
今回は、住宅の中でも非常に重要な役割を担っている部分なのに、新築計画を進めていく際に、多くの方が見落としてしまいがちな『窓ガラスの種類』について解説していきたいと思います。
どのような住宅にも、採光や換気のことを考えてたくさんの窓が設置されることになります。窓は、壁に穴をあけて窓ガラスを設置しするという仕組みなので、「安く家を建てよう」と考えた場合には、ない方が良いのではないかと考えてしまう人も多いはずです。また、窓ガラスは壁と比較すると、どうしても薄い素材となってしまうため、断熱性能や防音性能の面で弱点になってしまう可能性があるとされ、「なぜ住宅性能を下げる可能性があるのに、窓を設置するのだろう?」と疑問に感じる人もいます。
ただ、住宅に設けられる窓については、そこに暮らす人が健康で快適に過ごせるようにするため、建築基準法によって設置が義務付けられており、一定以上の面積は窓としなければならないのです。そのため、新築住宅に窓を設ける際には、先ほど紹介したような住宅性能に悪影響を与えることが無いように注意する必要があるのです。そして、住宅性能のことを考えた時には、窓サッシの素材やガラスの種類を慎重に選ぶ必要があるのです。実は、住宅に使用される窓には、設置場所や目的によってさまざまなガラスの種類が開発されています。どのタイプの窓ガラスを採用するのかによって、得られる機能性が大きく変わり、そこで生活する時の快適性に大きな格差が生じます。
そこでこの記事では、住宅の窓に採用される主な窓ガラスの種類や、それぞれの特徴などについて解説します。快適な住環境を構築するには非常に重要な要素となるため、ぜひ参考にしてみてください。
窓ガラスの種類に注目することで何が変わる?
それではまず、新築注文住宅の建築を考えた時、窓に採用するガラスの種類に注目することで「何が変わるのか?」について簡単にご紹介していきたいと思います。冒頭でご紹介した通り、建築基準法第28条により、住宅や学校などの「居室(リビングや寝室など)」には、窓の設置が義務付けられています。これは、各居室において、衛生的な環境を保つため自然光を取り入れられるようにすることが目的となっており、住宅の場合は、原則として床面積の7分の1以上の有効な採光面積が必要とされています。
つまり、新築注文住宅を建築する際には、各居室に一定以上の面積の窓を必ず設けなければならないので、その他の住宅性能に悪影響を及ぼさないようにするためには、窓ガラスの種類に注目する必要があるのです。一般の方の中には、「窓ガラスなんてどれを設置しても同じでは?」と考えてしまう人がいるかもしれませんが、実は設置する窓ガラスの種類によって、以下のような住宅性能に大きな影響を与える可能性があるのです。
ここでは、窓ガラスの種類の選ぶことで、住宅性能にどのような効果が得られるのかについて簡単にご紹介しておきます。
- 断熱性能
家から逃げる熱の約半分以上(冬は約50〜60%)は、窓などの開口部から失われているとされています。つまり、窓に採用するガラスについて、高断熱なタイプを選べば家そのものの断熱性を高めることができるようになるのです。その結果、エアコンなどの空調設備で調整した室温が外気温の影響を受けにくくなり、快適な住空間を維持しやすくなります。また、空調効率が高まることで光熱費の削減も期待できます。 - 遮熱性能
窓ガラスの中には、窓部分の遮熱性能を高めてくれるタイプの製品もあります。猛暑化が進む日本では、夏場になると、外からの強い日射熱が室内に入り、室温を上昇させます。適切な場所に遮熱性の高い窓ガラスを採用すれば、この熱の侵入を防げるので、室温の上昇を防ぎ、空調にかかる光熱費も削減できます。 - 結露防止機能
住宅における冬場の悩みとしては、窓周辺の結露があります。室内外の気温差により、窓表面に大量の水滴が発生する現象で、最悪の場合、建物の木材の不朽やシロアリ被害の原因となります。窓ガラスの中には、この結露の発生を防止できるタイプが存在していて、家の長寿命化が期待できます。 - 防音性能
