外出先から家に帰るとくしゃみが止まらなくなる…なんてことに悩んでいる方は多いのではないでしょうか?花粉が飛び交う季節であれば、家の中に花粉を持ち込み、花粉症の症状が出ている可能性も考えられますが、どのような季節でも家の中にいるとくしゃみが出てしまうことに悩む人がいます。
このような問題については、家の中に舞っている、人の目にはほとんど見えない小さなゴミ、「ハウスダスト」が原因となっていると考えられます。実際に、近年では、ハウスダストアレルギーなる症名を耳にする機会も増えていますし、この問題に悩む人が急増していると言われているのです。
そこでこの記事では、昨今の住宅で問題となっているハウスダストアレルギーについて解説します。
ハウスダストについて
ハウスダストは、日本語に直訳すると「家のホコリ」となります。そして、その名前通り、家の中に舞っているチリやホコリを指していて、特に1mm以下の目に見えにくいものを指してハウスダストと呼んでいます。
なお、家の中に舞っているチリやホコリなどのゴミにはさまざまな物質が含まれていて、ダニの死骸やフンのほか、カビ、細菌、花粉、繊維クズなどのほか、人体から出る皮膚片やフケ、犬や猫などを飼っている場合はペットの抜け毛など、さまざまなモノがハウスダストに含まれています。
このハウスダストは、非常に小さな形状で軽いため、空気中に舞い上がりやすく、人がそれを吸い込んでしまった場合、アレルギー性鼻炎や喘息などを引き起こす可能性があるとされています。
ハウスダストのないが問題なのか?
ハウスダストは、上記の通り、人の目には見えにくい小さなチリやホコリを総称したものを指しています。それでは、近年このハウスダストが問題視されているのはなぜなのでしょうか?人の目では見えないほど小さな物体なら、特に問題ないのではないかと感じますよね。
ハウスダストが問題視されている理由は、人間の身体の機能も関係しています。私たち人間の身体には、害を及ぼす異物が体内に侵入した時、その異物を攻撃して体外へ追い出すという機能が備わっています。つまり、ハウスダストが体内に侵入した時には、それを異物と身体が判断し、何らかの症状が起こることがあり、これがいわゆる、ハウスダストアレルギーと呼ばれているわけです。
ハウスダストアレルギーは、人によってさまざまな症状が出るのですが、主に以下のような症状が出る場合が多いです。
- くしゃみ
- 鼻みず、鼻づまり
- 目のかゆみや痛み
- 皮膚の炎症・かゆみ
- 肌の乾燥
- 喘息やせき
ハウスダストアレルギーは、上記のような症状が出る方が多いです。
ハウスダストが原因となる疾患について
先程ご紹介したように、ハウスダストの正体は、家の中に舞っている非常に小さなチリやホコリを指しています。つまり、どのような家であっても、空気中には常にハウスダストが存在すると考えなければならないのです。そのため、ハウスダストによる疾患は、花粉症などと異なり、季節を問わず、アレルギー症状を引き起こし、さまざまな疾患の原因となる場合があります。
ハウスダストが原因となる主な疾患は、以下のような物と言われています。
- アレルギー性鼻炎
アレルギー性鼻炎は、くしゃみ、鼻みず、鼻づまりの症状が出ます。風邪と似たような症状なので、ハウスダストが原因と気付きにくいので注意しましょう。 - アレルギー性結膜炎
アレルギー性結膜炎は、目の充血のほか、かゆみや痛みなどの違和感、涙目などの症状が出ます。症状の程度は個人差があるので、こちらもハウスダストに気付きにくいかもしれません。 - アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎は、もともとアレルギーを起こしやすい体質の人や、皮膚のバリア機能が弱い人に多く見られる症状です。ハウスダストの中には、皮膚に刺激を与えるアレルギー物質も含まれていて、それにより皮膚のかゆみや湿疹などの症状が出る場合があります。アトピー性皮膚炎は、かゆみを感じてひっかくと悪化するという悪循環があるので、小さなお子様にとっては非常に悩ましい症状です。また、 化学物質(石鹸、化粧品、金属など)や汗、汚れ、紫外線などによる刺激も悪化の要因となるそうです。 - 気管支喘息
