少子高齢化が進む日本では、住まいに関する疑問の中でも「老後の住まいはどの形がベストなのか?」ということに頭を悩ませる方が多いです。

例えば、子供が独立して夫婦二人暮らしになった、体の衰えが気になり始め階段のある生活が困難に感じ始めたなど、ライフステージの変化の中で「今のままの住まいの形では、将来暮らしにくさを感じるのでは?」と不安を抱えてしまう方も少なくなはずです。

ただ、住まいに関して漠然とした不安を抱え、住み替えを検討したとしても「どのような住み替え方法が良いのか?」「マンションと戸建てならどちらが自分たちに合っているのか?」が分からず、その選択肢の多さに最初の一歩をなかなか踏み出せないという人も少なくありません。インターネットでいろいろと調べてみても、「老後マンション 後悔」や「老後の住み替えに潜む恐ろしい罠」と言ったネガティブなキーワードが並んでいるため、住み替えの決断がなかなかできないという方も多いのです。

そこでこの記事では、老後の住まいについて考えた時、マンションと戸建てを選択した場合のそれぞれのメリット・デメリットや建て替え・リフォーム・住み替えを選ぶための判断基準などについて考えてみたいと思います。

老後の住み替えを検討するパターン

それではまず、シニア層の方が住み替えを検討する主な理由について考えてみたいと思います。もちろん、住まいに求める条件は人それぞれなので、老後の住み替えについても検討し始める理由はさまざまです。

ここでは、老後の住み替えを考える始める代表的な理由についてご紹介します。

①家族構成の変化により今の住まいに不満を感じ始める

一つ目は、家族構成の変化です。例えば、子供たちが全員独立して、夫婦二人暮らしになった、あるいは高齢者の一人暮らしになったというケースです。今までは、子世代も一緒に生活していたという住まいであれば、部屋数などもそれなりにあるはずで、これが二人暮らしや一人暮らしなどになると、その広さを持て余してしまいます。日常生活の中で使用するスペースは限られているのに、掃除などのお手入れや家の維持管理は今まで通りに行わなければならないため、「広い」という条件が負担になってしまうわけです。

そこで、今の家族構成に合わせた広さの住まいへの引っ越しを検討し始める方が多いです。この場合、住み替えによって以下のようなメリットが得られます。

  • 住まいのお手入れや維持管理の手間が減る
  • 光熱費が安くなる
  • 固定資産税などの負担も軽減される

今の暮らしに合わせた広さの物件に住み替えを決断することで、生活のしやすさだけでなく、コスト面に関してもメリットが得られる可能性があります。

②身体的な理由で住みにくさを感じ始める

二つ目は、年齢を重ねることで、体力や身体機能の低下を感じ始め、現在の住まいに対して「住みにくさ」を感じ始めるというパターンです。例えば、狭小地に建てられた3階建て住宅などになると、主たる生活スペースは2階以上の部分となります。この場合、毎日の生活で階段移動が必ず発生するため、日常生活における身体的負担が大きくなってしまうのです。また、もともとバリアフリーについて考慮されていなかった家の場合、各所にある段差などで躓く機会が増え、普段の生活で危険を感じる場面が増えてしまいます。

こういった問題を抱えた時には、より安全に負担なく生活できるような住まいへの住み替えを検討する方が多いのです。年齢を重ねると、今まで気にもしなかった部分に不便さを感じるようになり、小さな不満が積み重なり、住まいの見直しを検討し始める方が多いです。

③現在の住まいの老朽化

老後の住み替えについては、現在住んでいる家の老朽化も大きなきっかけになります。「子供が独立して夫婦二人暮らしになった」などというケースでは、家そのものが築30年を超えていて、各所にさまざまな不具合が生じ始めているという状態も珍しくありません。

この場合、修理やリフォームにコストをかけるのであれば、今の自分たちの生活に合った広さの物件に住み替えした方が良いのではないかと考える人もいるのです。もちろん、このケースでは、建て替えを選択する人も多いです。どちらにせよ、築年数が経過して大規模なリフォームが必要なのでは…と考えられる家の場合、老後の生活の利便性を重視して、住まいそのものを見直したいと考えるきっかけになるようです。

④介護や医療を意識する

現在の住まいの立地条件などによっては、将来的な介護やかかりつけ病院への通院のことを考え、より利便性の高い場所への住み替えを検討するパターンも多いようです。

例えば、近くに大きな病院がなく、万一の際に不安を感じるという方の場合、医療施設が整っている街中への引っ越しを検討するかもしれません。また、介護のことを見据えて、バリアフリー化が重視された物件や訪問介護が受けやすい間取りへの対応などを、健康なうちに意識して、建て替えや住み替え計画を立て始めるという人も多いです。

老後の住まいはマンションと戸建てならどっちが良い?

