
日本は、地震や台風などの自然災害が多い国として有名です。特に台風については、毎年必ず複数の台風が日本に上陸していますし、季節の移ろいを表す風物詩のような物という印象を持っている方も多いかもしれません。地震と異なり、台風の場合は天気予報によって事前に進路などの情報が伝えてもらえるため、その他の自然災害と比較すると、対策がしやすいという特徴があります。
そのため、台風に対しては、地震などの災害と比較すると、その脅威度について一段下に見ているという方も多いように感じます。しかし、昨今日本に上陸する台風は、年々大型化が進んでいるとされていて、今までにない大きな被害を生じさせるようになっているのです。例えば、2023年初夏に発生した台風は、台風による被害のイメージが少ない茨城県や埼玉県の一部で床上浸水に見舞われる住宅がたくさん出たという被害が出ています。この他にも、令和元年に発生した台風第15号は、関東地方に上陸した台風としては観測史上最強クラスの勢力で上陸し、千葉県を中心に非常に甚大な被害を生じさせたということは、皆さんの記憶にも新しいのではないでしょうか?2018年には、大阪でも台風21号によって大きな被害が生じました。
日本人にとって、台風は毎年やってくる風物詩のようなイメージがありますが、昨今の台風被害を見ると、決して油断できるような災害ではないということがよくわかります。そこでこの記事では、一戸建て住宅の台風への備えはどのようなことをすれば良いのかについて解説します。また記事内では、台風に強い家の特徴なども簡単にご紹介するので、これから家の購入を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
台風による主な住宅被害は?
それではまず、台風によってどのような住宅被害が考えられるのかについてご紹介します。台風は、強風を伴った大雨のことを指していて、住宅被害については「強風が原因となるもの」と「大雨が原因となるもの」の2パターンが考えられます。
ここでは、台風によって発生すると考えられる主な住宅被害をご紹介します。
強風によって住宅が破損する
台風は、非常に強い風が数時間にわたって続くことが多いため、その風力によって屋外にあるものが飛ばされてしまうことがあります。住宅被害では、強風によって屋根材が飛ばされてしまう、雨樋が破壊されるなどの被害が良く発生します。場合によっては、屋外に設置されているプレハブ小屋や自動車などの重量物まで横転させてしまうことがあるなど、強風による被害は決して侮れないのです。
また、台風による住宅被害では、単に強風で建材が飛ばされるだけでなく、近隣住宅からさまざまなモノが飛ばされてきて、それが自宅に衝突することで破損するといった被害も多いです。台風による強風は、瓦や植木鉢など、それなりの重量のある物でも簡単に吹き飛ばす力があるため、飛来物が外壁や窓ガラスに衝突して割れてしまうといった被害が生じることは珍しくないのです。
この他、自宅近くにある電柱や樹木が強風で倒れ、自宅に衝突することで、家の一部が破損するといった危険も考えられます。
雨漏り被害
台風によって表面化しがちな住宅被害としては、雨漏り被害があります。先ほど紹介したように、強風で屋根材が飛ばされる、飛来物が自宅に衝突して外壁などに穴が開くといった被害が出た時には、破損個所から雨水が侵入してしまうことになります。これについては、突発的な台風被害なので、致し方ない面もあるでしょう。
しかし、強風を伴った大雨が降る台風は、飛来物などによって住宅が破損するなど、目に見えた被害が生じていなくても、雨漏りが始めるというケースが少なくありません。どのような住宅も、そこに存在するだけで徐々に劣化が進行しており、台風によって今まで表面化していなかった劣化が浮き彫りになり、雨漏りとして現れることがあるのです。屋根や外壁は、普段から常に雨風、紫外線にさらされ続けているので、皆さんが考えている以上にダメージが蓄積していると考えた方が良いです。そして、台風による強風と大雨で、もともと傷んでいた場所にさらに強いダメージが入り、機能を果たせなくなって雨漏りに繋がるというケースがあるのです。台風による雨漏りを防止するには、定期的な点検とメンテナンスを欠かさずに行うことが最も有効な対策となります。
浸水被害
台風の大型化が指摘され続けている中、台風による住宅被害では、豪雨による浸水被害が増えていると言われています。台風は、「非常に強い風が吹く災害」というイメージが強いのですが、集中豪雨のような大雨を伴うケースもあり、この場合、河川の氾濫などによって住宅が浸水してしまうという被害が出てしまうのです。
浸水被害については、床下浸水と床上浸水、大きく二つに分けることができますが、どちらの浸水だったとしても、家に与えるダメージは非常に大きくなるので水害に向けた対策はしっかりと考えておく必要があります。
台風への備えは何をすれば良い?
