木造住宅が多くの割合を占める日本では、大切な家をダメにする脅威の存在となるのがシロアリです。実際に、新築住宅を建てる際には、木造建築の住宅において、建築基準法に基づき地面から1メートル以内の部分(柱、筋交い、土台など)に防蟻処理を施すことが義務付けられているほどです。もちろん、新築時に施される防蟻処理については、その効果が5年程度で薄れていってしまうため、家をシロアリから守るためには、専門業者に依頼して継続的にシロアリ対策を行っていかなければいけません。
しかし、昨今の住宅におけるシロアリ被害では、従来の工法によるシロアリ対策を潜り抜けてしまう種類のシロアリが登場しています。日本国内では、まだそこまで知名度が高くないのですが、「アメリカカンザイシロアリ」という外来種のシロアリが日本で確認されるようになっていて、どんどん生息地域が広がっているのです。アメリカカンザイシロアリによる住宅の食害は、もともと神奈川県や東京都、埼玉県など、南関東が主な被害重点地域とされていたのですが、ここ数年、悠建設のある関西地方でもアメリカカンザイシロアリの被害が確認されるようになっています。このシロアリは、日本国内に古くから生息していたシロアリとは異なる生態を持っていて、従来のシロアリ防除が全く通用しないという点が大きな脅威とみなされるようになっています。
一般的なシロアリのイメージは、エサとなる湿った木材を求めて地面(地中)から侵入してくるというものですが、アメリカカンザイシロアリは羽アリとしてお隣の家など、近隣住宅から直接飛んで家の中に侵入し、食害を拡大させるという特徴を持っているのです。もちろん、ヤマトシロアリやイエシロアリなど、在来種のシロアリも「羽アリ」が一斉に飛び立つ「群飛(ぐんぴ)」と呼ばれる現象はありますが、直接他の家に向かって飛んでいくという生態はありません。
この記事では、関西地方でも被害が拡大し始めていると言われるアメリカカンザイシロアリについて、その特徴や生態、被害の見つけ方や有効なシロアリ駆除の方法について解説します。
被害拡大が指摘されるアメリカカンザイシロアリの特徴
それではまず、近年関西地方でも被害が広がりつつあるとされるアメリカカンザイシロアリについて、このシロアリの特徴を簡単にご紹介します。アメリカカンザイシロアリは、名称に「カンザイ」と入っているように、乾燥した気乾状態(含水率10~20%程度)の木材を好んでエサにするシロアリです。名前に入っている「カンザイ」は、乾燥した木材を意味する「乾材」ということで、この名称がつけられているのだと思います。一般的に、シロアリが好んで食べるのは、水分を多く含んだ湿った木材というイメージが強いと思います。実際に、木造建築が多い日本の住宅では、雨漏り被害などがあると、シロアリの食害につながる…と言われていますよね。
しかし、アメリカカンザイシロアリは、乾いた木材のごく僅かな水分で生きていけるシロアリだという点が大きな特徴で、体内の水分を失わないように排泄物に含まれる水分を直腸でほぼ完全に再吸収することができるとされています。そのため、乾燥した木材中に巣を作り温度や湿度の影響を受けにくいのだそうです。
例えば、もともと古くから日本に生息していたシロアリと比較すると、以下のようにかなり生態が異なることがわかります。
- ヤマトシロアリ
ヤマトシロアリは、水分を含む湿った土中に生息し、地面付近の木材を食べる - イエシロアリ
イエシロアリは、水分を含む湿った土中に生息し、自ら水分を運びながら木材を湿らせることで家を加害する - アメリカカンザイシロアリ
アメリカカンザイシロアリは、木材の中に巣を作るなど、木材中に生息し、乾燥した木材を好んで食べる
古くから日本国内に生息するヤマトシロアリやイエシロアリは、水分に依存する昆虫で、乾燥した木材は好みません。また、土中に生息するアリなので、冒頭でご紹介したように防蟻処理は「地面から1メートル以内の部分(柱、筋交い、土台など)」とされているわけです。一方、昨今新たな脅威とみなされるようになったアメリカカンザイシロアリは、乾燥した木材を好む、木材そのものに巣を作るなど、日本のシロアリとは生態が大きく異なるのです。さらに、アメリカカンザイシロアリは、羽アリとして家から家へと直接飛んでいき、被害を拡大させる点が大きな脅威となっています。
