春先と聞くと、入学式や美しい桜の花をイメージする方が多く、日本人にとっては一年の中でも特に人気の高い季節だと言えるのではないでしょうか?しかし、多くの方が春を感じ始める3月頃からは、偏西風によって黄砂が運ばれてくることになり、日常生活や人の健康に大きな影響を与えることになります。実際に、春が近づいてくると、朝のニュース番組などで必ず黄砂の飛散予測が紹介されるようになっていて、黄砂の飛散量が多い日は「黄砂注意報」や「黄砂警報」なるものが出されるような時代になっています。
黄砂の時期は、花粉症のシーズンと重なることもあり、余り黄砂を意識しない方も多いのですが、黄砂が多く飛散する日は空が黄土色に染まってしまい、外に干している洗濯物に黄砂が付着して家の中に持ち込まれてしまいます。そして、家の中の黄砂の量が多くなると、花粉症と同じような症状が出る黄砂アレルギーの症状が出る可能性があり、人の健康にも大きな影響を与えてしまうのです。この他にも、自動車に黄砂が付着して汚れたり、洗車の際に傷が付く、家の外壁に黄砂が付着して外観イメージを悪くするなど、さまざまな問題を引き起こします。
近年では、「黄砂は非常に厄介な物」という認識が日本国内でも広がっているものの、その対策についてはどうすれば良いのか分からない…という方も少なくないようです。そこでこの記事では、黄砂の飛散量が多くなる春先に皆さんが行うべき黄砂対策と、黄砂アレルギーに悩まなくても良い家を作るための注意点について解説します。
そもそも黄砂とは?
それではまず、春先によく耳にするようになった黄砂について、これが何を意味するのかについて解説します。黄砂とは、ユーラシア大陸内陸部にある砂などが強風で巻き上げられ、偏西風によって日本に運ばれて飛来し、大気中に降下する現象のことを指しています。ちなみに、環境省の公式サイト内では、以下のように黄砂のことを解説しています。
黄砂は従来、黄河流域及び砂漠等から風によって砂塵が運ばれてくる自然現象であると理解されてきました。しかし近年では、その頻度と被害が甚大化しており、急速に広がりつつある過放牧や農地転換による土地の劣化等との関連性も指摘されています。このため、黄砂は単なる季節的な気象現象から、森林減少、土地の劣化、砂漠化といった人為的影響による環境問題として認識が高まっているとともに、越境する環境問題としても注目が高まりつつあります。
なお、日本へ飛来する黄砂の粒子の大きさは4μm付近のものが多く、一部2.5μm以下の微小な粒子も含まれているため、PM2.5の測定値も上昇することがあります。黄砂が輸送される過程で、大気汚染物質の発生が多い地域を通過する場合、これら大気汚染物質とともに飛来することもあります。
引用:環境省サイトより
上記のように、黄砂は土地の劣化や砂漠化などが要因と考えられるようになっていて、人為的影響のある環境問題と捉えられるようになっています。一昔前までは、「黄砂=自然現象」という認識だったのですが、現在は人の生活に由来する環境問題の一つという扱いなのですね。
なお、黄砂のシーズンになると「PM2.5」という言葉もセットで耳にする機会が多くなっていると思います。PM2.5は、大気中に浮遊する粒子のうち、直径が2.5マイクロメートル以下の非常に細かな粒子状物質の総称です。この粒子は、日本人の国民病とも言われている花粉症の原因であるスギ花粉の1000分の1程度の大きさとされています。そして、黄砂の中にはPM2.5も含まれていて、非常に小さな粒子を人が吸い込むことで、喘息や気管支炎などの呼吸器系疾患やアレルギー症状、循環器疾患のリスクが上昇するとされています。昨今、黄砂の時期になると、テレビのニュースなどで黄砂の飛散情報が紹介されるのは、こういった健康被害を防ぐということが主な要因と考えられます。
ちなみに、現在では観測技術の発達により、気象庁から精度の高い黄砂の飛散情報が発表されるようになっています。したがって、黄砂の飛散量が増える時期は、毎日黄砂情報を確認し、対策をとるようにしましょう。
黄砂の飛散量が多くなる時期とは?
