注文住宅の計画を立てていくときには、自然光を十分に取り入れることで「明るく開放的な住まいにしたい」という要望を持つ方が多いため、天窓(トップライト)の設置が候補に挙がるケースが多いです。

天窓は、簡単に言うと屋根部分に窓を設置することで、そこから自然光を取り入れられるようにするという設備で、採光性や換気効率が良くなるというメリットが得られます。天気の良い日の昼間であれば、照明機器に頼らなくても明るい室内環境を作り出すことができるので、日々の生活にかかる電気代を削減することができるといった金銭的なメリットも得られます。

ただ、実際に天窓の設置を検討し、インターネットでいろいろと調べてみた時には「天窓はやめとけ」「天窓を設置して後悔した」と言ったネガティブな情報を見かける機会も多く、本当に天窓計画を進めても良いのかで迷ってしまうという方が多いのです。

そこでこの記事では、これから憧れのマイホームの購入を計画している人に向け、そもそも天窓とはどういった設備なのか、また導入することでどのようなメリット・デメリットがあるのかについて解説していきます。最初に行っておきますが、天窓は一方的にデメリットばかりが存在する設備ではないので、その点は安心してください。

そもそも天窓とは?

それではまず、天窓がどのような設備のことを指しているのかについて解説します。名称から分かるように、天窓は、住宅に設置される窓の一種です。

上の画像にあるように、天窓は、通常の壁に取り付けられる窓とは異なり、建物の屋根部分に設置される窓のことを指しています。「天空(てん)に向かって開かれた窓(まど)」であることことから「天窓(てんまど)」と名付けられているのですが、建築業界では「トップライト」とも呼ばれています。

この天窓は、上部から自然光を取り入れることができるようになるため、一般的な壁に取り付けられる窓と比較すると、その採光効果が約3倍にもなると言われています。そのため、方角や間取り、周辺建物との関係上、日当たりが悪くなってしまう部屋でも、自然光を十分に取り入れることができるようになり、部屋全体を明るくすることができます。

近年では、大阪市内や東京などの都市部に建てられる住宅について、土地価格の問題などから余裕のある敷地を確保することが難しくなっています。そのため、狭小地に3階建て住宅が建てられるケースが多くなり、家と家の距離が非常に近くなっているのです。この場合、両側や後方に同じ高さの住宅が建てられている、自然光を取り入れることができる窓が「正面にしか設置できない…」となってしまうケースが多くなり、昼間でも照明機器に頼らなくてはならないことに悩まされる方が多いのです。

天窓は、このような条件下でも、効率よく採光を確保することができるので、都市部の住宅では非常に重宝されるアイテムとして注目されています。また、この天窓は、「採光性の高さ」という実用面だけでなく、建物のデザインや快適性の向上などにも一役買ってくれるため、注文住宅の建築を考えている方の中には設置を希望する方が多くなっています。

天窓を設置すれば、昼間は流れる雲や青空を楽しむことができ、夜になると星空や月明かりを室内から楽しむことができるなど、日常生活に豊かな彩を添えてくれる魅力的な設備として人気になっています。

天窓を設置することで得られるメリット

それでは次に、天窓を導入することで得られるメリットについて解説していきます。窓は、「壁に大きな物を設置すれば十分な採光性が確保できる」と考える人も多いです。しかし、天窓には壁に設置する窓にはないメリットがたくさん存在するのです。

以下に、天窓を設置することで得られる代表的なメリットをご紹介します。

メリット1 高い採光性が確保できる

天窓最大のメリットは、その採光性の高さです。上でも紹介していますが、壁に設置する一般的な窓と比較すると、約3倍もの採光性が確保できるとされています。

天窓は、住宅の屋根部分に設置する窓なので、真上から自然光を取り込むことが可能です。そのため、他の建物に周囲を囲まれやすい都市部の住宅事情を考えてみた時には、真横が他の住宅の壁となる一般的な窓と比較すれば、圧倒的な採光性を確保できるのです。住宅密集地の場合、壁に窓を設置しても、常に日影に位置することになるため、カーテンを開けていたとしても自然光を取り込むことはできません。しかし、屋根部分に窓を設置すれば、周囲に高い建物があっても、一定量の自然光を必ず確保することができるのです。