それでは、毎年必ずやってくる台風に備えるためにはどのような対策を施せば良いのかについて考えていきましょう。
冒頭でご紹介したように、台風は、地震とは異なり、事前にその規模や進路などを正確に予測することができるようになっています。そのため、台風による住宅被害を防ぐため、直前にさまざまな対策を施すことも不可能ではありません。
そこでここでは、一戸建ての台風への備えとして、どのような対策を検討すれば良いのかをご紹介します。なお、下で紹介する台風対策については、直前に実行する対策と、普段から準備しなければならない対策があるので、実行可能な部分から始めてみると良いでしょう。
①屋根や外壁の点検とメンテナンス
先程紹介したように、台風による住宅被害では、もともと劣化していた部分が、強風や大雨が原因となり雨漏りなどの住宅被害として表面化するというケースが多いです。
例えば、強風によって屋根板金や屋根材が飛ばされるという被害が生じるケースは少なくないのですが、このような被害も、屋根の小さな劣化が原因となっているケースが多いのです。屋根の点検を怠ると、屋根材や板金に浮きが生じてしまい、そこから風が吹き込みやすくなるため、強風を伴う台風によって被害が生じやすくなるのです。
逆に言うと、屋根や外壁について、定期的な点検とメンテナンスを欠かさずに行えば、住宅被害を起こしやすくなる劣化部分を事前に修繕することができ、被害の発生を抑えられる可能性が高くなります。台風によって大きな被害が生じた時には、その修繕に多額のコストがかかってしまうことになります。普段から小まめに点検し、大きな被害が生じないようにメンテナンスをしておけば、大規模な修繕工事が必要になることがなく、結果的に家の維持コストを抑えられる可能性が高くなります。
②火災保険に風災・水災補償を追加する
二つ目は、火災保険の保証内容が適切かどうかを確認しておくという対策です。
マイホーム購入時には、ほとんどの方が火災保険に加入していると思います。住宅ローンを組む場合、火災保険への加入が必須条件です。ただ、火災保険に加入しているとはいえ、どのような被害を補償してもらうのかについては、各ご家庭によって異なると思います。火災保険は、保証範囲を広くする、手厚い保証にしてもらうと、支払う保険料が高くなります。そのため、保険料を安く抑えるために、水災保証などの特約を外してしまう人がいるのです。
この場合、台風によって浸水被害などを受けたとしても、火災保険を適用することができなくなります。最近の火災保険の場合、風災に関してはスタンダードな状態で付帯されていると思いますが、築年数が経過した住宅の場合、この風災補償も外れている可能性があります。火災保険は、家の立地的に、災害でどのような被害が生じそうなのか調べたうえで、必要な特約を付帯すべきです。例えば、ハザードマップ上、水害の危険性が高い場所なら、水災保証の特約は追加しておく方が無難です。火災保険は、万一の時に心強い保険ではありますが、その内容が適切なのかは、きちんと調べておく必要があります。
③家の排水口や周辺の排水溝・雨水桝の掃除
台風は、非常に強い雨が降ることが特徴でもあります。強風に関しては、台風が近くにある数時間で収まる可能性があるのですが、大雨に関しては数日間続くことがあり、河川の氾濫と言った水害を引き起こす可能性があります。
したがって、台風への備えとしては、雨樋の掃除やベランダなどにある排水口を掃除して、雨水を速やかに排水できる環境を作っておくことも大切です。排水口に汚れがたまっていると、雨水が上手く排水出来ずに、雨漏り被害に発展する可能性があります。また、家周辺の排水溝や雨水桝に関しても、適切に排水ができるよう、普段から小まめに掃除してあげるようにしましょう。特に、家周辺に樹木がある場合は、落ち葉などで排水不良が起こり、住宅の浸水被害に発展する可能性があります。
排水口などの掃除に関しては、台風直前に行うのも良いのですが、雨は台風に関係なく降ることがあるため、普段から小まめに掃除しておくことが大切です。
④窓シャッターや雨戸を閉める
ここからは、台風が上陸する直前に行うべき対策となります。台風は、正確な進路予測ができるようになっているため、自宅がある地域が暴風域に入るのがいつごろなのか分かるようになっています。したがって、台風による住宅被害を可能な限り少なくするための準備については、直前に行えることがたくさんあります。
