近年では、一般住宅の防犯性を考える方が増えていて、一戸建て住宅に住んでいる方でも、防犯カメラの設置が必要なのかな…と考える方が増えているようです。一昔前までであれば、マンションなどの集合住宅には当たり前のように設置されていましたが、一般の戸建て住宅となると「防犯カメラはさすがに要らないのでは?」と考える方の方が多かったように思えます。これは、一昔前までの日本は、ご近所さんとの付き合いが盛んに行われていたこともあり、自分が外出していたとしても、近所の目があるから大丈夫などと考える人が多かったからかもしれません。

しかし、現在の日本の住環境を鑑みると、ご近所さんとはあいさつ程度はするものの、どういった人なのかは詳しく分からないなど、関係性がかなり薄くなっているように思えます。そのため、戸建て住宅に住む場合に、自分たち家族や車、家そのものを守るためには、自分で防犯対策をしなければならないという考えが一般的になっています。その流れで、万一の際の証拠を残す、犯罪者に目をつけられない家にするなどと言った目的で、一戸建て住宅でも防犯カメラの設置を進めるご家庭が増えていると言われるようになっています。

そこでこの記事では、本当に一般住宅に防犯カメラを設置すべきなのか、また設置するのであればどこに設置すれば良いのかなど、一戸建てと防犯カメラの関係性について解説します。

一戸建てに防犯カメラは設置すべきか?

一戸建てと防犯カメラの関係性を考える時には、最初に「一般住宅に防犯カメラなんているの?」という点に疑問を持つ方がいまだに多いと言われています。マンションなどの集合住宅は、生活習慣が異なるさまざまな人が同じ建物の中で生活することから、不審者の侵入を防ぐという目的があります。また、建物内に侵入されると、外部から見えなくなるため、空き巣などが行いやすくなるため、防犯カメラで証拠を残すといった役割もあるはずです。

ただ、一戸建て住宅の場合、ご近所さんの目もありますし、ドア破りや窓破りを行おうとしても、通行人から見えるといったリスクがあるので、狙われにくいのではないかと考えられます。こういったことから、一戸建てには防犯カメラは不要なのではないかと考える人が多いわけです。

結論から言いますが、そこに住むご家族を、不審者や近隣トラブルなどから守ることを考えると、一戸建て住宅でも防犯カメラを設置すべきと言えます。もちろん、防犯カメラの設置には、それなりの費用がかかってしまうことになりますが、防犯カメラは犯罪の証拠を残すだけでなく、不審者に狙われにくい家になるなど、犯罪を未然に防ぐ効果も得られるとされているからです。空き巣犯などは、侵入に時間がかかりそうな家、自分の犯行の証拠が残ってしまう家はターゲットから外す傾向にあると言われています。実際に、防犯カメラは、ダミーカメラであっても一定の防犯効果があると言われるほどなので、センサーライトなどと併用すれば、さらに効果的な防犯対策になるでしょう。

ちなみに、大手警備会社のALSOKが行った調査によると、自宅に防犯カメラが設置されていると答える人の割合は22%程度にとどまっているのですが、『費用や環境の制限が無ければ』自宅に防犯カメラを設置したいと思っている人の割合は58.2%もいるようです。一戸建てへの防犯カメラの設置は、特に法で義務化されているわけではありませんが、自治体などによっては導入にかかる費用を補助してくれる場合もありますので、家族の安全を守るためにも、設置を検討してみても良いのではないでしょうか?

データ参照:ALSOKアンケート

防犯カメラの設置で得られる効果とは?

上述したように、一戸建てに住んでいる人でも、多くの方は「可能であれば防犯カメラを設置したい」と考えているとわかりました。それでは、一戸建て住宅に防犯カメラを設置した場合、どのような効果が得られるのでしょうか?

ここでは、防犯カメラの設置により得られる代表的なメリットをご紹介します。

①空き巣など、不審者による犯罪の防止

防犯カメラは、犯罪の証拠を映像として残すために設置する物というイメージが強いのですが、実は、空き巣などの犯罪を未然に防ぐ効果も持っています。防犯カメラが設置されている家は、ない家と比較すれば、当然セキュリティ性が高い家になりますので、自分の犯行の証拠が残り警察に捕まるリスクが高くなることから、空き巣犯などのターゲットから外れる傾向が高くなるとされています。

不審者からすれば、防犯カメラがある家とない家であれば、当然後者の方が狙いやすいはずです。つまり、一戸建て住宅への防犯カメラの設置は、「犯罪を未然に防ぐ」という安心感も得られるという点が大きなメリットになるでしょう。