黄砂による影響を防ぐためには「いつ頃日本に飛来するのか?」を知っておかなければいけません。現在では、黄砂の時期になると、テレビのニュースなどで黄砂の飛散量を紹介し始めますが、毎年同じような時期になると、黄砂が運ばれてくるので、それまでに準備が行えるようにするためにも、黄砂の飛散量がピークを迎える時期はおさえておきましょう。
日本列島で、黄砂の飛散量がピークを迎えるのは、例年、春先の3~5月頃となります。この時期は、天気予報などで、その日の天気を紹介するだけでなく、黄砂やPM2.5の飛散状況を必ず紹介するようになっています。日本で春先に黄砂の飛散量が増えるのは、黄砂の発生地域で雪や氷が解け始め、地表が剥き出しになり砂が舞いやすくなることと、この時期に偏西風などが吹くという気象条件がちょうど重なるからです。
実は、黄砂は、年間を通して日本列島に飛来しているのですが、黄砂の発生源の気象条件によって、日本に飛来する黄砂の量が変わるのです。例えば、夏場は発生地域が雨季を迎えますので、砂が舞い上がりにくくなります。また冬場は、雪や氷で地表が覆われるため、この時期も砂が舞いにくくなるのです。3~5月の春先は、黄砂の発生地域でも強い風が吹くうえ、日本列島に向かって偏西風が吹いているため、舞い上げられた黄砂が日本にまで届いてしまうことが、春先に黄砂の飛散量がピークを迎える理由です。
なお、黄砂の飛散量は、気温の高低とは関係がなく、風の強さで増減します。
黄砂による悪影響とは?
それでは次に、なぜこれほどまで黄砂が嫌われているのかについて解説します。黄砂の飛散量がピークを迎える時期は、人の日常生活に大きな影響を与えるだけでなく、さまざまな健康被害の原因になるとされています。
以下で、黄砂の飛散量が多くなる時期に考えられる影響をご紹介します。
日常生活への影響
黄砂の飛散量が多い時期は、日常生活にさまざまな悪影響が出るとされています。特にわかりやすい悪影響としては、日々の洗濯や愛車の汚れがあげられるでしょう。
黄砂の飛散量が多い時期は、空気が黄土色に見えるほど小さな粒子がそこら中に舞っています。そのため、黄砂が多く飛散している日に、洗濯物を外干しした際には、せっかく綺麗に洗った衣服が、干しているだけで汚れてしまう…と言った問題が生じます。空気中に小さな粒子がたくさん浮遊しているため、洗濯物にそれらが付着してしまい、汚れてしまう訳です。
また、駐車場などに停車している自動車については、黄砂が降り積もることで汚れてしまいます。さらに自動車に降り積もる黄砂で注意しなければならないのは、表面に黄砂が降り積もった愛車を洗車する際、普段通りにスポンジなどで擦り洗いすると、表面に付着した黄砂により自動車のボディを傷つけてしまう可能性がある点です。黄砂の飛散量が多い時期に洗車する際には、自動車全体をしっかりと水で洗い流すようにしましょう。
この他にも、大量の黄砂が飛散して空気中の黄砂の濃度が高くなると、視界が悪くなってしまい、交通機関に影響が出る場合もあるとされています。
人の健康に与える影響
空気中に、非常に微細な粒子が飛散する黄砂は、人の健康にも悪影響を与えるとされています。ただ、黄砂の飛散量がピークを迎える時期は、スギ花粉などの花粉症の時期と重なることもあり、黄砂単体と人の健康被害の因果関係は完全に解明されているわけではないのでその点は注意しましょう。
黄砂には、微小粒子状物質(PM2.5)など、大気汚染物質が多く含まれていることもあり、以下のような健康被害の症状の要因になっているとされています。
- 目のかゆみや鼻水などのアレルギー症状
- 気管支炎や肺炎などの呼吸器疾患
- 心筋梗塞や脳梗塞などの循環器疾患
近年では「黄砂アレルギー」などという言葉も登場していますし、黄砂の飛散量が増える時期になると、花粉症がさらにひどくなる…と言いう方も多いようです。上述したように、黄砂は毎年3~5月頃に飛散量がピークを迎えるとされていますので、この時期は下で紹介するようなセルフケアをしっかりと行うようにしましょう。
家の中に黄砂を入れないための対策について