ちなみに、アメリカカンザイシロアリは、乾燥した木材しか食べられないのではなく、あくまでも乾燥した場所でも生息できるだけです。実は、このシロアリは、湿った床下や腐朽が進んだ壁の中など、ある程度水分がある場所でも見つかるケースがあるなど、どのような状態の木材でも食害にあう可能性がある点も注意しなければいけません。
日本国内のシロアリの分布域について
日本で、住宅の食害を引き起こすシロアリの生態はある程度分かっていただけたと思います。ちなみに、日本国内には現在22種のシロアリが生息しているとされています。ただ、建築物を加害するシロアリは主にヤマトシロアリとイエシロアリだとされていて、さらに昨今では、アメリカカンザイシロアリやダイコクシロアリと言った乾材シロアリによる被害が指摘されるようになっています。
日本国内におけるシロアリの分布図については、公益社団法人日本しろあり対策協会のwebサイト内にある分布図が分かりやすいので、こちらのページをご確認ください。
シロアリの分布図を見ればわかるように、日本原産のイエシロアリやヤマトシロアリは、古くから日本国内に生息しているため、分布域が連続しています。ヤマトシロアリに関しては、北海道の一部を除けば、日本国内の至る場所で生息が確認されているのです。
一方、昨今新たなシロアリによる建築物の食害として注目されるようになったアメリカカンザイシロアリについては、全国各地で生息が報告されるようになっているものの、その分布は局部的かつ集中的に被害が発生しているのが特徴です。同じ県内であっても、特定の町内だけ分布すると言ったケースも珍しくないとされています。アメリカカンザイシロアリは、もともと北アメリカのカリフォルニア州からワシントン州にかけての西海岸に広く分布しています。これが、家具などを輸入する際、荷造り材や家具そのものにシロアリが住み着いていて、日本国内に持ち込まれ、徐々に分布を拡大しているとされているのです。ちなみに、日本で初めてアメリカカンザイシロアリが発見されたのは、1976年の東京都江戸川区とされています。
先ほどご紹介したように、アメリカカンザイシロアリは、羽アリとして隣の家などに直接飛来して被害を拡大させる厄介な生態を持ち、従来の防蟻処理が効果を果たさないため、今後も分布域を拡大する危険があると言われています。
アメリカカンザイシロアリが脅威とされる理由
近年では、アメリカカンザイシロアリの分布域が拡大していて、関西地方などでも住宅の食害が発生していると報告されています。ただ、シロアリによる食害全体で考えると、まだまだヤマトシロアリやイエシロアリなど、古くから日本に生息していたシロアリによる被害が多いのが実情です。
それでは、アメリカカンザイシロアリが、ここ数年、シロアリ防除・駆除の業界でこれほどまで脅威とみなされるようになったのはなぜなのでしょうか?実は、アメリカカンザイシロアリは、以下のような理由で今後、日本国内で被害の拡大が予想される点が脅威とされているのです。
従来の防蟻処理が効果をなさない
昨今、アメリカカンザイシロアリが日本の住宅にとって非常に脅威がある問題と捉えられている一つ目の理由は、一般的な住宅に施されている従来型の防蟻処理が効果をなさないからです。先ほどご紹介したように、現在は、新築住宅を建てる際、地面から1メートル以内の部分(柱、筋交い、土台など)に防蟻処理を施すことが建築基準法によって義務化されています。しかし、この防蟻処理は、地面に薬剤を散布するというシロアリ予防の方法なのですが、これではアメリカカンザイシロアリの家への侵入を防ぐことができないのです。
従来の防蟻処理は、床下などに薬剤を散布することで、地中に生息するヤマトシロアリやイエシロアリの侵入を防ぐことが主目的となっています。もともと日本に生息しているシロアリは、床下を通って家に侵入し、食害を引き起こすため、床下を中心に防蟻処理をすることで、被害を防ぐことができます。
しかし、アメリカカンザイシロアリは、輸入家具などの木材の持ち込みや、羽アリとして飛来するなど、さまざまな方法で家の中に侵入するのです。アメリカカンザイシロアリの侵入を薬剤によって防ぐには、家中の壁や天井にまで薬剤散布をしなければならず、とても現実的な防蟻処理とは言えないわけです。
