
一般的に、マイホームを購入する時には「一生を過ごすための家を買う」というイメージを持っている方が多いのではないでしょうか?家の購入は、一生のうちで最も高額なお買い物となるケースが多いですし、賃貸に住んでいる時とは異なり、何度も住み替えるという選択をするケースは少ないです。
しかし、一戸建てを購入してしばらくその家に住んでから、また一戸建てに住み替えを検討するというケースも珍しくないと言えます。もちろん、せっかく高いお金をかけて手に入れた一戸建てについて、これを手放し新しい一戸建てを購入すると言う選択については、正しいのかどうか迷ってしまうことも多いはずです。
そこでこの記事では、現在、一戸建てから一戸建てへの住み替えを検討している方に向け、家の住み替えが必要になる理由や実際に住み替える際の注意点、手順などについて解説します。
戸建てから戸建てに住み替えする理由とは?
それではまず、せっかく手に入れたマイホームを手放してまで住み替えする人は、何が理由で住み替えているのか見ていきましょう。冒頭でご紹介したように、家の購入は「一生住み続ける」ことを想定している方がほとんどで、賃貸住宅のように定期的に住み替えするなんて選択肢はありえないと考えている方が多いです。しかし実際には、さまざまな理由から戸建てから戸建てへの住み替えを行う人がいるのです。
ここでは、「遠方のエリアに住み替える」ケースと「同じエリア内で住み替える」ケースの二つに分けて、住み替えが必要になる理由をご紹介します。
遠方のエリアに住み替える理由
まずは、住み替えが必要になるケースでも、遠方に住み替えするというパターンです。もともと住んでいた家を手放し、遠方に住み替えする理由は分かりやすいです。主な理由は、以下のような物でしょう。
- 転勤や転職になったから
- 親など家族の介護のため
- 老後の生活を考えて生活の拠点を変える
- 災害リスクを懸念して
もともと住んでいたエリアから遠く離れたエリアに住み替えするというケースでは、家そのものに問題があるのではなく、何らかの理由で「場所」を変えなければならないからという理由が多いです。
例えば、転勤や転職が決まったなんてケースで、将来的にも現在の居住エリアに戻ってくる可能性がないという場合、思い切って家族揃って住み替えようと考える方が多いはずですよね。この他、子育ての環境を考えて…や親世代の介護のため実家のあるエリアに住み替えるなんてケースも少なくありません。
さらに、近年では、日本各地で自然災害が頻発するようになっていて、災害リスクのことを考えて住み替えするという人が増えているとされます。例えば、豪雨による災害などについては、毎年同じようなエリアで発生しやすいことから、そういったエリアに住んでいる方がより安全性が高いエリアに住み替えを検討するといった感じです。老後の生活を考えて住み替えする場合では、生活利便性が高いエリアに住み替えを検討する以外にも、戸建てからマンションに住み替えるというパターンも多いです。マンションの場合、階段の上り下りや段差が少ない生活ができるため、高齢者は過ごしやすいと感じるからです。
同じエリア内で住み替える理由
次は同じエリア内で住み替えするケースです。遠方のエリアに住み替えする場合と比較すると、「なんで住み替えするの?」とその必要性に疑問を感じる方が多いと思います。同じエリア内での住み替えについては、主に以下のような理由を抱えている場合が多いです。
- 住んでいる家が手狭になった
- 家が老朽化してきたから
- 近隣トラブルを抱えてしまった
同じエリア内で住み替えを検討するというケースでは、家そのものに問題が発生している場合が多いです。新しい家を探すにしても、同じエリア内で探すということは、住んでいる地域については満足をしている証ですよね。
このタイプの住み替えは、出産やお子様の成長によって現在住んでいる家が手狭に感じるようになり、より広い家を求めて住み替えするなんてケースが考えられるのです。この他、中古住宅などを購入したという方の中には、住んでいるうちに家の老朽化が目立ってきたため、家族が安心して暮らせるようにする目的で新しい家に住み替えすることを検討するというケースもあるようです。
なお、もともと住んでいた場所とさほど離れていない家に住み替えするというケースでは、ご近所トラブルが原因で住み替えが必要になるケースも考えられます。このパターンは、住んでいる場所や家そのものに不満を感じているわけではないので、住み替えまでに時間がかかるケースが多いです。しかし、近隣トラブルは、時に家族の安全な生活を乱す可能性もあるため、ストレスが大きい場合は、早めの住み替えを決断するのがおすすめです。
戸建てから戸建てに住み替えする手順について