②万一の際も、捜査がスムーズに

二つ目のメリットは、防犯カメラで常時録画しておくことができれば、万一、空き巣被害などが発生したとしても、映像データを警察に提供して犯人の特定がしやすくなるなど、事件の解決がスムーズに運ぶ可能性が高くなる点です。

なお、空き巣犯の多くは、帽子やサングラスを着用して顔の特定がしにくくなるような工夫を行っています。そのため、防犯カメラに犯人が特定できる映像が残らない場合もありますので、防犯カメラがあれば絶対に安心など、過信しすぎないようにしましょう。空き巣などの被害に遭わないようにするためには、防犯ガラスや窓シャッターなど、その他の防犯対策を併用する必要があります。

③ご近所トラブルの解決につながる

戸建て住宅でのトラブルは、空き巣などの犯罪以外にも注意しなければケースがあります。例えば、近所に住む子供が壁や自動車にイタズラする…なんてことが考えられます。このような場合、防音カメラを設置していなければ、犯人探しも難しく、泣き寝入りするほかない…なんてケースがほとんどだと思います。犯人だと特定もできていないのに、ご近所さんに苦情を言いに行くわけにはいきませんよね。

これが、防犯カメラを設置しておけば、イタズラの被害について、きちんと映像として証拠を残すことができますので、犯人を特定してイタズラ被害の保証を訴え出ることも可能です。さらに、知らない人による被害の場合でも、警察に映像を持ち込むことで、事件性を証明できるため、すぐに捜査に動いてもらうことができるようになります。近所に、子供が多く住んでいるという場合、駐車場の車にいつイタズラされるか分かりませんし、防犯カメラを設置しておくのも良いのではないでしょうか。

一戸建て住宅に防犯カメラを設置する際の注意点

近年では、ネット通販などで安価に防犯カメラを手に入れることができるようになったことから、専門業者に設置を依頼しなくても「自分で防犯カメラの設置をしよう」と考える方が増えています。テレビ番組の影響からか、DIYを趣味とする方が増えていて、自宅にさまざまな工具を保管しているという方も多いと思います。しかし、一般の戸建て住宅にて、DIYにより防犯カメラの設置を行う場合、法律に反しないように注意しなければいけません。

実は、犯罪を未然に防ぎたいと考えて防犯カメラの設置を行う場合でも、個人情報保護の法律に違反しないように設置しなければいけないのです。これを無視して防犯カメラの設置を行うと、逆に罪に問われてしまう恐れがあるので注意してください。

例えば、防犯カメラで撮影した隣人が映った映像が外部に漏洩した時には、民法709条の『損害賠償請求・慰謝料請求(不法行為など)』に該当する恐れがあります。映像を理由に訴えられると、損害賠償が認められ、多額の賠償金を支払わなければならない可能性もあります。
さらに、防犯カメラの撮影範囲によっては、ご近所さんから「自分の姿が映ってしまうのではないか…」と言った苦情が出る可能性もあるでしょう。プライバシーの保護は、非常に重要視されるようになっていますので、私有地だけでなく自宅の前面道路が撮影範囲に入っている場合、ご近所の方が嫌な気持ちになる可能性があるのです。

こういったトラブルを防止するためには、防犯カメラの設置を検討した場合、近隣住民の方に防犯カメラの設置について事前に説明しておくのがおすすめです。その際に、自宅以外も多少は撮影範囲に入るものの、「地域の防犯性を高める効果がある」と話せば、理解を得やすくなるでしょう。なお、防犯カメラの映像データは、流出させないよう保管を徹底しておくことも大切です。

専門業者に防犯カメラの設置を依頼すれば、撮影範囲などもうまく調整してくれますが、DIYで防犯カメラを設置する場合、他人のプライバシー保護もよく考え、設置場所を検討しましょう。

一戸建ての防犯カメラ設置場所について

それでは次に、一戸建て住宅に防犯カメラの設置を決めた時、設置すべき場所がどこなのかについて解説していきます。当然、防犯カメラの設置目的は、人によって異なりますし、それぞれの目的によっておすすめできる設置場所は変わります。

ここでは、いくつかの目的に分けて、防犯カメラの設置場所としておすすめできるポイントをご紹介します。

①さまざまなトラブルに対処するため、玄関に防犯カメラ

一戸建て住宅での防犯カメラの設置場所としては、メインの出入り口となる玄関は必須です。空き巣などは、人目に付きにくい場所の窓から侵入すると考えられがちですが、以下のように、玄関から侵入するケースも多いのです。

