今回は、新築時にカーポートの設置を検討している方に向け、カーポートを設置することで得られるメリットと、のちのちカーポートの設置に後悔しないために考慮すべき注意点をご紹介します。
カーポートは、外構・エクステリア工事にかかる費用の中でも、大きな割合を占める工事です。もちろん、自宅に駐車場を設ける場合でも、カーポートを必ず設置しなければならないわけではなく、他の部分にコストをかけるためにカーポートは設置しないという選択をする方もいます。ただ、新築時にやっておいて良かったと感じる工事においては、多くの場合「カーポート工事」が上位に位置するなど、新築住宅業界では非常に人気の高い設備の一つであることは間違いありません。
しかし、カーポートは、何も考えずに設置してしまうと、実際にそこで生活を始めた後に「カーポートはいらなかった…」と後悔してしまう方も少なくないと言われているのです。そこでこの記事では、駐車場にカーポートを設置することで得られるメリットと、将来的に「カーポートはいらなかった…」と後悔しないために注意すべきポイントをご紹介します。
そもそもカーポートとは?
それではまず、カーポートがどのような外構設備なのかを簡単にご紹介します。カーポートは、柱と屋根だけで構成される非常にシンプルな構造物です。カーポートを設置する目的は、駐車場に屋根機能を持たせるためと考えておけば問題ありません。
なお、カーポートは「ガレージ」と混同されることが非常に多いのですが、カーポートとガレージは異なる設備だということを覚えておきましょう。カーポートは、先ほどご紹介した通り柱と屋根のみで構成されるのですが、ガレージはそれに加えて3方向以上の壁も存在します。車の出入り口部分にシャッターなどを設置すれば、車を完全に覆うことができるため、真上からの影響だけでなく、横からの影響や、盗難や子供のいたずらなど、人為的な被害をも防ぐことができるようになります。
カーポートとガレージは、その構造が大きく異なるのですが、その他にも法律的な取り扱いも異なります。この辺りを解説すると長くなるので、また別の機会に解説したいと思います。
カーポートは駐車場に屋根機能を持たせるために設置する設備ですが、製品についてはさまざまな種類が存在します。柱の本数や位置、屋根の素材など、さまざまなタイプのカーポートが販売されているため、本体価格や住宅とのデザインバランス、使い勝手などを考慮して設置するカーポートを選ぶと良いでしょう。
カーポートを設置するメリット
それでは駐車場にカーポートを設置することで得られるメリットについて解説します。上述したように、カーポートは駐車場に屋根機能を持たせるための設備です。そのため、雨や雪、鳥の糞など、真上からの影響を防ぐことができるようになります。
具体的には、以下のようなメリットがあるとされています。
メリット1 雨天時も濡れずに乗り降りできる
カーポートの設置を検討している方の多くは、このメリットを重視しているのではないでしょうか?上述したように、カーポートは駐車場に屋根を設置するための設備です。そのため、車の乗り降りする場所は、屋根に守られることになるため、雨天時でも濡れなくて済むというメリットが得られるのです。
特に、小さなお子様がいるご家庭などの場合、屋根がないとチャイルドシートに子供をのせる際に親がずぶ濡れになってしまう…なんて危険があります。カーポートがあれば、こういった場合でも雨に濡れなくて済むので、非常に便利に感じるはずです。この他にも、荷物の積み降しも楽になりますし、カーポートの設置場所によっては、玄関まで濡れずに移動できるようになるど、生活利便性を高めてくれる設備になります。
メリット2 積雪量が多い地域なら外出がスムーズになる
冬場の積雪量が多い地域の場合、カーポートが非常に役立ちます。駐車場にカーポートがあれば、車に雪が積もりにくい、霜が降りにくいというメリットが得られるのです。
カーポートは、駐車場に屋根を設置する設備なので、車に大量の雪が降り積もるのを防ぐという効果があるのは誰もがわかると思います。そして実は、カーポートは、車のフロントガラスに霜が降りてしまう…ということも防いでくれる設備でもあります。カーポートが霜を防ぐメカニズムについては、ここでは省きますが、カーポートメーカーなどが詳しく解説していますので、興味がある方は検索してみると良いでしょう。
上述のように、カーポートは、車に雪が積もる、霜が降りることを防いでくれるため、積雪量が多い地域に住んでいる方の場合、外出時の手間が少なくなるというメリットが得られます。カーポートが無ければ、出かける前に雪下ろしやフロントガラスの霜を溶かす作業に時間をとられることになります。
メリット3 夏場に車内温度が上昇するのを防ぐ
真夏に、屋根のない駐車場に車を停めていた場合、車内が信じられないぐらい暑くなってしまった…なんて経験は誰にでもあるのではないでしょうか?直射日光が長時間車内に入り込んだ場合、ダッシュボートなどは人が火傷するレベルの温度にまで上昇すると言われています。