戸建てから戸建てへの住み替えを検討している方は、住み替えの手順についてもしっかりとポイントを押さえておく必要があります。
住み替えする場合でも、現在住んでいる家の売却を先に進める「売り先行」と呼ばれる手順と、新しい家を先に購入するという「買い先行」の2パターンがあるのです。ここでは、それぞれの手順の特徴を簡単にご紹介します。
「売り先行」と「買い先行」の判断ポイント
戸建てから戸建てへの住み替えを検討した時には、現在住んでいる家の売却が完了してから新しい家を買った方が良いのか、それとも新しい家を購入してから時間をかけて元の家の売却に動けば良いのかということに迷ってしまう方が多いです。
まず、売り先行(現在の家の売却を先にする方法)がおすすめできる方の条件は、現在住んでいる家のローンがまだ残っている方や、新しい家の購入費用が自己資金だけで調達することが難しい人です。売り先行の場合、売却益をローンの返済や新しい家の購入資金に充てることができるようになるので、満足のいく家に住み替えすることができるでしょう。仮に、ローンの残債が残っている状態の方が買い先行で動いた場合、なかなか買い手を見つけることができず、ダブルローンの状態になってしまうリスクが生じます。
なお、売り先行の場合は、元の家を売って新しい家を買うまでにタイムラグが生じるため、仮住まいの費用が発生する点に注意が必要です。次の家の購入資金ができれば、ゆっくりと吟味しながら家の購入に動けるようになるのですが、あまり悠長に構えていると仮住まい費用が嵩んでしまうことになります。売り先行の場合は、仮住まい費用や引っ越しにかかる費用のこともあらかじめ計画に入れて検討しなければならないと考えてください。
買い先行がおすすめできる人の条件は、既に住宅ローンの返済が完了していて、売却益に頼らなくても新しい家の購入ができるという方です。この場合、買いを先行したとしても、じっくりと新居を探す時間がありますし、購入する家が決まってから元の家の売却に動けばよいだけなので、仮住まい費用なども発生しません。したがって、資金に余裕があるという方の場合は、買いを先行させるのが良いでしょう。
購入する家の種類によっておすすめの手順が変わる?
戸建てから戸建てへの住み替えを検討している方でも、新しく購入したい家の種類が異なるケースがあります。例えば、中古住宅や建売住宅など、建築済みの家を購入しようと考えている方もいれば、注文住宅など、建物が完成していない物件を購入したいと考えている方に分かれます。ちなみに、建売住宅でも着工前に購入できるケースがあります。購入する家のタイプが異なれば、売りと買い、どちらを先行させるべきかは変わります
まず、着工前の建売住宅や注文住宅への住み替えを検討しているというケースは、家が完成するまでに時間がかかってしまうことから、工事契約を済ませてから元の家の売却に動くという手順が一般的です。つまり、買い先行になるということなのですが、この場合、工事期間中に売却活動を進め、家が完成するタイミングで売却ができるという流れを目指すのです。
注意が必要なのは、予定通りに売却が進めば問題ないのですが、何らかの理由で買い手が付かない…なんてことになると、ダブルローンの状態に陥ってしまうことになります。したがって、建設中に売却を完了させるためにも、不動産会社と相談しながら、売り出し価格の設定を見直す、内見時の対応をしっかりと行うなどの対策を施しましょう。
ちなみに、購入したい物件が中古住宅や完成済みの建売住宅の場合、売りを先行させると良いです。この場合、元の家の売却を先行させることで、新しい家の資金繰りが安定します。
住宅ローンの残債がある場合の住み替えについて
住み替えを検討した場合でも、住宅ローンが残っているケースでは、先に残債を処理しなければいけません。物件を売却する時は、原則として住宅ローンを完済し、物件に設定されている抵当権を解除する必要があるのです。住宅ローンの残債がある人が住み替えする場合には、何らかの方法で住宅ローンを完済する、もしくは抵当権を外すことができれば住み替えができるという訳です。
このケースでは、主に以下の方法で住み替えに動くことになります。
- 売却益、手持ち資金でローンを完済する
- 住み替えローンを利用する
- 賃貸に出す
最も一般的な方法は、売却益をローンの返済に充てて完済するという方法です。なお、売却益だけではローンが完済できない時は手持ち資金で補う必要があります。多くの場合、これで完済できると思うのですが、手持ち資金が心もとなく、売却益では残債が残ってしまう…なんてケースもあるでしょう。その場合は、住み替えローンを利用することになります。
