近年の日本では、全国各地で大雨による河川の氾濫や土砂災害など、水害の発生件数が多くなっています。

気温が高くなる夏場になると、ゲリラ豪雨や線状降水帯という言葉を耳にする機会が増えていると思うのですが、実は、これらの用語を耳にしたときには、単なる雨ではなく、自分や家族の命を守るための正しい行動をとらなくてはならないのです。ゲリラ豪雨や線状降水帯については、機器慣れてきたこともあるため、その危険度を軽視する方も増えているように思えます。

そこでこの記事では、昨今、日本全国で増加している大雨による自然災害に備えるための基礎知識をご紹介していきます。記事内では、ゲリラ豪雨や線状降水帯の特徴などについてもご紹介します。

ゲリラ豪雨や線状降水帯とは?

昨今、日本では、夏場の大雨による水害が増加しています。ただ、夏場に降る大雨については「ゲリラ豪雨」や「線状降水帯」「集中豪雨」など、いくつか異なる呼び方が使われているため、それぞれが何を意味しているのかいまいち分からないと感じている方も多いようです。また、呼び名が異なることで、雨による被害の危険度が変わるのかどうかについても気になっている方が多いのではないでしょうか?

そこでここでは、最近のテレビの天気予報などでもよく耳にするようになったゲリラ豪雨や線状降水帯について、これがどのような物なのかそれぞれの特徴をご紹介します。

ゲリラ豪雨とは?その特徴を紹介

ゲリラ豪雨は、夏場の非常に強い日差しによって地面が強く温められたり、上空に冷たい空気が流れ込んだりすることで大気の状態が非常に不安定になると発生します。暖かく湿った空気が上昇気流に乗って上空高くに達した時、その空気が冷やされることで急速に積乱雲が発達します。その影響によって、 数キロ〜数十キロ四方という狭い範囲で、数十分から1時間程度の短時間で、非常に激しい雨が降ることをゲリラ豪雨と呼んでいます。

ちなみに、ゲリラ豪雨という用語については、気象庁が決めた正式な予報用語ではありません。大手メディアなどでよく使用されていますが、あくまでも俗語であり、気象庁の公式用語では「局地的大雨」と呼ばれています。局地的大雨という名称は、インパクトがあまりないため、その危険度が伝わりにくいので、ゲリラ豪雨という用語が使われているのでしょう。

このゲリラ豪雨の特徴をまとめると以下のような感じになります。

  • 狭い範囲で局地的に非常に強い雨が降る
  • 短時間(数十分~1時間程度)の間に非常に強い雨が降る
  • 予測が難しく、突発的に雨雲が発生する
  • 雲の発達が急
  • 雷や突風、ひょうを伴うこともある

ゲリラ豪雨は、短時間ではあるものの、局地的に非常に強い雨が降ることで、特に都市部などで排水機能が追いつかなくなり、浸水被害に繋がることがあります。

線状降水帯とは?その特徴を紹介

次は、線状降水帯です。「線状降水帯」という用語については、2021年から気象庁でも正式に運用されることが決まった用語となります。

これは、次々と発生する発達した雨雲(積乱雲)が列をなし、同じ場所で数時間にわたり猛烈な雨を降らせ続ける現象のことを指しています。ゲリラ豪雨と比較すると、より広い範囲(長さ50〜300km、幅20〜50km程度)で雨雲が帯状に広がり、強い雨が降り続けることが特徴です。通常の雨は、雨雲が通り過ぎることで止むのですが、線状降水帯と呼ばれる現象の場合、同じ場所に次々の雨雲が発生し、結果的に雨雲が留まり続けることになります。そのため、短時間の間に非常に多くの雨が降り続けることになり、河川の氾濫や土砂災害などの甚大な被害を引き起こすことがあるのです。過去の記録によると、線状降水帯は、僅か数時間の間に「数か月分」の雨量が記録されたこともあるとされています。

線状降水帯の特徴をまとめると、以下のような感じになります。

  • 積乱雲が帯状に連なって発生する(結果的にゲリラ豪雨よりも範囲が広い)
  • 同じ地域で長時間強い雨を降らせる
  • 総雨量が非常に多く、土砂災害や河川の氾濫など、甚大被害に発展しやすい
  • 予測が困難(数時間前まで発生が分からないこともある)

