キッチンで使用するコンロは、従来型のガスコンロを設置するという選択以外に、電気で加熱することができるIHクッキングヒーターを設置するという選択肢が増えています。

IHクッキングヒーターは、見た目がスッキリしていることもあり、キッチンそのものがおしゃれな空間になるという点や、天板が平らになっているため日々のお掃除が非常に楽になるということから、年々その人気が高くなっています。また、直接火を使わずに加熱することができるアイテムなので、住宅火災の心配が少なくなる、不完全燃焼による一酸化炭素中毒の不安がなくなるなど、小さなお子様や高齢者の方が同居しているご家庭にとっては、安全性の高さも人気の理由となっています。賃貸住宅などでも、キッチンに設置されるコンロとしてIHコンロが選ばれている物件が増えているようで、物件選びの際の条件として「絶対にIHが良い」と考えている人も多いはずです。

しかし、新築時にキッチンに設置するコンロとしてIHクッキングヒーターを設置した方の中には、「こんなことならガスにすれば良かった…」など、後悔してしまう人もいると言われています。そこでこの記事では、IHクッキングヒーターの導入に後悔するポイントはどこなのかについて解説したいと思います。

そもそもガスコンロではなくIHクッキングヒーターが選ばれる理由とは?

それではまず、キッチンに設置するコンロとして、ガスではなくIHクッキングヒーターを選ぶ人がこの設備のメリットと看做しているポイントがどこなのかについて解説します。ガスコンロと比較すると、IHは不便だ…といったネガティブな意見がある中でも、IHクッキングヒーターの導入率は上昇していると言われています。あるメーカーが行った調査では、現状でもガスコンロの普及率の方が高いものの、それでもIHの導入割合が4割程度まで達しているというデータがあるのです。

ここではまず、IHクッキングヒーターを選ぶ人があげるメリット面についてご紹介します。

①安全性が高い

IHクッキングヒーターの大きなメリットとしては、安全性の高さが指摘されています。調理の際、ガスそして火を使わない設備となるため、ガス漏れや火災の発生リスクが大幅に低くなるのです。

また、コンロ自体についても、鍋やフライパンなど、調理器具が接する部分以外は熱くなりにくいため、小さなお子様やペットなどが間違って触れてしまうことがあっても、直ちに大きな事故に発展するリスクが低くなるという点もメリットになります。

温度調整などはボタン一つで簡単にでき、吹きこぼれや立ち消えなどの問題も生じないため、料理が苦手な方でも安全に使えるという点が人気の理由になっているのだと思います。

②お手入れが楽

二つ目は、日々のキッチン周りのお手入れが格段に楽になるという点です。IHクッキングヒーターは、ガスコンロのように五徳やバーナーなど、複雑な機構が表には出てきません。人の目に見える部分は、フラットな構造になっているため、使用後の掃除などが非常に簡単にできるようになるのです。

調理中、コンロに汚れなどが付着したとしても、布巾やキッチンペーパーでさっと拭き取れば、すぐに清潔な環境を取り戻すことができます。そのため、キッチン周りにしつこい汚れなどが蓄積することが少なく、日々のお手入れ、年末の大掃除、両方の手間が少なくなるのです。ガスコンロの場合、五徳周りに油や焦げなどが付着し、専用の洗浄剤を使わなければ汚れが落とせない…なんてことになるケースも少なくありません。

IHクッキングヒーターは、表面を拭き取るだけで簡単に綺麗にできるので、毎日のキッチン周りのお手入れを少しでも楽にしたいと考えるなら、非常におすすめの設備になるのです。

③キッチンが熱くならない

3つ目のメリットは、調理中のキッチン内の快適性が向上するという点です。

ガスコンロの場合、直接「火」を使って調理器具を温めるのですが、その際には周囲の空気にも熱が伝わり、室内の気温が上昇してしまうのです。そのため、夏場などになると、調理中の室温上昇を不快に感じるようになる方が多く、最悪の場合、調理の熱によって宅内熱中症を発症してしまうような方もいるのです。

一方、IHクッキングヒーターは、加熱に火を使わないという関係上、調理器具以外へは熱が伝わりにくく、ガスコンロのようにキッチンの室内空間を暑くすることがないのです。そのため、冷房の空調効率などを妨げないことで光熱費が高くなる心配がない、調理中の熱によって熱中症を発症する心配が少なくなるといった効果が期待できるのです。夏場に、キッチンの暑さに悩んでいる…という方がいれば、コンロをIHクッキングヒーターに交換することで、快適な調理空間を作り出すことができるかもしれません。