住み替えローンは、新居の住宅ローンに、旧居の残債を上乗せするという特殊なローンのことです。このローンを利用すれば、契約上は旧居のローンが完済したことになるので、住み替えが可能になるわけです。ただ、住み替えローンは融資の審査が通常よりも厳しくなる、売却日と購入日を同日にしなければならないなど、いくつかの注意点が存在します。
最後の方法としては、売却するのではなく、旧居を賃貸に出し、家賃収入をローンの返済に充てるという方法です。いわゆる「不動産運用」などと呼ばれる方法で、うまく借り手がつけば資産を維持したまま住み替えができるでしょう。しかし、賃貸物件に切り替える際は、住宅ローンを不動産投資ローンに借り換えなければいけません。不動産投資ローンは、住宅ローンよりも金利が高くなるケースがほとんどなので、うまく借り手が見つからず空室になると負担が大きくなってしまいます。また、劣化が激しい住宅の場合は、入居者を見つけるためにリフォームしなければならない…なんてこともあり、新居の購入以外に多額の費用がかかってしまうケースもあります。
戸建てから戸建てに住み替えする時の注意点
それでは最後に、戸建てから戸建てへの住み替えを検討している方がおさえておきたい注意点をいくつかご紹介します。
売却益に期待しすぎてはいけない
一つ目の注意点は、旧居の売却益に期待を持ちすぎてはいけないという点です。
例えば、築年数がさほど経過していない一戸建ての場合、購入時の価格とほぼ同額で売れてもおかしくな…などと考えている方も多いのではないでしょうか?はっきり言っておきますが、この考え方は大間違いです。
戸建て住宅の場合、一度人が住んだ時点で中古物件という扱いになり、資産価値はかなり下がってしまうというのが一般的なのです。昨今では、地価が上昇していると言われているため、売却価格に期待を持ちたい気持ちも分かりますが、よほど地価の上昇が続いているような都市部でもない限り、戸建て住宅が購入時の価格よりも高く売れるなんてことはありません。
日本の戸建て住宅は、木造住宅がほとんどで、木造の住居は築20年が経過すると、建物の価値がゼロとみなされることとなります。もちろん、築20年程度の物件なら、多少のリフォームは必要なものの、中古住宅として十分に住み続けることができますので、解体しないと売れないとまでは言いません。しかし、住宅ローンを完済したうえで、次の家を購入するための頭金まで作れるなど、売却価格に期待しすぎて高値で売り出してしまうといつまでたっても買い手が付かなくて住み替えができない…なんてことになりかねないのです。
戸建て住宅を売却する時には、専門家に売却査定を行ってもらいますが、査定額通りで売却できるわけでもないのです。よほど資金に余裕がある…という方以外の場合、旧居の売却はある程度速やかに行いたいはずなので、売り時を逃さないようにするためにも、現実的な売却価格を想定しておくのがおすすめです。売却価格については、複数の会社に査定を行ってもらい、相場感をしっかりとつかむことも大切です。
売却に時間がかかることもある
家の売却については、売却価格だけでなく「すぐに売れるとは限らない」という点にも注意が必要です。立地条件などが良ければ、スムーズに売却が進むケースもあるのですが、売りに出しても内見依頼すら入らない…など、なかなか売れなくて困ってしまうなんてことがあるのが不動産売買の世界です。
特に、戸建てから戸建てへの住み替えを検討しているというケースでは、想定したスケジュール通りに売却が進まないことは問題になるケースもあります。例えば、ローンの残債がある場合、売却が長引くことで旧居と新居のローンを二重で支払わなければならなくなります。当然、旧居の売却が長引けば長引くど、支払い負担がのしかかってしまいます。
したがって、住み替えを検討して旧居の売却に動く際は、余裕のあるスケジュールを立てるようにしましょう。また、なるべく早く買い手を見つけられるようにする対策などを実施することも検討すべきです。例えば、建物状況調査(インスペクション)や内見時の印象を良くするためホームステージングサービスを利用するなど、売却のための準備も大切です。
家の購入・売却以外の部分に必要な費用について
家の住み替えを検討した際には、きちんと資金計画を立てなければいけません。ただ、資金計画については、家そのものの価格だけに注目するのでは後から困った事態になるかもしれません。
というのも、物件の売買時には多額の諸費用が必要になります。諸費用は、仲介手数料や印紙代、登記費用や抵当権抹消・設定費用など、さまざまな面にお金が必要になるのです。この他、旧居の売却と新居の購入にタイムラグが生じる場合、仮住まいを用意しなければならないため、仮住まいの家賃も考慮すべきです。さらに、戸建ての引っ越しは、かなりの費用がかかるため、引っ越し費用についてもしっかりと資金計画の中に含めておかなければならないでしょう。