アメリカカンザイシロアリが脅威とされているのは、今までシロアリ対策として効果的とされていた方法が効果をなさない点です。実際に、シロアリ駆除の専門業者に依頼したとしても、施工後のシロアリ保険・保証については、アメリカカンザイシロアリが対象外になっているケースがほとんどです。
発見や駆除が非常に難しい
アメリカカンザイシロアリが脅威とされている二つ目の理由は、家の中に侵入されたとしても、発見や駆除が非常に難しい点にあります。アメリカカンザイシロアリは、コロニー当たりの個体数は、ヤマトシロアリやイエシロアリと比較すると、とても少ないとされています。こう聞くと、そこまで脅威度が高くないのではないか…と感じるかもしれませんが、コロニー当たりの個体数が少ないということは、それだけ発見するのが難しいと言えるのです。実際に、アメリカカンザイシロアリは、食害が緩やかに進むため、コロニーの創設から被害の発見まで、最低でも4~5年程度かかっていると考えられる事例が多いです。
さらに、アメリカカンザイシロアリは、コリニー当たりの個体数は少ないものの、同じ木材の中で複数の巣を細かく作るという特徴があります。また、ヤマトシロアリやイエシロアリと比較すると、巣の再生能力も非常に高く、専門業者に駆除を行ってもらったとしても、小さな巣が残っていて、そこから被害が復活してしまう…なんてことも多いとされています。ちなみに、アメリカカンザイシロアリは、北アメリカの西海岸に広く生息していますが、広大な土地のあるアメリカの駆除方法が日本では採用しにくい点も駆除を難しくする理由です。アメリカでは、以下のような方法でカンザイシロアリの駆除を行います。
- 天幕燻蒸処理(てんまくくんじょうしょり)
天幕燻蒸処理は、建物全体をビニールシートなどで覆って、その中に殺虫効果のあるガスを充満させる方法です。この方法であれば、家のすみずみまで殺虫剤を充満させることができ、家の中に生息するアメリカカンザイシロアリを一網打尽にすることが可能です。しかし、日本国内では、家と家の距離が近いため「家を完全に覆うことが難しい」「施工できる駆除業者が少ない」などと言った理由で、この方法を採用することが難しいです。さらに、シロアリ駆除にかかる費用が、1回あたりで100万円を超えるような金額になることも採用しにくい理由でしょう。天幕燻蒸処理で散布する殺虫剤は、成分が長期に残るわけではないので、施工後に予防効果を期待することも出来ませんし、100万円という費用は高すぎると感じる方が多いです。 - 熱風処理
建物を特殊なシートで覆い、家の中に熱風を送り込む方法です。数時間単位で高温状態に保つことでシロアリを駆除します。ただ、この方法も、家と家の距離が近い日本では、近隣への影響が大きく危険を伴うという考えからあまり採用されていません。
上記のような方法でアメリカカンザイシロアリを一網打尽にすることができます。しかし、都市部の住宅などは、家と家の距離が非常に近く、シートなどで家を覆うことが難しい、費用が高すぎるといった理由で採用できません。基本的に、薬剤の注入などでシロアリの駆除を行うのですが、小さなコロニーが残ってしまう可能性があり、完全な駆除が難しいとされているのです。
家から家へと直接飛来する
アメリカカンザイシロアリは、もともと日本に生息するシロアリと異なり、乾燥した木材に営巣するという生態を持っています。そのため、ある住宅にアメリカカンザイシロアリが住み着いたときには、羽アリとなり近くの家に直接飛んでいくことで、被害が拡大する恐れがあるのです。
なお、日本に古くから生息するヤマトシロアリなども、羽アリとして生息範囲を拡大していくという生態は持っています。しかし、ヤマトシロアリなどは、木材に営巣するのではなく、土中に住むという生態のため、羽アリがそのまま家の中に侵入して営巣することはありません。もともと日本に生息していたシロアリは、土に依存するという生態を持つため、床下への薬剤散布という防蟻処理が効果をなすのです。
アメリカカンザイシロアリは、羽アリとして家の中に飛来する際、オス・メスのペアがいると、建物内の木材にそのまま巣を作る可能性があるという点で、脅威のシロアリとみなされるようになったのです。
アメリカカンザイシロアリによる被害のサインとは?