侵入窃盗の侵入手口

侵入窃盗の侵入口

引用:住まいる110番

玄関からの空き巣犯の侵入は、鍵破りよりも鍵の閉め忘れが多いようです。防犯カメラを玄関の目立つ位置に設置しておけば、この部分からの侵入を防止することができるようになるでしょう。

さらに、玄関への防犯カメラの設置は、悪徳セールスの証拠を残す、近隣トラブルの証拠を残す際にも効果的です。こういった問題は、玄関部分で発生することがほとんどですので、万一のことがあっても、証拠となる映像を残すことができます。

②車を守るため、駐車場に防犯カメラ

一戸建てに防犯カメラを設置する場合、駐車場へも必ず設置しておくのがおすすめです。駐車場は、住人さんも通行人も視認しづらい場所になりますので、車へのいたずらや車上荒らし、車の盗難被害などに遭いやすいです。最近では、ロードバイクなどの盗難も増えていますので、高額な自転車を利用している方はも、防犯カメラがあれば安心感が増すと思います。

駐車場の目立つ位置に防犯カメラを設置し、さらに人感センサーライトを併設しておけば、こういった自動車、自転車へのいたずらは激減するはずです。万一の際も、証拠となる映像を残すことができるので、すぐに警察に動いてもらうことができるようになるでしょう。

③勝手口がある場合は防犯カメラを

外部から確認しづらい場所に勝手口が設置されている場合、不審者の侵入経路として利用されやすくなります。上で紹介した侵入犯罪で利用される場所としても、約15%を占めていますので、防犯性を高めておく必要があります。

したがって、勝手口にも目立つ位置に防犯カメラを設置して、一部始終を記録できるようにしておきましょう。また、人感センサーライトも設置すれば、不審者が侵入した際にライトが点灯し、威嚇することができるようになります。

④道路から視認性が悪い窓は防犯カメラでカバー

侵入犯罪は、可能な限り姿を見せないような位置で行われるケースがほとんどです。したがって、道路からの視認性が悪い場所に大きな窓がある場合、窓破りなどと言った手口で侵入されてしまう恐れがあります。

こういった侵入犯罪上の弱点がある住宅は、窓全体が映るように防犯カメラを設置しておくと良いでしょう。さらに、窓そのものに関しても、侵入に時間がかかるようになる防犯ガラスなどを選ぶのがおすすめです。空き巣などの侵入犯罪は、5分で侵入できなければ7割が断念するというデータもありますので、家の防犯性をより高めるためにも、視認性の低い窓には防犯ガラスがおすすめです。

一戸建てに防犯カメラを設置する際によくある疑問

それでは最後に、一戸建てに住んでいる方が自宅に防犯カメラを設置する際に抱える代表的な疑問にお答えします。

防犯カメラの設置費用はいくらぐらいかかる?

自宅の防犯性を高めたいと考えても、防犯カメラの設置にいくらぐらいの費用がかかるのか気になると思います。実際に、大手警備会社によるアンケートでも、費用などの諸々の事情が解消できれば防犯カメラを設置したいと考えている人が6割近くいたというデータがあります。これは逆に考えると、費用面などがネックとなり、防犯カメラの設置を躊躇していると考えられますよね。

防犯カメラの設置費用に関しては、どのような防犯カメラシステムを組むのか、何台程度設置するのか、防犯カメラのグレードは、などと言った条件によって変わります。ただ、専門業者に設置工事まで依頼して、ある程度の画質、映像保存期間を誇るような、しっかりした防犯カメラシステムを組む場合、一戸建て住宅だと「1台あたり15万円程」が相場になると言われています。したがって、玄関、駐車場、勝手口、大きな窓を両側から映すなど、5台程度の防犯カメラを設置し、宅内に保存機器まで設置することを考えると、工事費用含めて60~70万円程度のコストがかかると考えられます。

それなりのグレードを持つ防犯カメラシステムを設置する場合、やはり決して安くない費用がかかりますが、自治体によっては補助金も利用できますので、役所などに確認してみると良いでしょう。なお、最近では、海外製の防犯カメラシステムについては、記憶媒体と4台程度のカメラがセットになり、10万円以下で販売されるようになっています。安価に設置したい場合は、こういった機器を自分で購入し、馴染みの電気屋さんに設置だけ依頼するといった方法もあります。

自分で防犯カメラの設置は可能?