一つ目は、飛来物や強風によって窓ガラスが割れないようにする対策です。台風被害では、近所の家の屋根材が強風にあおられてしまい、自宅まで飛ばされてきて窓ガラスを突き破られるといった被害が考えられます。飛来物で窓ガラスが割れると、そこから雨水が吹き込んでしまいますし、室内にいた人がガラスで怪我をしてしまう可能性があります。
このような被害を防ぐためには、窓シャッターや雨戸を閉め、窓ガラスを保護すると良いでしょう。もちろん、この対策については、窓にシャッターや雨戸がついていることが条件となります。
⑤窓の補強とガラスの飛散防止
窓シャッターなどを取り付けていないお宅の場合、他の方法で窓を保護してあげる必要があります。よく採用される方法としては、ダンボールを窓部分に貼ることで飛来物とガラスが室内にまで飛んでこないようにするという方法と、テープによるガラスの飛散防止です。ダンボールについては、窓ガラスを覆うように室内側に貼りつけましょう。屋外側にダンボールを張り付けているケースをよく見かけるのですが、強風と大雨が降る台風では、屋外に貼ったダンボールは簡単に剥がれてしまい、逆に他人を危険にさらす可能性があります。テープによるガラスの飛散防止は、窓に米印を描くようにテープを貼るという方法です。これにより、窓ガラスが補強され、破損したとしても粉々になって飛び散るのを防ぐことができます。ちなみに、可能であれば、テープを貼った上でダンボールを設置するという併用が良いです。
ちなみに、ホームセンターなどに行けば、フィルム型の窓ガラス飛散防止アイテムが販売されているので、台風対策関係なく、これを窓に貼っておくという方法もおすすめです。特に、台風に関係なく、風が強いエリアの場合、飛来物対策になります。
⑥強風で飛ばされそうな物を屋内に片付ける
台風の強風は、皆さんが考えている以上のパワーがあります。家の周りに、植木や自転車を置いているという方は多いと思いますが、実は、これらの物品は強風で飛ばされ住宅被害を引き起こす可能性があるのです。自転車などに関しては、かなりの重量があるため、強風で飛ばされる心配なんてないと考える人が多いです。
しかし、大型台風の過去の映像を見ていただければ分かりますが、台風による強風は、自動車を横転させる力があるなど、植木や自転車など簡単に飛ばす力を持っているのです。特に、自転車が濡れないようにカバーなどをかけているという場合、風をより受けやすくなるので、家に向かって飛んできてしまう恐れがあります。
※大型化している台風では、エアコンの室外機などが転倒して故障するといった事故が増えています。ホームセンターなどで転倒防止金具などが販売されているので、台風の影響が大きい地域にお住まいなら、室外機の転倒防止も検討しましょう。
⑦浸水の可能性がある場合、土嚢を設置
台風によってどれぐらいの雨が降るのかも事前にある程度予測することが可能です。そして、住宅への浸水の恐れがあると判断される場合は、玄関などに土嚢を設置することで、家の中に水が侵入しないようにするという対策を行うと良いでしょう。自宅に畑などがあり土を用意できるという場合、台風の影響が出る前に土嚢を作っておき、直前に並べると良いです。土のう袋に関しては、ホームセンターで購入できる他、台風の予報が出た時に、各市町村の役場などで無料配布される場合があるので、それを利用すると良いでしょう。
なお最近では、土を準備できない人のために、吸水タイプの『水嚢』と呼ばれる製品が市販されています。使い方は、土嚢と同じで、浸水の可能性がある場所に並べ、水をせき止める形です。土嚢による浸水防止は、以下の流れで実行すると良いでしょう。
- STEP1 土嚢を設置する場所にブルーシートを敷く
- STEP2 水の流れに沿って上流側から下流側へ向かって土嚢を並べる(土嚢の縛り口は家側に向ける)
- STEP3 並べた土嚢を足で軽く踏み固め、隙間がなくなるように密着させる
- STEP4 2弾目の土嚢を並べる(1段目の土嚢と互い違いになるように)
- STEP5 ブルーシートで土嚢全体をくるむ
上記の流れで、土嚢により堤防のような物を造ります。完全に隙間を塞ぐことは難しいのですが、床上浸水レベルの水害でなければ、ある程度の浸水は防げます。
その他、家族の安全を守るための備え
上記以外にも、大型台風が自宅があるエリアに直撃する場合、家族の安全を守るためにも、以下のような対策を検討しましょう。
- 防災グッズを用意しておく
