マイホームの取得を考えた時、多くの方が悩むポイントとして「マンションと戸建てならどっち?」という問題があります。特に、大阪市内や東京などの首都圏では、駅近などの好条件の立地には大規模マンションが建設されるようになっており、土地価格などの問題もあり戸建ての取得を諦めざるを得ない…というケースも珍しくありません。

それでは、実際にマイホームの購入を検討してマンションと戸建てで迷った時、どのようなポイントを重視して比較検討すれば良いのでしょうか?自分にとって最適な物件を見つけるためには、ネットやチラシの物件情報を眺めているだけでは結論を出すことはできません。

そこでこの記事では、マイホーム取得の永遠のテーマである「マンションと戸建てならどっちが正解?」について、それぞれのメリット・デメリットやマンションと戸建てはそもそも何が違うのかなどについて解説します。住宅の購入は、一生の買い物になる可能性が高い重要な決断なので、後悔しないためにもそれぞれの違いはしっかりと押さえておきましょう。

マンションと戸建ては一概にどちらが優れているとは言えない!

住まいに求める条件というものは人それぞれですので、マンションと戸建てという選択肢について、どちらか一方が全ての人にとって優れているとは言えないのが実情です。マンションと戸建てどっちにするか悩んでいる人にとっては「本末転倒な答えだな…」と感じるかもしれませんが、最も重要なのは、マイホームの入手を検討した時、マンションと戸建ての違いをきちんと把握したうえ、自分たちが理想とする暮らしのイメージをはめ込んで「どちらが良いのか?」を判断できるようにしておくことです。

ここでは、マンションと戸建てという選択肢に悩んでいる方が、真っ先に考えてほしいことを簡単にご紹介します。

マンションと戸建ての違いをきちんと知る

マンションと戸建てという選択肢に悩んでいるということは、この二つの選択肢には何らかの違いがあるということを理解しているからだと思います。上述したように、どちらか一方が優れているという問題ではないので、まずはそれぞれの特徴をきちんと押さえて、どのような違いが存在するのかを把握することが大切です。

例えば、日常生活を送る中での利便性や手軽さを重視する場合、マンションの方が向いていると考えられます。一方、自分たち家族の理想をできるだけ詰め込んだ住環境を作りたいと考えるなら、戸建て住宅の方がおすすめできるでしょう。

住宅の購入は、その後、数十年をそこで生活することになるわけですので、マンションでの生活と戸建てでの生活に関する違いを、一つずつ明確にしていくことで、自分たちにふさわしい選択がどちらなのかが見えてくるはずです。

実際の暮らしを具体的にイメージする

これは、マンションと戸建てどちらかを選ぶかだけでなく、実際に購入する家を選ぶ際も注目してほしいです。先ほどご紹介したように、家の購入は生涯そこで暮らすことを前提とする場合が多い為、今の状況だけでなく、将来目指すライフスタイルもきちんと整理して希望を明確にしておくことが大切です。自分たちが、どういった暮らしを求めているのかが定まっていない場合、どちらが適しているのか判断することは難しいです。

したがって、今の家で感じている不便や不満を洗い出し、どこをどう改善したいのかを考えると良いでしょう。さらに、将来の家族構成や家での過ごし方など、理想の暮らしをできるだけ詳細にイメージしていくことも大切です。もちろん、将来の理想の暮らし方は、家族全員で話し合う必要があるでしょう。例えば、「家族全員がのびのび自由に暮らしたい」という考えなら「マンションではスペース的に厳しいかな?」など、判断がしやすくなっていくはずです。

マイホームの入手を考えた時には、自分たちの理想の暮らし方のイメージを明確にし、それをマンションと戸建てに住んだ時に当てはめながら、どちらが適しているか検討すると、自然と自分の理想とするものが浮かんでくると思いますよ。

それでは、マンションと戸建てにはどのような違いが存在するのかも以下で見ていきましょう。以下で、マンションと戸建てという選択肢に迷っている方に向け、代表的な違いやメリット・デメリットについて解説していきます。

物件価格と購入までの流れが違う

マンションと戸建ての一つ目の違いは、物件価格(購入時に必要な経費なども含む)や購入時の流れなどです。もちろん、物件価格は、どちらも立地や広さなどによって同じ選択肢の中でも違いが生じますが、購入時に必要な諸経費なども違いがありますので、きちんと押さえておきましょう。

