どのような建物であっても、新築時の状態を一生保ち続けることはできません。どれだけグレードの高い材料を採用していたとしても、紫外線や風雨などの外的要因や、使用による摩耗などによって徐々に劣化が進行していくため、いずれ修繕やリフォームを実施しなければならないのです。

特に、住宅リフォームの中でも、外壁や屋根に関わる点検、メンテナンスは、皆さんが考えている以上に小まめなタイミングで手を入れる必要があるのです。外壁や屋根は、日射や風雨の影響から中に住む人を守るために存在するので、建物の中でも最も負担が大きくなる部分で、適切なメンテナンスを実施しておかなければ、雨漏りなどの致命的な問題を誘引してしまうのです。

家を良好な状態で維持するためには、適切なタイミングで外壁・屋根の塗装のやり替えや防水処理のメンテナンスなどが必要不可欠です。しかし、どのような状態になった時に「塗装メンテナンスが必要か?」という点について、一般の方では正確な判断を下すことが難しいです。そのため、住人さんの不安に付け込む形で、悪徳なリフォーム業者が声をかけてきて、リフォームトラブルに発展するという事態が後を絶たないのです。

そこでこの記事では、外壁塗装など、家のメンテナンスについて、悪徳業者に騙されないようにするためのポイントなどについて解説します。

消費者センターへのリフォームトラブル相談件数について

リフォームトラブルの被害に遭った経験がない人であれば「巷で言われているような悪徳業者によるリフォーム詐欺なんて本当にあるのか?」と、その存在を疑問に感じてしまうかもしれません。

しかし、国民生活センターが定期的に公表しているデータを確認すると、リフォーム工事に関する訪問販売や点検商法に関するトラブルの相談件数が、年間1万件前後に達しているという状況が続いているのです。ここではまず、世の中で起きているリフォームトラブルの実情を確認するため、国民生活センターに、年間どれほどの相談が来ているのかに関する情報をご紹介します。

まずは、リフォームに関する訪問販売の相談件数からです。突然やってきた営業マンの話を聞き、しつこく契約を迫られ「断り切れなかった…」「不要だと感じるリフォーム工事の契約をしてしまった…」といった相談は、以下の通り現在でもかなりの件数に上るのです。

  • 2022年:相談件数 10,099件
  • 2023年:相談件数 11,878件
  • 2024年:相談件数 9,820
  • 2025年(5月31日時点):相談件数 679(前年同期 1,313)

上記の通り、訪問販売に関する相談については、2024年までが年間1万件前後となっています。2025年の件数を見ると、大きく減少しているように思えますが、実はそうではないのです。

リフォームに関する消費者トラブルに関しては、ここ数年、訪問販売よりも点検商法と呼ばれる手口が使われるようになっていて、こちらの件数が大幅に増加しているのです。点検商法は、「無料で点検して回っています」などと近づいてきて、リフォームの必要性を強く指摘され無理矢理に契約させるという商法となっています。緊急性の高い損傷でなくても「このまま放置すると雨漏りする!」などといって、住人の不安をあおり工事契約をさせるといった手法となります。

この点検商法に関する相談件数は以下の通りです。

  • 2022年:相談件数 8,166件
  • 2023年:相談件数 12,550件
  • 2024年:相談件数 19,215
  • 2025年(5月31日時点):相談件数 2,002(前年同期 1,771)

上記の通り、点検商法に関する相談件数が急増していて、2024年にはなんと2万件近くの相談が入っています。また、2025年についても、昨年度比で増加しているという状況なので、単純な訪問販売ではなく、無料点検などを装って近づいてくるという手口が増えているということがよくわかります。

ちなみに、住宅リフォームに関するトラブルについては、国民生活センターなどに相談することなく、そのまま泣き寝入りしている方も多いとされているので、潜在的な被害者はもっと多くいると言われています。持ち家に住んでいる方であれば、いずれ必ず外壁塗装などのリフォーム工事を実施しなければならないので、いつこういった悪質な業者の手口に騙されてもおかしくないと考えておかなければいけません。そして、被害に遭わないようにするためには、どのような手口で近づいてくるのかを知っておくという方法が非常に有効です。

次項で、訪問販売や点検商法と呼ばれる悪質な手口についてもご紹介していきます。

データ参照:国民生活センターHPより

悪質リフォームトラブルでよく見られる手口を紹介

それでは、悪質なリフォームトラブルに発展するかもしれない、危険なリフォーム業者が良く使用する手口について解説していきます。

いきなり訪問してきた営業マンが、以下のようなセールストークを使っている場合、「危険なのではないか?」と考えた方が良いです。もちろん、訪問販売という営業形態を採用している業者全てが悪質な業者というわけではありません。外壁や屋根など、外装部分の劣化に関しては、敷地外から建物の見ただけでも、リフォームの必要性や緊急度がある程度判断できるものであるため、通常のリフォーム会社の中にも訪問販売という営業方法を現在でも採用している企業があるのです。