それではここからは、老後の住まいのことを考えた時、マンションと戸建て住宅ならどっちの選択が良いのかについて解説していきます。

もちろん、住まいに求める条件は人それぞれ異なるため、マンションと戸建てどちらか一方が「誰にとっても正解」とは言えないのが実情です。ただ、「老後は、マンションと戸建てどっちが向いているのか?」という問題については、多くの方が気になってしまうテーマだと思います。

そこでここでは、マンションと戸建て住宅について、老後の住まいとして考えた時のそれぞれのメリット・デメリットを紹介する形で比較してみたいと思います。どちらが良いのかについては、それぞれのメリット・デメリットから「自分が求めている暮らしを実現できるのはどちらか?」という視点で判断すると良いのではないでしょうか。

老後の住まいとしてマンションを選ぶメリット・デメリット

それではまず、老後の住まいとしてマンションを選択するメリットとデメリットについて解説します。この場合、現在の住まいは売却して住み替えるという選択になります。

老後の住まいとしてマンションを選ぶメリット

まずはマンションを選択するメリット面からご紹介します。戸建てではなく、マンションを選んだ場合、以下のようなメリットが得られます。

  • 立地的に利便性が高い
    マンションは、駅近や商業施設に近いなど、利便性の高いエリアに建設されます。そのため、戸建てと比較すると、日常生活における買い物や通院などの負担が軽減されます。また、立地条件が良好な物件であれば、将来的に売却することを考えると「買い手を見つけやすい」という点も優れています。
  • 建物の維持管理の手間が省ける
    マンションの場合、建物そのもののメンテナンスに関しては、管理組合が主体となって行います。外壁や屋根の修繕、塗装工事などについて、住人が業者の手配などを行う必要がないため、維持管理の手間が大幅に軽減されます。
  • 防犯対策が強固
    今時のマンションであれば、オートロックや防犯カメラシステムが設置されているのが当たり前です。また、物件によってはコンシェルジュが常駐しているケースも増えていて、部外者の侵入を防いでくれます。そのため、空き巣被害や悪質な営業の被害を受ける心配が少なくなります。
  • バリアフリー設計が整っている
    少子高齢化が進む日本では、バリアフリー対応が整備されたマンションが増えています。そのため、日常生活の中で段差に躓くといった不安が少なくなります。また、車椅子などを利用する際も移動がしやすいです。
  • 階段移動の負担がなくなる
    マンションの場合、居住スペース内での階段移動がなくなります。一部、専有部分内に階段がある間取りの物件もありますが、そういったタイプを選ばなければ、日常生活の中で階段移動を負担に感じることはありません。また、共用部についても、エレベーターが搭載されているのが当たり前になっていますし、移動の負担は軽減されます。築年数が新しいマンションであれば、エントランスなどにスロープが用意されるなど、共用部もバリアフリー対応がなされているので、安全性も高いです。

上記の通り、老後の住まいとして「マンション」を選んだ時には、日々の暮らしにおける負担の軽減や利便性能向上と言った部分が大きな魅力になります。また、きちんと将来的なことも考慮して物件選びを進めれば、バリアフリー環境や介護対応のことまで考慮されているので、安心感が高い暮らしを実現できます。

老後の住まいとしてマンションを選ぶデメリット

次は、マンションのデメリット面についてです。以下のような点はデメリットになるので、安易にマンションという選択は選ばないようにしましょう。

  • 管理費・修繕積立金などのコスト負担
    マンションを選んだ場合の最大のデメリットは、管理費・修繕積立金と言ったコストが毎月発生するという点です。年金生活になって、固定の収入がない人の場合、この毎月の支出が大きな負担になります。特に、築年数が経過していくと、修繕積立金が値上がりする可能性もあるので、大きな不安となってしまいます。
  • 管理組合の役員当番が負担になる
    異なるご家庭が共同で生活するマンションなどは、管理組合の運営に区分所有者として参加が求められます。役員などは当番制になっているのが基本なので、何らかの役割をこなさなければならないでしょう。高齢者の場合、この役員当番が大きな負担になる場合も多いです。
  • 自由度が低さに不満を感じるケースがある
    マンションは、戸建て住宅と比較すると、さまざまな面で自由度が低いと言えます。例えば、自分が購入した専有部分であっても、間取りの変更や大規模リフォームに対しては制限が設けられています。また、日常生活においても、ペットの飼育や騒音への対応など、管理規約として定められるルールにしたがって生活をしなければならないのです。購入前にきちんと管理規約を確認しておかなければ、自分の趣味が制限されてしまうなどの問題が生じる可能性があります。