気管支喘息は、気管支に慢性的な炎症が起こる病気です。気管支喘息の要因はさまざまあるのですが、空気中を舞うハウスダストの中にアレルゲンが含まれていて、それを吸い込むことで気管支が腫れたり、痰が貯まるといった症状が出る場合があるなど、ハウスダストも要因の一つとなるのです。
このように、ハウスダストは、単に家の中にホコリが舞っているという問題なのではなく、人の健康を害す要因となるのです。
ハウスダストに含まれるアレルギー物質とは
ハウスダストは、チリやホコリの中でも特に1mm以下の物を指しています。そのため、非常に軽量であることから、人が動くなどのちょっとしたことで空気中に舞い上がってしまうという特徴があるのです。
例えば、同じ家の中でも、出勤や登校の準備などにより人の動きが多い朝の時間帯はたくさんのハウスダストが空気中を舞うことになるものの、人が寝静まる深夜帯は動きがないことから床にハウスダストが落ち、そこに溜まる事となるのです。そして、朝がきて、人が動き始めるとまたハウスダストが舞い上がることになるのです。
なお、朝起きた際にくしゃみや鼻水の症状が出ることについては「モーニングアタック」などと呼ばれています。これは、床に落ちたハウスダストが、人の動きを要因に舞い上がり、アレルギーの症状を引き起こすためです。
それでは、ハウスダストに含まれているアレルギー物質は、どのような物があるのでしょうか?ここでは、ハウスダストに含まれているアレルギー物質をご紹介します。
ダニ(死骸やフン)
家の中には、10~20種類と、さまざまなダニがいると言われています。その中でも特に数が多いとされるダニが、チリダニ類、コナダニ類、ツメダニ類などで、いずれも体長が0.3~0.8mmと非常に小さいのが特徴です。
ダニは、人間の皮膚片やフケ、食品の食べこぼしなどをエサとしていて、温度20~30度、湿度60~80%という環境を好むとされています。布団やじゅうたんは、この条件を満たしやすいことから、多くのダニが潜んでいて、フンや死骸なども多くあるとされています。
人やペットの毛、虫の死骸やフン
実はハウスダストに含まれるアレルギー物質には、人が起因となるものもあります。人が生きている限り、抜け毛やフケなどが必ず落ちるのですが、これはハウスダストの一種になります。また、ペットを飼っているご家庭であれば、ペットの毛や皮膚片、アカやフケなどもハウスダストになります。
この他、ガやゴキブリなど、小さな昆虫の死骸やフンは、人のアレルギーを引き起こす要因となります。
空気中を舞うカビの胞子や細菌
どのような住宅でも、カビの発生を完全に防ぐことはできません。一般的な住宅には、360種類程度のカビが生息するとされていて、家の中にカビが発生した場合、繁殖のために空気中に胞子を飛ばすようになるのです。そして、このカビの胞子はアレルギー物質となり、アレルギー性鼻炎や喘息を引き起こすとされています。
特に、カビの中でも黒カビがアレルギー症状を引き起こしやすいとされています。黒カビは、エアコンなどで発生することが多く、冷房や暖房運転時に、部屋の中に胞子をまき散らす…なんてことが多いようです。エアコンは小まめな清掃が大切とされていますが、空調効率を維持する目的だけでなく、ハウスダストによるアレルギー症状を防ぐという目的もあるのです。
花粉
花粉が飛び交う季節になると、室外から花粉が侵入するようになるのですが、これもハウスダストの一種となります。昨今の住宅は、気密性が非常に高くなっているため、花粉は侵入しにくくなっていると考えられています。実際に、家の隙間などから侵入する花粉は少なくなっていると言えるでしょう。
ただ、花粉が家の中に侵入するのは、多くの場合、人間が原因となっています。例えば、外出先から帰宅したとき、衣服に付着した花粉を持ち込む、洗濯物を取り込む際に花粉も一緒に持ち込むなどといったことが多く、これが室内の空気中に舞うことでくしゃみや鼻水の原因となるのです。