日本は、台風以外にも、地震や集中豪雨による水害など、ライフラインがストップしてしまうような災害が発生することが多いです。したがって、万一のことを考えて、家族が数日間は安全に暮らせるようにするため、防災グッズを用意しておくことが推奨されています。住宅に大きな被害が生じる災害時には、避難所が開設されて食料品などの物資が提供されます。しかし、食品や飲料水の提供が開始されるまで、数日の空白が生じる可能性もあるので、家族の人数分の飲料や食料を備蓄しておくことが推奨されています。 - 生活用水を貯めておく
台風は、断水被害を引き起こすケースも考えられます。したがって、万一、断水が発生した時のことを想定し、お風呂などに水をためておくという対策も推奨されています。台風は、事前に進路や規模が想定できるため、大きな被害が想定できる場合は、可能な限り水をためておくのがおすすめです。断水がなかった場合、洗濯などに使用すれば水を無駄にしません。 - 家電のコンセントを抜く
台風による被害は、強風や大雨が引き起こすもの以外に、落雷による家電の故障が考えられます。自宅近くに落雷があった場合、コンセントを通じて高電圧が家電に流れ、故障してしまうことがあるのです。特に、パソコンなどの精密機器は、落雷による故障の可能性が高いので、コンセントを抜いておくのがおすすめです。 - 避難所の場所とそこまでの経路を確認しておく
避難所は、各自治体が指定しているはずなので、自宅の最寄となる避難所の場所は必ず確認しておきましょう。また、避難所まで安全に移動できる避難経路についても、明るいうちに確認しておくのがおすすめです。台風などの大雨で避難が求められる場合、道路が水没しているような場所もありますし、普段の景色と違って見えるため、安全に避難できない可能性があります。したがって、どのルートで非難するのが最も安全なのかは、あらかじめ確認して把握しておきましょう。
台風で住宅被害が生じた時はどうする?
ここまでは、一戸建て住宅の台風への備えは、どのような対策を施しておく必要があるのかについて解説しました。台風は、強風と大雨を伴う自然災害なので、基本的には飛来物への対策と浸水対策が求められます。
ただ、台風に限らないのですが、自然災害を原因とする住宅被害については、どれだけしっかりと対策を施したとしても、被害を避けられないケースがあるのです。例えば、浸水対策として、玄関部分などに土嚢を並べていたとしても、床上浸水レベルの洪水が発生すれば、住宅内への水の侵入を防ぐことはできません。
それでは、台風によって何らかの住宅被害が発生した時には、どうすれば良いのかも簡単にご紹介します。
台風による被害の補償について
台風によって住宅被害が生じた時の対応としては、当然、破損した部分を修繕するという対応になります。ただ、自然災害による被害の場合、全額自己負担で修繕するのではなく、以下のような方法で、コスト負担を軽減することが可能です。
- 火災保険を適用する
火災保険は、住宅火災による被害を補償してくれるだけでなく、突発的な事故や自然災害による被害の補償もしてもらうことができます。台風に関しては、風災や水災、落雷のどれかに当てはまる場合、修繕にかかる費用を火災保険に補償してもらうことができます。ちなみに、火災保険の適用範囲に家財も入っていれば、家電などが水没して故障したというケースでも、保険金で買い替えすることができます。もちろん、火災保険に風災や水災の特約を付帯していなければならないので、加入している保険の内容を確認し、適用可能なようなら保険会社に連絡してみましょう。 - 公的支援制度を利用する
自然災害の規模などによっては、国からの公的支援を受けることができる可能性があります。他にも、各自治体が生活を立て直すための助成金制度などを設けている場合などもあるので、自然災害によって何らかの住宅被害が生じた時には、自治体に確認してみましょう。
台風によって住宅被害が生じた時には、火災保険や国の支援制度を使って修繕することができます。しかし、火災保険の適用を受けようと思った時には、住宅被害の原因が台風であることを証明しなければいけません。
火災保険の補償を受ける際には、さまざまな手続きが発生するのですが、その際には、被害を受けた現場写真の提出が求められます。したがって、台風によって、何らかの住宅被害が発生した時には、片付けをする前に、被害状況の証拠として写真に残すようにしてください。特に、浸水被害の場合、「床下か床上か?」によって保証額が大きく異なるので、どの部分まで浸水被害を受けているのかまで分かる写真を撮影しておきましょう。
台風に強い家とは?