それでは、黄砂の飛散量が多くなる時期に、家の中に黄砂を侵入させないため、日常生活の中で注意すべきポイントをご紹介します。以前、このサイト内で、住宅における花粉症対策についてご紹介していますが、花粉症も黄砂アレルギーも、外出時よりも家の中にいる時に症状が出て困る…という方が多いのです。これは、普段の日常生活の中で、家の中にまで花粉や黄砂を侵入させているのが大きな要因です。花粉や黄砂の飛散がピークを迎える時期は、外出時にマスクや眼鏡などでしっかりと対応する方が多く、外にいる時には目のかゆみや鼻水に悩むことは少なくなっています。しかし、こういった方でも、家の中で過ごしている時に、花粉症や黄砂アレルギーの症状が出てしまうことがあるのです。家の中で花粉症や黄砂アレルギーの症状が出るのは、何らかの理由で花粉や黄砂が家の中に入り込んでいるからです。逆に考えると、家の中に侵入する花粉や黄砂の量が少なくなれば、家の中にいて花粉症、黄砂アレルギーに悩む可能性が少なくなるはずです。
ここでは、黄砂の飛散量が多くなる時期に、家の中に黄砂を侵入させないために何をすれば良いのか、代表的な対策をご紹介します。なお、一部は花粉症対策とも被りますが、ここでもご紹介しておきます。
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対策① 洗濯物は外に干さない
現在では、新築時に浴室乾燥機能を取り付けたり、乾燥機能付き洗濯機を導入する方が多くなっています。これは、悪天候時でも洗濯に困らなくて済むからという理由もあるのですが、花粉や黄砂対策として検討する方も多いと言われています。
黄砂の飛散量が多くなる時期は、外に洗濯物を干すことで、洗濯物が汚れる可能性があると紹介しました。そして、洗濯物の外干しは、取り込む際に黄砂も一緒に家の中に取り込んでしまう…という問題に発展するのです。黄砂の飛散が多い時期に外干しすれば、当然洗濯物に黄砂が付着します。そして、家の中で洗濯物の片づけをする際に、空気中に黄砂が再飛散することになり、そこに住む人がそれを吸い込んで黄砂アレルギーの症状が出るわけです。
したがって、黄砂を家の中に入れたくないと考えている方は、3~5月は、黄砂の飛散予測をしっかりと確認し、飛散量が多いと予想される日は室内干しにするのがおすすめです。そうすることで、洗濯により黄砂が侵入するのを防ぐことができます。
日本は、黄砂に限らず、花粉の飛散や梅雨の長雨など、外干しが難しくなる条件が意外に多いです。したがって、家づくりを進める際には、「洗濯物を外に干せない」ことも考慮して、日常生活の邪魔にならないように家の中に洗濯物が干せるスペースを確保しておくのがおすすめです。
対策② 帰宅時は玄関で黄砂を落とす
花粉対策としても重要ですが、黄砂を家の中に持ち込まないようにするには、帰宅時に玄関部分で体に付着した黄砂をしっかりと落とすことが大切です。黄砂の飛散量が増える時期は、外出する時にマスクや眼鏡を装着すると思います。これは空気中に大量の黄砂が浮遊しているのが理由です。つまり、人は空気中に黄砂が大量に舞っている場所で行動しているわけですので、衣服やかばんなどの持ち物には、黄砂がたくさん付着しているのです。家に帰宅して、何も考えずにそのままリビングなどに移動すれば、黄砂を自分たちの生活空間に持ち込む結果になります。
したがって、黄砂のシーズンは、帰宅したらコートなどの上着は、花粉や黄砂を落とすために軽くたたく、バッグなどの持ち物は外側をウェットティッシュなどで軽くふくといった対応を行いましょう。もちろん。これで体に付着した黄砂を完全に落とせるわけではありませんが、生活空間に持ち込む黄砂の量は確実に少なくなります。
この他には、外出する際には、あらかじめ静電気防止スプレーを衣服やバッグに吹きかけておくというのも有効です。黄砂や花粉は、静電気があると余計に付着してしまいますので、静電気の発生を防止すれば、自分に付着する黄砂の量を少なくすることができ、結果的に家の中に持ち込む量を少なくすることができるのです。
対策③ 換気を工夫する
黄砂の飛散量が増える時期は、窓を開けての換気に注意する必要があります。当然、換気する際に窓を全開にすれば、そこから大量の黄砂が侵入することになります。室内の空気を入れ替え、清潔な空間にするため換気するのに、大量の黄砂が入り込む結果になれば、逆効果ですよね。ただ、黄砂や花粉の時期は、換気しないという対応をするわけにはいきませんし、黄砂の侵入を可能な限り少なくしながら換気を行いましょう。