④光熱費削減が期待できる

4つ目のメリットは、コンロを使用する際にかかる光熱費をおさえることができると期待できる点です。

一般的に、ガスコンロとIHクッキングヒーターを比較した場合、調理にかかる光熱費はIHの方がお得になる傾向にあるとされています。IHクッキングヒーターは、熱効率が高く、無駄なく熱が伝えられるため、ガスコンロと比較すると、加熱の効率が良くなるからです。実際に、同じ量のお湯を沸かす場合、ガスコンロよりもIHクッキングヒーターの方が短時間で済み、その分、光熱費が安くなるとされているのです。

また、給湯部分についても電気に統一してオール電化を実現していれば、ガスの契約が不要になるため、ガスの基本料金分を削減することができます。そのため、IHクッキングヒーターは、日々の生活にかかる光熱費削減を目的に導入する方が増えているとされています。

IHクッキングヒーターを導入した人が後悔しがちなポイント

IHクッキングヒーターのメリット面だけを確認すると、非常に優れた設備であり、「なぜガスコンロの使用率の方が未だに高いの?」と不思議に感じたという方が多いかもしれません。

上述したように、IHクッキングヒーターは、小さなお子様や高齢者でも安全に使用することができ、さらにキッチンの調理環境の快適性も維持してくれます。また、コンロの使用にかかる光熱費が削減できるうえ、日々のお掃除の手間も少なくなると聞くと、自宅に設置するコンロは「絶対にIHが良い」と感じた方も多いかもしれません。

しかし、実際にIHクッキングヒーターを導入した人に意見を聞いてみると、「IHコンロにして後悔した!」「IHコンロはやめておけ」と言ったネガティブな意見を聞く機会も少なくないのです。そこでここでは、IHクッキングヒーターを導入した人が後悔してしまいがちなポイントをご紹介します。これから、マイホームの購入を考えていて、キッチンのコンロに迷っているという方は、以下で紹介するポイントをぜひ押さえておきましょう。

①火力のコントロールがガスコンロよりも難しい

一つ目の後悔ポイントは、使い勝手面です。IHクッキングヒーターは、ボタン一つで火力調整ができる簡単さは便利なのですが、ガスコンロのように細かく火力を微調整することが難しいのです。

ガスコンロは、調理の際、火の大きさなどを見ながら火加減を細かく調整することができます。目で火力を確認することができるため、調理にある程度慣れている方であれば、感覚的に火力の調節ができるようになるのです。

しかし、IHクッキングヒーターの場合は、火力が段階式で設定されています。そのため、火加減については、あらかじめ決められた設定の中から選ぶ必要があり、調理に合わせて細かく調節するという事が難しいのです。また、デジタル表示の数字などで火力が表現されるだけで、ガスコンロのように「火の大きさ」を確認するといったことができない仕組みになっている分、使用者が直感的に火力を判断する事が難しいという問題もあります。慣れてくれば、「○○を作る時は火力を●に設定する」など、ちょうど良いラインを見極めることができるようになるのですが、そこまでにそれなりの時間がかかってしまいます。

そのため、長年ガスコンロを使っていて、調理中に細かく火力調整をするという行為になれているという方の場合、IHクッキングヒーターに交換すると、火力のコントロールの難しさに、導入を後悔することがあるのです。

②鍋やフライパンが振れない

これは、調理中の器具の取り扱いに関する難点です。ガスコンロを使って調理をする際には、調理器具が多少火から離れたとしても問題ありません。それどころから、火から距離を少し離すことで、微妙な火力調整を加えるといったテクニックを使う事すらあるでしょう。そのため、ガスコンロでの調理は、鍋やフライパンを「振る」という行為は当たり前に行うことができます。

一方、IHクッキングヒーターの場合、この鍋振りと呼ばれる動作ができなくなるのです。先程も少し紹介しましたが、IHコンロの加熱は、機器と調理器具が接していることで熱を伝えるという仕組みになっています。つまり、鍋やフライパンは、調理中はIHクッキングヒーターの天板に接していなければならないため、中の具材をかき混ぜる際は、鍋そのものを振るのではなく、菜箸や木べらでかき混ぜるといった手法が採用されるのです。