窓は、壁と比較すると非常に薄い素材です。そのため、音を遮る能力が低く、外部騒音の侵入や音漏れの原因箇所となりやすいのです。窓ガラスの中でも、真空ガラスや厚みの異なる複数のガラスを組み合わせた複層ガラスなどは、非常に高い防音性を発揮し、外からの騒音や室内からの音漏れを効率的に防いでくれます。 - 防犯性能
窓ガラスの中には、住宅の防犯性能を高めてくれる製品もあります。住宅に対する侵入犯罪は、窓を侵入経路とした犯罪が多いとされています。鍵の閉め忘れ以外にも、外から窓ガラスを割って侵入するといった手口が使われるため、家族の安全性を考えると、窓の強化が必要なのです。窓ガラスの中には、大人の男性が金属製の棒を使って思い切り叩いても割れないような製品があり、窓部分の防犯性を一気に高めてくれます。 - 防災性能
耐風性能や耐衝撃性能を高めた、防災目的の窓ガラスも存在します。このタイプは、万一窓ガラスが割れた場合でも、破片が飛び散りにくい、粉々になって人が怪我をすることを防ぐなどの機能も持たされているので、安全性が高くなります。
このように、窓に設置するガラスを選ぶだけで、得られる住宅性能が大きく変わります。そもそも、住宅にとって窓は、「壁に穴をあける開口部」であるため、断熱や防音、防犯などの面ではどうしても弱点になってしまいやすいです。そのため、そういった弱点を解消するため、ガラスメーカーが高性能なガラスをたくさん開発しているのです。
次項で、住宅に採用される主な窓ガラスの種類と、それぞれの特徴をご紹介していくので、新築住宅の計画を立てていく際には、どのガラスが適しているのかを慎重に検討すると良いです。
窓ガラスの種類について
それでは、住宅の窓に採用されている主な窓ガラスの種類とそれぞれの特徴について解説していきます。
窓ガラスは、皆さんが考えている以上にさまざまな種類の製品が存在しており、場所や役割によって使い分けられています。新築注文住宅の建築を計画している方は、どのような窓ガラスがあって、それぞれがどのような性能を持っているのかを知っておくことで、より快適に過ごせる住居を作り出すことが可能になるのです。
ここでは、住宅に使用されることがある主な窓ガラスについて、大まかにご紹介していきます。なお、窓ガラスは、特別な機能性を持っていない製品と、機能性に注目して作られている製品に分かれるので、一般的な窓ガラスと高機能性窓ガラスについて分けてご紹介します。
一般的な窓ガラスについて
まずは、窓ガラスそのものに特別な機能性を持たせているわけではない製品からご紹介していきます。特別な機能性を持っていないとはいえ、一般的な住宅の窓ガラスとしては十分な性能を持っているので、家の立地や設置場所によっては、下で紹介する製品で十分な場合が多いです。高機能性窓ガラスは、さまざまな恩恵が得られるものの、製品価格が高くなってしまうため、採用がおすすめできない場所もあります。
まずは、一般的な窓ガラスについて、それぞれの特徴をご紹介していくので、どこに採用できそうか検討してみましょう。
①フロート板ガラス
窓ガラスの中で、最も一般的な製品がフロート板ガラスや単板ガラスと呼ばれる製品です。窓ガラスと言われて、皆さんが最初にイメージする製品が、このフロート板ガラスだと思います。
フロート板ガラスは、平滑性に優れていて、ゆがみの少ない透明な板状のガラスとなります。表面が平らに成形されているため、優れた透視像や反射像が得られます。住宅の窓としては、採光性や風雨をしのぐための窓のことを考えると、十分な性能を持っていると言えます。ただ、下で紹介する高機能性窓ガラスとは異なり、特別な機能性などは有していません。そのため、冬場の結露や騒音に悩まされた時には、窓ガラスが原因になっている場合が多いです。
フロート板ガラスは、最もスタンダードな窓ガラスとなるため、各メーカーにおいても大量生産がなされており、たくさんの在庫が確保されているので交換などもスムーズに進みます。また、特別な加工がなされていないこともあり、高機能性ガラスと比較すると、価格が安い点がメリットです。
②型板ガラス