それでは最後に、これから家の購入を検討している方に向け、出来るだけ台風に強い家を建てるためには、どのような点に注目すれば良いのかをご紹介します。
ここでは、台風に強い家の特徴をいくつかご紹介するので、これから注文住宅を建てようなどと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
河川や山の斜面から遠く、標高が高い土地の住宅
水は、高い位置から低い位置に向かって流れていきます。そのため、水害の面で考えた時には、標高が高い場所にある家の方が安全性は高くなると言えます。ただ、いくら標高が高い場所とは言え、山の斜面に面していたり、真横に河川が流れているという立地は安全ではありません。
台風に強いことを考えると、斜面や河川が近くになく、かつある程度標高が高い立地に建っている住宅が安全と言えます。水害の危険性については、ハザードマップで危険性が判断できるので、土地を購入する前に、土地の特徴を確認しておきましょう。
かさ上げ(盛り土)をしている
住宅を建てる際、水害に向けた補強のことを考えた時には、1階部分の位置を高くするため、かさ上げ工事をするという方法が有効です。既存住宅でも可能ですが、新築時なら盛り土をして、地盤を高くすると良いです。
特に、河川に近い立地などの場合、台風や集中豪雨の際に河川が氾濫して、浸水被害の恐れが生じるため、その危険性を低くするためにも、建物を持ち上げて、地面からの距離を遠ざけると良いのです。
耐風性の高い建材を利用する
台風による被害では、強風によって屋根材が飛ばされてしまうというものが多いです。特に、昔ながらの瓦屋根は、屋根材が釘などで固定されているわけではないため、強風によって大きな被害が生じやすいです。逆に言うと、耐風性能が高い屋根材の採用は、台風に強い家を建てるためのポイントになります。特に、以下のような屋根材は、台風などの自然災害に強いことが特徴です。
- 防災瓦
- 金属板(ガルバリウム鋼板)
- スレート屋根
上記の屋根材は、一枚一枚、釘を使って屋根材が固定されるため、強風があっても飛ばされにくくなります。防災瓦は、その名称通り、自然災害に備える目的で開発されていますが、スレートや金属屋根も、強風に耐えやすい構造をしているため、台風による被害は生じにくいです。ただ、どのような屋根材を採用していても、メンテナンスを怠ると、劣化が進んでしまい、災害時に大きな被害が生じやすくなります。したがって、災害に強いとされる屋根材を採用している場合でも、定期的な点検とメンテナンスは欠かさないようにしましょう。
平屋や3階建て
台風対策を考えた時には、平屋か3階建て住宅が有利になると言えます。
まず、平屋については、住宅そのもののが背の低い構造となるため、強風の影響を受けにくくなるというメリットが得られます。台風の上陸数が多い沖縄は、平屋建ての戸建て住宅が多い傾向にありますよね。高さのないシンプルな構造の平屋は、台風や地震などの自然災害に耐えやすいとされているため、台風に強い家が建てたいと考えている方は検討してみても良いのではないでしょうか。
また、3階建て住宅も、台風対策のことを考えた時には、有利に働くという情報を見かけることが多いと思います。平屋と異なり、背の高い構造になるわけなので、「さっきと真逆の意見では?」と疑問に感じてしまいますよね。ただ、3階建て住宅は、水害による浸水被害などが想定される場所に推奨されているという感じです。強風被害への耐性は少ないのですが、3階建て住宅の場合、生活スペースが2階以上の部分に設けられることとなるため、浸水があったとしてもその損害を抑えることができるようになるのです。3階建ての場合、広い土地が無くても床面積を確保しやすくなるので、都市部で家を購入する場合には、災害対策と生活のしやすさを両立できる構造としておすすめできます。
※昨今では、沖縄県にも大手ハウスメーカーが進出しているため、平屋建ての割合が少なくなっていると言われています。
まとめ
今回は、日本人にとって最もなじみ深い自然災害と言える台風への備えについて解説しました。台風は、毎年秋ごろになると、日本周辺で大小規模は異なるものの、続々と発生します。そのため、日本人は台風に慣れてしまい、油断している方が多いと言われるようになっているのです。
ただ、昨今日本に上陸する台風は、年々大型化が進んでいると言われていて、非常に甚大な被害をもたらすようになっています。実際に、ここ数年は、毎年のように大きな台風が日本を直撃し、強風や大雨による被害を生じさせていることは皆さんもご存じなのではないでしょうか?
こういったことからも、温暖化が進む昨今は、台風による住宅被害を防ぐための備えが非常に重要になっていると考えられるでしょう。この記事では、既存住宅で可能な台風対策を中心にご紹介していますが、これから家を建てようと考えている方の場合、設計の段階から台風への備えを検討しておくと良いです。日本の住宅は、地震対策のことばかりが注目されていますが、台風や集中豪雨による水害などが頻発している今、これらの災害に耐えられる機能を持った家を建てる必要があるはずです。