鍋振りをするため、IHコンロから調理器具を離してしまうと、その時点で加熱がストップしてしまいます。なべ底が接すれば、再度加熱がはじまるのですが、基本的には、「鍋振りには向かないコンロ」とされています。そのため、今まで通りの調理方法が使えなくなると考え、こんなことならガスの方が良かったとIHに後悔を感じる方がいるわけです。

ちなみに、「IHは鍋振りができない!」などといった問題点の指摘は、メーカー側も理解しています。そのため、最近では、鍋振り調理に対応できるタイプのIHコンロが登場しています。このタイプは、鍋を離して加熱が止まっても、すぐに温度が回復する仕組みになっているので、調理方法を変えたくないという方は、このタイプを選ぶと良いでしょう。

③「IH対応」の調理器具しか加熱できない

IHクッキングヒーターは、IH対応などと記載された調理器具しか使用できないため、今までガスコンロを使っていたという方の場合、鍋やフライパンを買い替えしなくてはならなくなります。そのため、余計な部分にコストがかかってしまうと後悔する方がいるのです。

IHクッキングヒーターで加熱できない主な素材は以下の通りです。

  • アルミ製(※オールメタル対応IHでは使える場合あり)
  • 耐熱ガラス製
  • 陶器・土鍋

IHコンロは、磁力を使って熱を伝える仕組みなので、磁力が通らない調理器具は加熱することができません。そのため、土鍋や陶器の鍋など、日本の伝統的な調理器具の多くが使えなくなる可能性があるのです。最近では、IH対応の土鍋なども登場していますが、通常の土鍋よりも価格が高く設定されています。そのため、調理器具の買い替えが必要になった際には、予想外のコストがかかってしまう可能性があるので注意しましょう。

今まで使用していた土鍋もそのまま使用したいと考えるなら、カセットコンロなどを別途用意しておくと良いです。

④鍋のちょっとした破損で使えなくなる

これも調理器具とIHコンロの関係性に関する問題です。IHクッキングヒーターは、平らな天板の上に鍋やフライパンを置くことで、磁力を使って加熱します。つまり、なべ底がしっかりとIHコンロの表面に接している必要があり、なべ底の平らさが加熱効率に大きな影響を与えます。

ただ、調理に使用する器具については、長年に使用によってどうしても劣化が生じてしまいます。高頻度な温度変化や洗う時にぶつけてしまうといったことで、なべ底が反ったり歪んだり、凹んだりしてしまうと、IHコンロとの接触面積が減って、加熱効率が悪くなってしまうのです。

この場合、IHの磁力が均一に伝わらなくなることで、加熱ムラや火力低下などの問題が生じてしまうことになります。こういったことから、IHクッキングヒーターを選ぶと、調理器具の寿命が短くなってしまう可能性があり、その点に後悔する方がいるわけです。

⑤停電時の代替策を検討する必要がある

IHクッキングヒーターは、電気をエネルギーとして稼働する設備なので、災害によって停電などが発生すると、機器そのものが動かなくなります。ガスコンロの場合、ガスの供給が生きていれば、使えるのですが、IHコンロは電気に依存する設備なので、電力供給が途絶えると使えなくなってしまうという点を問題視する方がいます。

災害に伴う停電は、ガスの供給がストップする可能性よりも高いため、この点を後悔するのではないか…と不安に感じる方が多いと思います。そのため、キッチンに設置するコンロとして、IHクッキングヒーターを選ぶ場合は、以下のような代替手段を用意しなければならないと考えてきましょう。

  • カセットコンロ(燃料となるガスボンベも備蓄する必要があります)
  • ポータブル発電機の導入(IHコンロを稼働させるには、1500w以上の出力の物)
  • 太陽光発電や蓄電池の導入

IHクッキングヒーターの停電対策としては、上記のような方法が考えられます。太陽光発電などを導入していれば、停電があっても、自家発電した電力で生活に必要な電気を賄うことが可能になります。ただ、太陽光発電などの導入には多額のコストがかかるため、なかなか気軽に選択できる方法とは言えません。この場合、カセットコンロなど、単独で動作する加熱器具を用意しておけば良いのですが、燃料となるガスボンベの備蓄も忘れないようにしましょう。万一の際、使用期限が切れていたり、ガスを使い切っていたなどといった事態にならないよう、備蓄については小まめに確認しておく必要があります。