ここまでの解説で、従来のシロアリとは全く異なる生態を持つアメリカカンザイシロアリの脅威度が分かっていただけたと思います。当然、アメリカカンザイシロアリも、他のシロアリと同じく、家を構成する木材を食べてしまうので、家の中に侵入された場合には、いち早く対処することが大切です。
ただ、アメリカカンザイシロアリは発見することが非常に難しいという特徴もあります。ここでは、一般的になかなか気付くことができないとされるアメリカカンザイシロアリについて、家の中にこのシロアリがいるのではないか…と疑った方が良い状況をご紹介します。以下で紹介する現象を家の中で発見した時には、すぐに専門業者に相談してみましょう。
柱の近くなどに糞粒がある
一つ目のポイントは、家の中にシロアリの糞粒が出ていないかで判断する方法です。アメリカカンザイシロアリは、特徴的な形の糞を排泄し、さらに糞が砂が積もるよう集まっているケースがあるのです。家の中でも、出窓や窓枠、柱の近く、玄関の扉枠などに顆粒状の塊が集まっていればアメリカカンザイシロアリが生息している可能性が高いです。なお、アメリカカンザイシロアリの糞の特徴は以下のような感じです。
- 0.7mm~1mm程度の大きさで果粒
- 表面に筋が入っている
- 柱などの周りに砂が積もるように落ちていることが多い
木材の周辺に積もるほどの糞が落ちている場合、木材の食害がかなり進行している可能性が高いです。したがって、家の中で上記のような糞粒を見つけた時には、すぐにシロアリ駆除業者などに相談しましょう。なお、糞の集まりは、巣の場所を特定するために役立つ場合があるので、片付けずにそのままにしておきましょう。
柱や壁など、木材に小さな穴がポツポツ開いている
柱や壁など、木材に3mmほどの小さな穴が開いている場合、アメリカカンザイシロアリのサインです。画鋲などを刺した覚えがないのに、壁や柱に小さな穴が開いている…という場合、専門業者に相談しましょう。
アメリカカンザイシロアリは、木材の中に巣を作るのですが、木くずなどを蹴りだす、糞を捨てるために、木材に小さな穴を開けます。柱や壁に小さな穴を見つけ、その下に木くずや糞のような物が落ちていれば、アメリカカンザイシロアリの巣ができている可能性が高いです。
黒っぽい羽が落ちている
シロアリは、特定の時期になると巣から大量の成虫である「羽アリ」が一斉に飛び立つ「群飛(ぐんぴ)」と呼ばれる現象を起こします。アメリカカンザイシロアリの場合、木材に営巣するという生態を持つため、近所の家から飛び立ったものが、自宅に侵入し巣を作るという危険があるのです。ヤマトシロアリやイエシロアリは、土に依存するという生態のため、そのまま家の中に飛来する心配はありません。
つまり、家の中で羽アリを見かける…、羽アリの「羽」が落ちているのを見かけるなんて場合、シロアリ被害の可能性があります。シロアリは、成虫である羽アリになったとしても、地上に降りるとすぐに羽を落とす性質を持っています。つまり、羽アリの羽が落ちている場合、そこに羽アリが飛来した証拠でもあるのです。
アメリカカンザイシロアリの羽は、黒っぽくて透けている見た目が特徴なので、家の中でこの羽を見かけた時には、被害が始まるサインと考えなければいけません。ちなみに、アメリカカンザイシロアリの羽アリは、飛行距離が短いので、既に家の中に巣があり、そこから出てきた羽アリの可能性もあります。どちらにせよ、シロアリの食害の危険性が高いので、すぐにシロアリ駆除業者などに相談しましょう。
柱などの木材を叩くと空洞音がする
これは、既にシロアリによる食害が進んでいる証拠なので、一刻も早い対処が必要です。
シロアリの食害が進むと、木材の中に空洞ができるため、手でたたいてみるとポコポコと言った軽い音がするようになります。当然、柱の中身が食べられ、空洞になってしまうと家の耐震性などにも悪影響を与えてしまいます。シロアリは、木材の表面を残し、内部だけをドンドン食べ進めてしまうので、気付かないうちに家の強度が落ちて行ってしまいます。
シロアリ被害は、放置すると耐震性の低下や家のゆがみなどにもつながりますので、出来るだけ早く発見し、駆除することが大切です。
アメリカカンザイシロアリの駆除と予防について
それでは最後に、日本国内におけるアメリカカンザイシロアリの駆除方法について解説します。先ほど紹介したような、シロアリのサインが見つかった場合、専門業者に相談してシロアリ被害の有無を調査してもらいましょう。そして、調査の結果、アメリカカンザイシロアリの繁殖が確認された場合、駆除しなければいけません。
ただ、アメリカで採用されている天幕燻蒸処理や熱風処理によるシロアリ駆除は日本国内では難しいのが実情です。また、もともと日本に生息していたシロアリ駆除の方法であるベイト工法などは、土壌に生息しないアメリカカンザイシロアリには効果が見込めません。それでは、アメリカカンザイシロアリの駆除はどのような方法で行えば良いのでしょうか?