悪徳リフォーム業者と契約しないようにするための対策については後述するので、ひとまず以下のようなうたい文句を使用して近づいてきた業者は警戒感を持って対応するようにしましょう。

①「実績作り」「モニター価格」を主張して安価で施工すると近づく

訪問販売の入り口としてよく使われるセールストークが「弊社の実績作りなので」「モニターになってくれるお宅を探しているので」と言ったものです。

簡単に言うと、新興の優良企業を装って契約を取る手法となります。どのような業界でも、企業名が通った有名企業は顧客から安心感を持たれます。「大手企業なのだから悪いことはしないだろう」という先入観を誰もが持っていますし、実績を豊富に持っているので施工も丁寧に行ってくれると考えるのです。
そのため、悪徳業者の中には「この地域で自社の名前を売るために実績を作りたい」という理由を提示して、「モニターになってくれるのなら安く施工する」と提案するのです。しかし、このようなセールででは、最初に非常に高額な値段を提示して、その後に「モニターになってくれるなら〇万円値引きします」とお得感を示します。ただ、この場合、最終的に提示される価格は、相場よりも割高な価格で、お客様にとっては何の得もない提案になっているという状況なのです。

住宅リフォームの価格は、建物の大きさや施工条件によって変わるため、他の商品のような定価というものがありません。そのため、値引きしてもらえたという印象だけで安く感じてしまう人がいて、そのまま契約してしまう人がいるのです。こういった手口に引っかからないようにするには、あなたが希望するリフォーム工事の相場価格をきちんと調べるということが大切です。相場価格も分からない状態なら、「実績作り」として提示された価格が本当にお得なのか判断できません。

実績作りやモニター価格などとして数十万円単位の値引きを提示してくる業者があった場合、その話をうのみにするのではなく、他の業者の話もきちんと聞いて比較検討できる体制を作りましょう。

②「キャンペーン」を主張して安価で施工すると近づく

実績作りやモニター商法と似ている手法に、「弊社独自のキャンペーン中で…」と言って近づいてくるという手口もあります。これも悪徳業者の常套句なので注意しましょう。

もちろん、キャンペーンについては、優良業者も実施していて、何らかのキャンペーンを銘打って割引しているケースがあるので、「キャンペーン」と言葉が出てきたから危ないとまでは言いません。しかし、そのキャンペーンの内容や、最終的な工事見積の金額などをしっかりと確認して、本当にお得に工事ができるのかはチェックする必要があります。

中には、「キャンペーンで足場代を無料にしています」などといっておきながら、施工費の部分を割高に設定していて、実質的な割引が一切ないという状況も考えられるのです。

③顧客の不安を必要以上に煽ってくる

点検商法にありがちなパターンがこの手口です。住宅メーカーの定期点検などを装ったり、地域の住宅を無料で点検して回っていますなどといって近づいてくるのですが、実際に点検してもらうと「屋根材がダメになっている」「外壁にひびが入っている」などと指摘し、このままの状態で放置すると「雨漏りしますよ!」「地震で倒壊する危険がある」などと、住人の不安を煽ってくるのです。

当然、専門業者に見える人に「このままでは危険だ!」と言われると、リフォームしなくてはならないように感じるでしょう。しかし、顧客の状況を無視してまで契約を急がせようとする業者は危険だと判断したほうが良いです。

まともな業者であれば、急な契約を迫り、顧客に考える余裕を与えないなんてことはしませんし、何より顧客の不安を煽り冷静さや判断力を奪ったうえで契約させるといった営業は行いません。特に、「他の業者にも点検してもらいます」などといっているのに、「すぐに修理しないと危ない!」などといって契約を迫るような業者は絶対に危険です。

④突然訪問してきて「無料で点検します」という

昨今、住宅リフォームに関するトラブルでは、このセールストークを謳い文句として近づいてくるケースが非常に多いです。「無料」と言われると、つい点検を依頼したくなるものですが、その後の展開は悪い方向に向く可能性があるので、初めて訪問してきた業者に家を点検させるのはおすすめできません。

タダと言われると「損をするわけじゃないし良いか」と軽い気持ちで点検を依頼する人がいます。しかし、業者側はあくまでも「セールス」として訪れているということを忘れてはいけません。実際に点検をしたと装って、「○○の部分が悪くなっているのでこのままだと危ないですね」「早めに修理したほうが良いですよ」などと、さも恩を売ったような態度でリフォームの必要性を訴えてくるはずです。