ちなみに、「集中豪雨」については、この線状降水帯などの影響により、狭い範囲に数時間から半日程度にわたり、数百ミリ規模の猛烈な雨が降り続く現象を指しています。つまり、集中豪雨については、線状降水帯が引き起こす現象と考えておけば良いです。

ゲリラ豪雨や線状降水帯による被害について

それでは、上述したゲリラ豪雨や線状降水帯は、どのような被害をもたらすのでしょうか?ここでは、夏場の自然災害として定着し始めた水害について、ゲリラ豪雨や線状降水帯によって引き起こされる主な被害をご紹介していきます。

都市型水害(内水氾濫)

ゲリラ豪雨や線状降水帯など、豪雨による引き起こされる水害の中には、都市型水害と呼ばれる被害があります。

都市型水害は、アスファルトやコンクリートで覆われ、人口や建物が密集した都市部で発生する水害のことを指しています。主な原因としては、ゲリラ豪雨など、局地的な豪雨があった際、雨水が地中に浸透することができず、下水道の処理能力を超えてあふれ出してしまうという「内水氾濫」で、道路の冠水の他、地下街や大規模マンションの地下駐車場など、地下施設への浸水などによって都市機能が麻痺するという被害に発展します。都市部では、タワーマンションなど、高層建造物が増えていますが、建物機能を維持するための設備が地下に集中しているケースが多く、浸水により電力などが停止してしまうといった被害の報告が増えています。例えば、ゲリラ豪雨により、エレベーターが起動できなくなり、数十階上の自宅まで階段移動を余儀なくされるなど、都市部ならではの問題が生じてしまうのです。

この他、都市型水害では、以下のような被害の発生が想定されます。

  • 道路の冠水・マンホールの噴出
  • 道路やアンダーパスの冠水、地下鉄の浸水などにより交通網が麻痺する(公共交通機関もストップ)
  • 地下空間への浸水により、電気設備の故障や閉じ込め事故が発生する

地面がコンクリートやアスファルトで覆われている都市部では、雨水が土壌に吸収されず、一気に下水管や小さな水路へ流れ込むことで、排水処理能力を超え、上記のような被害に繋がるのです。

河川の氾濫(外水氾濫)

豪雨による被害としてイメージしやすいのがこちらです。いわゆる、河川の氾濫による被害なのですが、こちらは外水氾濫と呼ばれます。

これは、大雨によって河川の水位が上昇して、堤防を越えたり決壊したりして、市街地や農地に水があふれ出すという現象のことで、いわゆる「洪水」のこと指しています。大量の水が一気に溢れてしまうため、広範囲にわたり、深く浸水します。その結果、建物の倒壊や人的被害の危険性が非常に高くなるのが特徴です。

土砂災害

土砂災害は、大雨や地震などをきっかけとして、山や影が崩れたり、土石流が押し寄せたりして、建物や人命に甚大な被害をもたらす自然災害のことを指しています。

土砂災害は、人の暮らしに非常に甚大な影響を与えます。そのため、気象庁は、2026年5月下旬から防災気象情報の体系を大きく変更し、土砂災害に関する警報の発し方を変更しています。今までは、「大雨警報(土砂災害)」のように大雨警報の枠組み内で、土砂災害警戒情報といった形式で発表されていたのですが、今回の変更により、土砂災害単体で注意報・警報が発表されるようになっています。気象庁による警報発令に関する変更点については、以下のニュース記事を確認しておきましょう。

参考:2026年5月下旬(予定)の改正内容

ちなみに、土砂災害は、主に以下の3つの災害に分類されています。

  • がけ崩れ
  • 土石流
  • 地すべり

どちらにせよ、土砂災害は、非常に高い破壊力を持っており、突発的に発生することから、逃げ遅れて被害に遭ってしまう人が多いです。したがって、災害に備えるためにも、気象庁の新たな警報体系はきちんとおさえておきましょう。

洪水への備えについて

ここまでの解説で、昨今、日本全国で頻発している水害について、その原因となるゲリラ豪雨や線状降水帯の特徴が分かっていただけたと思います。ゲリラ豪雨や線状降水帯は、突然発生して、大規模な水害まで一気に発展するということが多いため、直前になって焦って対策を施すのではなく、事前に多角的な視点で防災対策を実施しておくことが大切になるのです。