DIYを趣味とする方が増えている近年では、防犯カメラの設置も自分で行いたいと考える方が増えています。そして、ネット通販で、防犯カメラシステム一式を購入することができる現在では、DIYにより防犯カメラを設置することも可能です。また、クラウドに映像を保存するような機器も登場していて、強力な両面テープでカメラを設置できるような機器もありますので、専門的な工具を持っていないような方でも、簡易的な防犯カメラの設置は可能です。

ただし、筆者個人的には、防犯カメラの設置は専門業者に依頼する方が良いのではないかと考えています。というのも、防犯カメラは、屋外の高所に設置するのが一般的ですので、作業には危険を伴います。また、風雨の影響が少ない場所をきちんと選ぶ、強風や地震などで落下しないようにしっかりと固定する、適切な撮影範囲を設定するなど、専門的な知識と技術が求められる場面も少なくないのです。

例えば、カメラの角度などを少し間違ってしまうと、近隣の方の敷地内が映ってしまい、トラブルに発展する可能性があるでしょう。専門業者に防犯カメラの設置を依頼すれば、そのような間違いもありませんし、安全に適切な位置にカメラを設置してもらうことができます。コストはかかりますが、長く安定した映像を残せると考えると、無駄なコストではないと思います。

ダミーカメラの設置でも防犯になる?

上述したように、防犯カメラシステムを専門業者に依頼して設置する場合には、それなりに多額のコストがかかってしまいます。そのため、「カメラの威嚇効果があれば良いし」と、ダミーカメラで済ませようかなと考える方も少なくありません。ダミーカメラであれば、1台数千円で購入可能なので、本物の防犯カメラを設置することと比較した場合、コストを大幅に削減することが可能です。

この問題については、ダミーカメラだけを設置するという方法はあまりおすすめではないというのが答えです。ダミーカメラも、高額なものは本物のカメラと同じ材料で作られているため、見た目ではダミーだと判断しにくく、それなりの防犯効果が得られます。しかし、よく確認すると本物ではないと見分けることができると言われているので、空き巣犯などにダミーだと見破られた場合は、より危険性が増すと言われています。ダミーカメラが見破られた場合、かえってセキュリティが甘いと判断されることがあるため、空き巣などのターゲットにされやすくなるそうです。そして、実際に侵入された時には、証拠となる映像を残すことができません。

なお、ダミーカメラを本物の防犯カメラシステムに組み込むという方法は有効ですので、防犯カメラシステムの総額を抑えるため、重要度の低い位置はダミーにするといった対策はオススメです。

新築なので壁に穴を開けたくないのですが…

防犯カメラを設置するにしても、家に傷をつけたくないと考える人は多いです。この場合、エアコンダクトなどを利用して配線を行う方法もありますので、壁に穴などを開けなくても防犯カメラを設置することが可能です。

ただ、カメラを固定する、配線と留める目的などで、ビスを打ち込む必要がありますので、家に一切の傷をつけることなく防犯カメラの設置を行いたいという要望は現実的ではありません。最近では、強力な両面テープでカメラを固定するタイプも登場していますが、このタイプはカメラそのものの性能が低い傾向にあります。
家に傷をつけることなく、防犯カメラの設置がしたい場合、事前に設置業者さんに相談しておきましょう。何の依頼も無ければ、宅内に配線を引くため、壁に穴をあけるという施工方法が基本です。

まとめ

今回は、一戸建て住宅に防犯カメラの設置が必要なのかについて解説しました。日本は、諸外国と比較すると、非常に安全性が高い国として有名で、一昔前までであれば、外出する際も家のカギを締めないお宅も少なくなかったと言われています。実際に、外出している時に、突然の雨があれば、お隣さんが勝手に洗濯物を取り込むことがあるなんて時代もあったようです。

しかし現在では、ご近所さんとそこまで親密な関係を作らないという方も増えていて、地域の目がなくなったことから空き巣などの侵入犯罪がしやすくなっているという話も出ているのです。さらに、ネットオークションやフリーマーケットアプリの登場により、盗んだものを簡単に売却することができるようになったからか、自転車など、屋外に置いている物がいつの間にか盗まれていた…と言った被害を訴える方が増えています。

戸建て住宅は、上で紹介したように、防犯カメラを設置しているお宅の方が少ないと言われています。しかし、家族の安全を守る、イタズラなどから自動車や自転車を守るためには、自分たちで家の防犯性を高めていく必要があると思います。防犯カメラは、そのための設備としては非常に効果的に使えますので、今後一戸建て住宅でも設置するお宅が増えていくと予想できます。

なお、家の防犯性を高める方法では、このほかにも防犯ガラスの設置、窓シャッターの設置など、さまざまな手段が考えられます。こういった対策は、新築時に行っておく方が低コストで導入することができますので、家を建てる時から「より安全な住宅を作る」という視点を持ておきましょう。悠建設では、家族が安全で快適に暮らせる家を設計しますので、お気軽にお問い合わせください!

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