この場合、気の弱い住人さんであれば、「せっかく点検してもらって悪い部分を見つけてもらったのだから修理も依頼したほうが良いのかな?」と考えてしまうかもしれません。そうすると、業者側は、相場よりも割高な修理費用を請求して、結果的に消費者が損をする可能性があるのです。

さらに、点検商法で問題となっているのは、本来修理の必要性のない損傷を顧客の不安を煽って契約させる、さらに最悪なのは、点検を装って業者側が故意に破損させて修理契約をさせるといった非常に悪質な行為が報告されている点です。無料の点検と言われると、自分に損はないと考えてしまい、心理的ハードルが下がる人もいますが、知らない人を家の中にあげるという行為は、何をされるのか分からないと考えた方が良いです。

⑤近所の施工現場で使用している足場を流用するので安くできる

この手口は、顧客側に納得感のある割引理由を提示して契約させるという手法です。よく採用されるのが「近くで施工していて、そこで使っている足場を流用できるので運搬費を安くできます」などというセールストークです。これは、外壁や屋根の塗装に関する悪徳業者の常套句と言えるので注意しましょう。

外壁塗装や屋根塗装、屋根材のやり替えを行う際には、職人の安全を確保したり、塗膜を強固で美しく仕上げるために足場が欠かせません。そのため、この部分の費用を節約できるとなると、お得に自宅のリフォームができると顧客側も納得できる理由になるわけです。

ただ、足場のくみ上げに関しては、国家資格保有者を同伴する必要があり、人件費が必ずかかります。また、足場代のレンタル費用も発生するため、近くから持ってくるという理由で、半額になったり無料になったりすることはないのです。このセールストークは、あくまでもお得感を醸し出すための手口なので、施工費が本当に安くなっているわけではない可能性が高いので注意しましょう。足場を理由にすれば、即決を煽りやすくなるの、セールス側にとって理由にしやすいだけで、本当に近所で工事をしているのかどうかさえ疑わしいです。

⑥すぐに契約してくれるなら割引します

このようなその場での即決を煽る行為については、皆さんも「危険な業者かな?」と感じるようになっていると思います。しかし、現在でもこの手口に引っかかる方が一定数いるので、いまだに使い続けている業者もあるのです。

そもそもその場で契約を迫るという業者の心理は、「契約を取りたい」という考えよりも「他の業者の話を聞かせたくない」ということが最も大きな理由です。このタイプの業者は、自社の利益を最優先と考えていて、「いかに手短にあなたから大金を巻き上げられるか」しか考えていないと言えます。他の業者に相見積もりを取られると、自社が提示した見積り金額が「割高である」ということがばれてしまう為、とにかく契約を急かしてくるのです。

上で紹介したキャンペーンやモニター価格も同じですが、業者が提示する金額が、「その場でなければ割引できない!」なんてことはあり得ません。例えば、消費税が増税される前日であるなど、日本国内の経済の流れが大きく変わる転換期ならあり得ますが、自社のキャンペーンなのですから、翌日や一週間後に返答して割引ができなくなるなんてことはあり得ないはずなのです。
それなのに、「今しかこの金額を提示できない」など、あなたを焦らせるような営業トークを使ってくる業者は危険だと考えた方が良いです。

⑦他社の見積りを見せてくれたらそこから1割引きます

悪質な営業会社の中には、他社の施工提案や見積書を盗用する場合もあるのです。自社で点検などをせずに、他社の提案を見せてもらい 「うちなら同じ施工内容でもっと安く請け負えますよ」などといって契約を取ろうとするのです。

この方法については、顧客側にとっては値段が安くなるというメリットがあると感じるかもしれません。しかし、点検もまともに行っていない業者が、他社が提案した施工を本当にそのままできるかというと、なかなか難しい話なのです。そもそも、他社の提案書を盗用するような会社な訳ですし、まともな施工をする業者とは決して思えないはずです。

このようなケースでは、見積り書に記載されている材料よりもグレードを下げることで自社の利益を確保し、結局は施工を依頼した顧客側だけが損をするという結果になるケースが多いです。

リフォームトラブルに遭わないようにするための対策

それでは、訪問販売や点検商法によるリフォームトラブルの被害に遭わないようにするための対策について解説していきます。

上でも紹介していますが、訪問販売や点検商法の危険性が指摘されている昨今でも、年間1万件以上の相談が国民生活センターに入るという状況が続いています。こう聞くと「リフォームトラブルの被害は、自分では防げないのではないか?」と感じてしまいますが、実はそうでもないのです。