例えば、換気するにしても、窓は数cm開けるだけにする、また窓を開ける時には網戸とレースのカーテンで黄砂を防ぐといった対策があります。窓を開ければ、黄砂の侵入を完全に防ぐことはできませんが、網戸やレースのカーテンで保護することで、それらに黄砂が付着することで、室内への侵入を少なくすることができるのです。ちなみに、花粉は早朝の飛散量は少なく、日中に飛散量が多くなるとされます。したがって、部屋の換気は早朝に行うのが良いとされています。しかし、黄砂については、一日中飛散しているとされていますし、早朝から日中に飛散する量が多くなるとされているので、時間帯は気にしてもあまり意味がないように思えます。したがって、網戸やカーテンによる対策を行うしかないでしょう。
対策④ カーテンや換気フィルターを小まめに洗う
黄砂の飛散量が多い時期は、カーテンや換気フィルターなど、外気に触れる物にたくさん黄砂が付着する可能性があります。カーテンは、窓を開けて換気する際に、室内にたくさんの黄砂が侵入するのを防ぐ役割として使う場合がありますし、当然、大量の黄砂が付着してしまうでしょう。そして、黄砂アレルギーを持っている方の中には、カーテンの開け閉めを行う際に飛散する黄砂により、目のかゆみやくしゃみと言った症状が出るとされています。換気口のフィルターは、外気を取り込む場所になるわけですので、当然黄砂が付着します。
室内の黄砂の量を少なくするためには、こういった場所に付着した黄砂をできるだけ早く除去してあげることも大切です。カーテンは、一度取り付けたら何年も洗わない…なんて方も多いのですが、花粉症や黄砂アレルギーを持っている方は小まめに洗濯してあげるのがおすすめです。
対策⑤ 高性能の空気清浄機を設置する
黄砂や花粉に敏感な方は、家の中で良くいる場所に関しては、高性能な空気清浄機を使うと良いでしょう。最近では、空気清浄機もかなり高性能化しており、中には黄砂やPM2.5と言った非常に微細な粒子に対応できる製品も登場しているのです。リビングや寝室など、出来るだけリラックスしたい場所には、黄砂に対応できるような空気清浄機を購入して設置するのがおすすめです。
なお、空気清浄機を使って黄砂対策をする場合には、機器のメンテナンスは小まめに行わなければいけないということを忘れないようにしましょう。空気清浄機は、設置すれば良いと考えている方も多いのですが、機器の効果を常に発揮させるには、定期的にフィルターの掃除・交換など、メンテナンスが必須です。
対策⑥ 小まめに掃除する
最後の対策は、黄砂の飛散量が多い時期は、普段以上に小まめに掃除するという対策です。というのも、上で紹介したような対策をしっかりと行ったとしても、黄砂の侵入を完全に防ぐことはできません。どれだけ注視深く生活していたとしても、帰宅時にある程度の黄砂を持ち込んでしまいますし、換気により黄砂が家の中に侵入してくるのです。
したがって、家の中に侵入した黄砂を素早く取り除くというのも大切な対策の一つになるのです。なお、黄砂や花粉対策として考えた場合、掃除は早朝に行うのが良いとされています。これは、家の中の黄砂は、人が就寝して空気の流れが少なくなれば床に落ちるからです。早朝、まだ家族が動き出さない間に掃除機や水拭きなどをしてあげることで、床に落ちた黄砂を除去することができ、黄砂アレルギーに悩まされない快適な朝の時間を実現する事が可能です。
あまり朝早くから掃除機をかけるのは、ご近所迷惑になる可能性があるので、クイックルワイパーなど、静かに床葺きができるアイテムを利用するのが良いかもしれませんね。
家づくりの際に検討したい黄砂対策
黄砂を家の中に侵入させないための対策については、住み始めてから対策するよりも、家を建てる段階から黄砂や花粉の侵入対策を検討するのがおすすめです。現在では、住宅の建築技術が飛躍的に向上していて、非常に高い気密性を持った住宅を建築することで、黄砂や花粉の侵入を少なくすることができるようになっています。さらに、悠建設もオススメしている通気断熱WB工法などは、家そのものが呼吸することで、屋内の湿気や有害物質を自動で排出してくれ、快適で安全な住空間を作り出してくれるのです。
新築戸建て住宅の購入を検討した時には、間取りや建物の外観デザインに注目する方が多いのですが、家族が健康で快適に暮らしていける家づくりを考えた場合、黄砂や花粉の影響を受けにくい環境になるような対策を最初から行っておくべきです。そこでここでは、家づくりの段階で検討すべき、黄砂対策についていくつか有効な手段をご紹介します。
①シューズクロークを設ける
家の中に黄砂を持ち込まないためには、帰宅時に玄関で衣服やバッグに付着した黄砂を落とすことが大切と紹介しました。そして、この対策をより有効に行うための家づくりのポイントが、玄関部分にシューズクロークをを作るという対策です。