戸建てから戸建てへの住み替えの場合、家の売買時に発生する諸費用だけで300~500万円程度必要になることもあるので、この部分を無視すると痛い目に遭います。
借り入れする場合の返済条件について
住み替えを検討する人の多くは、30代や40代など、現役世代の方が多いと考えられます。そのため、新たに住宅ローンを組むということも特に難しくないと思うのですが、返済条件については、慎重に検討しましょう。
というのも、40代の方がローンを組む際には、定年後も高確率で返済が続くことを意味しています。定年後は、現在と同レベルの収入を維持することはなかなか難しいでしょうし、返済期間を30年や35年などの長期間に設定するのはリスクが大きくなってしまうのです。
一般的に、住み替えにおける借り入れについては、今まで返済し続けていたローンの返済期間が伸びないように組むことが良いとされています。例えば、30歳の方が65歳の時に完済するように35年ローンを組んでいたというケースの場合、40歳で住み替えする際も、借り入れは65歳で完済できるように設定するという方法です。
これを意識しておけば、自分たちにとっての借入可能額も必然的に決まるため、無理のない範囲での借り入れにおさめることができるようになります。
新居選びについて
住み替えする際には、後悔のない新居選びがとても大切です。新居に求める条件や予算などについて、事前にしっかりと決めたうえで新居選びを進めるようにしましょう。何も考えずにたくさんの物件を見始めると、目移りして本来の目的を見失ってしまったり、理想が高くなって予算オーバーの物件を無理して購入する…なんて結果になることが考えられます。
特に、ご近所トラブルを原因として住み替えを検討しているという方は、転居先で同じようなことが起こらないようにするためにも、新居周りの状況などをあらかじめ調べておくことが大切です。中古住宅の場合、もともと住んでいた人にご近所に住む人の人柄などを聞いてみる、仲介会社に地域の情報を聞いてみるといった方法で確認してみましょう。新築の場合は、実際に住んでみないと分からない部分があると思いますが、内覧時にご近所さんに挨拶してみるなど、相性を確認する方法はいくらでもあるので、可能なものを試してみると良いでしょう。
なお、戸建ての住み替えはそう何度もある事ではありませんが、将来的にまた住み替えが必要になることも考えられます。したがって、新居を購入する際には、将来的な資産価値のことも考慮して物件選びを進めるのがおすすめです。購入することだけを考えると、旗竿地などの変形地の方が安く入手できますが、売却に苦労する可能性が高くなります。
特例や控除について
最後は、住み替えに伴う不動産売買について、利用できる特例や控除についてしっかりと調べておくというポイントです。例えば、家の売却時には、売却益(譲渡所得)を得ると税金が発生します。ただ、特例や控除などを活用することで納税額を減らすことが可能となるのです。当然、納税額を抑えることができれば、それだけ費用負担が少なくなることを意味しますので、利用可能なものを積極的に利用すべきです。
家の住み替えに関わってきそうな特例については、以下のような物があります。
- 居住用財産の特別控除(3,000万円の特別控除)
- 10年超所有軽減税率の特例
- 居住用財産の買い換え特例
譲渡所得は物件の所有期間で課税率が異なるので、住み替えの際は要注意です。また、住宅ローン控除は住み替え後の新居でも利用可能なので、その辺りの制度もしっかりと活用するようにしましょう。
家の住み替え時に利用可能な特例や控除、補助金などについては、情報を集めるだけでも大変なので、不動産会社などと相談しながら利用可能なものを選択していくと良いです。
まとめ
今回は、戸建てから戸建てへの住み替えが必要になる理由や、実際に住み替えを検討した時の注意点について解説しました。
マイホームを購入する際には、ほとんどの方が「一生を過ごす拠点を購入する」と考えているはずです。しかし、実際に歯、家を購入してから住み替えが必要になるなんてケースは珍しくなく、現在住んでいる家を売って新しく戸建てを購入しなければならなくなる可能性は誰にでもあるのです。
戸建てから戸建てへの住み替えを行う際には、現在所有している家を先に売るのか、新たな家を先の買うのか…という問題に悩む方が多いと思いますので、記事内でご紹介した内容をよく考え、自分に合った手順を選ぶと良いでしょう。
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