マンションは、異なる生活スタイル、考えを持つ人が非常に近い位置で生活することになります。そのため、ちょっとした音の問題で隣人トラブルが発生してしまうリスクが意外に高いのです。戸建て住宅と比較すると、日常生活における自由度は確実に下がってしまうと考えた方が良いです。
また、コストの面に関しても、管理費と修繕積立金として毎月それなりの額の支出が発生します。これらは、建物のメンテナンスなどを手配するための費用を積み立てておく形なので、致し方ない面はあります。しかし、老後の年金生活になってからと考えると、家計への影響は想像以上に大きくなる可能性があるので注意しましょう。

老後の住まいとして戸建てを選ぶメリット・デメリット

次は、戸建てを選ぶ場合のメリットとデメリットです。

老後の住まいとして戸建てを選ぶメリット

戸建てのメリット面は以下の通りです。

  • 住まいに対する自由度が高い
    戸建ての場合、マンションのように「一部を専有している」というわけではなく、物件全体の所有権があります。そのため、生活スタイルに合わせて間取りの変更をしたいなど、大規模なリフォームでも自分の意思で実行できる自由度があるのです。マンションは、専有部分でも制限がかけられているので、「やりたいことができない」ことに不満を感じるケースもあります。戸建ての場合は、そういった制約が少ないという点がメリットです。
  • 戸外スペースを持てる
    「それなりの敷地面積を確保する」という条件が付きますが、郊外にある戸建ての場合、余裕のある敷地を確保しやすいので、居住のためのスペース以外にも、広い庭や駐車場と言った戸外スペースを確保できます。これにより、ペットと遊ぶ、ガーデニングを楽しむなど、日々の生活を充実させることが可能です。また、駐車場の設計によっては、買い物帰りの荷物を持ち込みやすくできるなど、生活利便性を向上させることもできるでしょう。
  • ペットを飼育するなど、趣味への対応がしやすい
    戸建ての場合、マンションのようにお隣の生活空間と構造物でつながっているという状況ではありません。そのため、ペットを飼っていてもその鳴き声に苦情が出るといった心配が少なくなります。また、防音工事なども自由に施すことができるようになるので、楽器の演奏など、音が出る趣味でも気兼ねなく楽しむことができるようになります。

戸建てという選択肢は、やはり自由度の高さがメリットです。物件全体が自分が所有しているわけなので、コストを度外視すれば、自分たちの生活スタイルに合わせて、自由に手を加えることができます。また、建物が独立して建築されているので、生活音などを原因に近隣の方とトラブルになるといった心配も少ないです。

戸建て住宅は、自分たちだけが生活する空間となるので、プライバシーを守りやすく、自由度の高い暮らしを楽しむことができるでしょう。

老後の住まいとして戸建てを選ぶデメリット

次は老後の住まいとして戸建てを選ぶデメリットについてです。以下のような点がデメリットになるでしょう。

  • 修繕、メンテナンスの手配を全て自分で行う
    戸建ての場合、住まいの維持管理については、自分で計画を立てて、必要な時に最適な業者を手配しなければいけません。当然、修繕工事やメンテナンス工事を実施する場合、それなりの費用がかかります。つまり、マンションの場合は、省けていたものが、戸建ての場合は、自分の時間と労力をかけなければならなくなるのです。当然、それなりの時間がかかるため、体力的にも精神的にも負担が増えてしまいます。
  • 階段移動が生じる可能性がある
    階段のある戸建て住宅の場合、上り下りの負担が大きなデメリットです。2階建て以上の住戸となると、生活スペースが1階部分に集中して、2階以上をうまく使いきれない…となる可能性が高いでしょう。もちろん、この問題については、平屋にすれば解決可能です。ただ、平屋の場合、満足のいく居住スペースを確保するには、かなり広い敷地面積が求められるため、家の入手コストが高くなる可能性があります。
  • セキュリティ面に不安が残る
    空き巣などの侵入犯罪については、マンションなどの共同住宅よりも戸建てが狙われやすいです。しっかりと防犯対策を実施していたとしても、高齢者だけで住んでいる家の場合、どうしてもリスクが高くなってしまうのです。マンションの場合、非常に高度の防犯対策が施されているうえ、すぐ近くに別のご家庭が生活しているので、安心感が高くなります。