シューズクロークとは、玄関付近に設ける収納用の部屋で、土足のまま出入りできる収納スペースのことを指しています。従来からある下駄箱とは異なり、靴以外にも、コートや外出用のバックを置けるほか、ベビーカーやアウトドアグッズなど、大きなものも収納できるだけのスペースを確保します。
玄関周りは散らかりやすいものですが、シューズクロークがあれば、すぐに使わないものをまとめて収納しておけるので、玄関部分をいつでもスッキリと見せることが可能です。そして、黄砂対策として考えた場合、シューズクロークにハンディタイプの掃除機を置いておき、帰宅時に体に付着した黄砂を除去する場所として利用できる。また、帽子やバッグなど、シューズクロークに片付けることができるため、生活空間に黄砂が侵入する量を大幅に少なくすることができるのです。
②ランドリールームを設ける
黄砂を家の中に持ち込む要因の一つに、洗濯物の外干しがあげられます。お日様の下で洗濯物を乾かすと、独特のいい香りがすることから、洗濯物は外干ししたいと考える人も多いと思います。しかし、日本は、梅雨の長雨や黄砂に花粉など、洗濯物を外に干さない方が良い季節が多いのも事実です。特に、花粉に関しては、日本国民の3人に1人がスギ花粉症を持っていると言われるなど、まさに国民病と言っても良い状況になっているのです。もちろん、黄砂についても、黄砂アレルギーと考えられる症状を訴える方が年々増えていると言われています。黄砂と花粉のシーズンは、どちらも春先が危険な時期とされるため、この時期は外に洗濯物を干さない方が良いとされています。
そして、洗濯物の外干しによる黄砂の侵入を防止するのに役立つのがランドリールームを設けるという対策です。ランドリールームは、洗濯に関わる家事をまとめて行える部屋のことを指していて、洗濯乾燥機の設置はもちろん、物干し竿やアイロン台などを設置することで、洗濯⇒乾燥⇒アイロンがけ⇒畳むまでの作業を一貫して行えるようにする部屋となります。
ランドリールームを家の中に設ければ、黄砂の飛散量が増える時期は室内干しにすることが可能です。また、ランドリールームは、来客者の目を気にする必要がない、湿気対策を重点的にできるなど、部屋干ししても日常生活に影響が出なくなる点も大きなメリットです。ランドリールームは、黄砂対策だけでなく、花粉対策や悪天候時でも洗濯物が溜まらないなど、さまざまなメリットが認められ、希望する方が増えています。
③高気密住宅にする
黄砂対策を考えた家づくりを進める場合、出来るだけ気密性の高い家にするというのも有効な手段と言えます。黄砂も花粉と同じく、空気中を浮遊する小さな粒子なので、家の気密性が低く、各所に隙間が生じているような家になると、自然と家の中に黄砂が侵入してしまうようになるのです。
近年の家づくりでは、高気密・高断熱住宅が注目されていますが、家の気密性や断熱性を高めるためには、特殊な建材やグレードの高い材料を使用しなければいけません。したがって、高気密・高断熱住宅を建てるには、家の建築コストがどうしても高くなってしまうという点には注意が必要です。ただ、家の中に黄砂や花粉が侵入するのを防ぎたいと考えた時には、出来るだけ隙間が少なくなるような家づくりを行っておくのがおすすめです。通常の家でも、十分に高い気密性を保持できる時代になっていますが、高気密住宅は、専用の工法や建材が採用されるため、黄砂の侵入口が限りなく少なくなり、効果的な黄砂対策になり得るのです。
なお、住宅の気密性を高めることができれば、外気の影響を受けにくくなるため、空調効率を高めて省エネな生活を実現することも可能です。高気密・高断熱住宅は、家を建てる際の初期コストは割高になってしまいますが、日々の生活にかかるランニングコストを削減できることから、中長期的に見ると、そこまでコストが高くなるわけではありません。
④通気断熱WB工法を採用する
家づくりの際に検討したい黄砂対策として、最もオススメなのが通気断熱WB工法を採用して家を建てるという対策です。WB工法の家は、シックハウス症候群に立ち向かうために開発された住宅建築工法で、そこに住む人の快適で健康な生活を実現できると、年々その注目度が高くなっています。そして、WB工法の家は、以下のような特徴を持つことから、黄砂対策を考えた家づくりとしても、非常に有効な手法と言えるのです。