訪問販売や点検商法による被害を防止するためには、以下で紹介する非常に単純な方法を意識するだけで、おおよその問題を解決することができます。ここでは、皆さんにもおさえておいてほしいトラブル防止策についてご紹介します。

訪問販売、点検商法を信用しない

一つの対策は、突然自宅に営業マンが訪問してくるスタイルの営業方法を信用しないというものです。もちろん、訪問営業形式を採用している業者全てが悪徳だと言っているわけではありません。しかし、今の時代、自分で信頼性が高そうな業者を簡単に探すことができるようになっているため、わざわざ危険度の高い訪問販売や点検商法を選ぶ必要性がないのです。

外壁や屋根のリフォームを考えた時には、インターネットを使って近くの業者をすぐに見つけることができます。そして、自分で見つけた複数の業者に点検してもらい、必要な工事の内容と見積り金額を出してもらい、比較検討するのが最も安全なのです。ネットで検索すれば、業者の口コミ情報なども確認できるので、その業者の過去の行いなども調べることができます。

訪問販売や点検商法の業者は、いきなり自宅に訪問してきて、その業者の評判なども分からない状態です。そのため、基本的には話を聞かずに断るという対応が最も安心です。特に、点検商法に関しては、故意に破損させられるリスクがあるので、無料とはいえ知らない人を家にあげないのがおすすめです。

ちなみに、訪問販売は「リフォームの必要性を測る」という点では便利です。訪問販売の営業マンは、外壁や屋根の状況などを確認したうえで声をかけてきています。この場合、新築されたばかりで、塗装の必要性などが一切ない家は選ばないのです。営業マンが声をかけてくるということは、見た目上「劣化が進んでいる」と判断したということなので、そろそろリフォームが必要なのかな…と考え始めるサインにするのは良いと思います。

即決せずに他の業者の話も聞く

訪問販売や点検商法の営業を迎え入れた場合でも、即決するのは絶対にやめましょう。例え「今契約するなら割引する」「キャンペーンなのでこの価格は今だけ」などといわれたとしても、その場で契約する行為は危険しかないのです。先程も紹介した通り、業者側が決める価格は、「今だけ提示できる」というものではなく、あくまでも即決をさせるための営業トークです。後から連絡しても、何かと理由をつけて同じ金額を提示してくるので、心配ありません。また、点検商法の「今すぐ工事しないと危険」というセリフも、単なる営業トークなので安心してください。

訪問販売の営業を受けて、リフォームの必要性を感じたのであれば、即決するのではなく、他の業者にも現地調査してもらい、見積り書を提出してもらうと良いです。そうすれば、工事にかかる費用の相場を掴むことができるので、不当な高額請求の被害に遭う可能性が少なくなります。

インターネットで検索すれば、近くの業者のHPがたくさん出てくると思うので、即決せずに2~3社に相談し、比較検討できる体制を作りましょう。

意思をはっきりと伝える

訪問販売や点検商法の営業を受けた際、自分の意思ははっきりと伝えるということが大切です。即決するつもりがない、契約するつもりがないという場合、「検討しておきます」「家族と相談します」など、曖昧な返答を返すのではなく、「他の業者の話も聞くので即決は絶対にしません。」断るのであれば「今回は契約するつもりが無いので、お引き取りください」などと、はっきりと自分の意思を表明しましょう。

「穏便に済ませたい」「波風を立てたくない」という気持ちで曖昧な返答を返すと、契約させようと長時間粘られる、何度も再訪問されるなど、損をするのはあなただけになるのです。はっきりと断るのが苦手という方は、「知り合いの施工店に依頼している」など、付け入る隙がないという明確な理由を提示すると引いてもらいやすくなります。

まとめ

今回は、持ち家に住んでいる方全てが注意しておきたい、リフォームトラブルに合わないための情報について解説しました。

記事内でもご紹介したように、誰でも簡単にいろいろな情報を手に入れることができるようになった現在でも、訪問販売や点検商法と呼ばれる方法でリフォームトラブルの被害に遭ってしまうという人が後を絶ちません。先程紹介した通り、点検商法に関する相談件数は、年々増加傾向にアリ2024年には年間で2万件近くもの相談が入るようになっているのです。さらに最近では、実際に点検商法による悪徳リフォーム業者が逮捕されたというニュースを見かける機会も増えています。

こういったリフォームトラブルの被害に遭わないようにするには、悪徳業者がどのような方法で近づいてくるのか、またどのような点に注意して置けば良いのかを普段から意識しておくことが大切です。最も簡単な被害防止方法は、突然やってきたリフォーム業者の話は一切聞かないという方法です。リフォームの必要性を感じた場合は、自分で業者を探し、相見積もりを取れば良いだけなので、突然やってきた知らな業者の提案を真剣に聞く必要はないのです。

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