そこでここでは、河川の氾濫など、洪水による被害を最小限に抑えるためにも、普段から検討しておきたい水害への備えについてご紹介していきます。ここでは、水害への備えの基本となるポイントについて、まとめてご紹介していくので、ぜひ参考にしてみてください。

ハザードマップ・洪水予測などで自宅の「危険度」を知る

洪水など、水害への備えを考えた時には、そもそも自分たちが日常生活を送っている自宅が、どのような災害の危険性があるのかを事前に知っておく必要があります。自宅の危険度を正しく理解しておけば、警報発令時に避難が遅れるといった失敗をしなくて済むはずです。この点については、以下のような事を心がけましょう。

  • 自治体のハザードマップで自宅周辺の災害危険度を確認する
  • 気象庁の「キキクル(危険度分布)」など、リアルタイムで災害危険度を把握できるアプリを利用する
  • 避難所・避難経路・家族の集合場所などをあらかじめ決めておく

上記のように、自宅の危険度を把握したうえ、万一の際にどのような行動をとれば良いのかをあらかじめ家族で話し合っておくと良いです。ちなみに、キキクルとは、大雨による「土砂災害」「浸水害」「洪水」の危険度が高まっている場所を、地図上で5段階の色分けによりリアルタイムで確認できる気象庁の防災情報サービスです。避難の必要性を確認するのに非常に便利です。

参照:キキクルについて

普段から、浸水に備えて準備しておく

ゲリラ豪雨や線状降水帯による集中豪雨は、いつ、どこで発生してもおかしくありません。そのため、自宅を浸水被害から守るためには、普段からの準備が非常に重要になるのです。洪水への備えとしては、以下のような事を普段から準備しておくと良いです。

  • 家財・重要書類・パソコン等を高所に避難できるようにする
  • 防水ケース、防水バッグを準備する
  • 簡易止水板・土嚢・水のうを常備しておき、万一の際は玄関・窓をガードできるようにする
  • 排水口のゴミ除去を定期的に実施する
  • ポータブル電源、蓄電池、ソーラー充電器の備蓄をしておく
  • 窓ガラスの飛散防止を実施する
  • 非常持ち出し袋(食料・水・薬・携帯バッテリー・現金)

上記のような対策を検討すれば、万一の水害発生時でも、自宅の被害を最小限に抑えられる可能性があります。ちなみに、非常用持ち出し袋については、以下のような物品をいつでも持って避難できるように家族の人数分を備蓄しておきましょう。

  • 飲料水(1人1日3L×3日分)
  • 保存食(レトルト食品、缶詰、栄養補助食品など)
  • 携帯トイレ
  • 懐中電灯と予備電池
  • モバイルバッテリー
  • 常備薬・救急セット
  • 雨具・タオル・着替え
  • 貴重品(通帳、保険証のコピー、現金)

避難所に行けば、飲料水や食料の提供を受けることは可能です。しかし、大規模災害が発生した時には、水や食料の配布までに少し時間がかかる可能性もあるので、家族の健康を数日間は守れるだけの備蓄をお行っておく必要があります。

火災保険について確認する

住宅ローンを組んで家を購入した方の場合、火災保険は必ず加入しているはずです。しかし、水害に対して保証してもらえるかどうかは、特約として「水災補償」に加入しているかどうかがカギになります。上で紹介したハザードマップで確認した結果、水害の危険度が高いと判断されるような場合、水害補償は加入しておいた方が良いです。

ただ、注意が必要なのは、水害によって被害を受けた時に火災保険を利用する場合、保険会社側が定めている規定をクリアしなければいけないのです。水災保証は、保険が利用できる範囲がかなり細かく決められているはずなので、どのような被害が出た時に利用できるのかは事前に確認しておきましょう。また、実際に水害による被害が生じた時には、以下のような行動を心がけてください。

  • 浸水ラインを撮影しておく(メジャーや日付入り新聞を添えて撮影)
  • 床下点検口からの内部撮影をする
  • 室内家財・冷蔵庫・家具・家電の濡れ具合を多角度で撮影する
  • 自動車も浸水した場合、車内・エンジンルームを撮影しておく
  • 可能であれば、広角(前景)⇒細部の順で動画も撮影しておく