画像引用:WB HOUSE公式サイトより
通気断熱WB工法の家は、壁の中に通気層が設置されるという点が大きな特徴です。壁の中に、自然な空気が循環する通気層があることで、無駄な湿気や夏の熱気が家の中に閉じ込められず、外に逃がすことができるようになります。
画像引用:WB HOUSE公式サイトより
さらに、WB工法の家は、非常に高い気密性と断熱性を実現しており、日々の生活にかかる光熱費を大幅に削減できる点も特徴の一つとされています。上述しているように、家の中に黄砂や花粉が侵入しないようにするためには、家を高気密化することで、隙間を無くすることが大切です。WB工法の家は、非常に高い気密性を保持しているうえ、壁の中の空気層が断熱層として働くことで、室内の空気が外気の影響を受けにくくなるなど、通常の家と比較すると、非常に高い気密性・断熱性を実現しているのです。
画像引用:WB HOUSE公式サイトより
そして、WB工法の家は、壁そのものが人と同じように呼吸することで、室内の湿気や有害物質を排出する機能を持っています。WB工法の家のみが持つこの機能により、換気システムに頼らなくても、住んでいる人が深呼吸したくなるような、結露しないクリーンな環境の家を実現するとしています。
家の中に黄砂が侵入する大きな要因は、24時間換気システムが動いていることがあげられます。気密性が高くなった現在の住宅では、シックハウス症候群などの健康被害を防ぐため、常に換気設備が稼働し外気を取り込むようになっています。当然、外気を取り込む際には、黄砂やPM2.5、花粉など微細な粒子が侵入することになり、黄砂アレルギーや花粉症の症状が出る原因となるのです。ただ、WB工法の家は、家そのものが呼吸することで、有害物質、湿気を排出することができるので、黄砂の飛散量が増える時期は24時間換気をストップさせることも可能なのです。したがって、本来は24時間換気で侵入するはずの黄砂を防ぐことができ、家の中に存在する黄砂の量を大幅に削減することが可能です。この点については、メーカーサイトでも以下のように解説しています。
Q.24時間換気をしなくても大丈夫なのですか?
A.大丈夫です。
WB工法は、壁の透湿作用と壁体内の通気効果で室内の化学物質を厚生労働省の基準値以下に下げることができます。したがって、換気が止まっていても化学物質の濃度が高くなる心配はありません。しかし、建築基準法では、0.5回/hの換気を義務化していますので、取付けは必要です。
WB工法は換気システムに頼った住宅ではありませんので、高額な換気システムを付ける必要がなく、できるだけ簡易的な換気設備で大丈夫です。
引用:WB HOUSE|よくある質問より
上記のような特徴を持つことから、WB工法は家づくりにおける最大の黄砂対策になると考えられるのではないでしょうか!
まとめ
今回は、年々その影響が大きくなっていると言われる黄砂について、家の中に黄砂を侵入させないためにはどのような対策を考えれば良いのかについて解説しました。
黄砂は、春先となる3~5月頃に飛散量のピークを迎えますので、今年の黄砂による被害はある程度落ち着いてきたと言えるかもしれません。ただ、黄砂が花粉と違うのは、飛散量の大小はあるものの、一年中飛散しているという点です。もちろん、黄砂の発生地域が雨季を迎える夏場や雪が降り積もる冬場になれば、日本列島に飛来する黄砂の量は少なくなるため、黄砂による悪影響はあまり気にしなくても良い時期と言えます。しかし、PM2.5に関しては、ボイラー、焼却炉などのばい煙を発生する施設、コークス炉、鉱物の堆積場等の粉じんを発生する施設、自動車、船舶、航空機など、人為起源の物も多いため、黄砂やPM2.5に敏感な方は一年中対策を怠らないようにすべきと言えるでしょう。
また、これから新築戸建て住宅の建築を検討しているという方は、家の設計段階から黄砂や花粉が家の中に侵入するのを防ぐための対策についても検討しておくべきです。黄砂や花粉は、毎年同じ時期に必ず飛散して、人の日常生活に大きな影響を与える現象となっています。人が一日の中で最も長い時間wお過ごすことになるのが自宅ですので、家で快適に過ごせるようにするには、黄砂や花粉を防げる家を建てなければならないのです。
悠建設では、黄砂や花粉対策にも非常に効果的な通気断熱WB工法による家づくりをご提案することも可能なので、大阪府内や近隣の府県に家を建てたいとお考えなら、お気軽にお問い合わせください。