二つ目の窓ガラスは、型板ガラスです。フロート板ガラスとに違いは、表面が平らではなく、型模様が刻まれている点です。この模様が刻まれていることにより、光をやわらかく採り入れることができ、視線を適度に遮ることができるようになるのです。
可視光透過率については、透明ガラスとほぼ変わらないのですが、型模様が刻まれることで、光が差し込んだ時に凹凸が光を乱反射させ、視線が遮られるという仕組みになっています。このタイプのガラスは、人の視線を遮りたいプライバシーの確保が必要な場所に採用されるケースが多いです。例えば、脱衣所やお風呂場、トイレなど、外からの視線が気になる場所や、室内の間仕切り目的のドアにはめ込まれるガラスとして利用されるケースが非常に多いです。
③すり板ガラス、フロストガラス
3つ目のガラスは、すり板ガラスやフロストガラスです。この二つのガラスは、表面をサンドブラストしたり、その後に化学処理を施すことで不透明に加工した板ガラスとなります。型板ガラス同様、視線を遮ることができるので、プライバシーの確保が求められる場所に採用される窓ガラスとなります。
すり板ガラスやフロストガラスは、表面加工によって爽やかな淡い光を拡散しながら、視線を遮るといった構造になっています。反対側から見ると、型板ガラスよりも柔らかいシルエットになり、優れた意匠性を持つ上質な空間を作り出すことができます。なお、型板ガラスと比較すると、目隠し効果はアップするものの、製品価格も高くなるので、その点は注意しましょう。
なお、すり板ガラスとフロストガラスは、厳密には異なる製品です。すり板ガラスは、透明なガラスにサンドブラスト加工を施して細かい傷をつけています。そのため、表面を触るとざらざらしています。一方、フロストガラスは、サンドブラスト加工の後に薬品(フッ酸など)を使って表面を溶かすという加工が加えられており、滑らかなガラスになります。その結果、水に濡れると透明っぽく透けてしまうというすり板ガラスの弱点がフロストガラスでは解決されていて、表面が滑らかな分、掃除なども容易になります。すり板ガラスは、表面がざらざらしているので、手垢や油ジミが付くと落ちにくいです。
④網入り板ガラス
網入り板ガラスは、その名称から分かるように、ガラスの内部にワイヤーが仕込まれているタイプです。これにより、防火性や耐火性、万一の際の飛散防止と言った効果が得られています。このタイプのガラスは、都市計画法で防火地域、準防火地域に指定されている地域の建物に用いられることになります。
網入り板ガラスについては、ガラス内部にワイヤーが仕込まれるといった加工が施されているため、高機能性窓ガラスに含まれるのではないかと考える人も多いです。しかし、窓ガラスとしての機能性については、あくまでも通常のフロート板ガラスと比較して防火や耐火性が高められているだけなので、そこまで特殊なガラスとは言えません。火災などが発生した時、加熱に一定時間以上耐えられるようになり、さらに窓ガラスが割れたとしても破片がワイヤーに引っかかることで飛散することが防止できるようになるという効果しかありません。
火災時に火や火の粉の侵入を一定時間防ぎ、延焼を防止する機能性は認められますが、そこに住む人の快適性などに影響を与える効果は持っていないので、一般的な窓ガラスの種類と言えます。賃貸住宅などの窓ガラスによく採用されています。
高機能性窓ガラスについて
上で紹介したような窓ガラスは、製品そのものが何か特別な機能性を持っているというわけではありません。一般的なフロート板ガラス以外は、視線を阻害するために透明度を落としたり、万一の際に飛散防止対策が施されている程度で、断熱性や防音性などの住宅性能に好影響を与えることはできないのです。
これから注文住宅の建築を考えている方で、「道路に面しているし防音性を高めておきたい」「家の断熱性を高めてランニングコストを抑えたい」などという要望を持っているなら、以下で紹介するような高機能性窓ガラスを採用しなくてはいけないと考えましょう。
ここでは、住宅性能そのものに好影響を与えてくれる窓ガラスの種類と、それぞれの特徴をまとめていきます。