その結果、昼間は照明機器に頼らなくても部屋の明るさを確保できるようになり、電気代削減効果なども期待できます。日中も家族の誰かが在宅している時間が長いというご家庭の場合、電気代削減効果が非常に大きくなるはずです。

メリット2 開放的な室内空間とすることができる

二つ目のメリットは、プライバシーを守りながら適度な開放感が得られるという点です。

壁に設置する窓でも、カーテンなどを開放しておけば、開放感を得ることはできます。しかし、カーテンを開放すると、外部からの視線が届き、家族のプライバシーが確保できない…ということに悩む方は多いのです。特に、都市部の住宅事情を考えてみると、家と家の距離が非常に近くなっている、庭付き一戸建てが減っていて、窓の目の前に道路があるといった条件下の家が多く、カーテンを開けると隣人や通行人の視線が気になってしまうのです。

天窓の場合、カーテンなどが無くても、他人の視線が室内の奥深くまで届くようなことはありません。そのため、昼間でも安心して自宅内で過ごすことができるようになるのです。さらに、部屋の中に寝ころべば、天窓から空の様子を楽しむことができ、適度な開放感を感じることができます。

メリット3 通風を確保しやすく優れた換気効率が得られる

開閉できるタイプの天窓を選べば、優れた換気効率が確保できる点も大きなメリットになります。

暖かい空気は上に上る性質があるため、窓を開放すれば、効率よく室内の熱や湿気を屋外に排出することができます。その結果、住まい全体の換気効率を高めることができるようになるのです。

壁に設置された窓も同時に開放すれば、低い位置にある窓から入った風が、室内の熱気や湿気と一緒に天窓から抜けていくという状況を作り出すことができます。スムーズな自然換気を促すことができ、夏場の熱気抜きなども効率的になるので、空調効率を高めることもできるかもしれませんね。

注意すべき天窓のデメリット

上記のようなメリットが存在する一方、天窓にはいくつか注意しなければならないデメリットが存在します。デメリットを無視して天窓を導入すると、設備の設置に対して後悔の念を持つ可能性があるので、以下の点はきちんとおさえておきましょう。

デメリット1 雨漏りリスクが高い

天窓にはさまざまなデメリット面があるのですが、最大のデメリットと言えるのは「雨漏りリスクが高くなる」という点です。壁に設置する窓も、適切なメンテナンスを怠ると、雨漏りを誘引してしまいやすいのですが、天窓はそれ以上に危険な場所となってしまうのです。

そもそも、天窓というものは、建物内に住む人を、雨風から守るために作られる「屋根」に設置される設備です。天窓を設置しない場合、しっかりと雨水を遮ることができる屋根材で覆われるのですが、天窓を設置する場合は、その屋根に「穴をあける」ことで窓を設置するのです。当然、元々穴がない屋根と比較すると、大きな弱点になってしまうはずですよね。

もちろん、天窓を設置する場合には、穴を空け窓枠などを配置した部分に、しっかりと雨仕舞(雨水を適切に流す設計)が施されます。水が浸入できないよう、少しの隙間も出来ないように、コーキングなどが施され、万全の状態であれば雨水が建物内にまで侵入してくる心配はないのです。しかし、この雨仕舞に関しても、日射による紫外線や風雨などの外的要因により徐々に劣化が進行し、適切な点検とメンテナンスを怠った場合には、水の侵入を防げずに雨漏りに発展するのです。また、施工時に施工不良などがあれば、新築したばかりの時点でも、静かに雨漏りが進行していて、気付いたときに木材が腐食している…などといった事態になっていることもあるのです。