※ハウスダストの約7割は家の中で発生
ハウスダストの中には、屋外から花粉を持ち込む、土や砂埃、排ガスなどが侵入するなど、家の外から持ち込まれるものもあります。しかし、家の外から持ち込まれるのはあくまでも約3割程度で、残りの7割は家の中で発生しているとされているのです。
特に多いのは、衣類や布団から出る繊維のクズ、食べこぼしや人の抜け毛などと言われています。
ハウスダストの中でも、皮膚片やフケ、ダニやカビなどの割合は比較的少ないとされているのですが、これらにアレルギー症状を持っている人の場合、ほんの少し吸い込んだだけでも症状が出てしまうとされています。
ハウスダスト対策について
ここまでの解説で、ハウスダストがどのような物で、人体にどんな悪影響が生じるのか分かっていただけたと思います。ハウスダストは、小さなチリやホコリのことで、それらが空気中を舞い人が吸い込んでしまうことで問題に発展します。ただ、空気中の小さなホコリを意図的に吸い込まないようにすることなど誰にもできません。
それでは、ハウスダストによる諸問題を解決する為には、どのような対策を検討すれば良いのでしょうか?ここでは、日常生活の中で可能なハウスダスト対策について簡単にご紹介します。
小まめな掃除が基本的な対策
ハウスダスト対策を考えた時、最も基本となるのが小まめなお掃除です。
普段から小まめにお掃除を行い、家の中に存在するアレルギー物質の量が少なくなれば、人が吸い込む量も少なくすることができます。そうすることで、アレルギー性鼻炎の症状などを軽減することも可能です。
家の中の花粉症対策でも、空間に花粉を少なくするという方向で考えられるように、ハウスダストも可能な限り除去することが大切です。
アレルギー症状の程度を把握し、適切な対処をとる
ハウスダストを原因とする諸症状は、個人によって発生する症状の程度が変わります。例えば、喘息などの症状が出る人でも、発作の頻度や強さは全く異なります。したがって、まずはハウスダストによって生じる症状について、自分や家族にどのような症状がどの頻度、どの程度の強さで出るのかを確認し、適切な治療法を考えるようにしましょう。
一時的な症状なのであれば、市販の薬を飲むことで対処可能な場合もありますが、原因を明らかにするためにも一度は病院で診察してもらうのがおすすめです。病院に行けば、血液検査や皮膚テストなどにより、アレルゲンを特定することも可能になるため、適切な治療や対処が可能になるはずです。
掃除の方法に注意しよう
ハウスダスト対策の基本は掃除だとご紹介しましたが、掃除の方法には注意が必要です。というのも、ハウスダストは人が動くだけで舞い上がってしまうほど小さくて軽い物体なので、いきなり掃除機をかけるという行為は、ハウスダストを空中に舞い上がらせるだけ…という結果になってしまいがちです。何も考えずに掃除機をかけると、床掃除の効果が激減し、全く症状が改善しない…なんて結果になるのです。
ハウスダストの掃除を考えた時には、家族がまだ動き出さない早朝などに床クリーナーやモップで床を拭き、その後に掃除機をかけるという方法が有効です。先ほどご紹介したように、ハウスダストは人の動きがなくなり、空気の動きがなくなれば床に落ちていきます。つまり、まだ人が動いていない早朝は、多くのハウスダストが床に落ちていて、それを拭き取るのが最も効率的な訳です。
朝、目覚めた時には、新鮮な空気を取り込みたいと考え、すぐに窓を開けたくなりますが、そうするとハウスダストが舞い上がるので、床掃除をした後に窓を開けたりエアコンをつけるようにしましょう。
ハウスダストの予防策
それでは最後に、ハウスダストの予防策についてもご紹介しておきます。ハウスダストの対策として最も有効なのは、やはりハウスダストを発生させないという「予防」的な対策となります。ハウスダストが少なければ、それだけアレルギー症状が発症するリスクを低減することができるでしょう。
ここでは、基本的な予防策と、建物に対する対策の二つをご紹介します。
基本的なハウスダスト予防策
まずは、基本的なハウスダストの予防策からです。