①強化ガラス
一つ目は「強化ガラス」と呼ばれるタイプです。この窓ガラスは、フロート板ガラスを約700度の温度で加熱加工し、その後に表面に空気を吹き付けることで均一に急冷することでガラス表面に空気の圧縮層を持たせた製品となります。この加工によって、通常のフロート板ガラスと比較すると、3~5倍の衝撃や荷重に耐えられるようになり、台風などの強風による風圧に耐え、さらに耐熱性も高くなるという機能が得られるのです。
この他にも、何らかの理由で窓ガラスが割れた際には、ガラスの破片がバラバラの細かい粒状にまで粉々になり、窓周辺に人がいたとしても、割れたガラスの破片によって大怪我をしてしまうといった事故を防ぐことができるようになるのです。つまり、窓部分の安全性を大きく向上させてくれるという効果が期待できます。非常に安全性が高い窓を実現できることから、学校や商業施設、ビルと言った、人が多く集まる場所の窓ガラスとして採用されることが多いです。
注意が必要なのは、「強化ガラス」と言う名称から、防犯目的にも利用できると考える人が多いのですが、そうではないという点です。もちろん、フロート板ガラスと比較すると、強度が高くなっているのは間違いありませんが、それでもバールなどでたたかれると簡単に割れてしまいます。さらに、尖った破片なども残らないため、より侵入しやすくなる可能性があるなど、防犯目的には役に立たないと考えた方が良いです。この窓ガラスは、あくまでも「ガラスが割れても、その破片で怪我をする可能性を低減してくれる」だけで、侵入防止効果はないと考えてください。
②ペアガラス(複層ガラス)
ここからが、本格的に住宅の機能性を高めてくれる窓ガラスとなります。昨今の新築業界では、高気密・高断熱住宅が標準化しており、窓ガラスもフロート板ガラスではなく、ペアガラスや複層ガラスと呼ばれるタイプの製品が選ばれるようになっています。
ペアガラスは、1枚の窓ガラスを2枚のガラスを組み合わせて作るという製品です。2枚のガラスを用意し、スペーサーと呼ばれる金属部材を使って、2枚のガラスの間に中間層を持たせるという形式の窓ガラスとなっています。一般的なペアガラスの場合、スペーサーによって設けられた中間層に乾燥空気が封入され、断熱性が高められるという機能が得られています。乾燥空気は、ガラスよりも熱伝導率が低いことで、窓ガラスそのものの断熱性能が高くなるのです。
このペアガラスを採用すれば、窓部分の断熱性能が大きく向上するため、空調機器の稼働率をおさえることができ、省エネな生活が実現できます。また、室内側の窓ガラスについては、直接外気に触れなくなるため、温度差が生じにくくなり、ガラス表面に結露が発生するということも防いでくれます。
ペアガラスは、断熱性能や防音性能、結露防止など、さまざまな機能性が得られる非常に優れた窓ガラスとみなされており、近年の新築業界では標準的な窓ガラスとして採用率が高くなっています。ただ、一般的な単板ガラスと比較すると、価格が高くなります。
③Low-E複層ガラス
複層ガラスの一種ですが、非常に高い機能性を持つことから、単なるペアガラスと別物として扱われるようになっています。Low-E複層ガラスは、通常の複層ガラスと異なり、Low-E膜と呼ばれる特殊な金属膜がコーティングされたガラスで構成されています。
このLow-E膜は、赤外線や紫外線をカットしてくれるという機能性を持っていて、通常の複層ガラスと比較しても、さらに高い断熱性や結露防止効果が得られるとされています。なお、Low-E複層ガラスは、採用するLow-E膜(色)によって以下のように得られる効果が変わります。
- クリアタイプ
一つ目はクリアタイプのLow-E膜です。このタイプは、高い断熱性と高い日射取得率が特徴で、冬場でもより暖かい室内環境を作り出してくれる窓ガラスとなります。室内側のガラスに無色透明の特殊金属膜をコーティングし、クリアな視界を確保したままで高い断熱性と日射取得率を両立します。日当たりがあまり良くない部屋などでも、明るさを確保したまま高断熱を維持できる点が特徴です。 - グリーンタイプ