マンションの場合

まずはマンションを購入する場合です。マイホームとしてマンションを購入する時の流れは、大まかに以下の通りです。

  • ①資金計画を立てる
  • ②住みたいエリアの物件情報を収集する
  • ③いくつかの物件を見学する
  • ④住宅ローンの事前審査
  • ⑤購入の申し込みをする
  • ⑥重要事項説明や売買契約
  • ⑦住宅ローンの本審査
  • ⑧内覧会
  • ⑨残金の決済後、物件の引き渡し

マンションの購入は、上記のような流れで進みます。費用面での注意点は、マンションを購入する場合は、物件価格以外に3〜5%の諸費用がかかりますのでその点は注意しましょう。例えば、3000万円の物件を購入する場合には、90~150万円程度の諸経費が必要になりますので、きちんと資金を準備しておかなければいけません。特に、新築マンションを購入する場合には、管理組合を発足させるための「管理一時金」や建物の大規模修繕に使われる「修繕積立一時金」等、中古物件購入時にはない費用が発生することもあります。
マンションの場合、基本的には間取りなどは決められている物を購入することになるのですが、竣工前のマンションであれば、希望者に対して間取りの変更やオプションの工事を受け付けてくれる場合があります。

戸建ての場合

次は戸建てを購入する場合です。戸建ての場合、建売か注文住宅かで購入の流れが微妙に変わります。例えば、注文住宅でマイホームを手に入れる際は、大まかに以下のような流れで進みます。

  • ①住宅にかける予算を決める
  • ②土地を探す(先にハウスメーカーを決めれば探してもらうことが可能)
  • ③設計施工会社を探す(②で決定している場合は不要)
  • ④住宅ローンの選定
  • ⑤土地の売買契約
  • ⑥家の設計をする
  • ⑦建設工事請負契約、建築確認申請など、各種手続き
  • ⑧住宅ローンの契約
  • ⑨施工(着工〜竣工)
  • ⑩残金の決済後、引き渡し

戸建ての場合、案件ごとに入居までの流れがかなり違いますので、上の流れはあくまでも参考と考えてください。
新築の戸建てを手に入れる場合には、「水道分担金」がかかる場合があるので注意しましょう。これは、水道管から自宅に水道の引き込みをしなければならない工事費と、水道の新規加入費用です。マンションの場合、物件が水道の引き込みを行っていますので、かかりませんが、戸建ての場合、15~30万円程度の費用が必要になります。水道分担金は、自治体や水道メーターの口径によって変わるので、事前に確認しなければいけません。
一般的にですが、戸建ての場合は、物件価格とは別に5〜10%の諸費用が必要になると想定し資金計画をしておくのがおすすめです。なお、家の購入後、実際に入居できるまでの期間は、建売か注文住宅かで大きく異なり、建売の場合は最短で1カ月程度で入居可能なのですが、注文住宅の場合、半年から1年程度かかるのが一般的です。中には2年程度かかるような人もいるようです。

購入後の維持費や税金が違う

マイホームにかかる費用は、購入時のことだけを考えていてはいけません。住宅購入後には、維持費や税金が発生しますので、将来的にかかってくるコストのことも頭に入れておく必要があります。

マンションと戸建てでは、維持費や課せられる税金が違いますので、きちんと押さえておきましょう。

マンションの場合

マンションの場合、管理費や修繕積立金などの維持費用がかかるのが特徴です。管理費や修繕積立金は、毎月家賃のように支払わなければならないのですが、建物全体の維持や保守点検、共用部の清掃などの日常的な業務を管理会社に任せることができます。

この他にもおさえておきたいのは、駐車場やトランクルームなどが備え付けられている物件でも、これらの利用には一定の料金がかかるのが一般的です。また、最近のマンションには、物件内に住む方が利用できるゲストルームや会議室などが用意されていますが、これらも有料となる場合が多いです。

税金については、固定資産税と都市計画税がマンション取得後は継続的にかかってきます。なお、マンションの場合、区分所有建物面積も含まれるので、固定資産税が戸建てより高くなります。

戸建ての場合

戸建ての場合、管理費や修繕積立金はかかりません。しかし、費用的にメリットが大きのかというとそうではなく、リフォームや家の修繕が必要になった際は、全て自己負担となりますので、将来的な家のメンテナンスのための費用は別途積立ておくのがおすすめです。

例えば、屋根や外壁は、採用している建材によって、定期的な塗装工事が必要になる場合もありますし、庭などがある場合、近隣に迷惑をかけないように定期的に木の剪定などが必要になることもあるでしょう。これらの費用は、当然そこに住む人が全てを負担しなければいけません。さらに、家のリフォームやメンテナンスを行う場合、業者の手配なども自分で行わなければいけませんし、タイミングの見極めもできなければいけません。

