合に引き起こされる弊害についてもご紹介しておきます。浴室内が多少寒かったとしても、浴槽のお湯に浸かれば暖かくなるのだから「そこまで気にしなくても良いのではないか?」と考えてしまう人も多いかもしれません。

しかし、お風呂の寒さは、光熱費の上昇やそこに住む人の健康被害など、さまざまな弊害を引き起こす可能性があるのです。ここでは、寒いお風呂が引き起こす主な問題をご紹介します。

①風邪を引きやすくなる

お風呂が寒いという状況は、風邪をひきやすくなると言われています。

これは、服を脱いだ時、浴槽への出入りなどで大きな寒暖差があり、その影響を受けてしまうからです。寒暖差が大きいおい風呂に入ると、入浴後にくしゃみや鼻水が止まらなくなる、発熱するなどの問題が発生することがあります。

特に、小さな子供や高齢者、病気療養中など、そもそもの抵抗力が低いという方の場合、注意が必要とされています。

②光熱費がかかりやすい

浴室内が寒いという状況になると、浴槽に貯めたお湯の温度が冷めやすくなります。先程紹介した通り、浴室内が寒くなるというお風呂は、窓やドアの隙間から冷気が入り込んでいるわけなので、お風呂のお湯を冷まし続けてしまうという状況になるのです。

特に、気温が低い日などは、浴槽にお湯を張ってから、家族全員が素早くお風呂に入らなければ、入浴中にお湯が冷めてしまい、体を十分に温められなくなる…といった問題が発生するかもしれません。さらに、浴槽のお湯が冷めやすくなると、順番に家族全員が入る時には、足し湯や追い炊きなどの機能を使わなければならなくなるでしょう。

この場合、当然余計な光熱費がかかることになるため、冬場はお風呂のための光熱費が想像以上に高くなってしまい、家計を圧迫するという問題に発展する可能性があるのです。

③ヒートショックが起こりやすい

「お風呂が寒い」という場合の最大の問題は、ヒートショックが起こりやすくなるという点です。昨今では、家の中で発生する健康被害の代表としてヒートショックがあげられるようになっているため、これがどのような現象かは皆さんもご存知だと思います。

ヒートショックは、寒暖差の大きな場所を行き来することで体に大きな負担がかかり、血圧が急激に変化する現象のことを指しています。ヒートショックが原因となる健康被害は、心臓発作や脳梗塞など、人の命に係わる問題を引き起こすことがあるため、お風呂の寒さは放置してはいけないと認識されるようになっているのです。

特に、高齢者が一緒に暮らす家の場合、入浴時の寒暖差がなるべく少なくなるような環境を作る必要があると考えてください。

お風呂の寒さ対策について

それでは、お風呂が寒いと感じている方に向け、お風呂の寒さ対策をご紹介します。

お風呂が寒いと感じた時に実施したい簡易対策

まずは、すぐにでもできる簡易的な寒さ対策をご紹介します。お風呂の寒さ問題を解決するには、多額のコストをかけてリフォームしなければならないと考えがちですが、実は費用をそこまでかけず、すぐにでも実行できる対策もあるのです。

ここでは、誰でも簡単に実行できる簡易的な寒さ対策をご紹介します。

対策① 窓の断熱

先ほど紹介した通り、お風呂の寒さは窓の断熱性の低さが要因となっているケースが考えられます。隙間から冷気などが入らなくても、窓ガラスが外気によって冷やされ、その冷気によって浴室内が寒くなってしまうのです。

つまり、お風呂の寒さを解決する為には、窓部分の断熱性の低さをどうにかする必要があるのです。そして、窓の断熱対策に関しては、意外に簡単な方法で実現することが可能です。DIYを趣味とする方が増えている昨今では、家の機能を高めるためのアイテムがホームセンターやネット通販で購入できるようになっています。そして、窓の断熱対策用のアイテムとしては、断熱シートと呼ばれるアイテムがあります。

断熱シートは、文字通り、高い断熱性を持ったシートのことで、これを窓ガラスに貼り付けるだけで、窓の断熱性が高くなるのです、これにより、窓周辺の空気が冷まされにくくなるので、お風呂の寒さ対策になるという仕組みです。リビングの窓などに関しては、カーテンを設置することで断熱性をあげるという対策も使えるのですが、お風呂の場合はカーテンそのものがカビだらけになって不衛生な環境になってしまいがちです。したがって、窓ガラス部分に断熱シートを貼りつけ、窓の断熱性を高めるという方法が、オススメできます。