グリーンタイプは、優れた断熱効果を持ちながら、日射遮蔽効果も得られるという窓ガラスです。これにより、夏の強い日射熱を約60%カットすることができるようになるとされ、夏場の冷房効率を高めてくれます。夏場の日差しが強い部屋の窓に非常におすすめで、紫外線カット効果により、床材や家具の褪色も軽減できます。 - ブロンズタイプ
Low-E複層ガラスでも、わずかにブロンズに着色した特殊金属膜を採用したタイプです。このタイプは、高い断熱効果と遮熱効果を両立しています。日中は外からの視線を反射で和らげる効果も期待できるなど、プライバシー性の確保にも役立ちます。
Low-E複層ガラスのカラーは、メーカーなどによっても表現方法が異なる場合があるので、詳しくはメーカーサイトで確認してみましょう。
④真空ガラス
真空ガラスも複層ガラスの一種となります。通常のペアガラスは、ガラスとガラスの間に乾燥空気を封入していると紹介しましたが、このタイプは、中間層が真空状態になっています。真空は、熱の移動が起こらなくなるとされているため、さまざまある窓ガラスの中でも、真空ガラスが究極の断熱ガラスと言われています。当然、熱の移動が無くなるということは、窓周辺について、室内外の気温差が関係なくなるため、結露の発生も防止することができます。
さらに、中間層が真空状態になると、音の伝わりも弱めてくれるという効果が得られます。その結果、外部騒音の侵入を防ぐ、室内で生じさせた音が外に漏れにくくなるなど、防音目的で考えた場合でも、非常に効果的に働いてくれます。
真空ガラスは、断熱効果による光熱費削減や、それにプラスして防音効果が得られることで住空間の快適性向上と言ったさまざまなメリットが得られます。ただ、その他の窓ガラスと比較すると、導入コストがどうしても高くなってしまう点が大きなデメリットになります。
⑤合わせガラス(防犯ガラス)
複層ガラスに似た窓ガラスに、合わせガラスと呼ばれる製品があります。一般的には、防犯目的で採用される防犯ガラスが合わせガラスとなります。ただ、防犯ガラスと呼ばれる場合は、総じて合わせガラスとなるものの、合わせガラスと呼ばれた場合には防犯ガラスではないケースもあるので、その点は注意しましょう。
合わせガラスも、複層ガラスと同じく、2枚のガラスを使って一枚の窓ガラスを構成しています。ただ、複層ガラスは、ガラスとガラスの間に中間層と呼ばれるスペースがあるのに対し、合わせガラスの場合は、ガラスとガラスの間に中間膜を挟んでピタッと貼り合わせた構造になっているという違いがあります。中間膜に採用する特殊な樹脂フィルムによってさまざまな機能性が得られることになります。
たとえば、防犯ガラスの場合、貫通しにくく非常に強度の高い中間膜が採用されているため、窓ガラスそのものの強度が非常に高くなり、空き巣などの防犯対策に有効に働くのです。この他にも、中間膜として紫外線カット性能や遮音性能を高めるような素材が採用されている窓ガラスもあり、そのタイプは防犯性はあまり期待できません。
⑥トリプルガラス
非常に高い性能を実現した窓ガラスとして近年注目されているのがトリプルガラスです。名称から分かるように、1枚の窓ガラスが3枚のガラスで構成されているという製品になります。ガラスが3枚になるため、中間の空気層も2カ所つくられることになり、非常に高い断熱性能と防音性能を実現しています。また、結露防止効果についても、室内側のガラスが外気の影響をほとんど受けなくなるので、その発生を大きく減らすことが可能です。
機能性の面だけで考えると、非常に優れた窓ガラスと言えます。しかし、その他のガラスと比較すると、まだまだ価格が高い、さらにガラスが3枚になるため、重量ががあるといった点がデメリットになります。トリプルガラスは、製品そのものも高額ですが、施工の手間がかかるため施工費の部分も高額になります。一般的なペアガラスの導入費と比較しても、1.5~2倍ほどの価格になるとされています。