これが、カーポートを設置していれば、日射から車を守ってくれるようになるため、車内温度が異常な状態まで上昇するのを防ぐことが可能なのです。カーポートの屋根は、透明なタイプの素材が採用されている場合もありますが、そのタイプでも熱線遮断機能を持っている物もありますし、金属素材を採用した屋根材なら完全に日射を防ぐことができます。
メリット4 車が長持ちする
カーポートの設置は、駐車場に停める車を長持ちさせることができるというメリットが得られます。一般的には、雨や雪など、天候の影響を受けにくくなるため、車が汚れにくくなる点がメリットのように思われていますが、紫外線や鳥の糞を防ぐことができるのは、汚れだけでなく、長期的に見ても車を良い状態で保ちやすくなるという効果が得られるのです。
というのも、太陽光に含まれている紫外線は、車の塗膜を破壊する効果を持っています。皆さんも、長い間野ざらしにされた車について、表面塗装がボロボロになっている姿を見た経験はあるのではないでしょうか?また、鳥の糞も、車の塗装を劣化させる要因になるとされているため、車を大切にしている方は鳥の糞が付着したらすぐに洗車するようにしている場合が多いのです。
カーポートを設置すれば、真上からの紫外線や鳥の糞が車に当たるのを防ぐことができます。当然、これらの影響を受けにくくなるということは、表面の塗装が長持ちすることを意味するのです。
「カーポートはいらなかった…」とならないためのポイント
前項でご紹介したように、駐車場にカーポートを設置すれば、駐車場の利便性が高くなる、車を守ることができるなど、さまざまなメリットが得られます。しかし、実際にカーポートを設置した方の中には、後から「カーポートなんて要らなかった…」と後悔する人が一定数いるとされているのです。
カーポートは、外構工事の中では比較的コストがかかる工事となるため、メリットがあるのは理解しつつも、不満な点に注目して導入したことを後悔してしまう人がいるのです。それでは、カーポートの設置を後悔しないためにはどのような点に注意すれば良いのでしょうか?以下で、代表的なポイントをご紹介します。
日当たりについて確認する
カーポートが「いらなかった…」と後悔する人の中には、カーポートのせいで日当たりが悪くなることが原因の場合も多いです。
例えば、日当たりの良さを重視して南向きの家を建てたのに、駐車場にカーポートを設置したため、家の中に日差しが入りにくくなった…なんて失敗があります。この他にも、建物とカーポートの距離が近い場合、カーポートの屋根に日射が遮られ、昼間でも電気をつけなければならないほど暗くなってしまう…なんて失敗も少なくないようです。
こういった失敗をしないようにするためには、カーポートと家の位置関係を考慮し、影が気にならない、もしくはなりにくい場所に設置するといった対策を施すと良いでしょう。特に、積雪量の多い地域にカーポートを設置する場合、日射を完全に遮る金属タイプの屋根材が採用されます。この場合、カーポートのせいで完全に影になるため、日当たりの良さを重視する方の場合は、カーポートの設置は控えた方が良いかもしれませんね。
駐車場の使い勝手について確認する
カーポートは、柱と屋根で構成される構造物と紹介しました。つまり、カーポートを設置するためには、駐車場に柱を建てる必要があり、柱のスペース分、駐車スペースを狭めてしまう可能性があります。
実際に、カーポート設置後に「いらなかった」と後悔する人の中には、カーポートの柱のせいで扉の開け閉めが困難になった…、柱が邪魔で車の出入りが難しくなった…などと言った点を不満に感じてという方も多いのです。
したがって、カーポートの設置を後悔しないようにするためには、カーポートの柱のことも考えて、十分な駐車場スペースがあるのかを事前に確認しなければならないのです。もちろん、カーポートにも、いくつかの形状のものが用意されているため、駐車場が狭くても問題なく設置できるタイプがあります。例えば、以下のようなタイプがあるので、駐車場のスペースに最適なものを選ぶようにしましょう。
- 両側支持タイプ:両側に4本以上の柱を建てるタイプです。耐久性が高いカーポートになるため、積雪量が多い地域などにはオススメです。ただ、柱が両側に設置されるため、十分な広さを持つ駐車場でなければ利便性が下がる恐れがあります。
- 片側支持タイプ:駐車場の左右どちらかに柱を建てるタイプです。柱がどちらか一方にしかないため、駐車スペースが大きくない場合でも、乗り降りが困難になりにくい点がメリットです。ただ、両側に柱を設置するタイプよりは耐久性が低くなるため、強風の影響が大きいエリアや積雪量が多いエリアに住んでいる方は注意が必要です。
- 後方支持タイプ:駐車場の後方に柱を建てるタイプもあります。駐車スペースが狭い場所で、左右に柱を設置するのが難しい場所に採用されます。車の周りに柱がないため、駐車を苦手としている方には特におすすめです。ただ、こちらも耐久性は両側支持タイプよりも弱いです。