ここでは、シロアリ駆除の方法と、その後の発生を防ぐシロアリ予防についてもご紹介します。
穿孔注入処理(せんこうちゅうにゅうしょり)によるシロアリ駆除
アメリカカンザイシロアリの駆除方法は、まだまだ確率途上と言えるのですが、現在は穿孔注入処理による駆除が主流となっています。
穿孔注入処理は、アメリカカンザイシロアリが住み着いている木材にドリルなどで穴をあけ、その穴から内部に駆除薬剤を注入するという方法になります。注入する薬剤については、業者によって異なり、公益社団法人しろあり対策協会が安全性や有効性を認めた乾材シロアリ用駆除剤やムース状の薬剤、ホウ酸などが使用されています。薬剤の注入後は、木栓により穴を埋めます。
この方法による駆除は、シロアリの生息箇所を的確に見つける必要があるため、駆除業者の技術や経験が非常に重要になります。
ホウ酸塩処理によるシロアリ予防
アメリカカンザイシロアリを予防する方法では、ホウ酸塩の水溶液を作り、それを木材に散布もしくは注入するという方法が採用されます。なお、ホウ酸塩水溶液の散布・注入は、駆除の際にも採用されることがあります。
実は、シロアリは、ホウ酸塩処理をした木材を一定量以上食べることで、死んでしまうという性質があります。シロアリは、体内にホウ酸がたまると、栄養をエネルギーに変える代謝ができなくなるからだとされています。シロアリには、ホウ酸を分解・排出するための腎臓がないため、取り込んだホウ酸はどんどん体内に蓄積していってしまうのです。そして、その結果、エネルギーを得られなくなり、死に至るという仕組みです。
ホウ酸によるシロアリ駆除・予防は、人間や犬猫などの哺乳類は腎臓があるためホウ酸が分解できるので安心、従来のシロアリ予防材と異なり、揮発性がないため予防効果が半永久的に続くといったメリットが存在します。また、ホウ酸は水に弱いという特徴があるため、屋外でのシロアリ予防には採用することができませんが、羽アリとして飛来するアメリカカンザイシロアリの駆除・予防にとっては、この特徴がデメリットにならないため、非常に効果的な予防方法と言えます。
なお、シロアリの予防としてホウ酸の使用を検討した場合、新築時にホウ酸によるシロアリ対策を施すのが最も効果的です。新築の際、柱や壁に使用する木材に、あらかじめホウ酸を染み込ませておくだけで、アメリカカンザイシロアリの予防が半永久的に可能になるのです。
まとめ
今回は、日本国内で生息地域を徐々に拡大し、住宅にとって非常に脅威的な存在とみなされるようになったアメリカカンザイシロアリの特徴などについて解説しました。
記事内でご紹介したように、アメリカカンザイシロアリは、生息環境が在来種のシロアリと全く異なるため、駆除や予防が非常に難しい特に厄介なシロアリと言われています。現在の建築基準法では、地面から1メートル以内の部分(柱、筋交い、土台など)に防蟻処理を施すことが義務付けられているのですが、アメリカカンザイシロアリは、このタイプの防蟻処理では被害を防ぐことができないのです。
記事内では、アメリカカンザイシロアリが家の中で食害を引き起こしている時のサインなどもご紹介していますので、それらの問題が家の中で見られた時には、出来るだけ早くシロアリ駆除の専門業者に相談するようにしましょう。なお、アメリカカンザイシロアリの予防については、ホウ酸水溶液による対策が効果的とされていて、この対策は新築時に行っておくのが最も効果を発揮するとされています。
悠建設では、お客様が希望する外観、間取りを実現するのは当然として、そこに住む人が長く安心して過ごせるよう、シロアリなどの害虫対策も万全に行っています。関西地方でも、アメリカカンザイシロアリの生息が確認されていますし、従来通りの防蟻処理だけでなく、飛来するシロアリの対策も検討しなければならないと考えてください。