戸建ての、「自由度が高い」というメリットは、「自分で対応しなければならないことが多い」というデメリットにもなるのでその点は注意した方が良いです。

建て替え、リフォーム、住み替えの判断基準について

老後の住まいの見直しについては、「マンションか戸建てか?」以外にも、「建て替えかリフォームか、それとも住み替えか?」という点をテーマとしている方も多いはずです。現在、戸建て住宅に住んでいる方で、立地条件などは気に入っているという方の場合、わざわざマンションへの住み替えは選ばない可能性が高いです。この場合、既存の住宅をリフォームして現在の暮らしに合わせるか、はたまた建て替えするかで悩むのです。

そこでここでは、老後の住まいの見直しについて、建て替えとリフォーム、住み替えを判断する際の基準について考えてみます。

リフォームを選ぶべきケース

築年数がそこまで経過していない住宅の場合、「建て替えや住み替えを選ぶのはハードルが高い」と感じる方が多いと思います。実際に、以下のような状況であれば、建て替えや住み替えではなく。リフォームで対応するのがおすすめです。

  • 住まいの見直しにかかる費用をできるだけ抑えたい
  • 現在の間取りや住環境に対して満足感が高く、部分的な改修で対応できる
  • 築年数がまだ浅く、建物そのものの状態が健全である場合
  • 再建築不可物件
  • 生活環境は大きく変えたくない

建物の状態が比較的良好であるなら、リフォームで「理想の住まいに近づける」という選択が望ましいでしょう。住み替えや建て替えと比較するとコストを抑えることができますし、生活環境そのものは大きく変える必要が無いので、人間関係なども維持することができます。
ちなみに、再建築不可物件の場合、住み替えという選択を選ばない場合は、必然的にリフォームという選択になります。コストをかけて、再建築を可能にすれば建て替えも選べますが、なかなかハードルが高いと思います。

建て替えを選ぶべきケース

次は建て替えを選ぶべきケースです。簡単に言うと、「リフォームでは対処しきれない」というケースなら建て替えか住み替えを選ばなければいけません。例えば、以下のような条件なら建て替えが良いでしょう。

  • 築年数が経過していて、リフォームでは対処しきれないほど老朽化している
  • 耐震性に問題がある(旧耐震基準をもとに建てられているなど)
  • 階段移動を無くすため平屋にしたいなど、構造そのものを大幅に変更したい
  • 生活環境は大きく変えたくない

生活環境そのものは維持したいと考えている人で、上記のようなリフォームでは対処しきれないケースは建て替えを選択すべきです。例えば、階段移動に負担や危険性を感じ始めたから、平屋に住みたいと考え始めた…というケースなら、リフォームなどで対処することはできません。そのため、このような場合は、既存の建物を一度解体し、新たな家を建てるという建て替えを選択すべきなのです。

建て替えの場合、断熱性や気密性、耐震性など、高い住宅性能を確保しつつ、バリアフリー対応など、現在や将来的な暮らしに合わせた対策を組み込むことができる点がメリットです。

住み替えを選ぶべきケース

最後は住み替えを選ぶべきケースです。以下のような考えを持っている方は、生活環境そのものを変更するのがおすすめです。

  • 駅近や都市部など、生活利便性の高い場所で暮らしたい
  • 田舎でゆったりと暮らしたい
  • 戸建てではなく、マンションの方が住みやすいと考え始めた

住み替えは、現在の生活環境そのものを変えたいと考えている方にお勧めの選択肢となります。「戸建てからマンション」など、建物構造だけでなく、より住みやすそうな戸建てへ引っ越すという選択をする方もいるのです。

住み替えは、生活環境を丸ごと見直すという形になるため、その変化に対応するのにある程度の負担がかかる点は注意しましょう。

まとめ

今回は、老後の住まいの考え方について、「戸建てかマンションか?」「建て替えかリフォームか、それとも住み替えか?」と言った多くの方が頭を悩ませるテーマについて解説しました。

少子高齢化が進む日本では、この記事で紹介したような内容に頭を悩ませている人が多くなっています。どの選択についても、全ての人にとって正解と言えるわけではないため、それぞれの方が自分が理想とする暮らしを具体的にイメージしながら、最適な住まいの形を検討してみると良いでしょう。

老後も住みやすい住まいを実現するため、自宅のリフォームや建て替えを検討しているという方は、お気軽に悠建設にご相談ください。

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