カーポートは、柱の本数や設置位置によって駐車場の使い勝手がかなり変わります。したがって、駐車場の利便性が下がらないように慎重に設置するタイプを選びましょう。
屋根のサイズは適正か確認する
カーポートを設置する目的は、「雨の日でも濡れなくて済む」ということをメリットに感じたからと言う方が多いです。ただ、このメリットを重視する場合には、カーポートの屋根の大きさに注意しなければいけません。
例えば、屋根のサイズが車の横幅ギリギリの物になると、車の乗り降りの際に雨に濡れてしまうことになります。多くの場合、雨は風を伴っていますので、真っすぐ落ちてくることはありません。そのため、屋根のサイズは、車の横幅よりも多少余裕を持っておかなければ、カーポートの良さが生きてこないわけです。
なお、横からの雨風の影響を防ぎたいと考える場合、カーポートのオプションパーツである「サイドパネル」の設置も検討すると良いでしょう。サイドパネルを設置すれば、横からの影響も防ぐことができるようになります。
将来のことも考慮しておく
カーポートの設置を後悔するケースでは、車の乗り換えにカーポートが影響する時があげられます。カーポートと車の乗り換えに何の関係があるのだ…と疑問に感じる方がいるかもしれませんが、実は、設置するカーポートによっては、希望する車への乗り換えが難しくなるケースもあるのです。
カーポートは、屋外に設置する設備ではあるものの、その耐用年数は10~15年と、意外に長持ちする設備です。そして、動力を持つ車に関しては、カーポートほどの耐用年数はありません。早い人であれば、数年ごとに乗り換えするなんてことも珍しくありませんよね。
そして、将来的な車の乗り換えを考慮していなかった場合、カーポートの高さや横幅などが原因となり、大きな車が駐車場に入らない…なんてことになる可能性があるわけです。例えば、もともと軽自動車に乗っている方が、それに合わせてカーポートを設置した場合、ミニバンなど車高のある車に乗り換えたくても、屋根が邪魔になる…、両側支持タイプの場合は柱が邪魔で駐車場に入らない…なんて恐れが生じます。この他にも、将来的に駐車する台数が増えるなんてことも考えられるでしょう。
所有する車は、ライフステージによって大きさや台数が変わることも珍しくないため、将来のことを見越して設置するタイプを選ぶのがおすすめです。
自然災害のことを考慮する(地域特性について考える)
カーポートを設置する場合には、地域特性に合わせて、タイプや耐久性を考慮すべきです。例えば、毎年のように大型台風が直撃する、冬場は大量の雪が降り積もるなどと言った地域の場合、高い耐久性を持つカーポートの設置が望ましいです。
ただ、例年は大雪も台風の影響も少ないというエリアでも、数年に一度ぐらいはドカ雪が降る…なんてエリアが存在します。実際に、例年の冬場はそこまで大量の雪が降ることはない関東地方で、大量の雪が降り、多くのカーポートが雪の重みで潰れてしまった…なんて事例が過去に存在します。(2014年2月、関東地方の大雪で、カーポートの積雪による倒壊が200件以上あったとされます。)
したがって、カーポートを設置する場合には、過去にあった災害のことも考慮しながら、設置するタイプを選ぶようにしましょう。なお、地域特性に合わせてカーポートを選ぶ場合には、以下のような点に注意すると良いです。
- 台風など強風の影響が多い地域:耐風圧性能の高いカーポートを選ぶ
- 積雪量が多い地域:耐積雪荷重性能が高いカーポートを選ぶ
- 過去に大雪が降ったことがある地域:強度を高めるためのサポート柱を用意する
カーポートは、全ての製品が同じ強度を持つのではなく、耐風圧性能や耐積雪荷重性能が高いタイプも用意されています。また、一時的に耐久性を高めるための「サポート柱」など、オプションパーツも用意されているので、必要性に合わせて選ぶようにしましょう。
なお、強風や積雪の影響でカーポートが破損した場合、火災保険を利用して修理ができる場合もあります。ただ、火災保険に風災や雪災、雹災補償などを付帯しておく必要があるので、その辺りは注意しましょう。
まとめ
今回は、新築注文住宅の建築時に、多くの方が設置を希望するカーポートについて解説しました。記事内でご紹介したように、カーポートは、柱と屋根のみで構成される非常にシンプルな構造物で、駐車場に屋根機能を持たせてくれる設備となります。駐車場に屋根があれば、雨の日でも車の乗り降りで濡れなくて済む、鳥の糞や雹、風に飛ばされてきた落下物から車を守ることができるようになるため、多くの方が設置を希望する設備として有名です。
しかし、新築時にカーポートを設置した方の中には、後から「カーポートはいらなかった…」などと、新築時の判断を失敗に感じてしまう方が一定数いるとされているのです。もちろん、カーポートの設置に後悔する理由については、人それぞれですが、多くの場合、上で紹介したような問題が発生したからとされています。
これから新築住宅の購入を検討しているからで、カーポートの設置を考えている方がいれば、記事内でご紹介した内容については、よく検討しておきましょう。