天窓は、屋根部分に設置される設備であるため、住人さんが日常生活の中で不具合に最も気付きにくい場所となります。そのため、劣化が進行していたとしても、それに気づくことができずにいて、大きな問題に発展してから初めてその事態に気付く…となってしまうことが多いです。その結果、修繕にかかるコストが高くなり、「こんなことなら天窓なんて設置しなければ良かった…」となる場合があるのです。

デメリット2 夏場は直射日光が入り、暑く感じるかも

天窓を設置すると、夏場はその部分から非常に強い日差しが入る点もデメリットに感じる方が多いです。

部屋でくつろいでいる時、天窓から強い日差しが入ってきて、その直射日光により暑く感じるということがあります。他にも、強い日差しによって室内の空気が暖められ、暑く感じるといった話もよく耳にします。この場合、空調効率の低下も意味するため、電気代の上昇にもつながってしまいます。

この他、強い日差しが床や壁、家具などに直接あたるようになり、日焼けによって変色してしまう…と言った問題も考えられます。天窓の設置は、夏場の温度上昇のことを想定して、何らかの対策を施しておかないと、逆に過ごしづらさを感じてしまい、設置に後悔する方がいます。例えば、熱気が室内に伝わらないようガラスを複層ガラスにする、ロールスクリーンなどを設置して日差しを遮れるようにしておくなど、新築時に夏場の暑さ対策についてきちんと検討しておきましょう。

デメリット3 開閉のしにくさに不便さを感じる

この問題は、開閉の必要のないFIX窓を採用する、リモコンやスイッチで自動開閉してくれるような電動窓を採用することで解消することは可能です。

ただ、換気性能のことを考えると、FIX窓はNGですし、導入コストやメンテナンスコストを抑えようと思うと、開閉は手動で行うタイプを選ぶのが一般的です。電動タイプは、日常利用は便利なのですが、複雑な構造になるため、小まめなメンテナンスを実施しないと、故障して開閉できなくなる可能性があります。また、手動タイプよりも製品価格や設置工事費が高くなります。

手動タイプの天窓にする場合、開閉時に不便さを感じる可能性は非常に高いです。壁に設置する窓は、鍵を開けて横にスライドさせれば簡単に開けられますが、天窓はそもそも人の手が届かない位置に設置されているのが一般的なので、壁の窓と同じように開け閉めすることができません。一般的に、専用の長い棒やチェーンなどを用いて開閉するのですが、これが意外に手間がかかるのです。

結果的には、「天窓を設置したけど面倒で一度も開けていない…」など、メリットの一つである換気性能を全く生かすことができなかった…というご家庭が多くなり、こんなことならコストをかけてまで設置するんじゃなかったと感じるわけです。

デメリット4 メンテナンスが面倒

天窓を設置する場合、設置していないご家庭と比較すると、メンテナンスの手間が確実に増えてしまうという点が大きなデメリットです。壁に設置する窓と同じく、定期的に拭き掃除などをしてあげなければいけませんし、結露対策などがなされていない場合、冬場の結露に悩まされる可能性もあるのです。

また、雨漏り被害を防止するためには、小まめに天窓の劣化状況を確認する必要があります。しかし、屋根部分に窓が設置されていることから、住人さん自身が窓の状態を確認したり、小まめに掃除するということが非常に難しいのです。素人の方が屋根に上り天窓の確認をしようとすると、落下して怪我をする危険がありますし、屋根を破損させてしまうリスクもあるのです。

そのため、天窓を導入する場合、定期的に専門業者にメンテナンスを依頼しなくてはならなくなり、家の維持コストが高くなる可能性があるのです。天窓を設置する場合、梁などを通してもらい、住人自身が掃除や点検できるような工夫を施してもらうのがおすすめです。ただ、このような工夫を採用する場合、家の建築コストが高くなる可能性があるので、その点は注意しましょう。

天窓は「やめとけ」「後悔する」と言われる理由

それでは最後に、天窓に対してネガティブな意見が出てしまう理由についても簡単にご紹介します。ここまでの解説で分かるように、天窓は一方的にメリットばかりが得られる設備ではなく、決して見落とすことができないようなデメリット面も存在するのです。