※ガスコンロでも着火に電力を使う製品の場合、停電が起きるとコンロが使えなくなります。

IHクッキングヒーターとガスコンロを選ぶ際のポイント

それでは最後に、自宅に導入する調理器具として、ガスコンロとIHコンロに迷った際、何を決め手として選べば良いのかについてもご紹介します。

ガスコンロかIHクッキングヒーターかで迷った際は、以下のようなポイントを比較しながら、自分に合った設備を選ぶと良いです。

  • 光熱費で比較
    一つ目の比較ポイントは、光熱費の観点からみるという方法です。先程も紹介した通り、日々の調理のことだけを考えると、IHコンロの方がお得になる傾向があります。特に、太陽光発電などを導入しているご家庭の場合、調理器具部分の光熱費は0円になると言っても構わないでしょう。しかし、ライフラインの契約形態によっては、コンロを使用する時間帯の電気料金単価が高く設定され、IHの方が高くなることもあるのです。したがって、とにかく光熱費を重視したいという場合は、ご自宅で使用しているライフラインの契約形態やその他の導入設備などを考慮しながら、光熱費の概算を出し比較してみましょう。
  • 調理スタイルを考慮する
    ガスコンロとIHコンロでは、調理の際の鍋やフライパンの扱いに違いが生じます。ガスコンロであれば、従来通りの使い方ができるので、特に違和感などは感じないと思います。しかし、IHコンロにすると、鍋振りができなくなるので、違和感を感じることがあります。ただ、揚げ物などの場合、温度調整が容易で安定させることができるので、ハードルが下がります。どちらか一方が、圧倒的に使いやすいとは言えないのですが、自分の調理スタイルを考慮しながら向いている設備を選ぶと良いです。
  • 安全性や日々のお手入れ面
    日々のお手入れの楽さや安全性を重視したいという方の場合、IHクッキングヒーターがおすすめです。先程紹介した通り、IHコンロは、日々のお掃除が簡単にできるというメリットがあります。また、直接火を使わない器具なので、火災の心配が少なくなる、ガス漏れの危険なども低いといった安全性の高さが売りとなるので、事故リスクが低くなるのです。災害時のことを考えても、カセットコンロを用意しておけば特に問題ないため、安全性やメンテナンス性の高さを重視したい人はIHがおすすめです。

上記以外であれば、太陽光発電や蓄電池を導入しているのか、オール電化を選びたいのかなど、住宅の形そのものを考慮しながら選ぶという方法があります。太陽光発電を導入するのであれば、家庭で使用する設備を電気で稼働する設備に統一することで、光熱費を大幅に削減することが期待できるのです。初期コストはかかりますが、何十年先も住み続けることを考えると、ランニングコストを削減していく方が、中長期的に見るとお得になるでしょう。

まとめ

今回は、キッチンに設置するコンロとして、近年人気が高まっているIHクッキングヒーターの後悔ポイントをご紹介しました。

記事内でご紹介した通り、IHクッキングヒーターは、日々のお手入れが楽になる、安全性が高いなどのメリットがある一方、従来型のガス給湯器と比較すると、使い勝手の面で大きな変化が余儀なくされるため、導入してみると「使いにくいな…」と感じてしまう人がいるのです。IHクッキングヒーターは、天板と調理器具が接していることで発熱する仕組みなので、鍋振り調理ができなくなり、炒め物などを作る際に不便に感じる方がいるのです。

もちろん、IHクッキングヒーターにして、使用法に慣れていけば特に気にならなくはなると思うので、そこまで心配する必要はないと思います。今までIHクッキングヒーターを使用したことがなく、導入に迷っているという方がいれば、住設機器メーカーのショールームや電力会社の体験施設などに足を運び、使い勝手を体験してみると良いです。

悠建設広報のM

悠建設のサイトでは当社の有資格者の監修のもと皆様の家創りにとって有益な情報を配信しております。 以下、各種許可、資格となります。

  • 一級建築士 3名
  • 二級建築士 1名
  • 二級福祉住環境コーディネーター 1名
  • 宅地建物取引士 1名
  • 二級建築施工管理技士 1名
  • 建築物石綿含有建材調査者 2名
  • 既存建物耐震診断士 2名