税金については、マンションよりは負担が少ない点はメリットになると思います。戸建ての場合、土地全体が課税対象となりますが、戸建てのほうが減価償却が早い分有利となりますし、土地に対しても特例が適用されることがあります。

将来の資産価値が違う

マンションにしても戸建てでも、どちらも不動産と呼ばれる「資産」であることは変わりありません。しかし、将来的な資産価値については、それぞれに違いが存在するのです。

マンションか戸建てかで迷った時には、資産形成の観点でも検討することが大切です。

マンションの場合

マンションは、戸建てと比較すると、資産価値が緩やかに下がっていくという特徴があります。

一般的なマンションの構造は、鉄筋コンクリート造となっていて、木造が主流の戸建てよりも頑丈です。そのため、法定耐用年数は47年と非常に長く、新築から長期間にわたってその価値が維持されやすいという特徴があるのです。実際に、維持管理が適切に行われているマンションの場合、築30年や築40年が経過していても、中古物件として販売され買い手が見つかるケースも珍しくありません。

注意が必要なのは、不動産の資産価値は、物件そのものの良し悪しだけでは決まらないという点です。例えば、マンションの周辺地域について、住宅の供給過多が起きれば買い手が見つかりにくくなるため、耐用年数未満でもその価値が大きく下がってしまうこともあります。マンションの将来的な資産価値のことも考える場合は、マンション周辺地域の人口増減のことなども頭に入れて、立地などを検討する必要があります。

戸建ての場合

戸建ての場合、建物そのものの価値は、住人が住み始めた瞬間から急速に下落していくという特徴があります。木造が主流の戸建ては、国が定める耐用年数が22年とマンションよりもかなり短いです。ちなみに、戸建ての場合、建物の価値は築20年でほぼ0になるとされています。

ただし、土地の価格は比較的安定していますので、全体的な資産価値に関しては一定期間は保てると考えても構いません。もちろん、土地の価値は周辺地域の状況によって上下しますので、その辺りはマンションと同じく、将来的なことも考えて立地を検討しましょう。

広さや間取りの自由度が異なる

マイホームは、一日の中で最も長い時間を過ごすことになる場所なので、広さや間取りにこだわりたいと考える方は多いです。一般的に、広さや間取りの自由度に関しては戸建ての方が優れているように思えますが、実際に住んでみると不便さを感じる場合も少なくないようです。

このポイントのそれぞれの違いもきちんと押さえておきましょう。

マンションの場合

マンションの場合、戸建てのような開放感のある広さを求めることは難しいケースが多いです。ただ、家族構成に見合った大きさのマンションを購入すれば、実際に住んでみると何の不便も感じない方がほとんどです。というのも、実際の生活を考えてみると、普段の生活の中の動線は限られていますし、マンションの場合はスペースを効率よく使うことができると言われているのです。

さらに、マンションは限られた広さの中でそこに住む人が不便さを感じないよう、生活利便性を高めるための工夫が各所に施されています。したがって、実際に住んでみると、見た目の広さ以上にゆったりと生活できる物件が多いです。ちなみに、数が限られる、予算の問題があるなど、いくつかの注意点はあるものの、マンションでも100㎡を超えるように大きな面積を持つ物件もあります。

戸建ての場合

戸建ては、マンションと比較すると、生活に使えるスペースが広い、注文住宅であれば間取りを自由に決められる点が大きなメリットでしょう。戸建ては、多くの物件が100㎡以上の面積を持ちますし、平均が60~70㎡と言われるマンションよりもゆとりのある生活を実現しやすいです。

また、専用のガレージや子供を遊ばせることができる庭などを作ることができる点も、マンションにはない魅力です。ただし、面積が広くなる分、維持や管理の手間がかかりやすいという点はデメリットです。

災害対応やセキュリティについての違い

近年では、住まいの防災や防犯を重視する方が多くなっています。日本は、地震や台風などの自然災害が多い国として有名ですし、いつ自然災害の影響を受けても良いよう、普段の準備が求められています。

この点については、一般的に、マンションの方が防災・防犯の面で優れていると言われます。それぞれの特徴について以下で解説します。

マンションの場合

マンションの特徴としては、鉄筋コンクリート造で、頑丈で耐久性が高く、防災の面では非常に優れた住宅になるという点があげられます。近年の新築マンションは、防災設備が非常に充実しており、耐震構造は当然として、万一の際の備蓄設備の整備や停電時の自家発電装置なども備えられている物件が増えています。