- 小まめな掃除と洗濯
ハウスダストの発生を完全に防ぐのは不可能です。したがって、日々の生活の中で可能な限り除去して、空気中を舞うハウスダストが少なくなるようにすることが大切です。例えば、先ほど紹介した、早朝に床クリーナーをした後に掃除機をかけるといった掃除の工夫が有効です。この他にも、ダニの温床となりやすい布団なども、小まめに洗濯してあげることが大切です。ダニの死骸やフンは水溶性なので、水洗いすることでハウスダストを除去することができるのです。この他、空気清浄機も併用するといった対策も有効です。 - 室温・湿度に注意する
ハウスダスト対策を考えた時には、室温が20~25度、湿度は50%程度を保つようにすると良いです。ダニは高温多湿の環境を好むため、室温が25度を超えると爆発的に増殖すると言われています。また、カビも高温多湿を好み、湿度60%を超えると一気に増殖します。ハウスダスト対策を考えた時には、ダニやカビが繁殖しにくい環境を作ることも大切です。 - 防ダニ処理をする
ハウスダストは、ダニの死骸やフンも含まれているわけですので、防ダニ処理は有効なハウスダスト予防となります。防ダニの方法は、素材によって異なるので、各部位に合わせて適切な方法で対処しましょう。例えば、布団などについては、最低でも週2回以上天日干しをして風を通すなどの対策が必要です。それができない人の場合、布団乾燥機などを用意して、機械的に防ダニ処理をすると良いでしょう。 - ペットを清潔に保つ
ハウスダスト対策を考えた場合、ペットは飼育しない方が良いのは間違いありません。ペットを飼っているご家庭の場合、小まめにブラッシングやシャンプーをするなど、出来るだけペットを清潔に保つようにしましょう。また、ペットの毛もハウスダストの要因になるので、小まめに掃除する必要があります。なお、ペットの毛の掃除のことを考えると、じゅうたんなどを敷かずにフローリングの方が好ましいと言えます。
上記以外にも、花粉が舞う季節は家の中に花粉が侵入しないように注意することも大切です。花粉対策については、以前別の記事で解説しているので以下の記事をご参照ください。
参照:花粉症が家の中の方がひどい…花粉症対策を考えた家づくりと普段できる対処について
建物の対策について
住宅のハウスダスト対策を検討した時には、建物そのものの機能性に注目することが最も有効です。というのも、現在の新築技術は飛躍的に向上しており、きちんと工法を選ぶことで、家族が安全に安心して暮らせる環境を作り出すことが可能になっているのです。
その中でも特におすすめできる工法が、通気断熱WB工法と呼ばれる建築工法です。悠建設でもWB工法の家を推奨しているのですが、この工法で建てた家は、住宅そのものが人と同じように呼吸し、不要な湿気や人に悪影響を及ぼす有害な物質を建物外に自動で排出してくれるという機能を実現してくれます。
そのため、家の中にいていつでも深呼吸したくなるような新鮮な空気環境を常に維持してくれます。WB工法は、シックハウス症候群に対処するために考案された建築工法なので、家族の健康を守るための家づくりに最適な工法と言えます。WB工法の詳細は、以下の記事で詳しく紹介しているので、是非確認してみてください。
参照:通気断熱WB工法とは?WB工法のメリットはよく耳にするけど、実際のところデメリットはないの?
まとめ
今回は、家の中に存在する悩みとして、近年多くの方が指摘しているハウスダスト問題を解説しました。
記事内でご紹介したように、ハウスダストは、人の目では見ることも難しい小さなチリやホコリのことを指していて、昨今ではこのハウスダストが原因で人の健康被害問題が多くなっていると言われているのです。ハウスダストは、どのような住宅であっても、一切発生させないなんてことは不可能なので、出来るだけ発生させる量を少なくする、また発生した物をできるだけ早く除去するという対策が有効になります。
ハウスダスト対策については、家づくりの段階から行っていくことが大切なので、お子様が喘息などが心配という方は、ぜひ弊社にご相談ください。