火災保険の水災保証については、浸水の度合いによって保険金の請求可否や金額が変わります。火災保険を利用する場合、調査員が被害の度合いを確認したうえでその可否が決定されるのですが、水害の場合、調査の段階では水が引いてしまっています。そのため、火災保険を利用できるようにするには、浸水被害の証拠として現場写真を残しておく必要があるのです。

基本的には、上記のような写真を残しておけば良いのですが、念のため保険会社にすぐに連絡し、その他に撮影する必要のある証拠写真が無いか確認すると良いでしょう。その後、すぐに修理業者に見積もりを依頼し、それも火災保険申請の証拠として利用します。ちなみに、水害による被害については、洗浄、修繕費は保証されますが、消臭・消毒・乾燥・カビ取りなどは対象外になる可能性が高いです。この辺りもしっかりと確認しておきましょう。

被災後の行動も検討しておく

豪雨による洪水などが発生した時には、どれだけ準備を行っていたとしても、自宅が浸水するなどの被害を受けてしまうこともあります。火災保険などは、災害から早期に復旧するために加入するためのものなので、自宅の危険度に合わせて、適切な保証内容にすることが大切です。

そして、浸水被害に関しては、水が引いた後、普段通りの生活を取り戻すための復旧作業についてもいくつか注意しておかなければならないポイントがあります。まず、自宅が浸水被害を受けた際、水が引いた後のNG行動について簡単にご紹介します。

  • 家のブレーカーは、専門家の指示があるまでONにしない
  • 感電・ガス漏れ・建物の損壊状況を細部まで確認する
  • 電気関連のアイテム(ハイブリット車、EV車、家電、家庭用蓄電池など)は、安全確認ができるまで自分で動かさない
  • 汚泥、汚水の清掃時は手袋、マスクを着用して行う。
  • 汚泥などを片付けた手で口や目を触らない
  • 発熱などの体調変化やけがなどがあった場合は、すぐに医療機関を受診する

浸水被害後の片付けでは、感電事故のおそれがあるため、安全確認ができるまでは一般の方が触らない方が良いです。また、濡れた状態で通電してしまうことで、故障がさらに深刻化する恐れもあるため、いきなり通電させるのはNGと考えてください。

さらに、自宅が浸水被害を受けた場合、建物そのものの健康チェックも必要です。表面的な汚泥の処理は自分達でも可能かもしれませんが、床下や壁内にまで侵入していた場合、専門業者に作業を依頼するしかないでしょう。

この他、浸水した部分の消毒や乾燥などもしっかりと行わなければいけません。木造住宅がほとんどの日本の住宅は、浸水被害を受けてしまうと、木材の腐食やカビの繁殖、シロアリ被害など、さまざまな問題に発展する可能性があります。したがって、早めに専門業者に相談し、復旧に必要な作業の提案を見積りを実施してもらうと良いです。

※自然災害による被害は、国や自治体から復旧のための支援金が給付される可能性があります。この情報を見落とさないためにも、一度役所などに足を運び、必要な手続きについて相談しましょう。

まとめ

今回は、ゲリラ豪雨や線状降水帯による水害に備えるための基礎知識について解説しました。

地球温暖化などの影響により、日本では全国的に水害の発生件数が増加傾向にあります。特に、夏場はゲリラ豪雨や線状降水帯による集中豪雨など、甚大な被害をもたらす水害が頻発するようになっているのです。ゲリラ豪雨や線状降水帯による自然災害は、今の時代、いつどこで発生してもおかしくないため、「災害は必ず来る」という意識を持っておくことが重要になるでしょう。

普段から、洪水などの水害の備えをしておくと、いざという時に冷静に動くことができるようになり、家族の安全を守ることができるようになります。自分や大切な人の命を守るためにも、小さな備えを今からでも始めてみると良いのではないでしょうか!

悠建設広報のM

悠建設のサイトでは当社の有資格者の監修のもと皆様の家創りにとって有益な情報を配信しております。 以下、各種許可、資格となります。

  • 一級建築士 3名
  • 二級建築士 1名
  • 二級福祉住環境コーディネーター 1名
  • 宅地建物取引士 1名
  • 二級建築施工管理技士 1名
  • 建築物石綿含有建材調査者 2名
  • 既存建物耐震診断士 2名