また防犯の面に関しても、各所に防犯カメラが設置されたり、部外者の侵入を防ぐオートロックなど、さまざまな防犯設備が備え付けられるようになっています。もともと、木造戸建て住宅よりも、防災・防犯機能が高いと言われていたマンションですが、さまざまな設備の進化により、さらに安全性の高い住環境が得られるようになっています。

戸建ての場合

戸建ては、建物構造の問題などから、防災や防犯の面では、どうしてもマンションに及ばない部分があります。ただ、日本国内に建てられる住宅は、建築基準法により最低限の耐震強度が定められていますし、風水害への耐久性を高める工夫が施されているため、「戸建てだから災害に弱い」というわけではありません。

ただ、防犯の面に関しては、自分たちで必要な設備を用意しなければならないため、コスト負担が大きくなるという点はデメリットです。例えば、家周りに防犯カメラシステムを設置する場合、最低でも20万円程度のコストがかかりますし、本格的なカメラシステムになると、工事費を合わせて70万円以上になることも珍しくありません。この他にも、防犯ガラスや窓シャッターの設置など、家の防犯性を高めるためには、一つ一つの対策にコストがかかります。マンションの場合、最初から設備が整えられているので、住人が個別に対策を取らなくても構いません。

なお、戸建ての防犯対策としては、近隣住民と普段からコミュニケーションを取っておく事が大切とされています。日頃から良い関係を築き、相互に気を付ける事ができれば、人目があることから空き巣などの侵入犯罪の被害に遭いにくくなります。もちろん、災害時などは、物理的な支援を相互に行えますし、精神的な面でも大きな支えになるはずです。

暮らし全般の利便性について

日常生活での利便性に関しては、人によって求める物が異なりますが、マンションと戸建ての特徴をきちんと押さえておかなければ、実際に生活してみると不便に感じる…なんてことになる危険があります。

マンションの場合

近年のマンションは、一般的に「利便性が良い」と言われるようなエリアに建てられることが多いです。例えば、駅が近い、スーパーや学校が近いなど、日常生活の中で絶対に必要な施設へのアクセスの良さが重視されています。逆に言うと、「駅近」などの好立地な場所は、マンションデベロッパーなどがいち早く土地を入手するケースが多く、戸建てを建てるための土地として手に入れることが難しい場合がほとんどです。

さらに、マンション特有のメリットとしては、ゴミ捨てなど、毎日の生活利便性の面で非常に優れていることがあげられます。ほとんどのマンションは、敷地内に専用のゴミ集積場が設置されているため、ゴミ捨ての手間がほとんどありません。また、物件の中には、居住者が利用できるジムやシアタールームが用意されている場合もあります。

注意点としては、近年増えている超高層マンションなどは、外出までに余計な時間がかかる場合があります。マンションの規模によって、複数のエレベーターが設置されますが、住んでいる人の数も多くなるため、時間帯によってはエレベーターが混雑する、なかなかエレベーターが来ない…なんてことを不便に感じることもあるでしょう。

戸建ての場合

戸建ての場合、生活利便性を考慮して土地探しなどができるものの、多くの場合、駅のある市街地からやや離れた立地に建てられます。上述したように、「駅徒歩3分」というような駅近の立地は、マンションの建設に利用される場合が多いため、こういった好条件の土地を手に入れることは非常に難しいです。

その他では、ゴミ捨て等に関しては、地域のルールが厳しく決められている場合がほとんどですし、最近は「町内会」への加入で揉め事になる…と言った話を耳にする機会が多い点がデメリットでしょう。

基本的には、生活利便性についてはマンションに軍配が上がるケースが多いのですが、時間をかけて土地を探せば、スーパーや学校など、自分にとっては「好立地」だと思える物件を見つけることも不可能ではないので、慎重に探すと良いでしょう。

まとめ

今回は、憧れのマイホームを手に入れると決めた方多くが迷ってしまうポイント「戸建てとマンションならどっち?」という疑問にお答えしてきました、

記事内でご紹介したように、マンションと戸建て住宅は、それぞれ全く異なる特徴を持つ選択肢ですので、どちらかが一方的に優れているとは言えないのが実情です。住居に求める条件は、人によって全く異なりますし、その人の生活スタイルによって適切な住居の形は変わってしまうからです。

したがって、自分にとってマンションと戸建てならどっちが良いか迷った時には、上で紹介したようなそれぞれの特徴を細かく比較していくと良いでしょう。そこに自分が理想とする生活を当てはめてみれば、自ずと自分に最適な選択が見えてくるはずです。

悠建設広報のM

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