そして、実際に天窓を導入した方の中には、以下のような事態に陥り「天窓はやめとけ」「後悔する」と言った意見を持つようになっているのだと思います。

  • 夏場は、部屋がサウナのように熱くなった
    天窓の導入に後悔する理由としては、「暑さ」に関する問題点を指摘する方が多いようです。屋根に窓を設置するという仕組みなので、壁に設置される窓と比較すると、太陽の熱をダイレクトに受け入れてしまうようになるのです。そのため、天窓部分の対策を怠ってしまうと、エアコンをつけていても暑さを感じるようになるなど、室内空間の快適性が損なわれてしまうのです。また、空調効率の悪化により、夏場に空調コストが高くなってしまうという問題もあります。この問題を解消するには、天窓のガラスとして「遮熱タイプ」のLow-E複層ガラスを採用する、北側に窓を配置する、ブラインドを設置するなどの対策が必要です。
  • 天窓が原因で雨漏りした
    先程紹介した通り、天窓は屋根に穴を空けて設置するという仕組み上、どうしても雨漏りリスクが高くなっています。もちろん、天窓の雨漏りリスクは、メーカー側も理解しているため、近年の製品は、防水性能が飛躍的に向上していて、雨漏りの心配もそこまで高くないと言われるようになっています。しかし、いくら防水性が高くなった最新の天窓だとしても、適切なメンテナンスが行われていない限り、その機能を十分に発揮することはできないのです。高所に位置する天窓は、住人が状態を確認できない、また専門業者に点検を依頼すると高額な費用がかかるといった理由で、メンテナンスが放置されがちです。その結果、天窓からの雨漏りが発生し、設置に後悔するわけです。天窓からの雨漏りは、天窓だけが悪いわけではないのですが、設置しなければこの理由で雨漏りは発生しないので、どうしても後悔の念を感じてしまうのです。
  • 雨音がうるさく感じた
    天窓の意外な盲点は、音の問題です。実は、強い雨が降った際には、ガラスに雨が直接あたることで、「バチバチ」と言った強い音が生じてしまうのです。寝室などに天窓を設置しているお宅の場合、雨の日は「うるさくて眠れない…」となってしまい、天窓の導入に後悔するわけです。この問題については、ガラスの防音性に注目すると良いです。2枚のガラスを採用した合わせガラスを採用した防音性の高いガラスにすれば、雨音が気にならなくなるでしょう。また、寝室に天窓を設置する場合には、ベッドの真上などに天窓が来るような部屋作りを避けることで、音の問題を軽減することが可能です。

上記の他、日々の生活の中で、掃除の手間がかかる、掃除が難しくて汚れが目立つようになったという理由で、天窓の設置に後悔する方がいます。天窓を設置するのであれば、住人自らが小まめにお掃除できるような工夫を施しておかないと、数年後に汚れが気になり始め、天窓の設置に後悔する可能性があるので注意しましょう。

まとめ

今回は、注文住宅を建てる際、憧れている方が多い天窓について、導入する時のメリット・デメリットや、天窓の設置に対して「後悔する」「やめとけ」と言ったネガティブな意見が出る理由について解説しました。

天窓は、家と家の距離が近くなっている都市部の住宅にとっては、高い採光性を確保できるという非常に大きなメリットがあります。住宅密集地になると、周りを他の住宅に囲まれ、壁の窓からは十分に自然光を取り入れられない…ということに悩まされる人が多いです。このような時、天窓を採用すれば、屋根部分から自然光を取り入れることができるようになるので、照明に頼らなくても明るい環境を維持しやすくなるのです。

ただ、天窓は、「屋根に穴をあけて設置する」という仕組み上、どうしても雨漏りリスクが高くなってしまう、窓部分から熱が侵入しやすく部屋の快適性が低下してしまうなど、決して見落とすことができないデメリットもあるので、実際に導入するかどうかは慎重に検討するようにしましょう。

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