対策① 換気口の対策

24時間換気システムも、冷気の侵入を許すことでお風呂を寒くする要因となります。ただ、先ほども紹介した通り、室内の空気を清潔に保つためには、24時間換気は停めない方が良いのです。ただ、換気システムを動かしたままの場合、お風呂が寒くなってしまう可能性があるため、非常に悩ましい問題となります。

このように、換気システムのせいでお風呂が寒いという場合は、換気口に専用のフィルターを設置することで、冷気の侵入を抑えるという対策を実施すると良いです。本来は、ホコリの侵入を防ぐためのアイテムなのですが、外気も入り込みにくくなるので、寒さを和らげることができるのです。

換気口用のフィルターも、ホームセンターやネット通販で安く手に入れられるので、コストをかけない寒さ対策としておすすめできます。なお、設置するフィルターは、定期的に交換するのを忘れないようにしましょう。フィルターは、ホコリやゴミを吸着するためのもので、交換せずに長期間使い続けると目詰まりを起こしてしまいます。その場合、24時間換気システムの換気効果が落ちてしまう恐れがあるのです。

対策③ 床材が原因ならマットを敷く

お風呂の寒さの原因が、床から冷気が上がってくる…、床が冷たい…というケースの場合は、床にお風呂用のマットを敷くと良いです。先程紹介した通り、タイル材が良く採用されていた時代のお風呂は、床面をそのまま剥き出しにしておくのではなく、お風呂用のマットを敷くのが一般的でした。最近では、床材としてタイルを採用するケースが減っているため、使用していないご家庭が増えているのですが、もし寒さの原因が床の冷たさなら、非常に効果的な寒さ対策になります。

床にお風呂用のマットを敷けば、冷気が下から上がってくるのを防げますし、素足で冷たい床に触れなくてすむので、浴室内の寒さを和らげることができるでしょう。なお、脱衣所の床も冷たいという場合は、そちらも床に何か敷くと良いです。理想は、全体にコルクマットを敷くという方法です。

対策④ 空間を暖める

「お風呂が寒い…」という場合、最もわかりやすいという対策は、浴室や脱衣所など、お風呂に入る際に寒さを感じる空間について「暖めておく」というものです。

例えば、浴室内に関しては、浴槽にお湯を張った後、蓋をあえてせずに開放しておけば、お湯の熱によって空間を暖めておくことができます。最近の給湯器は、浴槽のお湯を一定の温度に保温する機能などが搭載されているので、蓋を開けたままにしておけば、お風呂のお湯はもちろん、浴室内を暖かくすることができるのです。
脱衣所に関しては、さすがに浴室ドアを開放し、蒸気を持ってくるという方法はできないので、持ち運びが可能なヒーターなどを設置しておき、お風呂に入る少し前に稼働させるという対策が有効です。ヒートショックは、寒暖差によって引き起こされる健康被害なので、ヒーターなどを使って脱衣所を暖めておけば、浴槽に浸かる時との寒暖差が少なくなり、ヒートショックの発症を防止することができる可能性が高くなります。

なお、この方法に関しては、いくつかのデメリットが存在するので、その点は注意しましょう。まず、ヒーターや浴槽のお湯を暖め続けなければならなくなるため、光熱費が高くなってしまうという問題が考えられます。さらに、お風呂の蓋を開けたままにして浴室の寒さを解消するという方法は、蒸気が室内に回ってしまうことでカビが発生しやすくなります。お風呂の天井や壁には大量の水滴が発生すると思うのですが、これを小まめに取り除かないと、浴室内にカビが大量発生します。つまり、お風呂の掃除などの手間が増えてしまう可能性があるということです。

お風呂の寒さを根本から解決する対策

上で紹介した寒さ対策は、あくまでも簡易的なもので、寒さは多少マシになるかもしれませんが、寒さを一切感じなくなるというほど劇的な効果を望むことは難しいです。したがって、小さなお子様がいる、高齢の方と一緒に暮らしているというご家庭の場合は、以下で紹介するような根本から寒さを解消するための対策を検討しましょう。

ここでは、ある程度のコストはかかるものの、確かな効果が期待できる寒さ対策をご紹介します。

対策① 窓を二重窓にする

窓の断熱化を目指すため、お風呂の窓を二重窓にするという工事は、寒さ対策としても非常に効果的です。

窓を二重窓にすれば、窓部分の断熱性の向上や気密性の向上が期待出来るため、窓からの冷気の侵入を防ぎ、浴室内が寒くなりにくくなるのです。施工に関しても、既存窓に1枚窓を追加するという方法なので、比較的小規模な工事となります。そのため、リフォームの中でもコストが押さえられ、費用対効果の高い寒さ対策になります。