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窓周辺の機能性を考える時には「サッシ」部分にも注目しなければならない
ここまでの解説で、住宅に採用される窓ガラスにもさまざまな製品が存在していて、どの窓ガラスを採用するのかで得られる効果が全く変わるということがよくわかっていただけたと思います。光熱費削減や省エネを期待するのであれば、Low-E複層ガラスや真空ガラスの採用が望ましく、そうではなく防犯性を高めたいなら防犯効果を持つ合わせガラスを採用しなければならないのです。
ただ、窓周辺の機能性のことを考えるのであれば、窓ガラスだけでなく、それを支えるサッシについても確認しなければいけません。実は、窓ガラスを支えるサッシも、いくつかの種類が存在していて、どれを採用するのかによって得られる機能性が大きく変わるのです。例えば、一般的に「結露防止効果が高い!」とされる真空ガラスでも、サッシ部分の結露は防止することができないので、窓全体の機能性を考えるなら、サッシごとの特徴もつかんでおく必要があります。
ここでは、住宅の窓に採用される主なサッシの種類について簡単にご紹介します。
- アルミサッシ
一昔前の住宅業界では、最も一般的だったサッシです。名称から分かるように、アルミ素材で構成されたサッシで、軽量で扱いやすいうえ、耐候性や防火性など、適度な強度を持っています。アルミなので、サビや腐食の可能性が低いのですが、「熱が伝わりやすい」という点は、住宅性能の面では大きな弱点になります。断熱性が低いため、窓ガラスの性能が高くても、サッシ部分に結露が発生しやすくなり、建物そのものの劣化を早めてしまう可能性が高くなります。現在の新築業界では、断熱性の低さが嫌われ、徐々に他の素材にとってかわられています。 - 樹脂サッシ
現在主流となっているのは樹脂サッシです。フレームが樹脂(塩化ビニル樹脂)でできているサッシで、もともとは寒冷地などで採用されていました。気密性が非常に高く、熱伝導率が低いため断熱性にも優れているという特徴を持っています。上で紹介した高機能性窓ガラスと併用すれば、窓全体で高い断熱効果が得られるようになるでしょう。北海道など、寒さが厳しい地域では、住宅の90%以上が樹脂サッシを採用しているとされていますし、その性能の高さが良く分かるはずです。 - 複合サッシ
アルミと樹脂を併用してサッシを構成するなど、複数の素材を組み合わせた製品です。例えば、室外側は高い耐久性を誇るアルミを採用し、室内側は断熱性を重視して樹脂サッシを採用するなど、それぞれのメリットを生かしたサッシとなります。最近では、意匠性にこだわった製品なども登場しているので、建物デザインにこだわりたいという方にはオススメかもしれません。
このように、窓ガラスを支えるサッシも、さまざまな製品が用意されているのです。窓部分の性能については、ガラスだけでなくサッシとの組み合わせも考えながら、求めている機能性が得られる構成にすると良いでしょう。
まとめ
今回は、これから新築注文住宅の購入を考えている方がおさえておきたい、窓ガラスの種類とそれぞれの特徴について解説しました。
記事内でご紹介した通り、住宅の窓に採用される窓ガラスには、さまざまな種類の製品が存在していて、どれを採用するのかによって得られる機能性やメリットが変わるのです。昨今の新築業界では、高気密・高断熱住宅が求められるようになっているため、窓ガラスについても複層ガラスがスタンダードな選択肢になりつつあります。ただ、性能面だけを見ると、これ以上に高性能なガラスも存在しているため、どのガラスを採用するのかは慎重に検討するようにしましょう。
ちなみに、採用する窓ガラスの種類に迷った時には、建物のどの部分の窓に使うのか、またその窓にどんな機能性が必要かを考えてみると、自ずと設置すべき窓ガラスの種類が見えてくると思います。例えば、断熱性能をとにかく高めたい場所なら真空ガラスやトリプルガラスを採用する、住宅の中でも死角になっている位置で防犯性を高めたいなら防犯ガラスにするなど、設置場所と欲しい機能を中心にガラスを選んでいくと判断しやすいはずです。