なお、二重窓工事に関しては、補助金が利用できる場合が多いため、他の部屋の断熱性向上と合わせてお風呂の寒さ対策を実施するというのもおすすめです。

対策② 浴室全体の断熱対策を実施する

寒さの原因が、窓の断熱性の低さが要因なのではなく、浴室そのものの断熱性が低いという場合は、天井や壁、床などに断熱材を入れ、浴室全体の断熱性を高めるという工事がおすすめです。

浴室全体の断熱性を向上させれば、浴槽のお湯によって生じる熱が外に逃げなくなるため、長時間暖かい室内空間をキープできるようになります。そのため、家族の人数が多いお宅でも、暖かい浴室を維持することができるうえ、お湯が冷めにくくなるので、光熱費の削減も期待できるようになるのです。

築年数がある程度経過した住宅の場合、お風呂の断熱対策が不足している可能性が高く、浴室に関しては、壁や天井、床などについて、全く断熱材が入っていないこともあります。その場合、外気温が下がる冬場は、どうしても寒さを感じやすくなるので、窓だけでなく全体の断熱化が望ましいのです。浴室全体の断熱化は、工事も大掛かりになるため、それなりのコストがかかってしまいます。ただ、給湯部分の光熱費を削減できるので、中長期的に見ると、そこまで高い工事と考えなくても良いかと思います。

対策③ 床材を交換する

既存のお風呂について、床材がタイル敷きのため、足元から冷えてしまう…という場合、床材を変更するのがおすすめです。マットなどで対処することは可能ですが、床から冷気が上がってくるため、浴室全体を寒くする要因にもなります。この場合、床材を樹脂やクッションフロアに変更することで、足元から冷える…と言ったことを防ぐことができるようになるのです。

なお、床の冷気対策としては、床材の交換ではなく床暖房の設置という方法もありますが、この場合、ランニングコストなどもかかってしまうため、どうしても費用が高くなってしまいます。したがって、床のみの対策の場合は、冷たさを感じにくい床材への交換がおすすめです。

対策④ お風呂を丸ごとリフォームする

お風呂の寒さを解消するための方法として、最も効果的だと言えるのは、お風呂を丸ごとリフォームするという方法です。特に、在来工法の浴室の場合、ユニットバスにリフォームすることで、寒さは劇的に解消されると思います。

在来工法のお風呂は、床や壁がタイル張りで、断熱材なども基本的に施工しないという工法が主流でした。そのため、外気温が下がる冬場は、どうしても冷気が侵入してきやすくなり、寒さを感じるお風呂になってしまっていたのです。
これが、昨今住宅に採用されるユニットバスは、壁や床などに採用される素材そのものが高い断熱性を持っており、さらに浴槽の保温性が高くなっています。したがって、在来工法のお風呂と比較すると、室内はもちろん浴槽内のお湯も冷えにくくなっているのです。

お風呂を丸ごと入れ替えする場合、浴室暖房機能を搭載して、お風呂に入る前に浴室と脱衣所を暖められるような機能を付属することも出来るようになります。したがって、冬場でもお風呂で寒さを感じなくて済むようになるでしょう。もちろん、お風呂を丸ごとリフォームする場合、かなりのコストがかかってしまいます。ただ、在来工法のお風呂と比較すると、ラニングコストが抑えられるようになると期待できるので、中長期的に見ると、コストをかけてでも実行したい対策と言えます。

まとめ

今回は、冬場にありがちな悩みである「お風呂が寒い…」場合の対策について解説しました。記事内でご紹介した通り、お風呂に入る際、脱衣所や浴室で寒さを感じる理由にもさまざまな原因が考えられます。お湯に浸かっていれば、体の奥から温まることができるのですが、入浴直後や体を洗う時には寒さを感じてしまうということも珍しくありません。

お風呂が寒いと、生活利便性が悪くなるといった点を問題視する方が多いのですが、実はヒートショックなどの健康被害の報告が増えているため、家族の安全のことを考えると、早急に対処すべき問題と言えます。記事内では、すぐにでも実行できる簡易的な対策と、根本的なお風呂の寒さ対策をご紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

なお、築年数がある程度経過した古い住宅の場合、簡易的な対策ではどうしても問題を解消できない可能性があります。この場合、お風呂そのものを丸ごとリフォームする必要があるため、お気軽にご相談ください。

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